Lead image, Carlos Alcaraz, by Elsa/Getty Images.
時計文化がテニスと密接な関係にあるのは、ちょっと皮肉なことだと常々思っていた。私は、この関係のビジネスケースを理解している。オフシーズンのない国際的なスポーツのスポンサーになることで、人口統計学的なクロスオーバーが起こり、商業的な利益がもたらされるのは明らかである。それはそれでいいのだ。ただ、おもしろいのは、ほかのスポーツと違って、テニスには時間制限のない試合展開があることだ。サッカーの試合は延長戦を除いて90分。NBAの試合は12分のクォーターが4回あり、延長戦を除けば1時間弱のコート上の出来事である。ちなみにNFLは15分×4クォーターで60分ちょうどだ。
一方、テニスにはそのような制限はない。テニス史上最長の試合は11時間を超え、先ほど終了した2022年のグランドスラム最終大会では、早朝・未明におよぶ試合が数多くあった。
では、テニスの世界で時計はどのように活躍するのだろうか? このスポーツでは、モータースポーツやオリンピックのような正確な経過時間の計測は必要ないことは明らかである。ロレックスは全米オープンの“オフィシャルタイムキーパー”であり、試合の総プレー時間を記録する“オフィシャル”クロック以外は、選手、コーチ、そしてファンの手首に装着されている。時計に特化したイベント以外では、プロテニストーナメントほど時計を見つけるのに最適な場所はないだろう。2022年の全米オープンは、その期待を裏切らないものだった。
今年最後のグランドスラム大会は、緊張と時計の針に満ちていた。全米オープンを6度制覇し、世界の頂点に立つセリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)が、大会開幕の数週間前に引退を表明し、彼女の最後の活躍をひと目見ようと、多くの観客が集まった。男子シングルスでは、ロジャー・フェデラー(Roger Federer)、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)といったビッグネームが欠場したが、19歳のスペインの天才プレーヤー、カルロス・アルカラス(Carlos Alcaraz)が23歳のキャスパー・ルード(Casper Ruud)を決勝で破り、ATP(男子プロテニス協会)史上最年少の男子シングルス1位となるなど、多くのスタープレーヤーが登場した。
本稿では、テニス界で活躍する有名人やセレブリティ、そしてテニス界の新星たちが身につけていた時計をご紹介しよう。
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