Hands-On シンクロン　ポセイドン リミテッドエディションとスウェーデンとのつながり

　ミリタリーと同じ（またはよく似た）ケースデザインを採用したポセイドンは、ブラッシュ加工SSケースのみの展開で、サイズは42mm径、厚さ14.3mm、ラグtoラグ45.3mmとなっている。300m防水、スティール製ケースバック、サファイアクリスタルとベゼルインサート、ミリタリー風の文字盤に3時位置の日付表示などを備えている。

　注目された方は、限定生産品を二分する細かなディテールにお気づきかもしれない。それは、時針と秒針だ。1000本のポセイドンのうち、この針を白で500本、黒で500本製造している。微妙な違いだが、時針のカラーリングにこだわりのある方にとっては、選択肢があることは嬉しいことだろう。また、ブラックバージョンの方がホワイトよりもポセイドンのロゴが少し大きくなっているが、これはプロトタイプのデザインであるためで、ホワイトが初期デザイン、ブラックはリテール品のデザインだ。

　それ以外に特筆すべきは、シンクロン　ミリタリーと1970年代のドクサ　アーミーへのオマージュを反映した外観デザインであること。ポセイドンでは、センターダイヤルがライトグレー、アクセントにイエロー、ポセイドンロゴ（過去のドクサでも何度か見たことがある）が配されている。

　ポセイドン（ダイビング機器メーカー）の具体的な歴史にこだわるつもりはないが、いくつかの文脈は参考になるかもしれない。このブランドは1958年に設立され（当時はアクアスポーツという社名）、スキューバメーカーとして初めてシングルホースレギュレーターを設計・提供し、その後、従来のダイビングのスタンダードとなった。その後もダイビングの技術革新を続け、のちに史上初のレクリエーション用リブリーザーを発売することになる。現在では、ダイビング界のリーディングブランドとして、スウェーデン軍の潜水部隊をはじめ、世界中で使用されているダイビング器材の数々を生産する。

　ポセイドンはシンクロンの現首脳陣と以前から交流があり、その結果、この限定モデルが誕生した。ポセイドンが先代のミリタリーと同じETA社製ムーブメントを搭載していないのも、軍とのつながりが背景にある。

　シンクロンによると、ETA2824（または類似のモデル）の約40時間よりも長いパワーリザーブが必要だったそうだ。そこで、シンクロン　ポセイドンには、2824をプラットフォームとする時計の上位機種として、スイス製自動巻きムーブメント、ラジューペレ製のG100が採用された。68時間のパワーリザーブを持つこの4Hzのムーブメントは、4つのポジションで調整されている。

　ポセイドンは、スウェーデン軍が自国のボーデンで開催する軍事デモンストレーション「Cold Divex 2023」に合わせて発売される。シンクロン社によると、スウェーデン軍の潜水部隊は、この極寒の環境でポセイドンの特殊仕様のテストを行うとのことだ。

　手首につけると、この時計はミリタリー（2021年夏のあいだ、ドックジャンプ、キャビンの改装、夏の悪ふざけなどでほとんど常に身につけていた）と同じような装着感だ。ポセイドンは薄いとは言えないものの、このサイズによりとてもきれいに装着できる。厚さ14mm強で、幅とラグtoラグのサイズがほぼ正方形のフットプリントで、嬉々としてつけられる。

　ドクサとの比較をするならば、ポセイドンは薄型のドクサ　サブ 300よりも厚く、重さもあるが、600Tよりも僕の手首にはずっとよいバランスだ。貸し出し品の1つをNATOに装着してみたが、2ピースストラップの方がよりよい感じで、ポセイドンの重さ重心を下げられると思う。

　厚みのある丈夫なイソプレンラバーと相まって、ミリタリーに通じる夏らしい雰囲気があり、僕好みの時計だ。7月の連休前、5時過ぎになると、思わず笑顔になるような、明るく楽しい時計である。

　70年代のダイバーズウォッチにインスパイアされたこの時計には、適度な厚みがあり、何日も装着していても疲れにくいので、この時計のつけ心地をとても気に入っている。ドレスウォッチでもなく、スモールスキンダイバーズでもない、ハンサムなスティールの塊でありながら、ヴィンテージダイビング専用機器のような印象を与えてくれるのだ。

The bezel is of the 120-click variety but has an extremely fine fitment with a crisp click, no wiggle or slop, and plenty of edge grip. With a fully graduated minute scale and lume for the numerals placed at every 10-minute segment, legibility is great and it's the sort of bezel I'd be finding silly excuses just to use (what, you don't ever time the interval between the low-battery chime from one of your home smoke detectors?).

ベゼルは120クリックタイプながら非常に繊細な操作感。カチッと音がして、ぐらつきや傾きはなく、十分なエッジグリップを備えている。分目盛りと10分ごとに配置された夜光で、視認性は最高だ。そして、それは僕がちょうど使用するために愚かな言い訳を言っているベゼルの種類でもある。

　ミリタリーを楽しんでいたわけで、シンクロンが999ドルで予約販売しているポセイドンも僕が気に入っているのは当然だ。2月28日に終了する予約販売後は、1290ドルの通常価格となる。990ドルという価格は、ある意味お買い得で、2021年にミリタリーを予約販売したときにすぐに完売したのと同じくらい、多くの人たちから関心が寄せられると期待している。

　フルプライス（セイコー プロスペックスのソリッドモデルとほぼ同価格）であっても、ダイビング用品の老舗メーカーとのコラボで限定生産された300mダイバーズウォッチとして格好よく、価格帯、フォーマットともに想像以上にハイスペックなムーブメントを搭載しているのが特徴だ。

　ミリタリーと同様、ポセイドンもニッチな存在だ。しかし、そこに属する人々にとっては魅力的であり予約販売価格も現実的で、70年代調のタフでカラフルなダイバーズロゴをダイヤルで目にすると思わず楽しい気持ちになる。