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January 28, 2021
January 28, 2021
Hands-On パテック フィリップ アクアノート・トラベルタイム Ref. 5164R

Hands-On パテック フィリップ アクアノート・トラベルタイム Ref. 5164R

すべてをこなす高機能がローズゴールドに輝く。僕ではなく時計の話だ。

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パテック フィリップ アクアノート 5164Rは、2016年のバーセルワールドで発表されたもので新製品ではない。と言いながら、それでもこれは新製品のようなものだと言うと、お前は一体何を言っているのかとお叱りをいただくだろう。モダンな時計の中でもこの5164、後の5164R(Rは、ローズゴールドの意味)は、自分で購入することはほぼできないと分かっていながらも、ずっと僕の心に引っかかっていた時計だった。今回はHands-onで、この究極の時計とでも言うべきパテック フィリップ アクアノート 5164Rを取り上げる。早速、僕と一緒に小さなローズゴールドの夢物語を楽しんで頂きたい。

 僕の記事を読んだことのある方の多くは、僕が旅とトラベルウォッチ好きであることは既にご存じのことだろう。これまでには、素晴らしいチューダー ブラックベイ GMTをレビューするためにアメリカを横断したり、HODINKEEが出版した本の中でトラベルウォッチに関する原稿を書いたりもした。そして今回、このアクアノートを検証するためにまず行ったのは、自分の使い慣れたロレックス エクスプローラーIIを腕から外すことだった。

 トラベルウォッチの良さのひとつは、その複雑機構をさまざまな形で表示することができる点だろう。セカンドタイムゾーンを表示する方法は、いくつもの種類がある。GMTベゼルを活用し自分で自由に設定する方法や、"デュアルタイム"や"トラベルタイム"のようにプリセットから設定する方法(この場合は本当のトラベル機能が保証されている訳ではない)まで多くの異なるアプローチがある。
 2011年にSSの5164A開発にあたり、パテックは4Hzの自社製自動巻きキャリバー324 S C FUSに45時間のパワーリザーブを追加し、ケース側面の2つのプッシュボタンでコントロールするよりも賢く操作できるデュアルタイム機能を実現したのである。2本の時針のうち1つをスケルトンにし、メインの針の下に配している。このアクアノート5164Rなら、ホームタイムとローカルタイムの表示を簡単に行うことができるのだ。

 このような機能はパテックでは初めてのものではなく、実際には60年代前半から存在していた。上の写真の、Ref.2597という信じられない程クールな時計がそれだ。ベンはこちらの記事で「カラトラバRef. 570に、特別なトラベルタイムのムーブメントを付けたもの」と説明している。この機能はもともとワールドタイマー、つまりワールドタイム機能の父と呼ばれるルイ・コティエによって開発された技術である。オリジナルシリーズの2597は1つの時針を調整するものだったが、その後のシリーズ2では、5164と同じように時針が2本付いたものになった。

 この現代的なアクアノート・トラベルタイムは、それぞれの時針にAM/PMインジケーターが連動しており、ダイヤル上の2つの小さな窓でそれぞれの昼夜を白と青の色の変化で表示するようになっている。まず新しいタイムゾーンに移動したら、時針が重なった状態からプッシュボタンを押し、現地時刻に合わせて時針を進めたり、戻したりしてセットする。真夜中の12時を過ぎている場合は、日付(ダイヤルの6時位置に表示されている)は現地時間を表示する時針に連動して日付が変わる。これで標準の時針・分針・日付針の現地時間を表示する設定が完了する。
 そして白いスケルトン時針はホーム時間を表示する。設定はこの通り容易かつエレガントである。トラベルタイム機能のもうひとつの大きな利点は、設定が簡単なため、いちいち時計を腕から外す必要がないという点で、これは特筆に値する。(完全にコティエにノックアウトされてしまったようだ)

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 形と機能が完璧にマッチしており、5164Rは、スポーティなアクアノートのデザイン性、卓越した視認性、腕に着けたときの完璧というべき存在感が驚くべき融合を見せている。本当に、素晴らしいという言葉以外に表現のしようが全くない。腕に着けると、40.8mmのケースは想像していたよりも小さく感じる。ダークブラウンのラバーベルトと、厚み10.2mmの18KRGケースに合わせた折り畳み式バックルとのバランスも素晴らしく、7インチ(約17cm)ある私の手首は包み込まれるようだった。
 ベゼルまでフルゴールドの美しいケースは、通常かなり重たくなってしまうが、その美しいプロポーション(ラグからラグの長さが48mm)がそのハンデを打ち消し、手首に違和感を与えず5164Rをより特別なものに感じさせてくれている。

 ダイヤルはかすかなグラデーションのついた、温かみのあるブラウンで、文字盤上には繊細なラインで地球の緯度と経度が表現されている(日付サブダイヤルにも同様の模様がある)。正直なところ、SSの5164Aはちょっと微妙だと言わざるを得ないが、18KRGのほうは実用性もあり、圧倒的な特別感を与えてくれるだろう。ゴールドで、ねじ込み式リューズによって120mの防水性能を持つスポーティなトラベルウォッチである。正に僕の心を魅了するひと品といえる。

 さて、皆さんが今何を考えているのかを当ててみよう。ノーチラスでもいいのではないか、あるいは、なぜ誰も買うことができない時計のことを記事に書くんだろうか、のいずれかではないだろうか。二つの疑問とも当然のものだと思うが、このアクアノートがどのようにして誕生したのかを知れば、自ずとその答えは分かるだろう。“プアマンズ・ノーチラス”と呼ばれカジュアルウォッチ的立ち位置で生まれた時計がやがて人気者となり、ラバーベルトの高級時計を支持する熱狂的なファンを獲得したのだ。汎用性の高さやスタイルを滲ませる外観、そして5164の場合は、これらに加えて高い実用性も併せ持っている。

 アクアノートがオークションで実績を作ったり、新色が度々追加されてきたことで、ノーチラスをずっと待ち続けているようなファンを、そのうちアクアノートのファンに改宗させることもできるだろう。そう、5164こそ間違いなく不可能を可能にしてくれる時計なのだ。

 1997年に初めて発売されたときは、アクアノートはちょっと時代の先を行き過ぎていたのかもしれない。だが今では、クラシックなスタイルに新しさを加えたデザインが、俳優のキーガン・アレンやミュージシャンのジョン・メイヤーといった熱狂的なファン(2人ともTalking Watchesのエピソードでこの時計を称賛している)に支持され、カジュアルでありながら美しいという西海岸を席巻しているコンセプトにぴったりの時計となっている。

 読者の多くは、自分にとっての究極の時計を手に入れる喜びがどれ程のものかを既に経験していると思う。それがパテックであろうがなかろうが、皆さんに敬意を表したい。ゴールドのパテック フィリップとなると、僕にとって手にするのは相当大変なことだ。ラバーベルトと最強のGMTムーブメントを採用した、最高峰ブランドのエントリー・スポーツウォッチ。これを求めて、圧倒的な資金力を持つバンカーたちが大勢集まってくるのが常である。

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 ほとんど購入することができないような時計を、競合モデルと比較するのは難しいが、試してみたい。
 似たような時計から比較すると、556万円の5164Rは高価である。ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ・デュアルタイムが392万円、オーデマ ピゲ ロイヤル オーク デュアルタイム(ステンレスのみ)が2万700ドル(約227万円・販売終了)である。あのエバーローズゴールドのロレックス GMTマスターIIが368万2000円。18KPGのランゲ1・タイムゾーンが5万6500ユーロ(約682万円)。パテック フィリップであれば、パイロットスタイルの5524Rが519万円。これらはみな素晴らしい時計であるが、これらのマスターピースよりさらに輝くものがある。それが5164なのである。従って、価格も競合モデルより高くならざるを得ないし、しかも需要も信じられない程に高いのだ。

 私が身に着けるとすれば、どちらの金属のものであれ、5164が一番素晴らしいモダンなパテック フィリップだと思っている。腕に着けた途端にもう外すのが嫌になる程で、1本しか所有しないのであればこの時計を選ぶだろう。間違いなく高価であるし、手に入れるのが非常に難しいが、パテック フィリップ アクアノート 5164Rは、トラベルウォッチ愛好家にとって究極の一本であるといえる。

詳細についてはパテック フィリップ公式サイトへ。