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Hands-On シチズン シリーズエイト 880 メカニカルを実機レビュー

旅行に最適なシチズンのプレミアムなブレスレット一体型モデルだ。

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2023年の夏、シチズンはシリーズエイトのGMTウォッチを発表した。このモデルはシチズンのブレスレット一体型スポーツウォッチコレクションのなかでも、トラベル機能に特化したよりプレミアムなモデルだ。加えてシリーズエイトはエコ・ドライブやチタンなど、シチズンの通常のフォーマットとは一線を画している。シリーズエイト 880 メカニカルではその方向性をさらに拡張し、機械式のGMTムーブメントをアグレッシブな角型ケースに収め、2色のGMTベゼルを組み込んだ。

Citizen series 8 GMT

 6月に最初の発表については取り上げたが、僕は数カ月間をかけて“ペプシ”カラーの新型GMTを試した。具体的なリファレンスをいうとNB6030-59Lで、(830、831、870の各シリーズと並ぶ)880シリーズのトップモデルのひとつだ。シリーズエイト 880メカニカルは41mm径で、厚さ13.8mm(ベゼルを含む)、ラグからラグまでの長さが47.8mmのスティールケースを採用。防水性は100mで、リューズはねじ込み式ではなく、シースルーバックを備えている。

 双方向に48クリックするブルーとレッドのGMTベゼルに加え、シリーズエイト 880 メカニカルではプッシュボタン式フォールドオーバークラスプを備えたフルSS製ブレスレットを採用する。このレファレンスでは、東京の夜景からインスパイアされたカーボンのような質感を持つ鮮やかなブルーダイヤルが、ペプシベゼルとマッチ。そして3時位置に日付表示を備え、先端にオレンジのアローを持つ控えめなGMT針が配されている。

 シチズンはさらにふたつのカラーバリエーションも提供している。ブラックダイヤルにブルー/ブラックのベゼルを組み合わせた“バットマン”風のオプションと、ゴールドダイヤルにブラウン/ホワイトのベゼルを組み合わせた限定モデル(これは世界限定1300本)だ。いずれもSS製ブレスレットで、ムーブメントにはシチズン製のCal.9054を採用している。

 自動巻きで50時間のパワーリザーブを誇る9054は、シチズンのムーブメント子会社であるミヨタを通じて開発された自社製ムーブメントだ。このムーブメントは2万8800振動/時で時を刻み、1万6000A/mまでの耐磁性を備え、日差+20秒〜-10秒の精度で時刻を刻む。

Citizen series 8 GMT

 あくまでも実体験にもとづく情報だが、この貸与されたシリーズエイト 880 メカニカルを僕のタイムグラファーに乗せたところ、フル巻き上げ状態で日差+12.8秒を記録した。

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 9054の特徴は、シチズンの比較的新しいムーブメントシリーズのひとつであり、かつてはプレミアムな機能であった“フライヤー”GMTを事実上民主化したことにある。フライヤー機能は、着用者が新しいタイムゾーンに合わせて時計を素早くアップデートできる旅行に便利な機能だ。リューズを引き出すだけで、メインの時針を調整することができ、新しいタイムゾーンの時刻を表示するために時針を進めたり戻したりすることができる。そして真夜中を過ぎると日付も調整される。24時間GMTの簡単な使い方を知りたい方は、ぜひコメント欄で知らせて欲しい。

citizen series 8 gmt

 いずれにせよ、かつてはロレックスのGMTマスターIIのような時計の牙城であったこの機能は、ロレックスの高みからチューダーのブラックベイ GMTへと価格の上限が下がるにつれて完全に民主化の道を歩んできた。さらに最近では、スウォッチとシチズンが新たな土俵を築き、ロリエ ヒュドラ SIIIのような、4桁ドル台前半(10万円台前半)どころか3桁ドル台(数万円台)の時計まで登場した。

 シチズンはシリーズエイト 880 メカニカルで、その機能性をよりプレミアムで特別なパッケージにまとめ、日常使いのGMTウォッチとブレスレット一体型スポーツウォッチ(通称IBSW)の両方が人気を維持し続けていることを利用したものである。

citizen series 8 gmt

 腕につけてみると、シリーズエイト 880 メカニカルは存在感に欠けることはない。無骨なケースデザインはSS製ブレスレットの深いテーパー(最も幅の広いリンクで22.8mm、クラスプ側では18mm)と、ダイヤルとその周囲に配された色とテクスチャーの配列がアクセントになっている。僕の7インチ(約18cm)の手首には、ケースはそれほど大きく見えない。とてもいいサイズだと思うが、スティールの塊を身につけているようだ。僕の手首のサイズに合わせたこの時計では、169gという圧倒的な重さだ。

 その重量感はシャープなファセットケースのデザインによって強調されているが、ブレスレットはうまく調和しており、装着感もよく見た目も素晴らしい。とはいえ、いくつか注意点もある。

Citizen series 8 GMT
Citizen series 8 GMT
Citizen series 8 GMT

 まず22万円(税込)という価格であれば、リンクに片側ネジがあれば最高だと思う(現在の割りピン式のセットアップは非常に煩わしい)。さらにこの価格帯では必ずしも期待できないが、ブレスレットに何らかのマイクロアジャストがあれば、よりプレミアムでラグジュアリーな提案を強調できるだろう。これらの比較的小さな提案を除けば、私はシリーズエイトのケースとブレスレットを本当に気に入った。

 視認性は高く、夜光塗料を塗布したポリッシュ仕上げの金属マーカーに夜光塗料を塗布した大型の針がアクセントを添えている。夜光は良好だが、ダイバーズウォッチに期待されるほど強くはなく、タッチポイントはしっかりとしていてよくできている。リューズは使いやすく、24時間ベゼルはカチカチと音を立てることなく、ほぼ無音の48個の戻り止めストップレバーでGMT針の時間を合わせる。

 とはいえ、ロレックスに由来する古典的なペプシカラーを青と赤で表現したこのモデルのダイヤルデザインとカラーリングには、正直言ってあまり魅力を感じなかった。複雑なダイヤルのテクスチャーがグランドセイコーの美学に寄せたものなのかどうかはわからないが、このGMT針のオレンジと組み合わせたこの時計が僕を驚かせることはなかった。

citizen series 8 GMT
citizen series 8 GMT
citizen series 8 gmt

 悪いとは思わないが、僕の好みには合わないため、もう少し落ち着いたバージョンを見てみたいと思ったのだ。例えば、青と赤のベゼルはそのままに、ダイヤルをフラットなブラックにするとか、青とベゼルの色を合わせるとか。もちろん、これは主観的なもので、全体に絨毯を敷き詰めるか、スリッパを履くか、迷うことがあることを最初に認めよう。もしかしたら、ほかのふたつのバージョンのどちらかが、もう少し身近に感じられるかもしれない。

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 はっきり言って、22万円(税込)で、シチズンはシリーズエイトコレクションに機能性と愛好家へのアピールを加える素晴らしい方法を見つけたと思うし、トラベルウォッチの分野で現在起こっていることの大きな潮流であることに変わりはない。

citizen series 8 gmt

 僕たち消費者にとってありがたいことに、競争相手は、ほぼすべての価格帯に存在する。シリーズエイト 880 メカニカルは、セイコーのSPB381(日本の型番はSBEJ009。1500ドルで販売されているGMT搭載の“コーラー”ダイバー)よりもプレミアム感があるといえるが、セイコーは中心的な競争相手ではないだろう。それはなぜか? セイコーはこの価格帯でフライヤーGMTを提供していないからだ。ETA社製ムーブメントを採用することで、オーシャンスター GMT リミテッド エディション(ミドー製で1390ドル)のような時計が実現する世界において、シチズンはIBSWの継続的な魅力に依存している。

 シリーズエイトは、通常のシチズンウォッチとは一線を画すシチズンのプレミアムモデルとしてうまく機能している。腕にしっくりとなじみ、優れたトラベル機能、高い視認性、そして普段使いの時計にブレスレットを好むタイプの人にはなかなか真似のできない多様性を備えている。

citizen series 8 gmt

 先ほども言ったが、僕はシチズンが今後9054で何をするのか、シリーズエイトが新たな領域へと拡大していくのかを楽しみにしている。 この時計は機能性、誰もが認める美しさ、そして価値ある時計づくりの魅力的な組み合わせだ。

 シチズン シリーズエイト 880 メカニカルの詳細については、シチズンの公式サイトをご覧ください。