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Hands-On ロレックス デイトナ 6240 ソロは今どうなっているのか?

これは最も希少で、最も美しいデイトナのひとつだ。

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本稿は2016年6月に執筆された本国版の翻訳です。

ロレックス デイトナの進化はここHODINKEEでも、また現時点ではほかの多くの場所でも議論されるほど、多くの謎に包まれている。私が注目している謎のひとつは、いわゆる“ソロ”ダイヤルだ。このデイトナの文字盤には、“COSMOGRAPH”も、“OYSTER”も、ましてや“DAYTONA”という字もない。書かれているのは“ROLEX”だけ。これは興味深い時計であり、文字盤の印刷の多くが段階的に行われたことを考えれば納得がいく。しかしこれらの文字盤はどこから来たのか、そしてどの時計に付けられているのか? これについて、先週私のデスクに届いたRef.6240を参考に、少し検証をしてみよう。


まずはデイトナダイヤルの進化について理解を深める

 ポール・ニューマン デイトナのReference Points記事を読んだ人なら、デイトナの文字盤印刷がゆっくり進化した過程にあったことを知っているはずだ。ある方法で始まり、“デイトナ”という名前が付けられ、そこから発展していった。その後、ロレックスのブランド名であるクロノグラフに“オイスター”ケースが提供されると、再び進化を遂げる。これらはすべて数年以内に起こったことであり、多くの場合、ある方法で生まれたダイヤルが、後から1行付け加えられたということがある。例えば、“RCO”や“オイスター ソット”と呼ばれる、信じられないほど初期のオイスター ポール・ニューマンに見られるようなものだ。もちろんこれらの用語は後付けのようなものとして、“ROLEX COSMOGRAPH”という言葉の下に、“OYSTER”を付け加えたことを示している。

デイトナダイヤルの究極の進化例である、“RCO” デイトナ。

 デイトナの世界は“ミッシングリンク”ダイヤル、つまりある文字盤の特徴とほかの文字盤タイプの特徴を併せ持つものが数多く存在する。そして、それが正しい可能性も秘めている。例えばダブルスイスダイヤル、ダブルスイスアンダーラインダイヤル、ダブルT-Swiss-Tダイヤルなどがあり、これらはすべて非常に小さなシリアル番号のレンジ内で発見できる。

シリアルナンバー923xxx、ダブルスイス&アンダーライン入り。Courtesy of Sheartime.com

シリアルナンバー1,04x,xxx、アンダーラインなしと“T-Swiss-T”が特徴。Courtesy of ShearTime

 ヴィンテージデイトナについては、よく見かける6239と6263からめったに見られない6264や6240まで、いくつかの異なるリファレンスがあるが、私が最も興味深いと思っているのは、このRef.6240だ。

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では、6240はどうなっているのか?

 初期の6239のダブルスイスは、デイトナのなかでは間違いなく最も魅力的な組み合わせだと、私は今でも思っている(その昔、私がそれらについて書いた記事を読んでほしい)。当時はまだル・マンと呼ばれており、このファミリーを築くにあたってのコンセプトは具現化されていなかった。しかし個人的なリファレンスとして、6240は魅力的である。ねじ込み式プッシャーとブラックベゼルを備えた、現在のデイトナの基礎を築いたモデルである。まさに最初の“オイスター”デイトナであり、防水性はロレックスの代名詞とも言える品質だったため、その意味は何よりも大きい(詳しくはロレックスのInside The Manufacture記事を参照)。1,200,000~1,600,000までのシリアル番号を持つ6240には、多彩な種類のダイヤルが存在する。最も一般的に見られるのは、“OYSTER”または“DAYTONA”の文字がなく、6時位置に“T-Swiss-T”があるものだ。次に、最も一般的に受け入れられている2種類のダイヤルを紹介する。

6240、通称“ビッグデイトナ”。Courtsey of RingofColor.com

対して、こちらは6240の“スモールデイトナ”。Courtsey of RingofColor.com

 上に掲載した文字盤のいくつかの進化系は、6240 RCO(藤原ヒロシ氏が運営するRingOfColor.comに掲載された、6240に関する素晴らしい記事より引用)のもので、10本以下しか知られておらず、売りに出されると高値で取引される。“ROC”ダイヤルを持つ6240も見かけるが、いずれも下部にT-Swiss-T、またはシグマサインがある。だが、私はこれらを少し受け入れがたいカテゴリーに分類したい。純粋な6240が欲しいのであれば、上のふたつの文字盤のどちらかがいいと思う。繰り返しになるが、私はROCスタイルのダイヤルを持つ6240が正しくないと言っているのではなく、このような初期のねじ込み式だと、非オイスター文字盤のほうが理にかなっていると思っているのだ。

2016年5月、フィリップスにて6240 “RCO”が、28万1000スイスフラン(当時の相場で約3100万円)で落札された。

 現在すべてのパーツを完備した6240には、下に見えるMK1ベゼルとMK0のブラスプッシャーが付いているはずだが、6240の大多数はどちらか一方を失っている。私にとっては初期の6239で言ったように、6240を特徴づける特徴がない限りそれを購入する意味はない。だからMK0のプッシャーがなければ、個人的に6240にはほとんど興味がわかないのだ。

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次にソロダイヤルについて

珍しい“ソロ”ダイヤルが特徴のRef.6240。

 あえて言うならば、6240ダイヤルの正確性はたとえヴィンテージロレックスの収集という不透明な世界であっても、想像しうる限り曖昧な領域である。そこで手元にある時計、6240 “ソロ”を紹介しよう。

 これまでのところ、特に1960年代初期のデイトナでは、文字盤に異なる文字列がある場合とない場合があるのをこれまで見てきた。デイトナのダイヤルのなかで最も小さいのが、ここにある“ソロ”ダイヤルだ。この文字盤にあるのは“ROLEX”の文字だけ。ほかにはない。というのも、ごく初期の6240は、最初からこの文字盤だった可能性があるのだ。古いロレックスの例に漏れず、ロレックスはこれらの文字盤の起源について肯定も否定もしない。現在の市場では、シリアルナンバーが1,200,000~1,400,000の6240で、これらのソロダイヤルを見ることができる。数年前から時々現れるようになったが、実際に注目している人はほとんどいなかった。

この6240 ソロは、2015年5月にフィリップスで24万5000スイスフラン(当時の相場で約3085万円)で販売された。

 6240 ソロのコンセプトは、2015年5月に行われたフィリップス・ジュネーブウォッチオークション ワン・セールでの個体が、24万5000スイスフラン(当時の相場で約3085万円)で落札されたことで確固たるものとなった。その後、市場はこれらの時計を狩り始めたようで、オークションやそのほかの場所で多くのものが表面化していった。実際、この記事を書いている時点では、Chrono24.comで入手可能な例があり、このオリジナル写真で紹介したものも入手が可能だった。この時計を所有しているEast Crownの写真には4本の6240 ソロが写っているが、うち3本は非公開の開催のようだ。

 しかし6240 ソロは理にかなっているだろうか? そう思う人もいれば、そうでない人もいる。ひと握りの信頼できるディーラーや愛好家のあいだでは、このソロダイヤルは6238用のサービスダイヤルであるという説もある。ただこれは、必ずしも私自身が信じていることではない。前提がそうなら、なぜロレックスはタキメータースケールが印刷されたモノクロ文字盤を、タキメーターのない2色文字盤に交換したのだろう? ただただ意味がわからなくなる。

6239はそうではないにしても、ソロダイヤルの本家本元であることは間違いない。

 ただ私が信じているのは、これらのダイヤルはもともと6239に使われていたということだ。実際、私はそれを信じているというより、その理由を知っている。それを示すロレックスの広告にその様子が描かれているからだ。上の画像はゴールドバーガー(Goldberger)氏の提供によるもので、この広告にはソロデイトナが前面に出ており、その価格は連邦税を含むわずか210ドル(当時の相場で約7万5600円)で購入できると掲載されている。フィリップス香港にて、初期の6239ソロ ダイヤル(針とベゼルは交換されていたが)が販売されたが、あまり金額は集まらなかったUPDATE: ホセ・ペレストロイカ(Jose Pereztroika)氏の熱心な調査により、フィリップスが2016年に香港で販売した個体は文字盤が変更されていたことが判明した。詳しくはこちらから。

この初期の6239 ソロは、フィリップスによって10万ドル(当時の相場で約1105万円)以下で売却された。ただアンティコルムで販売以来、この時計は何者かによって加工されていたのだろう。慎重にならなければいけない。

 今では特別な文字盤を持つポンププッシャーの時計は、同じく特別な文字盤を持つオイスターデイトナほどセクシーではない。ポール・ニューマンがそれを教えてくれたのだ。だからディーラーはどこかでこのソロダイヤルを、6240ケースに収めるというアイデアを得た可能性は高い。私でさえ、6239 ソロより6240 ソロのほうがより魅力的だと認める。誤解しないでほしいのは、6240 ソロがそのように生まれなかったかもしれないと言っているのではないということ。それは私にとっては理にかなっているというだけだ。当時のロレックスがどのように機能していたか、そして生産と組み立てがいかに直線的で、しかも規制されていなかったかを忘れてはならない。もしこのような文字盤が組み立て中に入手可能で、時計職人がダイヤルを必要としていたなら、いとも簡単に出荷前の6240に文字盤を入れられただろう。我々は何も確実なことを知らないのだから、結局は理性が何を教えてくれるのか、そして個々の時計の背後にある物語に従うしかないのだ。私の知る限り、オリジナルオーナーの6240 ソロの時計の話は聞いたことがない(もし知っていて、その話を裏付けることができるのであれば、コメントを残して欲しい)。ただ6263 RCOと6240 RCO(ノンポール・ニューマン)のオリジナルオーナーの時計については聞いたことがある。同様に6239 ソロのオリジナルオーナーの時計が見つかったという話も耳にしたことがある。何度もお伝えするが、6240に疑問を投げかけるためにこのようなことを言っているわけではない。実際、これらの時計が際限なく興味深く魅力的であることは認めざるを得ない。ただ私は、10万ドル以上で取引される特別な時計について、そして市場で目にする機会が増えている時計について、現在の考えを述べたにすぎない。

 冒頭で述べたように、6240は真に魅力的な時計であり、間違いなくロレックスの歴史のなかで最も重要なリファレンスのひとつである。そして市場に出回っている6240のこの小さな組み合わせは決して多数派ではなく、ヴィンテージデイトナの世界のほんの片隅にある、絶妙で極小なニュアンスにたまたま興味を持ったのだ。時間が経ち、より多くの人々が6240 ソロについて知るようになれば、私はさらに6240 ソロについてもっと理解できようになるだろう。そうしたらこのページは更新していくつもりだ。そこで質問だが、今6240 ソロについて知った上で、あなたはポール・ニューマンよりも6240 ソロを購入するだろうか? 私の考えでは、それはより興味深い選択であり、また控えめな選択であることは確かだが、彼らがどのようにして生まれたか確信するまではリスクが大きすぎるだろうか? 純粋にどっちに転ぶかわからないが、この時計についてどう考えたか、コメントで意見を聞かせて欲しい。

この記事の準備のために6240 ソロの写真を撮らせてくれた、EastCrownのK氏に感謝したい。彼らについて、詳細はこちらから。