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Watching Movies 『バービー』でケンを演じたライアン・ゴズリングが、3本の異なるホイヤー ヴィンテージカレラを(同時に)着用

彼は“ただのケン”だが、今週公開の映画に登場する時計はただのホイヤーではない。


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“バーベンハイマー(編注;同日公開されたバービーとオッペンハイマーをもじったミーム)”の週末が近づいてきた。Watching Moviesセクションの2本立てのパート1である『オッペンハイマー(原題:Oppenheimer)』から始め、今回はグレタ・ガーウィグ(Greta Gerwig)が監督を努める『バービー(原題:Barbie)』のWM特別版を(金曜日以外の更新で)お送りする。街や映画館、ファンをピンク一色に染めた、絶対的な文化の現象ともいえる映画である。ここで認めておくが、金曜日の夜に映画を見たとき、私はできるだけピンクに近い時計、ムーンスウォッチのミッション・トゥ・プルートをつけていた。その文化を少しでも楽しむために。

 『バービー』は、バービー役のマーゴット・ロビー(Margot Robbie)とケン役のライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)のキャスティングが2022年初頭に発表されるなど、しばらく前からみんなが知っていた映画だ。ガーウィグと、共同脚本家であり夫のノア・バームバック(Noah Baumbach)が、マテル社のおもちゃから驚くべきものを生み出すなど、この映画は信じられないようなマーケティングを実践している(どこに行ってもそれから逃れることはできない)。そして我々はこの映画でバービーがたくさん出てくることは覚悟していたが、ゴズリングが純金でできた頑丈なヴィンテージのリストキャンディを、スクリーン上で披露する準備はできていなかった。

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ケン役のライアン・ゴズリングと、バービー役のマーゴット・ロビー。Image courtesy of Warner Bros.


注目する理由

 この時点で、その理由は明らかだろう。バービーもオッペンハイマーも、この週末で大きな興行収入を記録しており、この鑑賞体験がまだまだ廃れていないことを証明している。同日上映の“バーベンハイマー”の2本立てはしなかったが、それぞれの映画は連日で鑑賞した。一見したところ、まったく共通点がないと思った。実質的には比較にならない。ただ映画製作者たちが、奇妙なことに使用する時計に関して同じ選択をしていることに気付く。そう、ガーウィグもクリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)も、主人公たちに3つのヴィンテージウォッチを身につけるのがふさわしいと考えたのだ。オッペンハイマーの場合は3つの時計(ヴィンテージのハミルトン)を、3つの異なる時代に1本ずつ着用していた。

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『バービー』のバービー(ロビー)とケン(ゴズリング)。 Image courtesy of Warner Bros.

 ゴズリングが演じた『バービー』のケンの場合は、シャツを脱いで毛皮のコートを羽織り、ヴィンテージのホイヤークロノグラフを3本、すべて同時に身につけていた。まったく正気の沙汰とは思えない演出だが、映画全体の雰囲気にはよく似合っていた。映画のストーリーの中心はロビー演じるバービーが存亡の危機に直面し、彼女とゴズリング演じるケンがその答えを探し求めてバービーランドから現実世界に旅立つというものである。ネタバレにならない程度に伝えると、その答えが彼らの母なる宇宙を大混乱に陥れることになる。その結果、ケンは3本もの異なるゴールドホイヤー カレラを空中から出現させ、同時に身につけることになる。

 では、3本の時計とは何なのか? まず1971年製のホイヤー Ref.1158 CHNで、18Kゴールドのブレスレットに取り付けられている。次に1974年製のコート・ド・ジュネーブ文字盤を備えた樽型ケースのRef.110.515。そして最後にカレラ Ref.2448 NTにレザーストラップがついたものだ。

 時計学的な意義の観点から見ると、これらの時計はなかなかうまいと思う。ホイヤー Ref.1158は、ジャック・ホイヤー自身が愛用していた時計として知られ、同社初の自社製自動巻きクロノグラフムーブメント Cal.11を搭載している。1970年代のフォーミュラ1と深い関わりを持ち、特にミラネーゼブレスレットにゴールドをあしらったこのモデルは今なお高い人気を誇っている。

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ホイヤー Ref.1158の一例。『バービー』でライアン・ゴズリングが着用していた3つのうちの1本。

 Ref.110.515は、ホイヤークロノグラフの旅における次のステップのようなものだ。樽型ケースは1970年代を象徴するもので、1万9800振動/時であるCal.11をアップグレードしたCal.12を搭載している(2万1600振動/時という高い振動数を誇る)。その結果、時間計測をより正確に測れる時計が誕生した。そしてなによりムーブメントにしか見られないコート・ド・ジュネーブ仕上げの文字盤が目を引く。

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ホイヤー Ref.110.515の例。ゴズリングが『バービー』で、ブレスレットととしていたストラップだ。

 Ref.2448は1960年代の名品で、スポーティなデザインとしてよく知られたカレラをゴールドの放つ華やかさを添えて格上げしたものである。はっきりとは明言されていないが、我々はこの時計にゴールドメッキを施した例を見たことがあり、これはそのように見える。カレラらしいレイアウトのブラックダイヤルは、ゴールドトーンの針とマーカーによく映えている。

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ゴールドメッキのホイヤー Ref.2448は、ゴズリングが『バービー』のケン役で着用していた時計に似ている。

 でも正直なところ、ケンはそんなことは気にしていない。彼は主に“ビーチ”と馬を気にしている(映画を見た人なら私の言っていることが分かる)。このことが、このトリオウォッチが両手首で現れたことを驚くほど馬鹿げたものにしている。この映画では狂気さが足りなかったかのように、これは時計愛好家のために用意されたもうひとつの隠れたメッセージのように感じられる。ちょっと聞いて欲しいが、我々はそれが大好きだ。

 彼は右手首にRef.1158とRef.2448(上が1158)を、左手首に110.515を着用していた。正直なところ、ケンがこれらの時計の時刻を設定しているのか、それとも意図的にそれぞれ別のタイムゾーンに設定しているのかはわからない。これはおそらく謎が残るままだろう。私が知っているのは、ガーウィグ、ゴズリング、そしてタグ・ホイヤー(ゴズリングはブランドのアンバサダーを務めている)が、現代のタグ・ホイヤー、特に新しいピンクのカレラ デイトを使ったプロダクトプレイスメント(実在する企業・ブランドといった広告主の商品を使って、認知度を広めること)を行わず、物事を別の、より思慮深いレベルにまで高めたことだ。そして我々もそれが大好きだ。

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『バービー』にて、毛皮のコートにサングラス をかけたケン(フレーム外に時計は隠されている)。Image courtesy of Warner Bros.


見るべきシーン

 この映画の第2幕の重要なシーンで、バービー(ロビー)は新しい人間の友達を数人連れて、我々の世界からバービーランドへと戻る。彼女の計画は自分の世界がいかに美しく、進歩しているかを友人らに見せることだったが、ケンはその事態をかなり変えてしまったことに気づく。ネタバレにならないように伝えておくと、彼は今彼女の家に住んでいて、(ほかにも多くの被害を受けているなか)大胆にも模様替えをしている。またロッキー・バルボア(Rocky Balboa)からファッションのインスピレーションを得て、毛皮のロングコートを着ている。この新たな出来事について2人が議論しているとき、ケンの手首が、黄金に輝く3本のホイヤークロノグラフで飾られているのがはっきりとわかる。

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Image courtesy of Warner Bros.

 映画の終盤では、ゴズリングがバラード曲の“Just Ken(ただのケン)”を口ずさむという、特徴的な音楽シーンが訪れる。この毛皮のコートを着たままのモンタージュでは、彼が(シックスパックを維持するために)エクササイズなどのあらゆる活動をしている様子が映し出される。歌いながら、ケンはコートを着たまま懸垂を始め、懸垂棒にぶら下がると袖が下がり、70年代のカレラのブレスレットがわずかに見えるのだ。

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Image courtesy of Warner Bros.

『バービー』(マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング主演)はグレタ・ガーウィグ監督、小道具はアンジェラ・オニール(Angela O'Neill)とスティーブン・モリス(Steven Morris)担当。現在、各地で上映中です。

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