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Auctions ヴィンテージ・トラベルウォッチ至極の2本をご紹介

ボーイング707の機内で飲むカクテルにぴったりのパテック フィリップの旅行用コンプリケーションの2つの時計についてあなたが知っておくべきこと

 私が初期のトラベルウォッチをいかに愛して止まないかということをこの小さなサイトを立ち上げて以来ずっと話してきた。(お分かりですよね?)トラベルウォッチは本当に美しいし、ロマンティックだ。同僚カーラの言葉を借りると、“めちゃくちゃシック”なのである。なぜだろうか? ぜひ1960年代の海外旅行を想像してみて欲しい。私たちは、よそ行きの服に身を包み、世界初の商業用ジェット旅客機(当然ボーイング707かDC-8)のタラップを上がっているところだ。機内に入ると、身なりの良い若い男性と女性に笑顔で迎えられ、好みの飲み物を出してくれる。場合によっては、それを数杯飲んでいるかもしれない。キャビンには海外旅行ができること自体を敬う雰囲気で溢れているはずだ。1960年代前半では誰もが想像できるようなことではなく、平均的な国内線(TWA)の航空券が年収の5%もしていた時代だからだ。

 上記のような時代背景のため、スイスのたった1社だけが、タイムゾーンを越えて行き来する特別な人たちのための腕時計を作っていた。だからヴィンテージのトラベルウォッチは希少性が高いものなのだ。実際、皆さんの予想以上にはるかにその希少性が高い。だからこそこの2017年5月に行われた、フィリップスのジュネーブ・ウォッチ・オークション5に出品された2個のパテック フィリップのトラベルウォッチに注目すべきだと言っているのである。


パテック フィリップ Ref. 2597
Patek 2597 Travel Time

それほどの複雑機構ではないが、2597トラベルウォッチはワールドタイマーの後継機として開発されたものである。両製品ともルイ・コティエの発想から生まれたものである。

 このRef.2597は、Ref.570カラトラバに特別なトラベルタイム・ムーブメントを採用したものと考えると理解しやすい。キャリバー12’’’400 HS(ジャンピングアワー)を使用し、ケースの横に着けられた2個のプッシュボタン(これが設計された瞬間を、ローラン・フェリエは実際に見ていたかもしれない)を使って使用者が簡単に長針だけを進めたり、遅らせたりできるようにしたものである。

Patek Philippe 2597

キャリバー12’’’400 HSは短針から独立して長針だけを進めることができる。

 指の爪で下のボタンを押すことで、長針のみをきっかり1時間戻すことができる。上のボタンを押すと、今度は長針を1時間進めることができる。この機能デザインはルイ・コティエが考え出したもので、時計を腕から外さないでタイムゾーンの修正を簡単できるようにしている。この2597には異なる2つのシリーズが生産され、シリーズ1は今皆さんが見ているもので、シリーズ2は、ホームタイムを表示用に動かすことができない2つめの長針が付いたものである。

Patek Philippe 2597

ケースとダイヤルはどちらも経年変化によって暖かみがあり、エナメルの印字は深く整然と並んでいる。

 私はこの2597がかなり前から好きで、長いこと良い状態のものがないか真剣に探していたが、発見するのは信じられない程難しかった。皆さんの中にはシリーズ2で3つめの針が付いたものを長い間待っている方がいるかもしれない。これまでの私の経験から言えることは、もし仮に、1961年より前の2597で3つめの針があるものに出会うことがあったとしても、その針はオリジナルではないだろうということだ。正直に言うと、私が過去に見た2597の3つめの針が付いたもののほとんどがオリジナルではなかった。

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 それでは、望ましい2597とはいったいどんなものなのだろうか。品質がよく、可能であれば販売店の書名が付いているものが良い。Watches In Romeでしばらく売りに出されていた後、昨年にこのギャブラン社の署名とオリジナルのブレスレットが付いた高品質の2597が、フィリップスで10万6000ドル(約1160万円)ちょっとで販売された。次回出品されるダブルネームの時計も見たが、これは正真正銘ニューヨークで販売されたものである。12時のPatek Philippeの上に、ティファニーの印字がある。

 この時計の素晴らしいところは、その出自と扱いの良さが現れた保存状態とティファニー銘が付いていることだろう。ケースの質も素晴らしく、ダイヤル上の印字も深くてクリーンだ。掲載された写真からはほとんど見えないが11時と12時の間にちょっとした凹みがある。だとしても、私と同じようにジェット機旅行の黄金時代に生まれてみたかったと思っている人たちには大変素晴らしい出物であり、希少性も高く、興味をそそられる個体であることに間違いない。

詳細な情報はこちらをクリックして下さい。

バイヤー情報
patek philippe 2597 travel time

この2597は2016年12月のアンティコルムで落札されたが、2017年5月にクロット博士はまた売りに出している。

 今回の販売では2597はこれだけではない。もうひとつ高品質の2597が出品されるのだ。この時計は、クロット博士から出品されるものでダブルネームではないものだ。素晴らしい時計で出自も興味深いものであるが、抜け目のない人であればこの時計が2016年12月のアンティコルムで落札されたことを覚えている方もいるだろう。諸経費などをすべて入れて6万7500ドル(約740万円)で落札されたのであるが、クロット博士が想定している価格は8万5000~11万ユーロ(約1032万円~1336万円)。セラーのためにひと言添えると、12月の落札価格は市場価格以下であったし、その際には誰がオーナーだったかも開示されていなかった。今回クロット博士は元のオーナーを開示し、どんな人となりを公開している。


パテック フィリップ 2523/1
Patek 2523/1 Tiffany

Ref.2523/1はルイ・コティエが開発し、最初は懐中時計にのみ採用されていた技術を利用している。

 先に紹介した2597トラベルタイムは、時計を着けている人が簡単にタイムゾーンの変更をできるようにしたものだったが、このRef.2523は時計を着けている人が一度にすべてのタイムゾーンを見ることができるようにしたものだ。2597は素晴らしいし、注目を集めるものには違いないが、カラトラバと見間違われる可能性がある。しかし、この2523/1は全く別物だ。この時計は、世界中のすべてのタイムゾーンを明確に表示してくれる。
 デザインとしては、長くて美しいラグが特徴。また、中央の時間表示リングがいくつかのパターンで示されるようになっている(兄弟のRef.2523ではセンターのディスクがエナメルになっている)。そして、この時計にはリューズが2つあることも特徴だ。

Reference 2523 Patek

Ref.2523と2523/1は、2つのリューズでワールドタイム機能を調整する。

Patek Philippe reference 2523/1

Ref.2523はラグの形状が2523/1と異なる。

 1960年代の平均的なミリオネアの腕元には、2523/1を見ることはできなかったはずだ。パテックのワールドタイムというアイデア自体は、1930年代の1415の発表まで遡らなければならない。この時計はリューズが1つで都市名がリングに彫られていた。2523が登場したのは1953年で、数十年も前にこのアイデアを形にしたルイ・コティエが、この技術をパテックやロレックスやヴァシュロン・コンスタンタンにライセンス供与したものである。

Patek 2523 Worldtimer

パテックのワールドタイムは大変高価で、それほど売りに出されることもないため、認知されている数自体が少ない。

 であるから、この2523/1も当然特別なものということになる。上記の2597と同様に、この時計もティファニー銘が付いている。1964年6月5日、ニューヨークのある有力者がティファニーの本店を訪れ、“ここにある一番高い時計が欲しい”と言ってこの時計を見せられている場面を想像して欲しい。この2523/1は、当時もとてつもなく高価であったためあまり販売されず、未だにたった9個しか見つかっていないのである。今のところティファニーの印字があるものは、今回のこの時計しか見つかっておらず、エアライン黄金時代を代表する腕時計としてその輝きを増すことになるだろう。

パテック フィリップ 2523/1の詳細についてはこちらをクリックして下さい。

バイヤー情報

この時計は2008年オーレル・バックス(Aurel Bacs)率いるクリスティーズで落札された。

 このティファニーとのWネームは、たった9本しか見つかっていない2523/1の1本であり、かつ唯一ティファニーが販売したものと確認されている特別なひと品ではある。だが、2008年にこの時計はクリスティーズで80万ドル(約8700万円)あまりで一度落札され、数年後にスイス、ルガーノにある販売店ダビデ・パルメジャーニ(Davide Parmegiani)からも売りに出されていた。