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Auctions パテック フィリップの偉大なコレクターのために製造された、史上初の自動巻きモデルがオークションに登場

J.B.チャンピオンのためにつくられたこの個体は、これまでのパテックのなかでもも重要なひとつであり、サザビーズに登場した。

過剰に使われている最上級品という表現や、“おそらくユニークな”あれこれが氾濫する世界で、本当にエキサイティングなものに出合えることは新鮮だ。パテック フィリップの最も重要な顧客のひとりのためにつくられた、史上初の自動巻きパテック フィリップが、4月7日のサザビーズ香港に登場した。

 8年前(もうそんなに経ったのか?)、ベン(・クライマー)はパテック フィリップの2526について、“いま、なぜパテック フィリップ Ref.2526なのか?”と題した記事を執筆した。1952年に、同マニュファクチュールから発表された最初の2526ほど重要なものはない。まず簡単におさらいしよう。2526は、パテック最初の自動巻きムーブメントであり、最上級のCal.12-600ATを導入するために使用したリファレンスだ。しかし、2526の魅力はムーブメントだけではない。36mm径のねじ込みケースとエナメル文字盤も、同様に魅力的なものだ。

patek 2526 jb champion

 しかし、これはただのパテック 2526ではなく、ムーブメント番号760,000を持つ史上初のものである。4月7日に開催されたサザビーズ香港のインポータントウォッチオークション(Important Watches sale)に出品され、300万~600万香港ドル(日本円で約5815万~1億1630万円)のエスティメートがついている。さらに素晴らしいことに、この時計は当初、パテックにとって最も重要な顧客であったアメリカ人弁護士J.B.チャンピオン(J.B.Champion)に納品されたものだった。チャンピオンの2526は、1991年と1998年の2回、オークションに出品されており、前回は現在の委託業者に5万7500ドル(当時の相場で約747万5000円)で落札された。パテックエクストラクトに加えて、当時のアンリ・スターン時計代理店の社長から、その出所とチャンピオンへの納品を確認する手紙が添えられている。

jb champion patek 2526 sothebys

 裏蓋には“J.B.チャンピオンのために特別に製作された初の自動巻きパテック フィリップ(The First Self Winding Patek Philippe Made Special For J.B.Champion)”という刻印がある。初めての2526という重要性以外にも、イエローゴールド製でオフホワイトのエナメル文字盤を持つ、スターン・フレール社(Stern Frères)製造の典型的なファーストシリーズの例でもある。チャンピオンの2526は良好なオリジナルコンディションを保っており、最初に市場に出た時との顕著な違いは、編み込み式の“C”ブレスレットが“A”ブレスレットへと交換されていることだろう。

jb champion 2526

1991年、アンティコルムオークションに初めて出品されたチャンピオンの2526。

 チャンピオンは20世紀最大のパテックコレクターのひとりとして知られているが、彼の時計はこれまでに3本しか市場に出ていない。彼は約20本のパテックを所有していたと言われているが、彼の名前が記されているのはその3本だけのため、ほかの時計が表に出てこない可能性もある(あるいは、すでに知らないうちにチャンピオンの時計を持っている人もいるかもしれない)。エリック・ウィンド(Eric Wind)氏は2014年に、ここでチャンピオンの物語を記録している。その当時、チャンピオンの2458 ジュネーブ天文台モデルは、コンプリケーションを持たない時計としては、これまで販売された時計のなかで最も高値で取引されたものだった。

 私がチャンピオンの2526について尋ねると、ベンは“不思議なことに、2526であることのほうが重要なパテックだ。私はこの時計よりもブラック文字盤&プラチナのほうを好むが、学者や広範なパテックコレクターにとっては、間違いなくこれが最も重要な2526だ”と語った。

 ベンのコメントは、この2526の歴史的重要性を浮き彫りにしている。表面的には、最も興味深い時計でも、珍しい時計でもない。エナメル文字盤を持つシンプルなYGの2526である(ファーストシリーズであることは確か)。しかし裏返すと、裏蓋の刻印が別のストーリーを物語っているのだ。

史上初のパテック フィリップ 2526が、4月7日のサザビーズ香港、インポータントウォッチセールでオークションに出品されました。詳しくは、ロット2224をご覧ください(編注:結果571万5000香港ドル、日本円で約1億1078万円にて落札)。