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Back in Time ホイヤーをル・マン・レースの象徴に仕立てたドライバーたち

ル・マンにちなみ、表彰台に上った伝説的なドライバーたち、そして彼らをそこへ導いた時計たちへの敬意を表して。

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今年、フランスのル・マンの街で開催されてきた24時間レースが第89回を迎えた。ル・マンでは、時速200mph(約320km)超のレーシングカーを1人のドライバーが14時間にわたり運転することもあり、世界のトップドライバーたちがタイヤがぶつかり合うようなホイール・トゥ・ホイールの過酷な24時間バトルを繰り広げてきたレースだ。

 このレースにはファンが多いが、そこには理由がある。ル・マンに出場するマシンはほかのどのモータースポーツとも異なり、ただ速いだけではなく、できる限り長い時間、速く走れるように設計されているのだ。元々は1923年に、自動車メーカーが自社製品の信頼性と耐久性を試す手段として始まった耐久レースであったが、そうした慎ましい起源から次第に変化を遂げ、マシンの耐久性のみならず、ドライバーの精神的、肉体的な耐久性をも試すものとなり、多くのファンからモータースポーツの最も純粋な形態とみなされるようになった。

 ル・マンでは、タイミングがものを言う。そして、この世界的レースと切っても切れない縁でつながる一つのブランドがある。ホイヤーだ。モータースポーツにおけるホイヤーの存在感は他の追随を許さず、同社の腕時計を歴代の有名ドライバーたちがその腕につけてきた。ジャック・ホイヤーの天才的なマーケティングと製品のポジショニング戦略が功を奏し、ホイヤーはレースの花形となった。ここにホイヤーの腕時計をつけていたことで知られる5人のドライバーを紹介しよう。なかには彼らの名を冠したモデルもいくつかある。

マリオ・アンドレッティ

 2018年に、我らがジョン・ビューズが、伝説的レーサーのマリオ・アンドレッティ氏と対談し、そのコレクションを披露してもらう機会を得た。予想通り、多くのホイヤーを見ることができたが、なかでも際立っていたのがRef.1158のカレラだ。ジョンによるTalking Watchesの記事から抜粋する。

 「アンドレッティは、親しくしていたフェラーリのレーシングドライバー、クレイ・レガツォーニが金無垢の自動巻きカレラをつけているのを見て、自分もそれを手に入れたいのだが何とかならないだろうかと頼みました。レガツォーニの友人であったジャック・ホイヤーがそれを聞き入れ、自身のカレラをアンドレッティに贈ったのです。1970年代にフェラーリのドライバーたちがつけていたことから、このモデルは長年にわたってホイヤーコレクターの間で人気を得ています。このレファレンスをもつ2本の金無垢カレラが、 11月のフィリップスのホイヤー・パレードオークションで、それぞれ2万2500ドル(約250万円)と3万5000ドル(約385万円)の価格で落札されています」

 アンドレッティと言えば、1969年のインディカー優勝と1978年のF1優勝が最も有名だが、実は1966年と1967年に、フォードの旗印を掲げてル・マンにも出場している。彼のコレクションのなかで興味を引くのはRef.1158だけではない。Talking Watchesで紹介している、ほかの2つのレース用ホイヤーもぜひ見て欲しい。

ジョー・シフェール

 スイスのドライバー、ジョー・シフェールとホイヤーとの関係は非常に深く、コレクター界隈では彼の名を冠したモデルも存在する。“シフェール”というモデルは、ブルーのアクセントが印象的なオータヴィア Ref.1163Tの略称だ。堂々たるオータヴィアのモデルのなかでも、シフェールは常に人気トップの座に君臨している。

 1966年から1971年にかけて、シフェールはポルシェのステアリングを握ってル・マンに参戦した。参戦した最初の2年で優勝し、それぞれポルシェの906と907でクラス1位を獲得している。

 シフェールの生涯とそのキャリアは、1971年の事故で突然途絶えてしまった。乗っていたBRMがサスペンション系の機械トラブルに見舞われ、その結果、クラッシュして発火したのだ。脱出は叶わず、消火器も正常に作動しなかったため、シフェールは煙を吸って死に至ったのである。

 2018年にタグ・ホイヤーは、シフェールを追悼して、彼の名を冠しただけではなく、“彼の”オータヴィアを非常に魅力的なものとした素晴らしいブルーのアクセントをあしらった時計を発表した。Cal.11を搭載したオータヴィア ジョー・シフェール コレクターズエディションは、100本製造された。

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ニキ・ラウダ

 映画 『ラッシュ/プライドと友情』 を見たことがある方であれば、1973年から1979年のF1サーキットで繰り広げられた、イギリスのジェームズ・ハントとオーストリアのニキ・ラウダのモータースポーツ界における偉大なライバル関係についてはすでにご存じだろう。しかし、ラウダのレースが残した遺産は、そのキャリアだけで一面的に語られるべきものではない。

 ラウダは、常に次の動きを考えており、自著『The Art and Science of Grand Prix Driving(グランプリドライビングの技術と科学)』では、文字通り運転を科学している。その後、航空会社を3社設立し、メルセデスAMG・ペトロナスF1チームの非常任会長を務めた。そんな彼が、1975年の発売当時、最先端の時計であったクロノスプリットを着けていたのは、当然といえば当然といえる。当時は多くが本稿のほかで言及しているような機械式のホイヤーを着けていた時代に、彼は、2つのデジタル表示を備えた時計をつけていたのだ。一つはLCD(液晶ディスプレイ)、もう一つはLEDディスプレイだ。

ヨッヘン・リント

 著名なレーシングドライバーであり、ヴィンテージクロノグラフにそれぞれ名を冠しているスーパーカップルの片割れ(妻のニナの名を冠した偉大な時計が2つ存在する)であるカール・ヨッヘン・リントは、耐久レースにもF1にも熾烈な競争をもたらしたドイツ人ドライバーだった。

 1965年の(NARTの見事なフェラーリ 250LMのステアリングを握って)ル・マン24時間耐久レースから、1969年のアメリカグランプリまで、すべてを勝ち取りながら、その短いながらも華々しいキャリアのなかで、彼はホイヤーのオータヴィア クロノグラフをつけているところを目撃されている。

 いくつかの主要なレースのアーカイブ写真で、彼がブラックダイヤルのオータヴィアを着けていたことから、 オータヴィア Ref.2446は“リント”と呼ばれるようになり、1960年代後半にトラックサイドで全盛期を迎えて以降、非常に収集価値の高い時計となった。

 彼は、モンツァで行われたイタリアグランプリの予選でクラッシュし、不幸にも亡くなってしまったが、その素晴らしい才能によって人々の記憶に残るだけでなく、彼のホイヤーへの愛着が時計愛好家の記憶にも刻まれている。

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ロニー・ピーターソン

 スウェーデンで愛されているドライバー、ピーターソンは、ホイヤーのレース関連の時計について考える際に真っ先に思い浮かぶ名前ではないが、間違いなく偉大な人物として挙げられるべきドライバーだ。ジャック・ホイヤーが直々に彼をブランドアンバサダーに任命し、一風変わったダイヤルをもつRef.1158 CHNを贈呈した。

 この時計をベースにしてその後1本のみ作られたRef. CBH2240.BG0673は、のちに11万4328ドル(約1255万円)で落札され、その収益は、若いドライバーたちのキャリアを支援するロニー・ピーターソン財団に寄付された。彼のオリジナルの時計からはモダンなSSモデルのRef.CBH2210も生まれ、これはスウェーデン市場のみで限定販売された。

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