私はダイビングをしないが、セイコーのダイバーズウォッチを所有している。5年ほど前に購入したときは200ドルほどだった。それが何なのか、説明する必要はないだろう。ご存じのとおり、セイコーのSKX007だ。この時計は、多くの人のコレクションに欠かせないものであることが証明されている。私は弟の誕生日に買ってあげた。彼は素晴らしい時計をいくつか持っているが、そのなかでもSKXをほかのどの時計よりも多くつけている。セイコーのダイバーズだ。セイコーのダイバーズウォッチは、実用的でスポーティ、そしてその価格帯から、あまり気にすることなくガシガシ使えるのが魅力だ。
HODINKEEでは、SKX007を何度も取り上げてきた(より小振りなSKX013も)。チームのなかでこの時計に愛着を持っていない人を見つけるのは難しいだろう。ジェームス・ステイシー(James Stacey)は、この時計をロレックスとオメガと一緒に並べて、先日のThree on Three企画で対決させた。私は最後まで自分の時計を弁護したが、SKXはそのトリオの一角を占めていた。
セイコー SBDC063(ブルーベゼル) ※海外版はSPB087。
残念ながら、その時計はもうない。ISO認定のバリューキングは数年前に別れを告げたのだ。今はもう生産されていないが、20年以上にわたる生産実績が、セイコーのダイバーズウォッチのラインナップを長年にわたって拡大することにつながったことがわかる。セイコーのダイバーズウォッチの原点である62MASやRef.6105の系譜から生まれた時計で、62MASと6105は、ふたつのテイストを持つダイバーズウォッチだ。ひとつはスクリーンに登場し、アイコンとしての地位を確立したモデル。映画『地獄の黙示録(原題:Apocalypse Now)』でマーティン・シーンが着用した6105の“ウィラード”だ。62MASは、60年代半ばに発表されたコレクターコミュニティの定番だ。パテックやランゲなどのコレクションでも、このヴィンテージのような例が見られる。
これらのヴィンテージ(およびネオヴィンテージ)ダイバーは、発売当初は比較的安価だったが、現在その価値は高くなった。とはいえ、ほかのヴィンテージウォッチの価格高騰に比べれば、まだ手の届く範囲にある。セイコーは長年にわたり、真のツールウォッチを作ることに長けてきた。62MASから6105、そしてSKXへと続くダイバーズウォッチの系譜は終わったかもしれないが、最近のセイコーのコレクションには、そのテーマがより大きなスケールで受け継がれていることが目に見えてわかる。
SPB153(グリーンベゼル)
我らがジェームズ・ステイシーは、最近リリースされた62MASを彷彿とさせるダイバーズウォッチ、SBDC101(海外版はSPB143)の体験について書いている(ただし、ジェームズが指摘するように、忠実な62MASのリ・エディションではない)。コール・ペニントンは、2020年に発売されたセイコーのもうひとつの注目モデル、グリーンベゼルを備えたRef.6105の再解釈版、SBDC111(SPB153)を選択した。彼はこのモデルをダイビングで実際に使用した。セイコーのダイビングヘリテージを代表するリファレンスがない今、我々は膨大な数の選択肢を手にしているのだ。
セイコーがダイバーズでダイビングインストラクターの専門家協会であるPADI(Professional Association of Diving Instructors)とコラボレーションしているのは有名な話だ。それらの時計では、たまたまPADIの配色であるペプシ風のカラー構成が採用されていることがよくある。私の好きなPADIエディションのひとつは、2020年のPADIモンスターだ。セイコーは、赤と青のモチーフを思いがけない方法で実現させた。
SBDY057 PADIモンスター(ブルーベゼル) ※海外版はSRPE27。
セイコーのダイビングコレクションには、どんなコレクターにも合うものがある。映画ファンなら、6105がおすすめだ。ミッドセンチュリーのノスタルジーが好きなら、62MASはどうだろう。そして、90年代から2000年代初頭が好きなら、モンスターは今でもコレクションのなかで生きている(SKXも中古で手に入れることができる)。もちろん、限定版、特別版、再販版も多数あることは言うまでもない。
この週末は、コメント欄を活性化させたいと思っている。私の希望は現代の文脈でセイコーダイバーズを簡単に振り返りながら、記憶をたどることだった。セイコーのダイバーズウォッチがあなたの収集の旅の一部であったのか、あるいは今そうなのかを知りたいのだ。我々は皆、自分の時計にまつわるストーリーを持っている。今週末、それらを共有しようではないか。
特集記事
このA Week on the Wristでは、ジェームズ・ステイシーがSBDC101(海外版はSPB143)を紹介している。この時計の人気が急上昇したのは、彼の熱意と、ここ数年で最も価値のあるツールウォッチのひとつに光を当てたことによるものといえる。
コール・ペニントンは、このウィラード風のリファレンスを(文字どおり)深く掘り下げ、淡いグリーンの(一種の)リ・エディションを水中に持ち込んだ。セイコーのダイバーズが活躍する様子を見るなら、この記事は必読だ。
数年前、私は自分が夢中になるとは思っていなかった時計を実際に手にしてみた。ペプシカラーの時計はよく見かけるが、これは別格だ。モンスター PADIエディションは、ペプシをモチーフに採用し、色の派手さを抑えた形で融合させたキラーウォッチに仕上がっている。
宇宙飛行士の最初の時計は、セイコーのRef.6105だった。なんてクールなんだろう? このTalking Watchesでは、実在の宇宙飛行士の子供時代と、高所での体験にもかかわらず、深いところまで行くことができるこのアイコニックなセイコーに特別な思い入れを持っている理由を探る。
このWatching Moviesでは、映画『地獄の黙示録』に登場する時計、特にマーティン・シーンの腕にはめられたセイコー Ref.6105が登場する。この時計は、この映画に登場したことから“ウィラード”というニックネームで呼ばれるようになった。まだ見ていない人は、このストーリーを読んでから映画を見て欲しい。
セイコーの時計から得られる経験はおそらくほかのブランドよりも一貫して、過熱気味の時計業界における「ゴルディロックスと3匹のクマ(英国の有名な童話)」でいう“ちょうど良さ”だ。
– ジェームズ・ステイシー
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