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Hands-On ノルケイン フリーダム 60 GMT 2020年の新作を実機レビュー

ローカルジャンピングアワー搭載の新しいGMTが登場。

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長い間、私は自分をクロノグラフ派だと思っていた。キッチンでの作業、ステーキをグリルする時、昼休み、通勤など、あらゆる時間を計測していた。しかし、3年ほど前から、GMTの優雅な楽しみ方を知るようになった。クロノグラフと同じくらい便利な機能を備えたこの時計は、今の世界的な状況下ではまだ使えそうにないかもしれないが、もう少し楽しんでも良いと思う。新しい場所に旅行に行ったときや、地球の裏側にいる人に電話をかけるときなど、その瞬間の気分に合わせて設定することができる。これは、クロノグラフの開始、停止、リセットの連続とは対照的な機能だ。

 しかし、全てのGMTウォッチが同じように作られているわけではない。現在生産されているGMTウォッチの中でも、日付と連動したローカルジャンピングアワー機能を備えたものは、最も直感的で使いやすいトラベルウォッチだと考えている。新しいタイムゾーンに到着したらリューズを引き出して前後に動かすだけで、何回でもタイムゾーンの設定ができる。それで操作は完了だ。

 最近リリースされたノルケインのフリーダム 60 GMTは、そのようなムーブメントを搭載した時計だ。このタイプの代表モデルといわれるロレックスのGMTマスターIIや、最近では兄弟ブランドであるチューダーのブラックベイ GMTなどに搭載されている24時間回転ベゼルは使われていない。

 回転ベゼル上ではなくダイヤル上に24時間のスケールを配置することで、すっきりとした、少しドレッシーなデザインを維持しながら、第2タイムゾーンを読みやすく、非常に機能的な表示が可能になった。その代わり、第3のタイムゾーンを表示することはできなくなったが。ノルケイン フリーダム 60 GMTの機能を知ると、私が愛用するグランドセイコー SBGM221を強く思い起こさせる。ツールウォッチのようになることなく、GMTの機能を最良の形で発揮することができるのだ。結婚式に着けていけるようなドレスウォッチでありながら、である。

 先日、私は2つのバージョンのノルケイン フリーダム 60 GMTを実際に手に取ってみた。1つはSS製、もう1つはブロンズ製の限定モデルだ。どちらもしっかりとした作りで、最近できた若い会社によるものとは思えないようなデザインと構造をしていた。私が初めてノルケインを知ったのは、ほんの1年ほど前だ。この会社は急成長を遂げたと言っても過言ではない。

 ノルケインが、チューダー系ムーブメントメーカーのケニッシ社製ムーブメントを採用すると発表したとき、多くの人間が驚き、注目した。ノルケインの新たなGMTは、70時間のパワーリザーブ、2万8800振動/時という振動数、ローカルジャンピングアワー機能を備えた、NN20/2 GMTムーブメントを採用している。このムーブメントは、外観とスペックの点では、同じケニッシ社製のチューダー Cal.MT5652に似ている。これは、チューダーの優れたモデルであり、多くの記事でも紹介されたブラックベイGMTにも搭載されている。ノルケインのキャリバーにおいては、仕上げ、装飾、レギュレーション、自動巻き用回転ローターが異なっている。そして、ケニッシ製ノルケインムーブメントのヒゲゼンマイがニヴァロックスであるのに対し、チューダーのヒゲゼンマイはシリコン製のものを使用している。

 ノルケインのムーブメントは工業的な仕上げが施されており、ローターとテンプを横切るようにブリッジを備えている。パワーリザーブが十二分にあるため、1週間装着し、週末には別の時計をして、また月曜日に着けることも可能だ。前にも言ったことだが、3日以上のパワーリザーブは、私の時計の着け方に違いをもたらしてくれ、時計を替えるときの手間が減った。それはブランドからのサインのように感じる。あなたがある時計を好きだとしても、それだけをずっと着けているわけではないだろう。このフリーダム 60 GMTは2日以上外しても、再び戻ってきたときにまだ時を刻んでいるいう事実は、評価すべきポイントである。

 本機は、ローカルジャンピングアワーGMTムーブメントを採用しているため、ノルケインが調整しなければならなかったことの1つは時計の厚みの問題だった。フリーダム 60 GMTのサイズは直径40mm、厚さ14.5mm、ラグからラグまでは49.2mmだ。決して、薄く小さい時計ではないが、全体的にスポーティなデザインであることを考えると、私の手首にはとてもバランスが取れていて良いと思った。そのバランスの良さは、単にケースの大きさから来るだけではない。もちろん、自分の手首の形や大きさ、時計の重心、安定性を保つためのラグの役割なども関係してくる。私の7インチ(約17.8mm)の手首に、 SSとブロンズのフリーダム 60 GMTをレザーストラップで装着してみると非常に快適な装着感を与えてくれた。他のノルケインでも見られるように、ケース側面にはエングレービング可能なプレートが付いており、所有する人の個性を加える素敵なキャンバスとなるだろう。

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 時計のデザインで最も重要なのは、間違いなくダイヤルだ。それはあなたが情報を得るもの、目にするものであり、結局、優れた時計とは、読みやすいと同時に、目を楽しませるものなのだ。あなたは、本当は時間を気にしていなくても、ダイヤルを見るためだけに手元を見ることがあるだろうか? 良い時計ならば、もちろんあるはずだ。しかし、全ての情報をひと目で得られるだろうか? 本来はそうでなければならない。このようなバランスを取ることは、追加の表示や複雑機構を考慮に入れる場合、 特に難しい。

 フリーダム 60 GMTは、ヴィンテージウォッチのイメージを彷彿とさせるような、大きなアプライドマーカーを備え、ダイヤル中央に配置されたGMTトラックは、昼間と夜間が分かりやすく2つの領域に分かれている。24時間針は鮮やかな赤に塗られており、このトラックに沿ってホームタイムを簡単に読み取ることができる。時と分は、ヴィンテージ風の注射のような形をした針で表示される。ブロンズの限定モデルでは、ダイヤルの色は暖かみのあるブラウンで、このバージョンでは手描きのマーカーもブロンズで作られている。SSバージョンでは、ブラックダイヤルに対してマーカーの蛍光効果(ダイヤルとマーカーの際立ったコントラストのために)のため、いく分目立って見える。

 これはGMTモデルであるため、日付表示があることは完璧に理にかなっている。フリーダム 60では、ローカルタイム針(時針)を前後にジャンプさせることで、簡単に日付表示をコントロールすることができる。この機能は全体的にデザインに統一感をもって組み込まれているが、個人的には2つのフリーダム 60 GMTの中で特に気に入っているSSモデルの方がすっきりして見える。また、ブロンズの魅力である酸化による色の変化や、その変化を楽しみながら時計との関係を築くというのは、とても魅力的なことだと思う。しかし、フリーダム 60 GMTのSSモデルの方が、よりシャープな印象を与える時計だと感じている。

 ここで見ているバージョンは、どちらもノーランドレザーストラップを使用しており、バネ棒のそばに山の頂上をイメージしたツインピークの“ノルケイン”ステッチが施されている。このステッチは、フリーダム 60 GMTの全体のヴィンテージテイストを強調しながらも、ストラップに職人技を感じさせている。また、SSモデルでは、同じSS製ブレスレットも選べるようになっている。SSバージョンの写真(右上)を見ると分かるが、サファイアクリスタルの風防が、ヴィンテージデザインのコードにマッチし、大きく存在感のあるリューズグリップが巻き上げ、セッティングを容易にしている。そして、ケース反対側にあるエングレービング可能なプレートの存在が、この大きなリューズとのバランスを整えている。

 ここで価格の問題だ。フリーダム 60 GMTは、SS製でレザーストラップが36万7000円(税抜)、ブロンズ製の300本限定モデルが44万円(税抜)と決して安くはないが、ケニッシ社製の高品質なローカルジャンピングアワーGMTムーブメントを搭載していることは、大きなプラスである。この記事を書いている時点では、ノルケイン、フォルティス(チタン製でブレスレットとの組み合わせ)、そして、もちろんチューダー(この3つの中では、単独でシリコン製ヒゲゼンマイを搭載している)にしか採用されていない。これらのブランドはそれぞれ独自のデザインをもち、GMTウォッチのカテゴリーに異なる雰囲気をもたらしている。現在のところ、ノルケインはこの3社の中で最も手頃な価格を打ち出している。

ノルケイン  フリーダム 60 GMT 40mm×14.5mmのSS製またはブロンズ製ケース、ブロンズ製は300本限定。100m防水。サファイアクリスタルのトランスパレントバック。ムーブメント:ローカルジャンピングアワーGMT搭載NN20/2(ケニッシ社製)28石、2万8800 振動/時 、70時間のパワーリザーブ。ダイヤルにはアプライドマーカーと "オールドラディウム "スーパールミノバを採用。ノーランドレザーストラップ、またSSモデルの場合はSS製ブレスレットも選択可能。価格:SS製 36万7000円  (ノーランドレザーストラップ )、39万7000円(SS+SSブレスレット) 、ブロンズ限定モデルは44万円。(価格は全て税抜)

Photos:ティファニー・ウェイド