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Talking Watches マルーン5のフロントマン、アダム・レヴィーンが語る時計コレクション

マルーン5のフロントマンであり、大のロレックスコレクターでもあるアダム・レヴィーンとの対談を彼の邸宅からお届けしよう。

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Video Editor: Vic Ottomanelli

Talking Watchesシリーズは、かなりの長寿番組といえる。何せ10年続いているのだから。2013年秋に最初の動画を公開した途端、次は誰を取り上げるべきかという提案が寄せられるようになった。そして、そのうちのかなりの候補リストにチェック済みマークを入れたことを誇りに思っている。リクエストのなかで最も多く名前が挙がったのは、マルーン5のフロントマン、アダム・レヴィーンだった。彼は非常に長いあいだ(一般的なセレブの着用期間に比べ)、非常にクールな時計を着用してきたが、Mr.レヴィーンはその期待を裏切らない。

Collection of Rolex and Patek watches on a wooden surface

アダム・レヴィーンを“ロレックスマン”と呼べば、彼もそれを褒め言葉をとして受け取るだろう。

 彼が率いるマルーン5というバンドでビルボード賞を数回、さらにアメリカン・ミュージック・アワードを数回、グラミー賞を数回受賞しているアダム・レヴィーンほどになると、素晴らしいレベルの時計コレクターになるのは容易いことだと思いがちだ。しかし成功を重ねるにつれ、気を散らそうとする人間関係や場所やトラブルの数も増える。マルーン5のフロントマンであり、夫であり、幼い子供たちの父親であることに加え、彼はカリロサ・テキーラの共同設立者でもある。そしてそのすべてを通じて、アダムは非常に多くのことに早くから取り組んできた。現代アートや家具、クルマ(キャンセル待ちが出る前の、非常に初期のシンガー社製の911を所有していた)、そしてもちろんヴィンテージウォッチもだ。

Photo: Guy Prives/Getty Images

 この動画では、カリフォルニア州モンテシートにあるアダム邸を訪ね、彼が時計に目覚めたきっかけ、初めて買った時計(今は母親の手首にある)、今ハマっていること、そして動画で紹介しているが完成したばかりのカスタムデザインの時計について話を聞いた。

Ben Clymer smiles while he and Adam Levine talk watches

アダムは、酸いも甘いもかみ分けた人生の達人だ。“買うべき”ものではなく、“欲しい”ものを買うようになった。

 アダムが時計収集の世界を渡り歩いてきたことは、彼が見てきたもの、所有してきたもの、そして場合によっては売ってきたものを見ればわかる。多くの点でアダム・レヴィーンは昔ながらの時計コレクターであり、自分の好きなものを買い、他人の目を気にしない。彼は“所有すべき”ものはすべて所有し、今では彼のコレクションは単に彼が好きなものであふれている。そして、それこそが最高の時計コレクションなのだ。

 前置きはこれくらいにして、HODINKEE Talking Watches アダム・レヴィーン編をお楽しみいただきたい。


ロレックス デイトナ Ref.6263 パンダダイヤル ポール・ニューマン
Rolex Daytona 6263 on a wooden surface

多くの人からヴィンテージロレックスの代名詞と言われるパンダダイヤルの“ポール・ニューマン” Ref.6263は、今まで見たなかで最もカッコいい時計だとアダムは考えている。ここに異論を挟む余地はない。

 インターネット上でアダムの写真を見ると、彼がかなりの確率でこの時計をしている姿がヒットする。それはロレックス デイトナ Ref.6263 “ポール・ニューマン”、または“パンダ”の愛称として知られるモデルだ。Ref.6263は、ねじ込み式プッシャー、ツートンダイヤルを備えたロレックスを象徴するモデルである。Ref.6263は長いあいだ、ヴィンテージロレックス界で頂点に君臨し、ジェイ・Zが最近ティファニーの特別なサインが入った個体を手に入れたこと、そしてアダムの今回のオススメも相まって、それはすぐに変わることはなさそうだ。後述するが、興味深いのは彼がアルティザンズ ドゥ ジュネーブ(Artisans De Genève)とのカスタムプロジェクトにおいて、インスピレーションを与えたのがこの時計だという点だ。


イエローゴールドのロレックス デイトナ Ref.6263
Yellow Gold Rolex Daytona 6263 on a wooden surface

何であるかは、よくご存じだろう。そしてそれを尊重しなければならない。それは、金無垢のRef.6263である。

 もしあなたがアダム・レヴィーンで、デイトナが好きならゴールドでできたRef.6263を手に入れないわけにはいかないだろう。彼が選んだのは、最近購入した金無垢の素晴らしい個体だ。

Wrist shot of the yellow gold rolex daytona 6263

実によく映えるだろう?

 これもまたロレックスコレクションを代表するヴィンテージデイトナだ。ちなみに私は数年前に1本だけを残して、ヴィンテージデイトナをすべて売却した。私が所持していたのは? 金無垢のRef.6263だ。だから私がそれのファンであることは明らかだろう。


スーパーボウルのハーフタイムショーで登場したロレックス デイトナ レインボー
Close up of a rose gold rainbow rolex daytona on a wooden surface

レインボー革命のきっかけとなった時計。

 時は2018年。ロレックスは(当時主流だった)バーゼルワールドで、独自のエバーローズゴールド素材にレインボーベゼルと対応するインデックスを備えた新しいデイトナを発表した。当時HODINKEEの編集者だったカーラ・バレットは、気を失いそうになったそうだ。宝石を愛する地球上のすべての人々と同じように。この時計はイエローゴールドとホワイトゴールドにダイヤモンドのインデックスを配した“レインボー”に続いて、それをテーマにした時計に革命を起こしたのである。

Wrist shot of a rose gold rainbow rolex daytona

レインボーはアダムによく映える。

Adam Levine performing at the Super Bowl while wearing a rose gold rainbow rolex daytona

スーパーボウルLIIIにて、レインボーのロレックス デイトナを着用したアダム・レヴィーン。Photo: Getty Images

 レインボーデイトナは、それを理解する人々には絶対的な象徴的存在であり、それが生きるべきコンテクストを知らない人々にはひどく誤解されている。レインボーにとって完璧な状況とは? アダム・レヴィーンというロックスターが、スーパーボウルのステージで演奏するときに手首につけているときなのだ! “そう、俺はロックスターであり、レインボーデイトナを身につけている”。この事実を世界に知らしめるのに、これ以上のタイミング、場所、シチュエーションはない。アダムはまさにそれをやってのけたのだ。


アダムの妻ベハティ・プリンスルーから贈られたロレックス GMT マスター Ref.1675 ペプシ
Rolex GMT-Master 1675 on a wooden surface

このヴィンテージGMTマスター Ref.1675は、アダムの妻であるベハティからの贈り物だ。

 アダムはロレックスコレクターのひとりであり、センチメンタルな記念にヴィンテージウォッチを贈ることに抵抗はない。このGMTマスター(Ref.1675)は、妻のベハティ・プリンスルーから記念日に贈られたものだ。前オーナーと、ベハティから彼に贈られるときに刻印されたメッセージが並んでいる。超クールだ。


ロレックス GMTマスターⅡ ペプシ
Rolex GMT-Master II Pepsi on a wooden surface

旧型ペプシベゼルがあるのなら、新型ペプシがあってもいいじゃないか。

 ご覧のとおり、アダムは我々と同じように、セットで集めるのが好きだ。彼はヴィンテージのGMTマスターを愛用しているが、それがきっかけで現代のGMTマスターも欲しくなったようだ。機能的にも審美的にもよく似ているが、この時計に漂うオーラはヴィンテージとは大きく異なる。そしてまた、彼のコレクションのなかで両方を持つことは理にかなっているのだ。


友人でありマネージャーの故ジョーダン・フェルドスタインを讃えるイエローゴールドのロレックス デイデイト
Presidential Rolex Day-Date on a wooden surface

この時計は、成功を掴んだ時に手にする時計であり、アダムにとっては長年のマネージャーを思い出させる時計でもある。

 誰が何と言おうと、ロレックス デイデイトほど大人になった気分にさせてくれる時計はこの世に存在しない。アダムも同意見で、2018年末に悲劇的に他界したマネージャーの故ジョーダン・フェルドスタインに敬意を表して、このYGの時計を購入した。ジョナ・ヒルとビーニー・フェルスタインの弟であるフェルドスタインは、アダムの幼なじみであり、マルーン5のアルバム『ジョーディ』の名前の由来でもある。この時計はフェルドスタインが身につけていたものと同じモデルで、アダムがバンドの成功の多くをもたらしたと信じているふたりの関係を常に思い起こさせるものだ。このYGのデイデイトは彼がつけていた実際の時計ではないが、偉大な友人でありマネージャーであった彼を偲び、彼のイニシャルがケースバックに刻まれている。


パテック フィリップ パーペチュアルカレンダー クロノグラフ Ref.5970P
Patek Philippe 5970P on a wooden surface

Ref.5970Pは、パテックにとってポール・ニューマンに最も近いモデルではないだろうか?

 今、パテックはちょっとホットだろう? アダムが最近手に入れたこのRef.5970Pは、彼のコレクションのなかで文字どおり唯一の非ロレックスではあるが、ある種ロレックスらしさもある。

Wrist shot of the Patek Philippe Perpetual Calendar Chronograph

5970とタトゥーの意外なコントラスト。

Ben Clymer's hands holding the Patek Philippe Perpetual Calendar Chronograph, revealing the open caseback and movement

5970が、彼がパテック フィリップを知るきっかけとなったモデルだと考えると感慨深い。

 我々は何年にもわたって、5970がいかに史上最高傑作のひとつになり得るか、何度も語ってきた。アダムもそれに同意し、5970によって真の高級時計製造、スイスでいうところのオートオルロジュリー(haute horlogerie)の世界に開眼したと認めている。ロレックスとはまったく異質なものだと彼は認識しているが、5970を手にしたことで、彼はすでに次の大物パテック....5208を構想しているという。そう、彼は完全に乗り気なのだ。


アダム・レヴィーンのデザインによるアルティザンズ ドゥ ジュネーブ社カスタムのロレックス デイトナ
Custom Rolex Daytona on a wooden surface

ある時点から、アダムは自分が何を所有すべきか気にしなくなり、ただ楽しみたいと思うようになったそうだ。そこで彼はアルティザンズ ドゥ ジュネーブ(Artisans De Genève)の協力を得て、完璧な理想の時計をデザインした。

 ある時、アダムは、しばしば狭量な時計コレクターの世界から、“何を所有しなければならないか”を気にするのをやめ、ただ楽しむことにすると決意する。そしてアルティザンズ ドゥ ジュネーブの人々が手掛けたカスタム品を何本か見かけたことがあった彼は、ある夜ベッドに横たわりながら自分のロレックス デイトナのアイデアを彼らに突然メールで送ることにしたという。

Close up of the dial and skeleton subdials on a custom rolex daytona

アダムのゴールドのデイトナは、ポール・ニューマンのようだが、そうではない。そして、それはすべて彼そのものなのだ。

Close up of the open caseback on a custom rolex daytona

このユニークな時計は、アダムとアルティザンズ ドゥ ジュネーブとのコラボレーションでデザインされた。

 アダムと同社の創設者であるジョン・アイザックは、何カ月にもわたるメールとZoomのやりとりの末、ねじ込み式プッシャーとホワイトのポール・ニューマン風のダイヤルを備えたゴールドデイトナというアイデアを思いついた。インダイヤルにスケルトン加工を施し、ベゼルはホワイトに塗られた。その上ダイヤルとベゼル全体に夜光が施されているため、暗闇でも全面発光する仕様だ。

Wrist shot of the custom rolex daytona

世界に1本しかない、アダム・レヴィーン所有の個体。

 アダムはこのプロジェクトと出来上がった時計について、自分が成し遂げたなかで最もやりがいのあることのひとつだったと語っている。そしていろいろな意味で、この時計は彼が長いあいだ支持してきた伝統的な時計マニア主義に反しているからこそ、そのよさが感じられるものでもあるのだ。この時計はあらゆる点で彼らしいものであり、彼自身の嗜好で、彼が愛するものから生まれた。そこにある種の美しさが醸成されたのである。


おまけ: アダム・レヴィーンの愛車紹介
ポルシェ スピードスター
Porsche Speedster

ブラックボディのスピードスターほどL.A.らしいものはない。そして、彼のクルマはまさに逸品だ。

 アダムは長年にわたって多くのクルマを所有してきた。しかし多くのクルマがそうであるように、ひとたび子どもが生まれると状況は一変する。そんなアダムがいつまでも持ち続けるクラシックカーは、50年代後半のポルシェ スピードスターだ。ラッジホイールを履いた、生まれながらブラックのボディをまとうスピードスターだ。

Close up of the headlights and front bumper of a porsche speedsteer
Wide shot of the interior of a porsche speedster

 彼のクルマは見たこともないほど綺麗に整理整頓されていて、パンダダイヤルのRef.6263 “ポール・ニューマン”を愛する男がこのようなクルマに乗るのは理にかなっているようだ。いずれも一度は忘れられたアイコンであり、クラシックなデザイン、クールでありながら肩肘張らない気軽さを持ち合わせている。

1969年型フォード ブロンコのレストモッド車
Wide shot of a Ford Bronco

この1969年型ブロンコは、アダムの日常生活でより使いやすくするために、あらゆる面で現代化が施され、アップデートされている。

 いいか、アダムは常に一貫している。彼の時計収集がそうであるように、クルマの収集も同じだ。希少なファクトリーカラーのスピードスターがあるかと思えば、一方ではフォード ブロンコのレストアカスタムカーもある。

Close up of the headlights and front bumper of the Ford Bronco. The large red text says "FORD"
Close up of the interior of a ford bronco

 このクルマの車体は純粋な1969年型ブロンコだが、50年前のフォード トラックよりも彼の実生活にフィットするように、より使いやすく、安全で快適に乗れるようにすべてがアップグレードされ、アップデートされている。ポルシェがRef.6263 ニューマンだとしたら、アルティザンズ ドゥ ジュネーブのデイトナのような位置付けにあるクルマだ。彼はどちらが好きで使うのだろうか? 時計と同じように、その日によって違う。そして、それこそが美しいあり方なのだ。