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Hands-On 小さなアイデアから生まれたIWCのポルトギーゼ・ハンドワインド・トゥールビヨン・デイ&ナイトは、いかにしてひとつのコレクションとして確立したか

2024年にIWCが発表した最も興味深い時計のひとつは、コレクションのなかで唯一の存在だった。

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IWCは今年も多くの時計を発表した。ロレックスのように、広範なコレクションのなかから多くのSKUをリリースするのとは対照的に、IWCはそのアプローチにおいてはるかに慎重であることが多い。これはいつ何時でも、スイスとドイツのブランドを表現するのに適切な方法である。

 昨年、インヂュニアが数種類のバリエーションで展開された。今年は、人目を引く美しいカラーコンビネーションの素晴らしいポルトギーゼを数多く発表し、ブランドはさらに勢いを増した。そのうちのひとつが、気の遠くなるような複雑なエターナル・カレンダーだ。主要モデル(パーペチュアルカレンダー、クロノグラフ、タイムオンリーモデル)はダイヤルカラー違いで提供される。しかし私が最も驚いた(かつ一番興味深かった)のは、新しいポルトギーゼのラインナップのなかで、単独で存在していたトゥールビヨンである。黒(とゴールド)でさえあれば、どんな色でも選ぶことができる。

IWC Portugieser Tourbillon Day/Night

 新しいポルトギーゼ・ハンドワインド・トゥールビヨン・デイ&ナイトは、トゥールビヨンを搭載したポルトギーゼシリーズの長い系譜を継承している。コレクション自体は多くの時計ファンに愛されており、しばしば時計を知らない人がIWCに足を踏み入れる入口にもなっている。クラシカルなデザインで、シンプルながらも大胆であり、時計として十分に存在感がありながらも、圧倒的すぎることはない。ケースには少し手が加えられており、前面と背面にはダブルガラスボックスのクリスタルが付いている。サイズは42.4mm径×10.8mm厚で、決して小さくはない。IWCは注目を集めたり、新しい技術成果を試すためにサイズを大きくすることをためらわないが、大きすぎて着用できないということもない。

IWC Portugieser Tourbillon Day/Night
IWC Portugieser Tourbillon Day/Night
IWC Portugieser Tourbillon Day/Night
IWC Portugieser Tourbillon Day/Night

 実はIWCのプレスプレビューで写真を撮っているときに、この時計を見過ごしてしまいそうになった。その代わり、私の目はパーペチュアルカレンダーの18Kアーマーゴールドと“オブシディアン”ラッカーダイヤルの組み合わせに引かれた。何層にも塗り重ねられたラッカー文字盤は、サンレイパターンに仕上げられ、直射日光を受けると光を放ち、その影は深いダークブラックに染まる。ゴールドメッキの針や装飾が施された、トゥールビヨンの兄弟機のようなものだ。パーペチュアルカレンダーの文字盤は、その複雑さが私の心を圧倒することはなかったが、ゴールドとブラックのコンビネーションは非常に魅力的であった。トゥールビヨンを搭載した過去のポルトギーゼは、シンプルなものから複雑なもの(ポルトギーゼ・トゥールビヨン・レトログラード・クロノグラフなど)までさまざまあったが、このモデルはその中間に位置しており、文字盤のデザインは私を戸惑わせた。この予想外な非対称デザインは、これをもっと近くで見たいという気持ちを抱かせた。

 トゥールビヨン自体はどちらかというと、時代錯誤的でほぼ必要のない技術を誇示するのみで、せいぜい文字盤をアクティブに動かしておもしろさを維持するという程度である。このモデルには、視覚的なアクセントを高めるもうひとつの要素、デイ/ナイト表示がある。針を動かすと、設定した時刻が午前と午後のどちらであるかを表示してくれるものだ。文字盤9時位置にあるその小さな丸いボールは、ダークブラックまたはゴールドの地球に分割されている。アーノルド&サンのルナマグナをほうふつとさせるデザインだが、今回の場合、球体はムーンフェイズではない。

IWC Portugieser Tourbillon Day/Night
IWC Portugieser Tourbillon Day/Night

 この複雑機構はIWC製Cal.81925の手巻きムーブメントによって駆動し、振動数は2万8800振動/時、パワーリザーブは約84時間である。サファイア製のシースルーバックをとおして同ムーブメントを見ることができるのだが、ジュネーブストライプが円形に施されており、その構造に動きを与えているのがわかる。しかし良質なストーリーを好む私は、IWCのチームがこの新しいムーブメントについて話してくれた逸話に、心を奪われずにはいられなかった。

IWC Portugieser Tourbillon Day/Night
IWC Portugieser Tourbillon Day/Night

 新しいポルトギーゼ・ハンドワインド・トゥールビヨン・デイ&ナイトのデザインアイデアは、このブランドの(現在は元)見習い時計師の提案から生まれたものである。IWCのような歴史ある大手ブランドの若き時計職人が、ブランドの新たな複雑機構の可能性のために手を挙げているところを想像してみて欲しい。そしてブランドが最大のコレクションのひとつをリニューアルする一環として、その複雑機構を独立した柱として開発・導入する計画があると知ったときの反応について考えてみる。耳を傾ける気があれば、素晴らしいアイデアはどこからでも生まれるという証拠である。

IWC Portugieser Tourbillon Day/Night

IWC ポルトギーゼ・ハンドワインド・トゥールビヨン・デイ&ナイト、Ref.IW545901。直径42.4mm、厚さ10.8mmの18Kアーマーゴールド製ケース、6気圧防水。6時位置にフライング・ミニッツ・トゥールビヨン、9時位置に地球儀を模したデイ/ナイト表示。手巻きムーブメントのIWC自社製Cal.81925搭載。2万8800振動/時、パワーリザーブ約84時間。両面反射防止加工を施したドーム型サファイア風防。サントーニ社製ブラックアリゲーターストラップ、18Kアーマーゴールド製フォールディングクラスプ。価格は1155万円(税込)