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Introducing ザ・シチズンの新作、メカニカルモデル キャリバー0210の“デイト”が意味するもの

デイト表示が付いた、だけじゃない。ザ・シチズン メカニカルモデルにおいてはそれ以上の意味がある。


クイック解説

およそ11年ぶりとなる新開発の自社製自動巻きムーブメント、Cal.0200を搭載したメカニカルモデル キャリバー0200がザ・シチズンより発表されたのが2021年のこと。腕時計の本質を追求するというブランドコンセプトにのっとり、外装、ムーブメントの両面から“普通の最高級”を目指した同モデルは、それまでの“シチズン=高精度なクォーツウォッチ”というイメージを覆すのに十分な完成度を誇っていた。傘下であるラ・ジュー・ペレ社との技術交流から生まれたCal.0200も、フリースプラングテンプの採用やLIGA工法により部品精度が高められた脱進機などまったくの新設計から生まれた意欲作であり、機械式時計にさらに注力していこうというシチズンの心のうちを感じさせるものだった。

  それから2年が経過した2023年、シチズンはその新作となるザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210を発表(冬発売)。今作ではラグを持たないフォルムやラグジュアリースポーツを想起させる一体型ブレスレット、大胆な面カットで構成されたケースシルエットなど基本的な設計思想は変えず、デザインとしては新開発のCal.0210の搭載によりデイト表示を新たに備えた。

ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210

 細く、シャープな仕上げにこだわった針や高精度の証しであるイーグルマークも健在。ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210はブラック(NC1000-51E)とホワイト(NC1001-58A)の2モデルを展開予定で、前者は電鋳手法による荒々しい砂地模様、後者は同じく電鋳手法を取り入れつつ雪面のように柔らかな仕上げを取り入れている。なお、NC1001-58Aに施された加工は即完売してしまった限定モデル、NC0200-06Aと同じものだ。

ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210の文字盤

NC1000-51E(ブラックダイヤル)の文字盤。

ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210の文字盤

NC1001-58A(ホワイトダイヤル)の文字盤。

 スケルトンバックからは、デイト表示を搭載した新作ムーブメントであるCal.0210を鑑賞することが可能だ。Cal.0200同様に直線を基調とし、工業製品としての審美性を追求したシチズンらしい造型が光る。なお、クロノメーター規格を凌駕するシチズン独自のCAL.02規格(6方向の姿勢、3段階の温度設定下で17日間にわたり実施)をクリアしており、平均-3〜+5秒の高精度を誇っている。

ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210のムーブメント

 ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210はブラックダイヤル、ホワイトダイヤルともに88万円(税込)で2023年冬に発売を予定。シチズン フラッグシップストアおよび、シチズン プレミアムドアーズのみの特定店限定モデルとなる。


ファースト・インプレッション

 ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210は、メカニカルモデル キャリバー0200を基盤に“実用性”という付加価値を添えたモデルだ。今作でいうところの実用性とは主に、デイト表示と10気圧まで高められた防水性能にある。今回シチズンは、前者をメカニカルモデル キャリバー0200で築き上げたデザインコードを損なわないように落とし込むべく、文字盤とムーブメントの両方に微細な調整を行った。

 新たに配置された存在感あるデイト窓とのバランスをとるために、インデックスはやや太く、短く変更。12時位置のあしらいも直線的でシャープな意匠から、落ち着きのある台形に調整された。全体のシンメトリーデザインをキープするため、デイト窓の反対側にある9時のインデックスのみより太く調整されているところも見逃せない。

 時分針の表面はホーニングからヘアライン仕上げになり、一方で見返しにはミラー仕上げが施されている。また、鋭い方ならお気づきかもしれないが、スモールセコンドのアラビア数字もややシャープなフォントへとアレンジが加えられた。

ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210

 また、シチズンはデイト機能の追加にあたり、Cal.0200にモジュールをただ乗せることをよしとしなかった。それにより厚みが出てしまってはデザインにも影響が出てしまうため、Cal.0210はデイト表示を内蔵した一体型のムーブメントとして新たに開発されることになった。結果として、増えたケースの厚みはわずか0.3mm。正直、ノンデイトのメカニカルモデル キャリバー0200と並べて比較しても肉眼で違いを理解することは難しかったし、腕に沿うような優れた着用感もそのままだった。もしかしたら、Cal.0200にモジュールを乗せるだけでも大きな差は出なかったかもしれない。しかし、少しでも改善の余地があれば突き詰めるところに、シチズン最高峰ブランドとしての自負が感じられる。

ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210のラグとブレスレット

 もしあなたがこの記事の冒頭にある画像を見て、「なんだ、デイトが付いただけじゃないか」と思ったなら、今作においてはそれが正解だ。機械式時計としてはメジャーで、実用的な機能のひとつであるデイトを違和感なく受け入れてもらうべく、シチズンは神経質にも思える数々の調整を施した。今回はデイト機能にフォーカスし、それをザ・シチズンのメカニカルモデルという文脈のうえで実現することをまずは目指したのだ。この慎重な姿勢は、同シリーズを確実に国産機械式時計の頂(いただき)に押し上げたいというブランドの願いが込められているようにも見える。メカニカルモデル キャリバー0210は、前作で表現した“普通の最高級”というスタンスを受け継ぐ2作目にふさわしいモデルであると僕は思う。


基本情報

ブランド:ザ・シチズン(The CITIZEN)
モデル名:メカニカルモデル キャリバー0210
型番:NC1000-51E(ブラックダイヤル)、NC1001-58A(ホワイトダイヤル)

直径:40mm
厚さ:11.2mm
ケース素材:ステンレススティール
文字盤色:ブラック(NC1000-51E)、ホワイト(NC1001-58A)
インデックス:アプライドバトン
夜光:なし
防水性能:10気圧防水
ストラップ/ブレスレット:デプロイヤントバックル付きステンレススティール


ムーブメント情報

キャリバー:0210
機能:時・分表示、6時位置にスモールセコンド、3時位置にデイト窓
直径:29.1mm(設計値/機械落径)
厚さ:5.3mm(設計値/機械落径)
パワーリザーブ:約60時間(最大巻き上げ時)
巻き上げ方式:自動巻き(手巻き付き)
振動数:2万8800振動/時
石数:26
クロノメーター認定:クロノメーターを超える自社規格(CAL.02規格)の合格証付き
追加情報:平均日差-3〜+5秒

ザ・シチズン メカニカルモデル キャリバー0210のムーブメント、Cal.0210

価格 & 発売時期

価格:88万円(税込)
発売時期:2023年冬
限定:特定店舗限定

詳細は、シチズン公式サイトへ。