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In-Depth ロレックス ツートンの新型エクスプローラーを擁護する

これはあらゆる面で改善されている。皆さん、何を不満に思っているのだろうか?


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ロレックスはオマージュをしないし、彼らの時計をヘリテージピースとして分類することもできない。そのようなことはチューダーに任されている。その代わり、ロレックスは歴史をさりげなく引用しながら、意図的に前進する姿勢を貫いている。それはまるで、モーターコースを走る君主が臣民に敬意を表しながら通り過ぎるようなものだ。

 その結果、我々一般市民は、ブランドが我々の個人的なニーズを一つ一つ満たしてくれないと、しばしば失望してしまうのである。保守的なロレックスのデザイナーが“スターモデル”に手を伸ばさないとき、あるいは文字通り“星”に手を伸ばしたときでさえ、我々は嘆いている。新しいメテオライト デイトナは、宇宙の素材を使ったダイヤルをもっているが、なぜかそれだけでは野心的ではないと感じている。

 ここで、誰も予想していなかった2021年のサプライズリリースを紹介しよう。新しい36mmのエクスプローラーだ。1つのモデルはスティール製で、もう1つはSSとイエローゴールドを組み合わせたツートンカラーのロレゾール製である。

 1953年に発売されたエクスプローラー(一部ではエクスプローラーⅠと呼ばれている)は、ロレックスにとってシングルウォッチのコレクションである。逆に言えば、サブマリーナー、GMTマスター、エクスプローラーⅡなどは、ベゼルやダイヤル、素材などのバリエーションが豊富にあるということだ。エクスプローラーの場合、選択肢は1つ。全ての人がそれを選んだ。

 実際、サブマリーナーファンは反対するだろうが、コレクターの中にはエクスプローラーをロレックスのSS製スポーツウォッチの旗手として挙げる人もいる。ゲイリー・シュタインガートは、作家のウィリアム・ギブソンがエクスプローラーを“時計のプラトニックな理想”と呼んだことを引用している。エクスプローラーはさまざまな意味で、約70年もの間、変わらずに変化し続ける芸術の象徴なのだ。

 これまでに、エクスプローラーが最も劇的に進化したのは、2010年に人気の36mmのケースサイズを廃止し、より大きな(そしてより流行っている)39mmのケースサイズを採用した時だった。これに伴い、外観もいくつか変更された。まず、グロスブラックのダイアルは廃止され、サテンダイヤル(マットとも言う)が採用された。次に3、6、9のマーカーはホワイトゴールド製となり、夜光塗料は使用されず、また、エクスプローラーのロゴは、ダイヤル上部から下部に移された。

ロレックス エクスプローラー Ref.14270

 Ref.214270は、2016年に“Ref.214270 マーク2”として知られるモデルにアップデートされた。マーク1からの変更点は、針が長くなったことと、アプライドの数字に夜光のクロマライトが入ったことだ。これが、我々がエクスプローラーとして知っている5年前の時計である。そして、年を追うごとに、ロレックスが再びアップデートする可能性が囁かれていた。

 ホワイトダイヤル、ブラックアウトの数字、そしてもちろん、新しいケースサイズの噂が飛び交った。しかし、サブマリーナーが41mmに、シードゥエラーが43mmになった今、36mmに戻るのではなく、サイズが上がることを期待していた。そして、誰もが予想していなかったのが、ツートンカラーで登場することでだった。

 ここで何が起こったのか? そして、それが意味するものとは何だろうか?

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客観性を欠いた意見

 縮小されたサイズは大きな問題だが、正直に言うと、今日の最大のニュースである、ロレックスが36mmのエクスプローラーをSSとYGのツートンカラーで製作したことに比べれば、何でもないことだ。これ以上、私の時計観に合った時計はないだろう。先日の朝、そのニュースが流れ、ツートンカラーの画像を初めて見たとき、私は思わず声を上げてしまった。それは朝の6時のことで、妻と犬を起こしてしまったかもしれない。

 このニュースが報道されてから1週間以上が経過し、私のようなファンが意見をまとめる時間ができた。その感想は、決して優しいものではなかった。このサイトのコメント欄には、「ツートンカラーは断じてお断りだ」と書かれおり、また、別の方からは「ひどい」という声もあった。私は、この時計にまつわる否定的な意見に少し驚いている。いや、正直に言おう、驚きはしなかったが、がっかりはしている。

 否定的な反応は、いくつかの考え方の違いから来ているのではないかと思う。1つは、ツートンカラーがエクスプローラーのコアアイデンティティを裏切っていると考える人たちだ。彼らにとってエクスプローラーは、登山精神から生まれた時計であり、ブラッシュ仕上げとポリッシュ仕上げのSSケースをもち、無駄な要素を排除した真の道具なのだ。

 正直なところ、ロレックスの時計は何十年も前から本格的なツールウォッチではなかった。ロレックスの時計は高級品であり、高価なものだ。例えば、現在のSS製エクスプローラー1本の価格は、1953年(この時計が発売された年)当時の価格の6本分にあたる。同社の時計は、最高の素材を使った技術の粋だが、もはや単なる道具ではないのだ。新しいロレゾールのエクスプローラーは、それ自体が貴金属でできたモニュメントであると言える。私の考えでは、このモデルはその権利を獲得している。

 また、ツートンカラーを毛嫌いする人からの批判もある。一方、私はとても気に入っている。ベゼルは18KYG、ブレスレットのセンターリンクも18KYGだ。ダイヤルでは、通常はWGで配されるアプライドのインデックスが全てYGで縁取られ、針もYGの輝きを放っている。魅力的だ。誰もこのようなものを購入することを強制していないが、エクスプローラーがより多くの人に受け入れられるようになったことは、素晴らしいことだと思う。

 ロレックスによると、ロレゾール製の時刻表示のみのプロフェッショナルウォッチを製作するのは、これが初めてだと言う。他のモデルは、いずれも何かしらの機能を搭載していた(現在も搭載している)。これが、新しいエクスプローラーを評価するもうひとつの理由だ。

 このツートンカラーの扱いは衝撃的なことだが、はるかに古いロレックスの時計、しかも製品としては生産されなかったある時計を彷彿とさせる。ディープシー・スペシャルだ。そう、摩天楼のような風防を備えたあのモデルである。この時計もツートンカラーで、よく似たブレスレットを採用していた。確かに、この2つの時計を比較するのは(ディープシーのブレスレットのように)大げさなことだが、エクスプローラーの起源は同じ時代に遡るため、このデザインのクロスオーバーには、わずかながらも歴史的な共通性がある。

 さて、なぜロレックスはスティールと結びついた時計をゴールドにしたのか、その答えは簡単だ。それが可能だからだ。我々にできることは、それをよしとするか、しないかである。


ケース

 この10年近くの間に、ロレックスは39mmから41mmのSS製スポーツウォッチを発売してきたが、その中には日付なし、スムースベゼルのものもあった。39mmのエクスプローラー、40mmのミルガウス、39mmのオイスター パーペチュアル(安らかに眠れ)、40mmのエアキング、そして41mmのオイスター パーペチュアルである。その中で、エクスプローラーは差別化のポイントを失ってしまった。

 新しいエクスプローラーは、以前のサイズに戻るかもしれないが、全く新しい形になった。ロレックスはここ数年、ケースの改良に力を入れている。これは大きな変更ではなく、昨年のサブマリーナー Ref.124060で見られたような微調整だ。新しいエクスプローラーの外観は、光の反射が最適化されており、ケースの仕上げが際立っている。さらに、ラグを含めたケースの全体的な形状はスリムになった。ロレックスは過去10年間、ケースを膨らませていたが、今はその空気を抜いている。

 そして、ブレスレットだ。今回のリニューアルでは、オイスターブレスレットがケースと一体化したかのようにシームレスになっている。また、ベゼルが39mm以前の形状に戻ったことで、よりコンパクトになり、傷や打痕がつきにくくなったように思う。


ダイヤル

 ロレックスのエクスプローラーは、その歴史を通じて、ハニカム、マット、グロス、サテンと、数多くのダイヤルバリエーションを作っている。39mmのエクスプローラーにはサテン仕上げが採用されているが、それ以前の20年以上は、エクスプローラーはピアノの鍵盤のような光沢のあるダイヤルを採用していた。

 新型エクスプローラーでは、光沢を取り戻し、ロレックスがブラックラッカーと呼ぶダイヤルを採用した。これは、サブマリーナーやGMTマスターⅡに見られるような深みのある(迷子になりそうなほどの)ブラックである。

 私は個人的に、ロレックスがミルガウス、エクスプローラーⅡ、シードウェラーに採用しているモダンなマットダイヤルのファンだ。とはいえ、私はグロスダイヤルのエクスプローラー Ref.14270(これについて知りたいことがあれば、「ロレックス エクスプローラー Ref.14270について知っておくべき全てのこと」の記事を参照)も所有していて、ラッカーダイヤルはエクスプローラーの美学にとても合っていると感じている。

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夜光

 新型エクスプローラーのアプライドインデックスには、ブルーに輝くロレックス独自の夜光塗料、クロマライトが塗布されている。今年、36mmの新型エクスプローラーとエクスプローラーⅡの両方に、より長持ちして明るく輝くように改良された、新しいクロマライトを採用したという。今のところ、この新しいクロマライトはエクスプローラーコレクションのみに搭載されている。- この新モデルが注目に値するもうひとつの理由だ。


ムーブメント

 昨年、サブマリーナー、オイスター パーペチュアル 36と41に搭載された新しい自社製キャリバー3230が発表された時、我々はこのムーブメントの最後の発表にはならないだろうと感じていた。その予感は的中し、36mmのエクスプローラーにCal.3230が搭載されることになった。このムーブメントについてはよく知られているが、ロレックスがもっている時計技術の全てを投入している。ブルー パラクロム・ヒゲゼンマイ、効率性を高めたクロノジー脱進機、70時間のパワーリザーブ、パラフレックス・ショックアブソーバなどだ。冒険心をくすぐるエクスプローラーにぴったりのムーブメントと言えるだろう。


結論

 過去には、エクスプローラーをつまらないと言う人もいたが、もうそんなことは言うことはできない。この時計に対する感情の高まりや強い意見は、この時計が相変わらず人気があることを強調するだけだ。私にとっては、驚きは全く衰えていない。ツートンカラーのロレックス エクスプローラーが存在するという事実は、私を夢であることを自覚しながら見る、奇妙な明晰夢の中にいるように思わせる。どうか起こさないで欲しい。私が試着するのを、サテンの枕の上で待っている悪い少年たちがいない限り。