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Auctions フィリップス・ジュネーブ・ウォッチ・オークションXIIIで予想落札価格を大きく超えた10本の時計

需要があるからこそ、積極的な入札が行われ、大きな成果を上げることができるのだ。

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フィリップス社のジュネーブ・ウォッチ・オークションXIIIは、230点以上の出品があり、まさにイベントと呼ぶにふさわしいものだった。このオークションは、週末の両日、2つのフェーズに分けて開催された。そして、彼らはお金を使う準備ができていたのだ。

 他のニッチな分野(車やNFTなど)で2021年のオークション活動が活発化したのに続き、フィリップス社は、出品された全てのロットを販売することができた。そのほとんどがエスティメートを上回り、大成功を収めた。

 以下に、そのハイライトを時系列でご紹介する。


F.P.ジュルヌ クロノメーターブルー

 ロット12では、現代のコレクターズウォッチであるF.P.ジュルヌ クロノメーター・ブルーが、4万スイスフランのハイ・エスティメートを超えて、9万4500スイスフラン(約1142万円)の最終価格(この記事では、全ての金額に手数料を含んだ価格で掲載)で落札された。2014年の「Three On Three」の記事とビデオに掲載した当時、1万9890ドルで販売されていた現行のモデルが、10万3000ドル以上の価値が付加されたことになる。F.P.ジュルヌの時計はしばらく前からオークションに登場しているが、クロノメーター・ブルーの1000万円オーバーという価格は、今でも十分に注目を集めるものだ。

F.P.ジュルヌ クロノメーターブルー – ロット12 – 9万4500スイスフラン(ハイ・エスティメート 4万スイスフラン)。


パテック フィリップ 2523 ユーラシアクロワゾネダイヤル

 ミッドセンチュリーのルイ・コティエによってデザインされたパテック フィリップ Ref.2523 ワールドタイムの非常に特別な例として、本モデルは1953年に誕生し、同じリファレンスの記録を破る可能性があった。最終的には704万8000スイスフラン、約8億5195万円となり、記録更新には至らなかったが、フィリップス社によるとロット33は、ワールドタイムウォッチ(七宝焼きの文字盤)として、またオークションで販売されたイエローゴールドの腕時計の記録を更新し、2冠を達成したとのことだ。

 オークションのライブ中継では、フィリップス社の本拠地であるジュネーブと香港オフィスの間で技術的な問題が発生したために、最初の入札額が100万スイスフランにまで跳ね上がるというドラマが繰り広げられた。復旧後は、この特別なワールドタイマーの入札が一気に進んだ。


オーデマ ピゲ ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー 25636

 オーデマ ピゲは今回のオークションで、ほとんど同社のリファレンスだけで結果を残せるのではないかと思うほど好調だった。特に興味深かったのは、ローズゴールドとチタン製のロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー Ref.25636、スケルトンダイヤルだ。1996年に製造されたこのモデルは、ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーの初期の中でも後年バージョンのひとつだ。

 先日、僕は、オーデマ ピゲが80年代初頭に生産を開始した閏年表示のないQPについて、かなり深い考察を書いた。Ref. 25635は、合計264本の限定生産で、ツートンカラーのバージョンはわずか49本しかない。このロット43は、12万スイスフランのハイ・エスティメートを上回る36万5400スイスフラン(約4410万4000円)を記録した。サザビーズが2019年6月にイエローゴールドの個体を9万3750ドルで販売されたことを考えると、近年までやや日の目を浴びていないように思えたロイヤル オーク QPの初期リファレンスとしては大躍進の結果となった。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー 25636 – ロット43 – 36万5400スイスフラン(ハイ・エスティメート 12万スイスフラン。


カルティエ "ベースボール"

 次にご紹介するのは、70年代前半に製造されたカルティエの美しいヴィンテージのベースボールだ。フィリップス社はハイ・エスティメートを10万スイスフラン(約1200万円)に設定していたが、入札者はフェンスに向かって振りかざし、40万3200スイスフラン(約4871万円)という見事な価格でハンマーが振り下ろされた。

 別名「ペブル」と呼ばれるこの珍しいカルティエは、70年代初頭のワイルドで予測不可能な世界を表現している。フィリップス社の報告によると、現存するのはわずか6点とのことなので、ロット88の高額な結果は驚くべきことではないが、ブランドやモデルを問わず、4倍の高額落札というのは注目に値する。

カルティエ "ベースボール" – ロット88 – 40万3200スイスフラン(ハイ・エスティメート10万スイスフラン)。


無銘のミニッツリピーター

 先週、コールが紹介したこの作品は(記事「フィリップスオークションに登場した無銘のミニッツリピーター・クロノグラフ」参照)、見る者を興奮させるものであり、オークションに出品された注目すべき時計だった。無銘の時計がハイ・エスティメートの1万5000スイスフラン(約180万円)を超えて16万3800スイスフラン(約1978万円)になるのは、そうそうあることではない。そして、僕はハイ・エスティメートの4倍でも良い結果だと思っていたが―11倍になるとは!

 かの有名なJ.P.ハグマン製の41mmイエローゴールドケースを備えたこの無銘の時計には、F.P.ジュルヌの作品とされるリピーター機能が搭載されている。時計界の2大巨頭による世界に1つだけの作品であり、あるコレクターは塵も積もれば山となるということで、1992年のユニークピースをコレクションに加えたのだった。

 この無銘の時計が、いつ、どこで、どのような形で次に登場するのか、非常に興味深いところである。

無銘 ミニッツリピーター – ロット91 – 16万3800スイスフラン(ハイ・エスティメート1万5000スイスフラン) 。


F.P.ジュルヌ クロノメーター・スヴラン

 上記のロット12と91が、F.P.ジュルヌが素晴らしい業績を上げていることを示す十分な指標ではなかったとすれば、141がそれを決定打といえるだろう。プラチナ製のF.P.ジュルヌ クロノメーター・スヴラン の001番を所有できる特別な機会となったロット140は、同ブランド初期の頃(2005年に遡る)のものだ。

 F.P.ジュルヌは、コレクター間で常に人気があるため、当初の見積額2万~3万スイスフラン(約240万〜360万円)はすぐに飛び越え、手数料を含めた最終価格は16万3800スイスフラン(約1978万円)という素晴らしい金額になった。1999年の設立以来、コレクター間で高い評価を得てきたブランドの中でも、特に注目すべき豪華なモデルだ。

F.P.ジュルヌ クロノメーター・スヴラン – ロット140 – 16万3800スイスフラン(ハイ・エスティメート3万スイスフラン)。


ロジャー・スミス シリーズ1 “Onely Theo Fennell”

 同じく2005年に開催されたフィリップス・ジュネーブ・ウォッチ・オークションXIIIの中で、最も興味深く、コレクション性の高い作品のひとつが、このロット145だ。ロジャー・スミスのシリーズ1「Onely Theo Fennell」のホワイトゴールド製角型モデルである。ロンドンの小売店テオ・フェネルのために作られたこのモデルは、ロジャー・スミスのシリーズ1の中で唯一のホワイトゴールド製だ。

 ロジャー・スミスの時計は非常に高級で、希少で、特別なもの。そのため、オークションに出品されるのはいつも楽しみだ。当初、8万スイスフラン(約966万円)のハイ・エスティメートが提示されていたロット145は、最終的に54万1800スイスフラン(約6540万円)の高額で落札された。高値になることは期待していたが、予想を上回る結果となったことは間違いないだろう。

ロジャー・スミス シリーズ1 “Onely Theo Fennell” – ロット145 – 54万1800スイスフラン (ハイ・エスティメート8万スイスフラン)。


ドゥ・べトゥーン DB1 ピースユニーク

 今回のオークションで唯一のドゥ・ベトゥーンの出品ではないが、ロット146は同社の特徴をよく表しており、適切なシナリオであれば、ますますコレクターが増えることだろう。直径41.5mmのこのDB1は、ホワイトゴールド製の28本のDB1 (および21本のピンクゴールド製)と並んで作られたイエローゴールド製のユニークピースである。

 2002年に発売されたこのDB1は、ドゥ・ベトゥーンの初期モデルとして、ブランド創設時に遡ることができる優れたモデルだ。誤解を恐れずに言えば、僕がドゥ・ベトゥーンを好きな理由は、高級時計の一般的なフォーマットを踏襲しながらも、常に奇抜で個性的な雰囲気を確保しているからであり、このDB1はその全てを満たしている。

 この一点物のDB1は、ゴールドケースに自社製モノプッシャークロノグラフムーブメントを搭載し、弾丸のようなラグ、真っ白な文字盤、ケースバックなど独自のスタイルを備えた、世界に1つだけの特別なモデルだ。この素敵なDB1は、2万5000スイスフラン(約300万円)のハイ・エスティメートを大幅に超え、最終的に15万1200スイスフラン(約1820万円)で落札された。

ドゥ・べトゥーン DB1 ピースユニーク – ロット146 – 15万1200スイスフラン(ハイ・エスティメート2万5000スイスフラン)。


パテック フィリップ Ref.570

 確かにロット33は、今回の主役だったが、パテック フィリップの高パフォーマンスを叩き出すロットはそれだけではなかった。ロット160のRef.570は、ステンレススティール製で、美しいツートンカラーのダイヤルとブレゲ数字が特徴だ。

 1942年に製造されたこのRef. 570は、ケース径37mmで、ブレゲ数字とレイルウェイミニッツトラックを備えたツートンカラーの文字盤を配し、市場に出回った2つのモデルのうちの1つ。推定価格は20万~40万スイスフランという曖昧な範囲に設定されていたが、これらの数字はほとんど意味をなさず、このRef.570は最終的に329万7000スイスフラン(4億円弱)で落札された。

 驚くべき時計であり、驚くべき結果だ。

パテック フィリップ Ref. 570 – ロット160 – 329万7000スイスフラン(ハイ・エスティメート40万スイスフラン)。


HODINKEE限定モデルたち

 今回はまた、既に完売となっているHODINKEE限定の3本の結果を見てとても誇りに思った。

 ロット163は、タグ・ホイヤー スキッパー for HODINKEEで、わずか6000スイスフランのハイ・エスティメートだったが、2万3940スイスフラン(約289万円)で落札された。正規価格は、たったの5900ドルだったものだ(約64万円)。

 ロット225として登場したローラン フェリエのチタン製40mmのガレ マイクロローター リミテッド・エディション for HODINKEE(12本のうちの1本)は、ハイ・エスティメートの2倍以上となる6万3000スイスフランのハンマープライス(元の小売価格4万6000ドルを上回る)を記録した。

 最後に、ロット226は、ステンレススティール製のMB&F LM101リミテッド・エディションで、Hodinkee限定モデルの最後を飾った。わずか10本しか生産されなかったLM101は、HODINKEE 限定モデルの中でも初期のひとつで、このモデルはハイ・エスティメート4万スイスフラン、元の小売価格5万2000ドルを上回る9万4500スイスフラン(約1100万円)で落札された。

 落札者の皆様、おめでとうございます。