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Interview 時計はストリートファッションから何を学べるか?

時計のメガコレクターであり、ストリートウェアブランド「BAIT」と「UNDEFEATED」の創設者でもあるエリック・ペン・チェン(Eric Peng Cheng)氏が、その答えを持っているかもしれないのだ。

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HODINKEEの読者の多くが、完成度の高い限定スニーカーを高く評価しているのではないかとひそかに思っている。私はそうだ。私が時計を集め始めた1980年代初頭は、ストリートウェアはあまり話題にならなかった。しかし、2022年、その状況は一変し、両者の距離はかつてないほど近くなった。2018年にHODINKEE Magazineでスニーカー王ロニー・フィーグ氏を取り上げたのは偶然ではない(日本版ではVol.1でご紹介した)。両世界には似たようなブランドの熱狂的なファンたちが存在する。

 LAを拠点に活動する注目のストリートウェアブランド「BAIT」と「UNDEFEATED」の共同経営者、エリック・ペン・チェン氏に時間を割いてもらい、ストリートウェアと時計の接点を探ってみた。UNDEFEATEDの店舗は日本、アメリカ、中国にあるが、インターネットでの絶大な人気は世界的なものだ。すべての愛好家が公平に商品を購入できるよう、ペン・チェン氏のブランド「dorops」では、デジタルツールが導入されていることで知られている。また、最近ではセイコーと共同で、ストリートウェアとハードコアな時計愛好家の両方の要素を取り入れたふたつの限定版ウォッチを制作した。

HODINKEE:たくさんのクロスオーバーがストリートウェアと時計で行われています。このふたつの世界は互いに発見し合ったという感じですが、きっとほかにも理由があるんでしょうね。

エリック・ペン・チェン氏: パンデミックが始まって2ヵ月ほど経った頃、重要な瞬間が訪れたと思います。その頃から、時計に興味をもつ大きな動きが出てきたのです。それまであまり時計に興味がなかった友人たちが、時計の記事を送ってくれるようになったんです。私の妻も、ベゼルやケースの素材など、細かいことまで勉強するようになりました。

 ちょうどその頃、ストリートウェア業界で、腕時計について真剣な議論が交わされることが増えてきました。

shoe car

頭文字Dは、日本車を題材にした人気漫画だ。限定スニーカーで人気を博したBAIT。時計でも同じことができるのだろうか。

BAIT x 頭文字D x GSHOCK

 パンデミックによって、私たちの世界にもたくさんの新しい人が入ってきました。そしてその新しい人々の流入は 市場の仕組みに興味深い変化をもたらしました。 セカンダリーマーケットが多くの人にとってプライマリーマーケットになったのです。パンデミック以前からあったことですが、パンデミック後、多くの人が時計を買うために市場に参入し、その勢いは加速しました。とはいえ、時計メーカーがいきなり増産するわけにもいかなかったのです。

 それとまったく同じことが、ストリートウェアやスニーカーでも起こっていますね。ウェイティングリストに載っているからといって、時計が手に入るとは限りません。また、店の外で待っているからといって、ストリートウェアやスニーカーの新作が手に入るとは限りません。良いものを手に入れられるのは、大抵の場合、歯車に油を注ぐ方法を知っている数人なのです。あるいは有名人。大抵はどちらか一方です。地道なコレクターが限定品を最初に手にすることは稀で、誰もがこの問題を解決したいと主張していますが、それに取り組むのはごく一部のブランドだけ。

sneaks

A5ランクの和牛が描かれたBAIT NIKE。

 私たちの場合、テクノロジーを使って競争の場を公平にするよう心がけています。全体をチェックして複数注文をキャンセルする、アルゴリズムを使ってロボットを排除するなど。時には、一品に何万ドルも投資することもあるんです。

 時計業界のヘリテージブランドは、伝統的な手法に慣れています。だから実際には役立つ新しい技術だとしても、それにはあまり目を向けていないのでしょう。

UNDEFEATED x チューダー

 ブロックチェーンやNFT、あるいは基本的なウェブECなど、技術を理解すれば、実際に問題解決に役立つさまざまなアプリやプログラム、開発があるんです。しかし、多くの人がこうした技術にあまり目を向けていないように思います。これらのテクノロジーは、ハイテク業界など特定の業界向けに構築されているように感じられるかもしれませんが、実際には誰でも活用することができるのです。消費者と対話し、製品をリリースする方法を自分たちで作り上げることができるはずです。

UNDEFEATED x UNIMATIC

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 最近、セイコー5とコラボされましたが、どのような経緯で実現したのでしょうか。

 私は常に消費者として物事を見ることを第一に考えています。そうやってブランドを構築してるのです。セイコーという偉大なヘリテージブランドを見て、何か違うこと、予想外のことができないか、と考えました。

seiko watch

セイコー 5スポーツ BAIT コラボレーション限定モデル「鉄腕アトム」

 そこで、実際に日本の古典的な漫画「鉄腕アトム」のライセンスを購入しました。これは、おそらくセイコーが他ではプロデュースしなかったであろうものです。彼らに、私たちと一緒に仕事をすることは良かったと感じてもらえたようです。セイコーのようなブランドが私たちと一緒に仕事をするとは思ってもいなかったので、とても感激しましたね。G-SHOCKとのプロジェクトはいくつかありましたが、あれはすでにストリートカルチャーの世界ですから。セイコーは違いましたからね。

 鉄腕アトムの次に作ったのが、クリーム色の文字盤にメタリックグレーのベゼルを組み合わせたデザインです。そして、ごくわずかな反発もありましたが、最終的にはセイコーがBAITのロゴをチューダーのようにスマイルスタイルで文字で入れてくれることになったのです。このカラーリングは、人々に予想されないようなものにしたかったんです。

cream seiko

6時位置のこうしたスタイルのテキストを以前にも見たことがある...

 憧れの時計やコラボしてみたい時計ブランドはありますか?

 それは、ロイヤル オークですね。大好きな時計ですよ。私なら、このデザインの伝統的な要素から大きく離れることはないでしょう。伝統の大部分はそのままに、デザインに2割ほどひねりを加えるつもりです。5402と15202を比べると、デザインの変化や進化がよくわかりますが、それは主に針とマーカーの幅に表れています。微細な変化で違いを感じられるデザインです。タペストリー文字盤で遊んだり、ケースの金属をミックスしてみたり、いくつかのアイデアがあります。

 HODINKEEでは、よく「コレクターの遺伝子」について話しますが、同時に、私たちの世界、つまりストリートウェアや時計に、これまで足を踏み入れたことがない人たちがたくさん入ってきていることも事実です。コレクターの遺伝子は誤りなのでしょうか?  情熱に触れることで人はコレクターになれるのかもしれませんね。とにかく、それが私の考えです。

 まったく同感です。「一生に一本、いい時計があればいい」と言い続けていた人が、2本、3本と所有したり、それについて読んだりしているうちにコレクターになってしまうようなものですからね。以前はコレクターじゃなかったけど、今はコレクターになってる。誰だって自分のなかにコレクターの自分がいるんです。

fp journe bobblehead

BAIT x F.P.ジュルヌ KOKIES

 ブランドがこれに適応するのを見るのは、とても楽しみです。ナイキの場合、注文フォームの数量欄にゼロをふたつ追加すれば問題ありませんが、腕時計の場合はそれができません。時計職人の数が足りなません。だから、新しいコレクターが増えるには時間がかかるかもしれませんが、熱意は常にあるのです。

FP Journe t shirt

興味深いことにF.P.ジュルヌの時計よりも、このBAIT x F.P.ジュルヌのTシャツを手に入れる方が難しい。このTシャツは販売されることはなく、コレクター向けのディナーで配られたものだ。

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エリック・ペン・チェン氏のストリートウェアブランド、BAITUNDEFEATEDをチェックしてみてください。HODINKEE SHOPはセイコーの正規取扱店です。