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Hands-On ゼニス クロノマスター オリジナル 1969に、ブラックダイヤルの新作“イービル” エル・プリメロを追加

ブラックの3色ダイヤルは、私たちが求めてやまなかったエル・プリメロだ。

Photos by Anthony Traina

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2021年、ゼニスはステンレススティール製の初代エル・プリメロ A386をクロノマスター オリジナルとして復活させた。シルバーの3色ダイヤル、38mm径、4時30分位置のデイト窓、そしてもっとも大きな特徴である自動巻きエル・プリメロキャリバーを搭載したクロノマスター オリジナルは、ゼニスのレギュラーカタログのなかでもっとも忠実にオリジナルのエル・プリメロを再現している。これは初の自動巻きクロノグラフに敬意を表したものである。

 数カ月前、ゼニスはエル・プリメロに初めてブラックの3色ダイヤルを導入した。伝統的なシルバーダイヤルに対応するブラックダイヤルの“イービル” エル・プリメロであり、まるで昔から存在していたかのようにも見える時計だ。確かに“単なる新ダイヤル”なのだが、クロノマスター オリジナルの堅実なアップデートでもあり、この発表を受けて私はエル・プリメロと時間を過ごし、競合するクロノグラフのなかでエル・プリメロがどのような位置にあるかを考える機会を得た。

zenith chronomaster original black dial

 新しいクロノマスター オリジナルは、私たちがよく知っている既存のエル・プリメロのスペックを受け継ぎ、伝統的な3色のインダイヤルにブラックダイヤルを追加しただけのモデルだ。私にとって、エル・プリメロのケースは手首にフラットに装着でき、手首に強い存在感を与えるものだ。ひとつ問題があるとすれば、特に手首の中心からずれている場合、すぐに手首からラグがはみ出してしまうことだ。

 ダイヤルはマットなブラックで、クロノマスター オリジナルのラインが持つ正統派の美学を忠実に再現している。現代的なクロノマスター スポーツのラッカー仕上げのブラックよりも光沢が抑えられている。3色のインダイヤルがブラックを引き立てており、この組み合わせは2023年よりも前に試すべきだったかもしれないと思うほど見事だ。ゼニスは賢明にも、4時30分のデイト窓をブラックのディスクで統一した。我々は4時30分のデイト窓を非難するのが大好きだが、エル・プリメロはA386に忠実にデイトが配置されているため、これから先も決して批判されることはないだろう。好むと好まざるとにかかわらず、エル・プリメロには歴史があるのだ。

zenith chronomaster original black dial el primero 3600

 クロノマスター オリジナルは、ゼニスが2021年にクロノマスター スポーツで本格採用した自動巻きキャリバー、エル・プリメロ 3600を搭載している。この時計が特別な存在であることを示唆するタキメーターは1/10秒刻みで表示されており、クロノグラフ針は10秒に1度ダイヤルを1周する。タキメーターの目盛りひとつひとつが、10分の1秒を表しているのだ。これを弄るのは楽しいし、理論的には物事の時間を超正確に計ることができる。これは私がクロノグラフを作動させている動画だ。

 私が愛を込めて“イービル” エル・プリメロと名付けたのは、白ダイヤルをいっそう引き立てる黒ダイヤルのユニバーサル・ジェネーブ、とりわけニーナリント・コンパックスに対するイービル・ニーナ、そしてエリック・クラプトンに対するイービル・クラプトン・トリコンパックスを思い起こさせるからだ。ユニバーサル・ジュネーブはカタログ上で、これらの時計を並べて掲載していた。3色のインダイヤルを持つイービル エル・プリメロをゼニスはこれまでに提供したことはなかったが、今回のリリースはその可能性がかつてあったかのように感じさせる。

zenith el primero chronomaster original dial
zenith el primero chronomaster original dial
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 クロノマスター オリジナルの希望小売価格は、カーフスキンのレザーストラップが115万5000円、3連リンクのスティール製ブレスレットが125万4000円(ともに税込)となっている。3連のブレスレットは中ゴマがポリッシュ仕上げになっており、つけ心地もとてもいいが、特にクラスプには改良の余地がある。十分快適なブレスレットだが、クロノマスター オリジナルのようなヴィンテージ風の時計には大型の競合メーカーから明確なインスピレーションを得たものではなく、同じようにヴィンテージ風のブレスレットがあってもよかったかもしれない。

zenith el primero clasp

クロノマスター オリジナルのクラスプとブレスレットは違和感なく装着できるが、この時計のヴィンテージ風の雰囲気にはそぐわない。

 クロノマスター オリジナルのラインナップに加わったこのモデルは、これまで我々が求めてやまなかったエル・プリメロであり、完璧ではないもののゼニスのカタログに加わった素晴らしいモデルである。ゼニスは2023年、パイロットコレクションのアップデートを行うなど近代化を進めているが、ゼニスが歴史に裏打ちされた機能をダブルダウンさせているのを見るのも素晴らしいことだ。ゼニスが2021年に発表したシルバーの3色ダイヤルや逆パンダダイヤルと並び、エル・プリメロの選択肢のなかで中核的なコレクションになっている。一方、クロノマスター スポーツは、スーザン・G・コーメン財団を支援する最近の限定版クロノマスター スポーツ ピンクなどのように、現代的なカラーと相性のいいモダンなクロノグラフのオプションを提供している。

“イービル” エル・プリメロに対するコレクターの意見
zenith el primero chronomaster original wristshot

クロノマスター オリジナルを私の16cm周りの手首に装着。

 私は新しいエル・プリメロについて、本物のヴィンテージコレクターの意見を聞きたいと思った。そこでヴィンテージ ゼニスのコレクターであり、Tortoise Watchesとして貴重な時計を販売している友人のアーウィンド・ジャンド(Arwind Jhand)氏に連絡を取った。

 「1969年当時のダイヤルをほうふつとさせる、オールドスタイルのフォントが使われている点が気に入っています。“36,000 VpH”が3行目に追加されていなければなおよかったのですが。クロノグラフのダイヤルに文字を追加してよりテクニカルに見せたいというブランドの気持ちはわかりますが、一部の時計マニアは別として、誰が数字が示すものによって過小評価するのでしょうか?」。12時位置に“Zenith”と“El Primero”だけを配したシンプルさもあって、彼は2019年に発表されたゼニス × フィリップスの限定コラボモデルを現代における最高の復刻ダイヤルとして挙げた。

zenith el primero chronomaster original black dial

 オリジナルのA386にも“Automatic”と“Chronograph”という余計な3、4行目の文字があった。デイトナの領域まで踏み込んでいるようでもあるが、ここはジャンド氏に同意せざるを得ない。基本的に、近ごろの時計のダイヤルは文字が少ないほうが望ましい。

 最後にジャンド氏は、マットなブラックダイヤルは80年代のチタン製ポートロイヤル(Ref.95.0102.418)を思い出させると付け加えた(ちなみに、ゼニスのヴィンテージリファレンスは過小評価されている)。

クロノグラフ業界における競争
zenith el primero chronomaster original

最近、私はタグ・ホイヤーのカレラ“グラスボックス”と1週間をすごした。クラシカルな雰囲気が漂い、39mm径で希望小売価格80万8500円(税込)というこのモデルは、その記事で紹介したほかの低価格で伝統を感じさせるクロノグラフの数々と同様に、クロノマスター オリジナルに代わる確かな選択肢である。もちろん、そのどれもが「ムーンウォッチを買えばいいだけだ」というありきたりな意見と競合する。タグ・ホイヤーのCal.TH20-00やブライトリングのCal.B01のような競合メーカーの自社キャリバーがパワフルなスペックを提供する一方で、エル・プリメロ 3600はつい2年前に発売されたときよりも競争が激化しているとはいえ、その馬力と血統を色濃く受け継いでいる。新しいクロノマスター オリジナルと数日間過ごした後も、そのクロノグラフ針が10秒ごとにダイヤルを高速で動き回るのを見る純粋な喜びは尽きることがなかった。

 A386のように最先端の時計製造とクラシカルな外観が融合しているモデルがあるからこそ、私は何度でもエル・プリメロを求めるのだ。

zenith el primero chronomaster original black dial

ゼニス クロノマスター オリジナル 1969(Ref.03.3200.3600/22.M3200、03.3200.3600/22.C908)。ケース径38mm、厚さ13mm(ラグトゥラグは47mm)、1/10秒計測クロノグラフ、60時間パワーリザーブの自動巻きキャリバー、エル・プリメロ3600を搭載。希望小売価格は、レザーストラップ115万5000円、ブレスレット125万4000円(ともに税込)。詳細はゼニスのWebサイトでクロノマスター オリジナル 1969を参照。

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