trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Introducing ダイヤのないオーソドックスなシャネル マドモアゼル J12 ラ パウザ(編集部撮り下ろし)

マドモアゼル シャネルが一生懸命に時刻を教えてくれる様子と記事の最後を読んで、どうか笑顔になって欲しい。

ADVERTISEMENT

Photos by Kyosuke Sato


クイック解説

今年発表された“シャネル インターステラー カプセル コレクション”には、階段状のユニークなケースを持つモデルや、ダイヤルを夜空に見立てて星をちりばめたものなど、J12からも多くの時計が登場した。そんななか、実は同カプセルコレクションに属していない、J12の名を持つ新作がこっそりと登場している。しかも公式ウェブサイトのどこにもそのアイテムのページがない。そんな不思議なモデルがマドモアゼル J12 ラ パウザだ。

 同モデルはJ12の特徴であるブラックとホワイトの2カラーのみで展開。やはり最初に目に入るのは、一般的な針の代わりにセットされた、横を向いたマドモアゼル シャネルだろう。両腕がそれぞれ時分針となった2針ウォッチで、ちょっとわかりにくいもののどちらが時針・分針なのかは腕の長さで判断できる。

 マドモアゼルは、ボーダーカットソーにフロントボタンをあしらったセーラーパンツ、そのパンツのカラーにあわせたハットという、マスキュリンな装いに身をつつんでいる。時間によっては両腕が重なったり、あるいはパンツの下に隠れてしまったりと、時間を確認するたびに違う表情を見せてくれる。

 実は本作は、昨年発表されたマドモアゼル J12 ラ パウザのダイヤを廃したバージョンである。前作は宝石がセットされていたため1500万円近くとかわいくない値段だったが、今回は各145万2000円(税込)と比較的手が届きやすい。ダイヤ無しを望む声が多かったのだろうか? なんにせよきちんとオーソドックスなモデルも製造してくれたことに感謝したい。

 ケース径は38mm、防水性能は200m、搭載ムーブメントはCal. 12.1と、レギュラーで展開しているJ12とスペックは同様。ケース素材はもちろんシャネルの十八番ともいえる、傷のつきにくい高耐性セラミックを採用している。ケニッシ社製ムーブメントCal. 12.1はパワーリザーブを約70時間を確保。ローターの丸い形状は、シャネル ウォッチメイキング クリエイション スタジオが描いた“完全な円”に基づいてデザインされている。

Cal. 12.1。ほかの38mmのJ12と同様のキャリバーだが、本モデルはカレンダーがなく、石数は28から27になっている。


ファースト・インプレッション

私は(まだまだ)時計初心者なので、モデル名のラ パウザにどんな意味が込められているのかを知らない。だからまずはこの由来を軽く調べてみることにした(マドモアゼルは理解しているつもり!)。

 どうやら、1930年にマドモアゼル シャネルが完成させた、フランス・リヴィエラの“ラ パウザ”と呼ばれた別荘を指しているようだ。この建物はマドモアゼル自らが建物の考案から建設、内装のデザインまで行った。ラ パウザという名前はイタリア語で休憩を意味し、マドモアゼル シャネルはこのヴィラを休憩の地として20年以上利用したそうだ。1954年、彼女はラ パウザを売却するも、2015年にシャネルがこの土地を買収している。

 ラ パウザの名を冠するアイテムは、その別荘にちなんだ(アイリスの)香り、色味に仕上げられたフレグランスやコスメなど、時計だけにとどまらない。土地を買い戻した経緯もあり、このメゾンがラ パウザというヴィラをどれだけ大切にしているかがわかる。

初作のマドモアゼル J12(完売)。©️CHANEL

 ここで文字盤に配された彼女に戻るのだが、ボーダーカットソーにパンツというルックは、ラ パウザで撮影された写真の中のマドモアゼル シャネル自身から着想を得ているという。なお初作のマドモアゼル J12(ダイヤはない)はシャネルのスーツとカンカン帽に、ヒールを履いたマドモアゼルがデザインされている。これはきっと、パリで過ごす彼女を描いていたのだろう。

 さて、時計自体についても触れておこう。質感や触り心地、重さ、装着感についてはレギュラーのJ12と同じで、そこそこの重量感があり、腕につけるだけで存在感を放つ。そしてシャネルはただ単に文字盤にロゴを入れただけの時計を作っているのではなく、ムッシュー ドゥ シャネルボーイフレンドのハイエンドコレクションに至るまで、本格的ウォッチメイキングに取り組んでいるブランドである。J12も一見普通のファッションウォッチに思えるが、美しくポリッシュされたケース、ケニッシ社製の信頼性の高いムーブメント、200mの防水性など、そのウォッチメイキングのレベルの高さは時計愛好家も納得のいくものだと思っている。

 初めてみたときに気になったのは視認性だ。マドモアゼル シャネルが文字盤の上に立っていて、しかも5・6時位置はインデックスすらないときた。分針(右腕)は一番上に設置されているからいいとして、5~6時の計時はあやふやになるのでは? と思った。結論からいうと4時30分から5時30分前くらいまでは正直わかりずらかった。だがここでラ パウザの意味を振り返ろう(記事をスクロールして少し戻って)。そう、あくまでもマドモアゼルはリラックスするためにラ パウザというヴィラを建てたのだから、せかせかと時間に追われることなく(たった1時間だが)その時間帯は過ごそうではないか。そう思うことにした。

 そして最後は、時計自体とは関係ないのだが、時計をつけてもらったエディターの佐藤がこの日着てきたカットソーも彼女と同じボーダーだったため(打ち合わせはしていないけど、撮影のために選んできたのかな?)シンクロしたリストショットが撮れた話で締めくくりたい。何がいいたいかというと、マドモアゼル シャネルと一緒のスタイリングで合わせるのも断然アリだということ!


基本情報

ブランド: シャネル(Chanel)
モデル名: マドモアゼル J12 ラ パウザ(Mademoiselle J12 La Pausa)
型番: H7609(ブラック)、H7481(ホワイト)

直径: 38mm
ケース素材: 高耐性セラミック×SS
文字盤: ブラックラッカー、ホワイトラッカー、ともにマドモアゼル シャネルのイラスト
インデックス: アラビア数字
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: 高耐性セラミックブレスレット、SS製3重折りたたみ式バックル


ムーブメント情報

キャリバー: 12.1
機能: 時・分表示
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 27


価格 & 発売時期

価格: 各145万2000円(税込)
限定: あり(完売の可能性あり)