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Hands-On アキュトロンの新しいアストロノートは、宇宙開発競争の名作に実用的なアレンジを加えた腕時計だ

過去のアーカイブのリバイバルは、今に始まったことではない。だが、この時計はその裏に何か特別なものを秘めているようだ。

 ヴィンテージウォッチに飛び込んでいく楽しみのひとつに、自分の手で初めての何か発見する喜びが挙げられる。ときには、ほんの小さなきっかけから始まり、本当に特別だと思えるものに出合うまでとことん追求することもあるだろう。アキュトロン アストロノートは、私にとってそのような時計のひとつだった。

アキュトロン アストロノートの新作

 多くの人がそうであるように、私が時計について深く学ぼうと思ったきっかけは、宇宙飛行とオメガ スピードマスターだった。私が最初に読んだ時計の記事では、どうやらスピードマスターは、私が“本物の”時計愛好家になるために知っておくべき時計であることが明らかにされていたのだ。そこで私は、リファレンスの違いやどの時計がどのミッションで使われたかなど、今ではすっかり忘れてしまったことを読んで勉強したものだ。だが、その過程でNASAの宇宙飛行士が使っていたほかの時計に目を奪われ、枝分かれした道をたどるなかで脱線を重ねていた。だから、ブローバとアキュトロンが共同で宇宙をテーマにしたモデルを発表したとき、私は何が起こるのかを予測することができたのだ。

アキュトロン アストロノートとブローバ ルナパイロット

 実は、アキュトロンからアキュトロン アストロノートとブローバ ルナ パイロットという、宇宙開発の歴史を持つ時計の復刻版が発売されている。ルナ パイロットは、アポロ15号のミッションコマンダーであったデイヴィッド・スコットが1971年に月面で着用した、オリジナルモデルの精神に基づいてリメイクされた興味深い時計だ。そのオリジナルは、2015年に162万5000ドル(約2億2000万円)で落札された。だが、今日のHands-Onの時計は、私にとってはもっとエキサイティングな、新しいアキュトロン アストロノートだ。

 その昔、アキュトロン アストロノートを愛用していたのは、実は宇宙飛行士だった。しかもさらにクールなことに、そのなかでも特に優秀なテストパイロットや、スパイまでもがこの時計を身につけていたのだ。1963年5月、地球を周回するマーキュリー・アトラス9号の乗組員にアストロノートが支給された。無重力環境ではゼンマイを使った時計よりも、アキュトロン アストロノートに搭載された電池駆動のブローバ Cal.214(音叉で制御を行う)のほうが、高い重力加速度と極限の温度にさらされる飛行に適しているという仮説があったのだ(スピードマスターがその前年に、宇宙飛行に出たにもかかわらずである)。

In-Depth ブローバ アキュトロン アストロノート - CIAが史上最速の飛行機のパイロットのために選んだ時計

 Cal.214の精度の高さから、アキュトロンは有人宇宙飛行船やA-12スパイ機に搭載されるコックピットの計器盤タイマーを供給することになる。そしてアキュトロン アストロノートは、A-12とその前身であるUSA-FX-15のパイロットが着用していた。アストロノートは私にとって、宇宙開発計画のなかで最も魅力的な時計だった。なぜなら、宇宙飛行士であることよりもクールなことは何かという質問の答えは、宇宙飛行士のスパイであることだからだ。ヴィンテージアストロノートはSSベゼルやブラックの24時間ベゼルが一般的だが、デイナイトベゼルのモデルもあり、1968年の“T”は、今日復刻されている希少なモデルである。

アキュトロン アストロノートのベゼル

 外見とは裏腹に、スイス製のこの新しいアストロノートは、1960年代の電池駆動だったアキュトロン アストロノートとは明確に異なるものである。300本限定のこの新作は、独立した24時間表示を持ち、2万8800振動/時で動作し、42時間のパワーリザーブを備えたセリタSW-330を搭載している。もちろん“フライヤー”GMTであれば最高なのだが、それはそれとしてだ。

 頭を働かせてみると、電池式時計を参考にしつつ新しい機械式ムーブメントを搭載して作った復刻版はほかにあまり思い当たらない。その逆は、最近ずいぶん多くなっているように思うが。SS製のケースはオリジナルの38mm径からよりモダンな41mmに、厚さは13.85mmにサイズアップしている。しかし、アキュトロンがこのモデルをリメイクしたとき、ディテールにこだわったことがわかる、ちょっとした手がかりがあったのだ。

アキュトロン アストロノートの新作
アキュトロン アストロノートのケースバック
アキュトロン アストロノートのバタフライクラスプ

 ヴィンテージのアストロノートでは、時刻合わせをケースバックに埋め込まれたキーを跳ね上げてひねることで行っており、どの角度から見てもリューズの存在が時計の輪郭に響かないようになっていた。このモデルでアキュトロンは、ケースサイドにリューズを埋め込み、正面から見たときの美しさを保つためにベゼルの下に収めた。また、ハーフサファイアケースバックはオリジナルのキーを模しており、限定300本のうち、どの個体を所有しているかのエングレービングを入れるスペースも残されている。

アキュトロン アストロノートの新作
アキュトロン アストロノートのリューズ
アキュトロン アストロノートのブレスレット

 着用期間は短かったが、この復刻版にはさまざまな思いがある。ムーブメントにセリタを使用しつつスイスで製造することで、時計本体は厚くなり、小売価格は3500ドル(約47万円)と、期待していたよりも高くなった。この価格自体は、ムーブメントやスタイルからして、より汎用性の高いブラックベイ プロやブラックベイ GMTから遠く離れているわけではない。そして、バタフライクラスプ付きの“バレット”ブレスレットは、ヴィンテージ風のデザインと相性のいい仕上げとフィット感を有している。だが、短くとられたラグはミドルケースの高い位置にセットされており、これは時計が手首から高く離れていることを意味する。そのため、手首から離れた位置に時計が来ることになるのだが、このブレスレットがうまくバランスをとってくれているのだ。

アキュトロン アストロノートの着用カット

 私はこの時計の歴史をこよなく愛する者として、この問題に取り組んだ。製造数が少なく価格も高い復刻版は、明らかにマニアを意識して作られている。だが、そのようなマニアはオリジナルの“T”アストロノートを探して身につければいいのではないだろうか? いや、それにはいくつかの問題がある。

 まず、アキュトロンのCal.214は非常に気難しく、修理が困難だ。マッドサイエンティストと呼ばれる人々が市販の部品を集めてムーブメントを修理するだけでなく、現代の高出力電池で動くように“チューニング”し、高速で動かないようにしなければならない。しかしSW-330なら、働き者ゆえに長年にわたって簡単に修理することができるだろう。

ブローバのルナパイロット

 それから、ヴィンテージウォッチには防水性などの耐久性の心配がつきものだ。新しいアストロノートなら100m防水はもちろん、安心感も得られる。再スタートしたニバダ・グレンヒェンやヴァルカンなどの長い歴史を持つブランドがコミュニティから支持されているのは(現在、彼らのヴィンテージピースが一般に入手できるにもかかわらず)、愛好家がヴィンテージウォッチのアイデアを大切にしながらも安心して時計を身につけたいと思うことが多いことの証左だ。お気に入りのヴィンテージウィットナーを身につけるたびに思う。「これを水から遠ざけ、いつものようにドアノブに腕を振り下ろさないようにしなければならない」と。

 もし、あなたがディープな宇宙ファンで、古いものの味わいと新しいものの耐久性を求めているのなら、アキュトロン アストロノートはあなたが探している時計とぴったりかもしれない。

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アキュトロン アストロノートはHODINKEE Shopでは完売してしまいましたが、アキュトロンのウェブサイトではまだ購入可能です。また、HODIONKEE Shopではブローバ ルナパイロットのブルー&ホワイト、そしてブラックをはじめ、その他多数のアキュトロンウォッチを販売しています。また、このモデルの日本展開は予定されていません。