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November 24, 2020
November 24, 2020
Interview 藤原ヒロシが手掛けたFRAGMENT×BVLGARI ブルガリ・ブルガリ 日本限定モデルについて本人インタビュー

Interview 藤原ヒロシが手掛けたFRAGMENT×BVLGARI ブルガリ・ブルガリ 日本限定モデルについて本人インタビュー

今年は“ブルガリ・ブルガリ”の前身となった“ブルガリ・ローマ”誕生45周年に当たる。その節目を飾る限定モデルについて藤原氏に話を伺った。

ブルガリが藤原ヒロシ率いるフラグメントとコラボレーションした日本限定ウォッチ「FRAGMENT×BVLGARI ブルガリ・ブルガリ 日本限定モデル」が発売された。アイコンである“ブルガリ・ブルガリ”をベースに、サンドブラスト加工を施したSSケースと、ベゼルの上下には“BVLGARI”と“FRGMT”の刻印が並ぶ。そしてインデックスも省いたミニマルな漆黒文字盤にマッシブな存在感が際立つ。今年は“ブルガリ・ブルガリ”の前身となった“ブルガリ・ローマ”誕生45周年に当たる。その節目を飾る限定モデルについて藤原氏に話を伺った。

ブルガリとしては珍しいNATOベルト。藤原さんもこの仕様が通って驚いたとか。

 ブルガリと藤原ヒロシ。バッグやアクセサリーでのコラボレーションはすでに発表されているが、時計は今回が初の試みだ。まずはブランドへの印象から取材は始まった。

 「ブルガリってハイエンドのジュエリーブランドだったので、僕に何かできるという感じはそれまであまりなかったんです。でも話をしてみると印象が変わった。ブルガリも何かこれまでと違う、新しいことをやりたいということが伝わりました。僕はわりとストリートっぽいといわれるんですが、そういう人たちをブルガリに引き寄せるというよりも、むしろブルガリファンや興味を持っている人たちに向けて、新たなチョイスを増やすという方向性で考えたのです」

 とはいえ歴史あるブランドとのコラボレーションとあって、通常のクリエーション以上に留意することもあったのではないだろうか。

 「それは本当に探り、探り(笑)。あまりやり過ぎてもいけないし、とはいえ以前と変わらなかったらつまらない。でも僕自身、自分がやりたいものを絶対に作り上げたいというよりは、せっかくのコラボレーションなので相手のやりたいことを尊重しながら、着地点に落ち着くほうがいいと常々思っています。とくに今回の時計はその両者の、丁度いい中間地点になれたと思います」

 ブルガリ・ブルガリをベースモデルに選んだ理由については、自分にとってこれが一番ブルガリの時計らしかったから、と答える。

 「いろいろアーカイブも見せていただいて、じつはデジタルもすごくやりたくて。すでに45年前のブルガリ・ローマであったんですね。あれもすごくカッコ良かった。僕らの世代、とくにバブル時代のお金持ちはみんなブルガリ・ブルガリをしていた感じがします(笑)。その僕自身の印象を変えることができるんじゃないかと思って。そういった意味ではしっかり反映できた時計だと思います。バブルっぽさがなくなった(笑)」

 実際に手にすれば魅力を実感するだろう。渋いガンメタになったことで、シリンダーケースにストレートラグを組み合わせたミリタリーウォッチの印象を感じる。“ブルガリ・ブルガリ”がこんなに男っぽい時計とは思わなかった。

  まずオリジナルの良さを絶対なくさないということ。その上で、今回ならバブルっぽさというかドレッシーさを削り落としたらどうなるか。ダイヤルもいろいろ変えて、ルミナスを付けたりもしたんですが、すべてなくしたらきれいだなぁと思いました。アイディアはいろいろあって、なかにはシンボルであるベゼルの刻印をなくしてみたり、赤いサファイアクリスタルの風防にしてみたり」

ご本人が着用した、ブルガリ・ブルガリ。

 こうした提案に対し、ブルガリサイドが検討し、互いに協議を重ねた。そんな藤原氏のクリエイティビティに対して、ウォッチデザインセンターのディレクター、ファブリツィオ・ボナマッサ氏も思わず微笑んだに違いない。

 「よく見るとベゼルの端にポリッシュがされていて、ここなんかはデザインチームのアイディアですよ。さりげなく高級感が残ってますね(笑)。そういうのはブルガリっぽいし、サンプルが上がってきて、丁度いいバランスだと僕も思いました。その一方で、NATOストラップをよく許してくれたなと。ブルガリってやっぱりナイロンとか使わないブランドだと思い込んでいたから(笑)。でもこうすることで、武骨さと力強さがより際立ったし、結構インダストリアルにも見えますね」

 藤原氏は時計愛好家としても知られ、コレクションだけでなく、コラボレーションした時計も少なくない。ご自身にとって時計の魅力とはどこにあるのだろう。

 「身に着けられるというのが一番ですね。時計に洋服を合わせるというのは、僕はまったくしないんですよ。その時のランダムな感じも結構好きで。時計って周囲にわからなくてもとんでもなくレアだったりする。普通の格好でそういうのをつけるのも面白いし、アンバランスな感じも含めて、極めて個人的に楽しめるんですね」

 これまで手がけてきた時計を振り返ってみても、ドラスティックに変えるのではなく、オリジナルを崩さず、微差で自分らしさを加えてきたことがわける。でもその微差によってまったく違う個性が引き出されるのだ。

 「ええ、でもそれは元の時計が完成されているからというのもありますね。引き出すというのもおこがましいですけれど、後は時代感のようなタイミングだったり。それに時計は洋服なんかと違って変えられる部分が少ないんです。普通は色を変えるとか表面を変える程度で、後はどこまでそこを踏み込めるか。その点でも今回のブルガリは割と踏み込めたと思います」

 さまざまなコラボレーションでも知られる藤原氏だが、ジャンルに限らず、パートナーを組む上で大切にしていることや、その基準はあるのだろうか。

 「それはよく聞かれるんですが、基準なんてないんですよ。その時のインスピレーションというか。とくにブルガリもいままで自分では使ったこともなく、しかも最初はレディースのコレクションでした。やったことがないし、全然違うエリアだけど、もしかしたら面白いものができるんじゃないか。そう思ってスタートしたわけです。でもその方がやりがいがあるんですよね。違和感のあるコラボレーションというか」

 それにしてもこの時計を見ていると、藤原氏が本当に時計好きだということが伝わってくる。そして気負うことなく、ガシガシと普段使いする姿が思い浮かぶようだ。

 「本当ですか。ありがとうございます。それが一番嬉しい褒め言葉です。今回ブルガリだけではできないような発想だったり、デザインを注ぐことができたので良かったなと思います。そこにコラボレーションする意味があるから。それに僕は、自分が身につけられるものができることが何よりも幸せなので」

FRAGMENT x BVLGARI ブルガリ・ブルガリ 日本限定モデル SAP103443
ケース: サンドブラスト加工を施したステンレススティール製ケース(50m防水)。ムーブメント: BVL191 ソロテンポ、機械式マニュファクチュール自動巻きムーブメント(厚さ3.8mm、直径25.6mm、2万8800振動/時、42時間パワーリザーブ)。時、分、秒、日付表示。サンドブラスト加工を施したステンレス・スティール製のアーディヨンバックルとループ付きのブラックとグレーのNATOストラップ、付け替え用のブラックのNATOストラップが付属。2020年11月発売。250本限定。50万円(税抜)