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VINTAGE WATCHES 1960年代製 ルガン クロノグラフ by ゼニス、1971年製 オメガ シーマスター60、1970年代製 ホイヤー クロノグラフ2本

今週のヴィンテージセレクションは、既成概念にとらわれない発想が必要だ。

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HODINKEE Shopで販売されている現在のヴィンテージウォッチの全セレクションを見るには、こちらをクリック。


今週のヴィンテージウォッチ

 今週もまた、HODINKEE Shopにヴィンテージウォッチのコレクションが登場した。“ネオヴィンテージ”のランゲ1 Ref.101.022、そして“トゥルーヴィンテージ”であるロレックスの赤サブ Ref.1680など、誰もが満足する時計が揃っているはずだ。もちろん、いつものようにvintage@hodinkee.comまで、あなたの探しているものを直接、気軽に連絡して欲しい。

 タイトルにあるもの以外にも、ヴィンテージチームメンバーがピックアップしたアイテムは、すべてこちらで購入することができる。私たちのお気に入りの3点について、個人的な考察やお気に入りのポイントを読んでみて欲しい。

 リッチ・フォードンは、控えめな1960年代のクロノグラフをピックアップし、それがいかにして市場に登場したのか、そのストーリーを紹介する。水曜日の逸品のテーマを挙げるとすれば、それはストーリーテリングだろう。どの作品も、見た目以上の(あるいは書かれた以上の)魅力を備えている。サオリ・オオムラは、1971年のオメガのカタログに掲載された知られざるヒーロー、パティーナがとても魅力的なシーマスター 60を紹介する。そして最後に、ショーン・イーガンは、ひとつだけでなく、ホイヤー オータヴィアとベンラスのとオータヴィア風クロノグラフをそれぞれ紹介している。こちらをクリックして、すべてをチェックして欲しい。

1960年代製 ルガン モンゴメリーウォード向け ゼニス製Cal.146HP クロノグラフ
By Rich Fordon

 さて、ヴィンテージウォッチの世界で私が最も好きな市場への長い道のりについて紹介しよう。通常、ブランドは時計を製造し、正規代理店を通じて販売することになるが、多くの場合、その時計を市場に送り出し、バイヤーとなる小売店を探し出すのはブランド側となる。このルガンのクロノグラフの場合、文字盤に書かれている名前は、私たちが見慣れた時計ブランドではなく、この時計を製造したブランドでもない。

 ルガンは、1960年代にモンゴメリーウォードの社員によって考案された“エレガント”をもじったブランドだ。アバクロンビー&フィッチなど、この時代のほかの企業と同様、ウォード社はスイスの時計ブランドと提携し、季節ごとの印刷カタログを通じて最高品質の時計を提供した。シカゴで育った私でさえ、これらのカタログ会社がいかに巨大であったかを忘れがちである。アマゾンのプライムデリバリーが登場するよりも遥か以前、そうしたカタログ会社はアメリカ人が通販で店に行く手間を省くための存在だった。現代の私たちには理解しがたいことだが、これらのカタログに掲載されている商品は、今日の便利さから連想する使い捨てのようなものではなく、本格的な品質のものが多かったのだ。

 その方針に従って、このエレガントなルガンは、1960年代後半のスイスで間違いなく最高の自社製スポーツクロノグラフを製造していたゼニスによって製造された。私たちは以前にもこのルガンのクロノを1本提供したことがあり、ほかにもプライベートコレクションで数本見たことがある。そのすべてが、今回紹介する1本と非常に近いシリアルナンバーを持っている。また、ウォード社がこの時計を提供した唯一の証拠が1968年のクリスマスカタログに残されているが、この時計は非常に数が少なく、1〜2年間だけ入手可能だったと思われる。このルガンには、私を魅了するようないくつかのディテールがあるが、文字盤が1960年代後半の偉大なモバードのM95の文字盤にあまりにも似ており、偶然の一致とは思えないのだ。というわけで、商品説明で、さらにマニアックな詳細と美しく撮られた写真をチェックしてみて欲しい。

1971年製 オメガ シーマスター 60 Ref.166.062
By Saori Omura

 私はこれまで、オメガの時計を何本見てきたか正確にはわからないが、オメガがこれまでに生み出してきた時計の数々とデザインの幅広さには、いつも驚かされる。スイスの伝統的な時計メーカーの多くは、いわば自分たちの泳ぐコースに留まっているが、オメガはその真逆に飛び込んでいった。貴金属を使ったドレスウォッチのコンステレーションから、伝説的なクロノグラフとなったスピードマスターなど無数のデザインを追求し、果敢に拡大し続け、いずれのモデルも現行コレクションとして存在し続けている。

 ヴィンテージのおもしろさは、何百ものデザインが展開されるなかで、レーダーの下に残る無名のデザインがきちんと存在するところにある。このオメガ シーマスター 60は、まさにそのカテゴリーに属するものだ。1948年にデビューしたシーマスターコレクションは、ややドレッシーなスタイルから真のディープダイブツールウォッチスタイルまで、幅広いデザインに対応している。そのなかでも最も有名なのが、シーマスター 300コレクションだろう。シーマスター 300コレクションは、主にプロダイバー向けだったが、ダイビングが主流になるにつれ、ダイバーズウォッチの需要も高まった。そこでオメガは、200m、120m、60mといった低い水深用のダイバーズウォッチを多く生産するようになる。60mのモデルは、60年代末に登場した初期のモデルで、それほど一般的ではなかった。

 シーマスター 60が私の今週おすすめのヴィンテージウォッチである理由は、ほかのシーマスターと比較して楽しくて気まぐれな感じに見えるからで、プロ仕様のダイバーズウォッチが必要なほど深く潜るつもりもないのだ。60年代と70年代の美学をバランスよく表現しているところも気に入っている。少し角ばったケースに、ブルーの文字盤、そして文字盤の外周にはブルーとホワイトのチェッカーモチーフが施されている。当時のダイバーズウォッチは、白やクリーム色に対して黒文字盤でコントラストを効かせた視認性の高いものが多かったため、ブルーは色としてなかなか一般的ではなかった。ダイバーズウォッチというと、普段使いのサイジングに悩むものだが、このモデルは36.5mmとジャストフィットで、厚さも11mmとかさばらないのが特徴だ。私が本当に魅力的だと思う部分は、この時計には場違いで不要に見える大きな丸いリューズだ。実はこのリューズ、クイックセットデイトの機能として、リューズを引いたり押したりすることで日付が進むようになっている。そのために大きく丸いリューズを設けるなんて、どれだけ天才的なのだろう。

 ついつい流行りにとらわれがちなヴィンテージウォッチだが、その醍醐味は、あまり見かけないものや、存在すら知らなかったものに偶然出合えることにある。そして、このオメガのシーマスターは、そのようなヴィンテージウォッチのなかでも、もっと知りたいと思えるような時計だ。このオメガ シーマスター 60は、まさにそのような謎めいた、あまり世に知られていない存在でありながら、腕にしっくりとなじむカッコいい時計なのである。

1970年代製 ホイヤー オータヴィア “バイセロイ” Ref.1163 & 1970年代製 ベンラス クロノグラフ デイト Ref.73463
By Sean Egan

 ときには、オリジナルだけが唯一のものということがある。しかし一方で、ジェネリックが同じくらいいいということもある。そしてごくまれに、ホワイトラベル(※)のほうがブランドの製品より優れていることもある。今日のヴィンテージセレクションは、自分で判断するしかないだろう。当時、ホイヤーがベンラスのために時計を作っていたかどうか定かではないが、少なくともケースと文字盤を同じメーカーから買っていたことは確かだ。

※編注;ある企業が生産した製品やサービスをほかの企業が自社ブランドとして販売すること。

  “オレンジボーイ”という愛称でコレクターに親しまれているオータヴィアは、おそらく最も魅力的なオータヴィアのバリエーションのひとつだろう。そのため、私たちもこのモデルをベースに限定モデルを製作した。ブラックダイヤルにコントラストの効いた視認性の高いオレンジを配したことから、その名がついたことは容易に想像がつく。しかし本日紹介するのは、それとはまったく違うもので、ラジアルブラッシュ仕上げのトノーケースを採用した最初の時計、ベンラスのRef.73463だ。そう、米軍仕様の時計と関係の深いブランドが、レーシングクロノグラフを手がけていたのである。1970年代には、これと同じケースを使用したモデルが数多く発表され、大きな話題となった。

 クーポン券とタバコのバイセロイのカートンの端があれば、88ドルで手に入ることから“バイセロイ”の愛称で親しまれるホイヤーのオータヴィアと比較してみて欲しい。この時計の希望小売価格が本来200ドルだった頃、このブランドは多くの時計を販売しており、この取引のために1パックを買って捨てるだけの価値があったのだろう。“ホイヤーマン”のジェフ・スタイン氏は、こちらで、この件についてもっと詳しく説明している。さて、時計についてだが、今回は自動巻きムーブメントを搭載した、初の自動巻きクロノグラフのひとつで、ケース左側にリューズが付いている。そして文字盤には、バーゲンプライスのボックスと同じように、オレンジ(赤)と白のアクセントが効いている。

 あまり知られていない色鮮やかなクロノと、人気のあるクロスプロモーションモデル、あなたならどちらに軍配を上げるだろうか? いずれにせよ、こちらこちらでチェックしてみて欲しい。

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