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In-Depth ロレックス オイスター パーペチュアルの5つのサイズを紐解く

新しいOPはキャンディカラーのダイヤルが注目を集めている。しかし、それぞれのサイズにも個性があるのだ。


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ほぼ全てのロレックスのダイヤルにプリントされている "OYSTER PERPETUAL"。 一見何の変哲もない2つの単語の組み合わせは、歴史的な意味をもつだけでなくロレックスが時計界の中心的存在であることの全てを端的に表している。ロレックスが最初に作った防水時計のケースは“オイスター”で、パーペチュアルとは、ロレックスの全ての時計に搭載されている永久的に巻き上げる自動巻きローターを意味する。文字盤に“Automatic”の文字が見当たらないのはそのためだ。記述する必要はないからである。

 根本的に、OP(オイスター パーペチュアル)はロレックスの真髄なのだ。機能的なベゼルや複雑機構、余計なエレメントは一切ない。これはただ時を告げるためにある。

 2020年後半、ロレックスは様々なカラーとサイズのOPを一挙に発表した(その詳細は記事「ロレックス オイスター パーペチュアル 36にカラフルな新文字盤登場」を読んで欲しい)。注目すべきは - 非公式に名付けられた - ステラダイヤルモデル(1970年代のデイデイトの珍しいパステルカラーを参考にしたもの)であった。新しいサブマリーナーが発表された年に、このモデルが時計界を賑わせた。

 新しいOPのラインナップは、28、31、34、36、41mmの5サイズ。しかし、全てのサイズで同じセットが手に入るわけではない。そこはロレックスなわけで、簡単にはいかない。本記事ではその違いを解き明かしてみたい。そして、噂の真相を探ってみよう。


消えていったモデルについて考える

最近ディスコンになったロレックスOP39。

 今日に至るまでに、我々は途中でいくつかの時計が失われるのを見た - 良い要素を全てあとに残していってくれた時計だ。私が話しているのは、もちろん、多くの人に愛されたロレックスのOP39という時計である。それは(少なくともそのホワイトダイヤルの構成では)完璧に近いと考えられている。それはロレックスの理想を体現したものだった。そのシンプルさからは想像できないほどの機能性と永遠性を備えていた。我々はたった2年という短い期間だけその時計を見ることができたが、鉄槌で叩き潰されたかのように、その存在は突然消えてしまった。

ロレックス オイスター パーペチュアル41とオイスター パーペチュアル39を並べて見る

ディスコンとなったOP39と、新たに発表されたOP41の違いは、記事「ロレックス オイスター パーペチュアル対決 39mm VS 41mm」で徹底解説している。

 それに伴い、ロレックスのより遊び心のあるダイヤルの選択肢もいくつか失われてしまった。ブルーマーカーのロジウムダイヤル、ピンクマーカーのレッドグレープダイヤル、グリーンマーカーのブルーダイヤルだ。前世代の34mmのOPモデルで隠れたヒットモデルだったオレンジマーカーのグリーンダイヤルもだ。

 しかし、全ての良いことには終わりがある。2020年のOPコレクションでは、ほとんどのサイズオプションが刷新され、39mmモデルは完全になくなり、新しい41mmモデルに取って代わられた。


あなたのサイズは?

ターコイズブルーのロレックスOP31(左)、ブライトブルーのOP34(中央)、グリーンのOP36(右)。

 オイスター パーペチュアルコレクションの各サイズには、注目に値する細かな違いがある。36mmと41mmのモデルは、互いに鏡で写したように似ている。サイズが異なるだけで、それぞれのアワーマーカーの先にはペイントされたスクエアが配置されている。OP 34はダイヤルにローマ数字を採用しており、このサイズならではの特徴となっている。31は、36や41と基本的に同じダイヤル構成だが、2つの点で違いがある。一つは、ペイントされたマーキングがないことだ。代わりに、全て5分間隔(時間マーカーがあるところ)に太字のハッシュマークが置かれている。二つめは、ダブルバトンマーカーではなく、シングルバトンマーカーであることだ(それについての詳細は後ほど)。28mmのOPは、アワーマーカーの位置にハッシュマークがないことで、異なる外観をもたらしている。

 31mm、36mm、41mmのモデルでは、ダイヤルの6時位置のハッシュマークの代わりにロレックスの王冠マークが付いている。一方、28mmモデルでは、2つのロレックスの王冠マークが「Swiss」と「Made」の文字の側らに配置されており、トリチウムの「T」が同様に表示されていたヴィンテージモデルを少し思い出させる。

 36/41mmモデルと他のモデルとの大きな違いは、マーカーそのもののスタイルにある。36/41mmモデルでは、3時、6時、9時の3つのマーカーがダブルになっている(文字どおり2つのマーカーが隣り合っている状態)、いわゆるダブルバトンスタイルのマーカーセットを採用している。これはOPファンの間では賛否両論あるところだ。OP 39の愛好家は、OP 41のこのチョイスを嘆いている。好みではない? それなら別のサイズを購入しよう。

 OPモデルはサイズに関わらず、あるダイヤルの特徴が共通している。ロレックスは長年、クロマライトと呼ばれる青色の発光体を用いた優れた時計を製造してきたが、OPモデルに関しては緑色のスーパールミノバを使用して製造し続けてきた。今回のリニューアルによって、お馴染みのブルーの輝きが5サイズ全てのダイヤルに施されている - その時が来たのだ。


ブレスレットのアップグレードに注目

 OP全体に、ブレスレットの技術に大幅なアップグレードがあった。過去においてOPのブレスレットは、ロレックスが提供できる必要最低限のものだった。手に取ってみると、ヴィンテージやネオヴィンテージモデルのような感覚があった。それは必ずしも悪いことではない。ただ、新型モデルのような重厚感はなかった。

 しかし、今は重厚感がある。

 これらの時計には、ロレックスが特許を取得したイージーリンク・エクステンションシステムを搭載した、フルサテン仕上げのオイスタースティール製ブレスレットが採用されている。イージーリンクは、5mm単位でブレスレットの長さを素早く調整することができる。シンプルに折りたたんでクラスプにパチッと入れ込むだけで、寒い日にはブレスレットを短くし、暖かい日には素早く緩めて長くすることが可能だ。

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飛び交う色彩

 ここから多分、話はややこしくなる。最も基本的なレベルでは、OPのダイヤルカラーは主に2色だ:ブラックとシルバーのゴールドのアクセント。ブラックダイヤルはよく知られているが、シルバーは本当に最近のものだ。サンレイシルバー仕上げと、外周やリューズに施されたゴールドアクセントとが醸し出す効果を、ぜひチェックして欲しい。その効果で、ちょっとスポーティでありながらドレッシーな時計になっている。色々な意味で、このダイヤル構成が一番OPらしい。過去からの良いものを復活させているような気がするからだ。

 ブラックとシルバーの後には、多種多様な色がやってきた。1つを選び出すことは、新しいクルマをオンラインで構成するようなものだ。全てのディテールレベルで特定の塗料が使い分けてあり、重複する色、しない色がある。そして全てサイズで、利用可能な色のオプションにわずかな違いがあることに気づくだろう。分かりやすくするために、全ての色を2つに分類してみよう。

ロレックスOP 31 ターコイズブルー(左)とOP 34 ブライトブルー(右)。

ロレックスOP 41 シルバー(左)とOP 28 ラディアントブラック(右)。

 この演習の目的にそって、我々は28/34mmを“ノンラッカー”ダイヤルと分類する。これは、ここで利用可能なカラーオプションが、ブルー、ブラック、ピンク(ローズと呼ばれる)、シルバーの全てサンレイ系の色であるためだ。

 それに対して、31/36/41mmのバリエーションを“ラッカー ”ダイヤルと分類する。サンレイオプション(これらのモデルで利用可能なもの)に加えて、こちらは色に関して本当に熱を帯びている。コーラルレッド、ディープイエロー、ターコイズブルー、グリーンなどがあるのだ。 

 話は戻るが、OP31と36にしかないラッカー塗装のキャンディピンクがある。

 深みのあるカラフルなラッカーダイヤルには誰もが夢中になるだろう。ミルガウスのオレンジの稲妻秒針のような、ロレックスの遊び心を表現している。ロレックスは、ゆるいとか楽しいという言葉の代名詞ではない。少なくとも、過去においては。しかし、これらのダイヤルを見ると、ひょっとしたらと思う。


ムーブメントについて

 そして、また分類項目は増える。新しいロレックス オイスター パーペチュアルは、2つのムーブメントカテゴリに分類される。36/41mmのモデルでは、ムーブメント技術が飛躍的な進歩を遂げた。以前のOP36(そして39)モデルでは約20年前のムーブメントが搭載されていたが、今回のモデルでは、兄弟ブランドのチューダーが自社製ムーブメントに移行した際に行ったように、ロレックスはムーブメントを大幅にアップグレードしながら、価格はわずかな上昇に抑えた。

 OP 36/41は新しいロレックス自社製Cal.3230を搭載しており、パラクロム・ヒゲゼンマイと70時間パワーリザーブのクロナジー脱進機を備える。これは、新しいサブマリーナーと同じムーブメントである。王冠は伊達じゃない。

 他の機種(28/31/34)が見劣りするムーブメントだというのは間違いだろう。そうではなく、ただ違うだけなのだ。これらの時計は、ロレックスの別の自社製キャリバーが供給されている。Cal.2232は、他にも色々な特徴をもつが、シリコン製(ロレックスの表現では、シロキシして知られている)ヒゲゼンマイを搭載している。

 私はこの2つのムーブメントの検証と、なぜロレックスが両方を並行して製造するのか理解することに多くの時間を費やした。その詳細は記事「ロレックス ヒゲゼンマイの歴史」を読んで欲しい。このブランドでは、“なぜ”といった類の質問はしない方がいいようだ。その長短所とは;両ムーブメントは共にロレックスの最高級クロノメーター(信じられない?  ダイヤルを見れば分かる)であり、同様の耐磁性を誇っている。主な違いは、その構造とパワーリザーブ(55時間と70時間)に使用される材料だが、両方とも王冠をまとう以上の価値をもっている。


各モデルごとの要点シート
OP 28: 小さな友人に挨拶を

 28mmのOPは、ロレックスのレディスカテゴリに該当する。このモデルでは、よりダイヤルカラーの選択は限定的になる。分針のハッシュマーク以外に他のマークは無く、ダイヤル上はシングルバトンマーカーのみだ。ブレスレットには、OPラインに新しく採用されたイージーリンク・エクステンションシステムを採用している。また、クロマライト夜光も施され、シロキシ・ヒゲゼンマイを採用した2232ムーブメントを搭載している。

OP 31:キャンディの味わい

 これは好奇心をそそる時計だ。28mmと34mmの間に挟まれており、シングルバトンマーカーなどの一般的なダイヤルの要素はこれらのモデルと共有している。一方で、36mmと41mmモデルと同じラッカーダイヤルのカラーオプションをもつ。また、41mmモデルにはない何かをもっている:それはホットなキャンディピンクのダイヤルだ。

OP 34: 全ての人にフィットするサイズ

 去り行くOP 39のホワイトとブラックダイヤルに惚れ込んだ人は、34mmがそれらを小型化したものなのだと分かるはずだ。ロレックスはこれをレディスモデルとしてリストアップしているが、実際には34mmのOPほどユニセックスな時計はないだろう。ダイヤルの選択肢は28mmモデルと同じだ。最近ディスコンとなったバージョンのOP 34は、39とほぼ同じダイヤルで、各アワーマーカーの上にスクエアペイントが施されていた(このデザインは現在のOP 36と41にも採用されている)。その四角形は、ここではローマ数字に置き換えられている。これは、時計を少しフォーマルにし、楽しげな感じは少し減ったが、独自の面白さとなった。全体的に見て、この時計は前モデルとあまり変わっておらず、シングルバトンマーカーもキープしている。

OP 36:ダブルバトンに飛びつく

 マーカーの話をすれば、OP 36はダブルバトンの王様だ。OP 34と同様に、この時計のデザインはダイヤルの色以外、2020年時点で特に変わっていない。しかし、その点で36mmは興味深いのだ。これは前の世代のモデルでは、無視された子供のようなものだった。ホワイトダイヤルのモデルがあったが、それは34mmや39mmのバリエーションに見られるようなものではなかった。いや、そのダイヤルは基本的に日付のないデイトジャストのようなもので、3時、6時、9時位置にダブルバトンマーカーが付いているだけだった。まあ、基本的にホワイトダイヤルは、他の色に道を譲って作られなくなったのだが。

OP 41:ビッグ・ボーイ(悪いことではない)

 OP 41は全く新しい時計だ。かつてないというか、ジェリー・サインフェルドが友人のジョージ・コンスタンツァに言ったように「前例がないんだよ、ベイビー!」ということだ(アメリカのテレビコメディ『となりのサインフェルド』より)。それは形と機能の両方で36を踏襲している。OP 34/39のダイヤルの美学を継続する代わりに、ロレックスは36と同じスタイルを選択することにした - そう- ダブルバトンマーカーだ。OP 36と同様に、新しい41mmモデルはレインボーのカラーバリエーションをもち、ファンの間で人気を博している。

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結論として

 この新しいOPの集中的なキャンペーンは、自動車のモデルチェンジとの中間的なリフレッシュのようなものだ。ボディに大きな変更はないが、新しく楽しい塗装、少し長いシャーシ、進化した機能を、基本的には私たちがよく知る大好きなパッケージに搭載しているのだ。

 しかし、このリフレッシュは、ロレックスのエントリーレベルの時計を最高にホットな商品に変えることができた。今、Instagram上では、熱心なコレクターたちが、ホワイトダイヤルのデイトナや新しいカーミットのサブマリーナーを誇示するのと同じように、“ステラ”のOPを披露しているのだ。中には、セットでカラフルなラッカーダイヤルを全てゲットしようと、ポケモン集めのようなことをやっている人もいる。

 そして、これらのモデルに関しては、男性用・女性用と区別するのは忘れたほうがいい。ロレックスは性別を問わず着けられるが(実際みんなしている)、グリーンのモデルを着用した女性を見たことがあるし、男性が堂々とキャンディピンクのモデルを着けているところも見た。これらの新しいOPは、カーラが記事「全ての腕時計がユニセックスであるべき理由」で意見を表明したように - 全てユニセックスとして販売されるべき - ということ、多くのユーザーが同意していることと示す素晴らしい指標になる。あなたはただ、好みのサイズと色を選べばいいのだ。

Photographs by ティファニー・ウェイド