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Hands-On IWC 新作ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダーで核となるデザイン言語と最新ケースを融合

ブランドは可能な限りのわずかなスペースを活用して、パーペチュアルカレンダーに求められる(止まることなく、休むことなく、ひたすら動き続ける)ムーブメントを備えた新しいポルトギーゼを発表した。

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次のうるう年まであと4年ある。つまりそれ相応の準備ができる時計を探すのに数年の猶予があるということだ。IWCはこの競争にいち早く参入したブランドのひとつである。実際、うるう日に彼らの新しいパーペチュアルカレンダーをプレビューすることができた。それは記念すべきことだったが、今週初めまで投稿することができなかったので、もうひとつのIWC パーペチュアル・カレンダーを先に紹介した。パテックに次いで、IWCはパーペチュアルカレンダーと最も縁の深いブランドである。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 伝説のクルト・クラウス(Kurt Klaus)という天才のおかげで、IWCは1985年にダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダーでコンプリケーションレースに飛び込んだ。そこから、時計は飛躍的に発展し、パーペチュアルカレンダーのみならずスプリットセコンドクロノグラフ付きのパーペチュアルカレンダーへと進化。その後もミニッツリピーター、最終的にはトゥールビヨンと、次々と複雑機構を搭載していった。だからもしIWCが、パーペチュアルカレンダーについて語るのであれば、それにはきちんとしたリスペクトが必要だ、と言ったら失礼だろうか。

 IWCがそうであったように、ポルトギーゼのラインナップには手ごろな価格の(そして日常使いにふさわしい)時刻表示のみのモデルやクロノグラフモデル、“ビッグブラザー(特段高価で優れた)”なエターナル・カレンダーまで、実に多くのSKUが用意されているため、“普通の”パーペチュアルカレンダーが影を潜めるのは当然だろう。実際、私がポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダーは少し“ミドルチャイルド症候群”を抱えていて、注目に値すると考えたのはエターナル・カレンダーのせいでもある。実際プレビューでそれらを見た際、非常に素晴らしい見た目であり、彼らは日の目を浴びるにふさわしいと感じて撮影に余分な時間を費やしたほどだ。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 新しく追加されたポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダーは、3・6・9時位置にインダイヤルを配した42mm径のモデルで、数年前にリリースされたQuantieme Perpétuel(フランス語でパーペチュアルカレンダーの意、別名QP)より“伝統的”なダイヤルレイアウトを持つ。これにより、42mmながら、ポルトギーゼのようなドレスウォッチにふさわしい、よりフォーマルな雰囲気を与える。ただ率直に言って、それは私が愛してやまないIWCの象徴的なレイアウトではない。確かに、下のような伝統的な色の組み合わせ(アーマーゴールドとホワイトラッカー文字盤)もあるが、IWCはもう少し遊び心のあるオプションをいくつか用意している。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 この新しい時計には親しみを感じるはずだ。以前あった44mm径のRef.IW503302 ポルトギーゼと、2018年モデルのRef.IW503406 ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダーのビジュアルの中間に位置し、そこに加えられた12時位置の北半球と南半球のダブルムーンフェイズに目を引かれる。昨年発表されたレイク・タホのようなビッグ・パイロット・パーペチュアル・カレンダーで見慣れた文字盤だ。一般の読者にとって共通の知識ではないかもしれないが、このデザインの大きな部分は、ポルトギーゼ QP42にはない、北半球と南半球の両方を追跡するデュアルムーンフェイズディスプレイにある。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 ポルトギーゼ QP44の最大の難関はサイズだろう。44mmとすでに大振りだし、14.9mmとなるとだいぶ厚く感じる。しかし、ケースは完全に作り直されている。ケースリングはスリム化しており、サイドから見たときのルックスを細くしながら、厚みの一部を前後のダブルドーム型サファイア風防へと移動させ、より大胆なダイヤルディスプレイとミリ単位のスペースを最大限に活用した、ムーブメントのスペースを確保している。これはパテック 5070ではなく、本質的には“トミーボーイ”を覆す“巨大なコートを着た細い男(実際には必要以上に大きく見えるが、中身はそれほどではない)”のような時計である。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 とはいえ、文字盤がケースの端から端までほぼつながっており、またベゼルがほとんどなく、ダブルドーム型のサファイア風防が視認性を高めているため、手首(それと体感サイズ)が大きく見える。その代償として、Cal.52616ムーブメント(最近のIWC QPシリーズにも搭載されている)に搭載されたツインバレルにより、約7日間のパワーリザーブが確保されている。パーペチュアルカレンダーを所有していない私でも、理論上、より長いパワーリザーブは大きなプラスであることは知っている。ゼンマイがほどけきって時計をセットし直さなければならないリスクが少なくなるからだ。IWCはこの問題を非常にシンプルにしており、同ムーブメントはリューズを通してのみ設定が可能だ。またケースサイズを大きくすることで、577.5年の精度を誇るムーンフェイズも実現した。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 金無垢ローターを備えたペラトン自動巻き機構は、実用性と高級感を兼ね備えている。その一部は、裏側にある大きなブラックセラミックの歯車によるものだ。確かに、ムーブメントにはアングラージュが施されている。しかし、少し手ごろな価格の素材でケーシングされ、貴金属に入れられたムーブメントの場合、価格に対する仕上げのレベルが異なることがよくある。この批判は、シースルーバックのプラチナ製ロレックス デイトナの新モデルでも同じように、あるいはそれ以上に目にすることになるだろう。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 私はIWCのパイロット・ウォッチのほうに引かれるかもしれないが、新しいポルトギーゼのダイヤルは一貫して非常に魅力的である。文字盤は15層からなる透明なラッカーでできていて、それを細かく研磨したあと、光沢仕上げを施している。サブダイヤルは真鍮とラッカー層から削り出され、インデックスは手作業で植字されている。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 最後の質問だ。基本的に、どのバージョンが一番好きか? アーマーゴールドのケースに入ったオブシディアンダイヤルはかなり印象的だ。若いコレクターは、かつての古いパテックのようなものに、ブラックとゴールドの組み合わせがいかに象徴的(そして希少)であったかを懐かしむかもしれない。その一部を感じることができるかもしれないが、明らかにカラトラバよりも賑やかである。ここで、私たちが正式に紹介していないひとつのモデルについて話す、最適な瞬間が来た(下の写真)。IWCはまた、前述した色の組み合わせでのみ、9時位置にデイ/ナイトの球体表示を備えたクールな新しいトゥールビヨンを発表した。ケースサイズは42.4mm径×10.8mm厚で、同じく超強力なアーマーゴールド(5Nゴールドより硬い)を採用している。さらに重要なのは、新しいCal.81925ムーブメントを搭載しつつ、価格が1155万円)であることだ。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

 2番目に選んだのは、ホワイトゴールドのケースに入ったデューンダイヤルである。映画『デューン砂の惑星(原題:Dune)』というダジャレを入れるのはお任せするが、砂のように柔らかい雰囲気のダイヤルは、オールホワイトの代わりとして素敵な選択だ。もしかするとエターナル・カレンダーでも適用できたのかもしれないが、まだ少しフラットな感じがする。これで、この時計に対する最後の不満が残った。貴金属製のケースのため、新しいポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダーは安くない。アーマーゴールド製で660万円、WG製で676万5000円だ。もちろん、パーペチュアル・カレンダーもある(それを作るのは簡単ではないし、ましてやIWCのスケールを鑑みると)。しかし、その価格は一部の顧客には受け入れがたいかもしれない。これまでのモデルは、必ずしも流通市場での価値を維持しているとは言えず、新作にかなりの額を支払うという状況に直面した場合、代わりにグレーマーケットのディーラーへと進んでしまうかもしれない。新しい時計に行われたすべての改良が、購入者にとって知覚される価値を作り出すのに十分かどうかは、時間が教えてくれるだろう。

IWC Portugieser Perpetual Calendar

IWC ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー。Ref.IW5037、ケース径44.4mm×厚さ14.9mm、18Kホワイトゴールド製、ホライゾンブルーまたはデューン文字盤。18K5Nアーマーゴールド製ケース、オブシディアン文字盤またはシルバーメッキ文字盤。いずれも50m防水。ゴールド針。ペラトン自動巻きCal.52616搭載、時・分表示、パーペチュアルカレンダー(日付、曜日、月、4桁の西暦表示)、北半球と南半球のデュアル永久ムーンフェイズ表示。ハッキング機能付きスモールセコンド、ねじ込み式リューズ、約7日間パワーリザーブ、2万8800振動/時。サファイア製ダブルボックス風防、両面反射防止加工。サントーニ社製ブラックアリゲーターストラップ。価格はアーマーゴールド製が660万円、ホワイトゴールド製が676万5000円(ともに税込)