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The Value Proposition ミリタリー風ウォッチではなく、ミリタリーが実際に使う「マラソン」を手に入れよう

戦場で通用するものが、日常で通用しないわけはない。

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マラソンは、より多くの時計愛好家に知ってもらいたいブランドだ。あまり知られていないが、専門性の高い腕時計を製造しており、そのバリューは非常に高い。360ドル(約4万円)のナビゲーターは、野外で活動するさまざまな組織や軍隊のために作られた腕時計の入門機に位置するものだ。公的機関で働く科学者や助手、軍に関係する機関などにも採用されている。

 マラソンが、私や他の多くのファンが思うほど知られていないのには理由がある。それは、彼らがブランドのポジショニングやマーケティングキャンペーンに、ごく最近まで投資してこなかったからだ。ブランドが始まって以来、ほとんどの場合、政府機関に直接販売してきた。信頼できる懐の深いクライアントがいれば、ピカピカの写真に合わせて気の利いたコピーを作らなくても、時計は作る前から売れていくものなのだ。最近になってマラソンは小さなオンラインショップを運営し、マラソン × J.クルー ナビゲーターのような限定版のコラボレーションで愛好家市場にも進出しているが、昨年、同社のVPであるミッチ・ウェイン氏に話を聞いたところ、彼らの時計の90%はまだ政府との契約によって販売されているとのことだった。

Marathon watch

 マラソンのエントリーモデルであるナビゲーターは、愛好家やユーザーのあいだで知られているマラソンのすべてを体現している。外観や商業的な成功のためではなく、純粋に機能のためにデザインされた時計なのだ。リーズナブルな価格で大量に生産できるよう設計されているが、だからといって品質に手を抜いてはいない。この時計は、戦場で、あるいはその名が示すように、空の上で酷使されることを想定している。これは結局のところパイロットのための時計であり、数百万ドルの飛行機を操縦するパイロットが最も避けたいのは機器の故障だ。考えてみれば、軍のパイロットはこの360ドルの時計を頼りに、F-35Aのような7800万ドル(約88億円)もする航空機を操作しているのだ。このことは、ナビゲーターの信頼性の高さを証明している。

Nasa Astronaut wearing watch

 本機は軍用規格であるMIL-PRF-46374Gに準拠して作られているため、見慣れないデザインの部分もあるが、それがこのモデルの真の戦略的な魅力となっている。ケースはプラスチックのようなファイバーシェル複合素材でできており、非常に軽量だ。スティール製の時計に慣れた人は、ついているかどうか思わず手首を振って確かめてしまうかもしれない。この時計をつけてすぐに感じるのは、軽量でありながらケースの強度が非常に高いということだ。我々は重さと強さを誤って同一視してしまうが、ナビゲーターはその関係性を見事に解き明かす。カラーバリエーションは、ブラック、デザートタン、セージグリーンの3色で、いずれもビジネスシーンにも合いそうだ。また、41mmのケースはアシンメトリーで、やや膨らんだ右側のシェイプがリューズガードのようになっているのがわかる。

 12時間計がついたベゼルもファイバーシェルで提供されている。一見するとダイバーズウォッチのように見えるが、実際はまったく違う。防水性能は60m。ISO規格では、ダイバーズウォッチは最低でも200mの防水性能が必要とされている。ベゼルは、機能的にはGMTマスター IIのようなパイロットウォッチのGMTベゼルに近いものだ。ベゼルには1時間刻みで12までの表示があり、ユーザーはベゼルを回すだけでセカンドタイムゾーンを表示することができる。パイロットにとっては、ホームタイムと目的地の時間を把握するための重要なコンプリケーションだ。また、GMT機能が必要だと考えている人にとっても、他のタイムゾーンの時間を知りたい人にとっても、非常に便利な機能だ。

marathon watch

 内部にはETA FØ6クォーツムーブメントが搭載されており、この点で何人かのファンを失うかもしれないが、価格が抑えられていることと修理が簡単であることを考慮して欲しい。ただ新しい電池を入れればいいのだから。ナビゲーターの現行の主要顧客は軍隊だ。具体的には、パイロット、乗組員、そして飛行機から飛び降りる訓練を受けた専門家たち。つまり、時間を知る必要のある人たちであって、宝石の数や腕時計の機械式キャリバーに使われている脱進機の種類にはたぶん関心がない人たちだ。

caseback

 この時計が文字通り輝くのは、夜光の部分だ。マーカーにはトリチウムガスチューブが使用されており、12時位置のマーカーはオレンジ、その他のマーカーはグリーンの光を放つ。従来のスーパールミノバに比べてトリチウムチューブが優れているのは、決して暗くならず、いつでも、どんな状況でも視認性を確保できることだ。また、懐中電灯のように光らないので、明かりがもれて位置を特定されることもない。見えても気づかれない程度の光を放つのだ。トリチウムチューブの半減期は約10年で、時間の経過とともに薄れていくが、この時計は家宝になるべくデザインされたものではない。使用可能な期間中、安定した性能を発揮し、その後は廃棄されるように設計されている。これが防衛産業のやり方なのだ。たくさんのプラスチック製時計がベトナム戦争で支給され、2021年に埋め立てに使用される予定だったが、今も腕で時を刻んでいる。と言っても、マラソン ナビゲーターがすぐに処分を必要とするわけではない。

 文字盤のデザインは他の部分と同様に、必要なものだけを備え必要でないものは存在しない。視認性は素晴らしく、もちろん、トリチウムガスチューブに加えて、文字盤上に整然と配置された大きなアラビア数字の隣には小さな24時間目盛りもある。バリューについて言えば、この時計は多くの部分がビルトインになっている。もちろん、政府は360ドルという価格よりも少し安い値段でこの時計を手に入れることができるが、彼らは何千個という単位で注文する。しかしこの時計は、実は最初からバリューを意識してデザインされている。

marathon on wrist

 時計愛好家、特にツールウォッチ好きの人は、ある意味、ロールプレイングのために存在している。この現象については、ジャックが以前、ライブRPGと時計着用の関連性を探った際に取り上げている。スピードマスターを身につければ、あなたは宇宙飛行士だ。ジェームズ(・ステイシー)と私はHODINKEE Radioで、時計が何か大きなものと結びつくと、それ以上のものになるという話をした。我々がたどりついた結論は、時計のある側面が我々のなかの5歳児に働きかけるということだった。マラソンのナビゲーターに夢中になった理由は、手頃で正確な素晴らしい時計であることに加えて、技術的に優れた道具へのロマンティックな憧れに付け込んでいない点だ。この時計は、私に注意を払うことを求めない。私がどう思おうと気にせず、自分の役目をしっかりと果たしてくれる。

 だから軍が実際に使用するのだ。たくさんの時計メーカーが理論的には実際の任務に使える時計を作っているが、そぎ落していくと単なる高級品になってしまう。それが悪いわけではないが、良識ある政府機関が、現場で酷使するために高級時計に何千ドルもの税金を使うことはない。そんな金額を使わなくても、マラソン ナビゲーターがあるからだ。

というわけで、もうロールプレイをする必要はない。本物を手に入れることができるのだ。

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マラソン ナビゲーターについての詳細はマラソンのウェブサイトをご覧ください。