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カラハリ砂漠の真ん中に洪水時には5791mile²(約1万5000km²)におよぶ植物が生い茂る緑のオアシスがある。そこは世界最大の内陸デルタであり、また5大獣類のサイ、ゾウ、ライオン、バッファロー、ヒョウの生息地でもある。さらには400種を超える鳥類も生息している。そのような場所は地球上のどこにもなく、それがユネスコの世界遺産に登録された理由でもある。そこは“カラハリのエメラルド”と呼ばれている。
オカバンゴ・デルタの様子だ。
6月から8月にかけて洪水のピークを迎えるこのデルタ地帯には数百マイル先から野生動物が集まり、動植物の巨大な生息地を形成する。世界中から観光客がこのデルタを訪れ、さらに地元の5つの民族はデルタによってもたらされる恵みを受けて生活している。
草の生い茂る数千もの島々がデルタを構成する。沼地やラグーン(潟湖)により、デルタの大部分は陸路で行くことは不可能だ。2011年以前は緊急医療や緊急の空輸を必要とする人は隣りの南アフリカからの航空機を待たなければならなかった。ボツワナには地域社会や観光客にこうしたサービスを提供するために必要な資源がなかったからだ。
そこで2011年、スイスのクリスチャン・グロス(Christian Gross)氏とミーシャ・S・クルック(Misha S. Kruck)博士がオカバンゴ・デルタに航空医療資源を提供する組織を立ち上げた。10年後、オカバンゴ エア レスキュー(O.A.R.)はピラタスPC-12固定翼機とベル ジェットレンジャー 206 III ヘリコプターをそれぞれ2機運用するようになった。当初は航空搬送に特化した組織としてスタートしたが、現在は航空医療事業と並行して総合病院も運営することを通じ、一般医療を提供する組織として成長している。この組織は医師、パイロット、看護師、救急救命士、事務スタッフで構成され、そのほとんどがボツワナ出身者である。現在までに約2万人の患者が総合病院で治療を受け、治療を求めるおよそ1500人がO.A.R.の航空医療サービスで航空搬送されている。もし患者が援助にかかる費用をカバーする保険に加入していない場合、O.A.R.はその費用を免除している。
そしてオリスはオカバンゴ・デルタに医療資源を提供するO.A.R.の10周年を祝う時計を作った。
この限定版のビッグクラウン プロパイロットはオカバンゴ エアレスキュー リミテッド エディションと名付けられ、このデルタの深い緑色の色合いを映し出したダイヤルが特徴である。ダイヤルの色合いにはフュメ模様に似たわずかなグラデーションも施されている。2021年にはグリーンのダイヤルを持つ時計は目新しいものではなくなり、誰もがその流れに乗っているが、私はアフリカの七つの自然の驚異のひとつに倣って作られたダイヤルは見たことがない。オリスの多くの時計と同様、この時計の強みはオリジナリティと利他主義のユニークなブレンドに由来している。
ダイヤルはこの時計のために特別に作られたものだ。私はそれを初めて見たとき、すぐにその関連性を理解できたし、それは頭を悩ませるような抽象的なものではない。このダイヤルを見ることは、パイロットの視点からオカバンゴ・デルタを見下ろすこととよく似ているに違いない。
裏蓋にはデルタ上空を飛行するO.A.R.のピラタス PC-12のエングレーブが施されている。この時計は2011本生産され、収益の一部はO.A.R.の運営費に充てられることになっている。それはこのデルタ地帯の孤立した地域社会に対し、貴重な救命支援を提供し続けることに役立てられる。
時計には、 エリカ社製オリジナルのカスタムストラップとNATOレザーの2種類のストラップが付属している。エリカ社製のストラップは最高のつけ心地で、まさにO.A.R.のパイロットとしての任務のときに身につけたくなるようなものである。頑丈で、ほとんどの人にフィットし(伸縮性に富んでいる)、クラスプのメカニズムもしっかりしている。ビッグクラウン プロパイロットは回しやすい切削加工のリューズやこのシリーズならではのベゼルにフライス加工された美しいフルーテッドパターンを備えた分厚いケースなど、その用途に適した機能的なデザインが満載である。オリス独自のフルーテッドベゼルはプロパイロットXで採用したようにチタン製でもすばらしいが、41mmのステンレススティール製ケースでも同様にしっくりくる。立体感あふれる大きなアラビア数字がダイヤルに浮かび上がり、ビッグクラウン プロパイロットラインの最大の強みである視認性が際立っている。質感あふれる明るいダイヤルで、数字のシンプルさがうまくバランスをとっている。針はホワイトで夜光塗料が塗られ、明るいグリーンのダイヤルに適度なコントラストを与えている。
オカバンゴ リミテッドエディションは、オリスのCal.751(セリタの220-1)を搭載した時刻と日付を表示するシンプルな時計である。オリスには自社製のCal.400があるが、私はこの時計に関してCal.751を搭載したことを評価する。なぜなら、それによりコストを抑え、この時計がより多くの人の手に届くようにしたからだ。これはできるだけ多くの人に航空医療サービスを提供するというO.A.Rのミッションと通ずるものがある。価格は30万8000円(税込)で、O.A.R.の設立年にちなんで2011本限定となっている。
私はオカバンゴ・デルタに行ったことがないが、だからこそオリスが日常的に行っていることはとても興味深い。オリスはこの業界で誰もやらないようなテーマにスポットライトを当てている(オリスは私にワッデン海も紹介してくれた)。また、オリスはほかの2つの航空医療組織、レガ(スイス航空救助隊)およびオーストラリアのロイヤル・フライング・ドクター・サービスとも提携している。それは概念的なものばかりではなく、これらの組織の収益を上げ、彼らが行っている重要な仕事を継続するのに役立つという実用的な要素もここにある。このO.A.R.ウォッチは自分の手首につけたいと思う魅力的で斬新な時計を製造しながらも、航空医療サービスのような無くてはならないものを恵まれない地域社会に届けるために時計がどのように支援できるかを示す興味深い例なのだ。
時計の詳細は、オリス公式サイトをクリック。
Photography by Alex Goodlett
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