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In-Depth タンクやサントスをふくむ「カルティエ コレクション」が来日 珠玉の9本を徹底解説

大阪と東京のブティックに、1911年から1996年までに製作されたカルティエの歴史的タイムピースが一堂に会する。

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「カルティエ コレクション」をご存じだろうか? カルティエでは1970年代にメゾンの歴史と芸術的な創作を後世に残すべく自社コレクションの収集を開始した。70年代以前に製作されたジュエリーやアクセサリー、そして時計が保存のために集められ、1983年に「カルティエ コレクション」として正式に創設されて以降、現在は1860年代から2000年代の作品まで幅広く収集されている。これらは作品を有形の記録として残すだけでなく、カルティエの170年を超える歴史をたどる資料としての役割も果たしている。

 現在その収蔵作品数は3500点以上を超え、世界各国の美術館も注目。1989年にパリのプチパレ美術館が最初に展示会を開催して以降、ニューヨーク・メトロポリタン美術館(1997年)、ロンドン・大英博物館(1998年)、モスクワ・クレムリン美術館(2007年)、北京・紫禁城内故宮博物院(2009年と2019年)、パリ・グランパレ美術館(2013〜2014年)、キャンベラ・オーストラリア国立美術館(2018年)、東京・国立新美術館(2019年)と、世界有数の文化機関で展示されてきた。

 そんな貴重な「カルティエ コレクション」のなかから選び抜かれた9本の歴史的なタイムピースが、この度東京と大阪、2つのカルティエ ブティックでの展示のために日本に上陸を果たした。美術館などでの展示以外でコレクションが持ち出されること自体も珍しい。

 一体、どんな作品が日本に上陸したのか。今回はカルティエの協力を得て、撮り下ろし写真とともに9本の貴重な時計の詳細を紹介したいと思う。


1911年製 「トノー」ウォッチ

 現行コレクションとほぼ変わらぬスタイルを持つ「トノー」ウォッチ。初期の量産型腕時計として製作され、カルティエウォッチのアイデンティティでもあるリューズに配されたサファイアカボションの先駆けともなった。ファーストモデルの誕生は1906年だが、これは1911年にカルティエ パリで製作されたもの。現行モデルのダイヤルには繊細なサンレイエフェクト装飾を採用しているが、こちらの個体ではダイヤル中心部から外側に向かって放射状に広がるソレイユギヨシェ彫りが施されている。

18KYGケース(46×26×6mm)、サファイアカボション、ムーブメント:ルクルト製ラウンド型手巻きCal.126、コート・ド・ジュネーブ装飾、ロジウム仕上げ、8ポジション調整、18石、スイス製レバー脱進機、バイメタルテンプ、ブレゲひげゼンマイ。


1916年製 「サントス」ウォッチ

 「サントス」ウォッチはルイ・カルティエが友人のアルベルト・サントス=デュモンのために作ったとされているカルティエを代表するコレクションの一つ。1904年にプロトタイプが完成し、市販化されたのは1911年頃と言われている。こちらは1916年、カルティエ パリ製。当時としては珍しいプラチナと18KWGをケースに使用している。ビスを打ったベゼル、流麗なフォルムを持ったスクエアケースなど、今見ても極めてモダンである。

プラチナ、18KWGケース(34.4×24.7mm)、サファイアカボション、ムーブメント:ルクルト製ラウンド型手巻きCal.126、コート・ド・ジュネーブ装飾、ロジウム仕上げ、8ポジション調整、18石、スイス製レバー脱進機、バイメタルテンプ、ブレゲひげゼンマイ。


1921年製 「タンク」ウォッチ

 1921年製の「タンク」ウォッチ。戦車を上から見た様子に着想を得てデザインされ、1917年に生まれた「タンク」。ケースを一体化させ直線的なラグのデザインなど独特のデザインコードはアール・デコの様式、精神性を具現化させた先駆けとなった。「タンク ルイ カルティエ」が登場する前のもので、1917年に生まれた当時はスクエアに近かったフォルムが、「タンク ルイ カルティエ」が誕生する1922年に近づくにあたってケースの縦サイズが伸びはじめる。この個体はその変遷が示す貴重なピースだ。「タンク」といえば数多の著名人に愛され続ける名作として知られているが、この個体はインドにかつて存在した旧ラジピプラ王国のマハラジャに販売されたもので、ケースの両サイドにブラックエナメルが施されている。カルティエ パリ製。

18KYGケース(30.7×23.1mm)、ブラックエナメル装飾、サファイアカボション、ムーブメント:ルクルト製ラウンド型手巻きCal.123、コート・ド・ジュネーブ装飾、ロジウム仕上げ、8ポジション調整、19石、スイス製レバー脱進機、バイメタルテンプ、ブレゲひげゼンマイ。


1936年製 「トーチュ」シングルボタン クロノグラフ

 1913年に誕生した亀の甲羅の形をした「トーチュ」ウォッチにシングルボタン クロノグラフを載せたもので、これはカルティエ  ニューヨークで販売された。加えてこの個体は、ロングアイランド電灯会社(LILCO)の創設者エリス・ローリモア・フィリップス(Ellis Laurimore Phillips)と彼の妻キャサリン(Kathryn)が、1942年に21歳の誕生日を迎えた息子エリス・ローリモア・ジュニア(Ellis Laurimore Junior)に贈ったもので、ケースバックに“ELLIS L. PHILLIPS JR TWENTY FIRST BIRTHDAY 1921-1942”の文字とシグネチャーが刻印されている。

18KYGケース(35×28×9mm)、ムーブメント:ルクルト製シングルボタン手巻きクロノグラフ、コート・ド・ジュネーブ装飾、ロジウム仕上げ、2ポジション調整、25石、スイス製レバー脱進機、バイメタルテンプ、ブレゲひげゼンマイ。


1972年製 「ペブル」ウォッチ

 1970年代にカルティエ ロンドンが製作したモデル。一見するとクラシカルなラウンドシェイプのケースは薄く、小石(pebble)のような形状を持つ。ペブルという名はその形状が由来だ。ラウンドケースにロザンジュダイヤルを合わせた幾何学的なスタイルに、ペイントされたローマ数字やサファイアカボションのリューズなどカルティエのアイデンティティが凝縮されている。総生産数はわずか6本(18KYGが5本、18KWGが1本と言われる)と推定される非常に希少なモデルのうちの1本で、初来日した。

18KYGケース(35.5mm)、サファイアカボション、ムーブメント:ルクルト製ラウンド型手巻きCal.838、コート・ド・ジュネーブ装飾、ロジウム仕上げ、18石、スイス製レバー脱進機、バイメタルテンプ、平ひげゼンマイ。


1981年製 「サントス ドゥ カルティエ 」

 1978年に発表された、「サントス」ウォッチがスポーティデザインへと大きく変わることになったマイルストーンモデル。デザイン的特徴であるビスをあしらったブレスレットが初めて採用され、のちに「ガルベ」としてリデザインされる原型となった。また、リューズトップもサファイヤカボションではなくブルーファセットカットスピネルに変更。それまで一貫して貴金属を使用していたケースはSS製となったが、18KYG製のベゼルとブレスレットのビスが華やかさを添える。この個体自体は1981年製。

18KYG、SSケース(41×29mm)、ブルーファセットカットスピネル、ムーブメント:ラウンド型自動巻き、日付表示、ロジウム仕上げ、17石、耐震装置、スイス製レバー脱進機、モノメタルテンプ、平ひげゼンマイ。


1991年製 「クラッシュ」ウォッチ

 400本限定で1991年に復刻したモデル。「クラッシュ」ウォッチはアクシデントによって思いがけず変形してしまったカルティエウォッチを、カルティエ ロンドンがデザイン表現として取り入れたことから1967年に誕生した。ロンドンで生まれたモデルでダイヤルに“London”の文字がプリントされたものが有名だが、この個体は“PARIS”表記のカルティエ パリ製。これまでコレクターの関心はコレクションが誕生した当時の初期モデルなどが中心だったが、同じ1990/91年に製造された“ロンドンダイヤル”モデルはオークションで高値をつけた。比較的新しいポストヴィンテージ・カルティエに対する関心の高まりを示す好例である。

18KYG、PGケース(38.5×22.5×7.2mm)、サファイアカボション、ムーブメント:オーバル型手巻き、コート・ド・ジュネーブ装飾、ロジウム仕上げ、17石、スイス製レバー脱進機、モノメタルテンプ、平ひげゼンマイ。


1995年製 「クロシュ」ウォッチ

 非対称のケースフォルムを持つ「クロシュ」ウォッチがカルティエの歴史に初めて登場するのは1920年。クロシュとは“鐘”のことで、時計水平に置いたときのフォルムが卓上ベルを思わせるため名付けられた。1998年から2008年までカルティエが展開していた「コレクション プリヴェ カルティエ パリ(通称、CPCP)」にもクロシュは存在する、この個体はCPCPがスタートする直前の1995年のもの。200本限定で製造された。CPCP版では“CARTIER”と“PARIS”の表記がすぐ近くにプリントされたが、こちらは12時側と6時側に分けてプリントされている。またダイヤルには、ヴァーグギヨシェ掘りが施される。

18KYG、PGケース(33.2×25mm)、サファイアカボション、ムーブメント:ラウンド型手巻き、コート・ド・ジュネーブ装飾、ロジウム仕上げ、5ポジション調整、18石、スイス製レバー脱進機、モノメタルテンプ、平ひげゼンマイ。


1996年製 「タンク アシメトリック」ウォッチ

 軸をずらしたダイアルが独創的なスタイルが印象的な「タンク アシメトリック」ウォッチ。初登場は1936年だが、このモデルは1996年に300本限定で作られたうちの1本で、貴重なシリアルナンバー1の個体だ。「クロシュ」ウォッチ同様、ダイヤルにはヴァーグギヨシェ掘りが施されており1998年にスタートするCPCPとして作られた「タンク アシメトリック」ウォッチとよく似ているが、この個体はその直前にあたる1996年に製造(18KYGモデルが300本、プラチナモデルが100本限定でリリース)されたものだ。

18KYGケース(46.2×23mm)、サファイアカボション、ムーブメント:ラウンド型手巻き、コート・ド・ジュネーブ装飾、ロジウム仕上げ、18石、耐震装置、スイス製レバー脱進機、モノメタルテンプ、平ひげゼンマイ。

 今回のブティックでの展示では、記事で紹介した歴史的にも非常に重要な9本を実際に見ることができる。現在まで脈々とデザインコードが受け継がれるアイコニックなコレクションの原点や独創的なスタイルを持ったレアモデルがそろう機会はそうないだろう。阪急うめだ本店のブティックでの展示はすでにスタートしているが、この機会に貴重な「カルティエ コレクション」の世界を覗いて見てはいかがだろう。

© Cartier


展示スケジュール

【大阪】
期間:2021年11月3日(水)〜11月16日(火)
場所:阪急うめだ本店6階 カルティエ ブティック

【東京】
期間:2021年11月19日(金)〜11月30日(火)
場所:カルティエ 銀座ブティック

Photos:Yoshinori Eto