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我々が知っていること
“アンケート調査”は、マーケティングやデザイン戦略としてはあまり洗練されたものではないかもしれないが、サーチナは新しいレディスウォッチにまさにそれを採用した結果、ヒットすることになった。
今年の3月、スイスの時計メーカー、サーチナはベストセラーとなったDS PH200M ダイバーのレディスバージョンを作りたいと考えていた。このモデルは精度や耐衝撃性など堅牢な仕様で知られる手頃な価格のツールウォッチだ(DSとはDouble Securityの略)。このブランドは、女性が何を求めているかを把握していると思い込むこと、さらにより最悪な「サイズを小さくピンク色にし、ダイヤモンドを追加する」という時代錯誤な方法に戻るのでもなく、InstagramとFacebookでフォロワーにデザインの重要な側面について投票を呼びかけた。そして参加者全員に抽選で、来月発売される最終モデルをプレゼントすることにした。
数週間にわたり、毎週月曜と木曜にベゼル、ダイヤル、針、ストラップ、そしてパッケージについてファンに投票してもらった。その結果に驚くかもしれない(私は驚いた)。約3/4の人が、ベゼルはホワイトではなくブラックを希望し、68%の人がよりフェミニンなふわふわとしたスタイルよりもダークなマザー・オブ・パールのダイヤルを希望した。スポーティなソードスタイル針は、クラシックなラウンド針よりも74%の支持を得ており、グレーとブラウンのストラップも同じ割合で支持された。ストラップとパッケージのサステナブル化については、意外と知られていない。ストラップには海から排出されるプラスチックを再利用しているスイスのメーカーが製造した「#tide」という海の素材が使用されており、ブラックとゴールドのパッケージには環境に配慮したダンボールが使用されている(投票者は波のパターンを選択した)。
これらの機能に加えて、コレクション最小の39mmサイズ、3時位置の日付表示、傷のつきにくいセラミック製の逆回転防止ベゼル、ねじ込み式リューズといった時計の基礎となるフレームワークが採用されている。明るいスーパールミノバがローズカラーの針とベゼルを際立たせ、11個のスモールダイヤモンドインデックスが付いている。サファイアクリスタルのケースバックからは、80時間のパワーリザーブを備え、ニヴァクロン製ヒゲゼンマイを搭載し、耐磁性と耐衝撃性を強化したチタンベースのパワーマチック80.611ムーブメントを見ることができる。
サーチナのCEOであるマーク・アレン(Marc Aellen)氏は、約“数万人”もの人々がコンペに参加したと述べ、この時計の商業的成功はまだ未知数であることを認めつつも「反応はポジティブで多くの関心を集めました。私たちのようなブランドにとってコミュニティに参加することは重要であり、私たちは再び調査を実行すると思います」と述べている。彼もまた最終的なデザインに驚いた。「ホワイトのような明るい色になると思っていましたが、今のような方向で行くことになりました」
我々が思うこと
この時計で最も注目すべき点は、コミュニティという要素だ。時計市場における最大の問題のひとつは、女性の購入者が自分たちは無視されている、あるいは後回しにされていると感じていることである。時計メーカーはメンズウォッチを極端に女性っぽくしたもの(ピンクやホワイト、フラワーモチーフやダイヤモンドベゼルなど)を作るが、最終的に女性が身につけたいものではないのだ。サーチナはこの問題を解決するため、実際に私たちユーザーに語りかけて機能を選んでもらうことにしたが、興味深いことに、ほぼすべてのカテゴリーで75%近くの同意が得られた(ピンクやホワイトではなかったのだ)。また、同ブランドは市場の声に耳を傾け、当初の商品名から“レディ”という表現を外し、DS PH200M 39mmとした。このようにして、サイズで差別化された真のユニセックスウォッチが誕生したのだ。多くの時計メーカーがこれに追随することを期待したい。
サーチナのファンは確実に注目している。時計の最終形をInstagramで公開したあと、あるフォロワーがコメントした(ハートや火の絵文字のコメントが多い中で)。「私は男性ですがこれを買います。これは僕の手首にピッタリだから、どんな風に販売されていようと気にしないよ」とコメントしている。また「ブランドが時計業界の意見に耳を傾けてくれることに感謝します」というコメントもあった。HODINKEEでは独自の非常にインフォーマルなアンケート調査(この時計が好きかどうかの投票)も行っており、DS PH200Mが勝者となることが予想される。
最後に、私自身も女性として、このダイバーズのスタイリッシュでスポーティなエレガンスが大好きだ。ダークでムーディーなダイヤル、ブラックセラミックベゼル、グレーのファブリックストラップは男性的なトーンだが、MOPの仕上げは非常に美しく個性的で、特にベゼルのグラフィックやゴールドのようなスーパールミノバのハイライトとの相性は抜群だ。また、光沢のあるリュクスな仕上げでわずかにドーム状になっており、優れた触感やヴィンテージ感を演出している。ダイヤモンドインデックスは非常に小さく丸みを帯びていてレトロ感があり、煌びやかさとは対極にあるため、ダイヤモンドであることに気づかないほどだ。3日間のパワーリザーブを備えた機械式時計が、133年の歴史を持つスイスのメゾンから910ドル(約10万4000円)で提供されるのだ。まさにコストパフォーマンスに優れた作品であり、時計の発売を投票する方法をいかにアンケート調査するかの好例とも言えるだろう。
基本情報
サーチナ DS PH200M、39mm、SS、MOPダイヤル、セラミックベゼル、自動巻きムーブメント、80時間パワーリザーブ、200m防水。
ミン・リュウ(Ming Liu)は、ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、ブリティッシュヴォーグ、ヴァニティ・フェアなどに定期的に寄稿し、時計に関する記事を書いている。またロンドンのスタイルマガジン「The Glossary」のウォッチ&ジュエリーエディターを務めている。
詳細は、サーチナの公式サイトをクリック。
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