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Three On Three 90年代最高のスポーツウォッチをクールな3人が大討論!

90年代の精神が息づく3本を紹介しよう。

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90年代ウィークへようこそ。この特集では直近10年間で最も魅力的な(そして最も過小評価されている)時計と、20世紀末を特徴付けたトレンドとイノベーションを再考していく。ダイヤルアップ接続を行い、クリスタルペプシ(無色透明のコーラ)を手に取って欲しい。今週はずっとこのテーマを扱う。

年齢にもよるが、1990年代というと「昨日のことのよう」、「ちょっと前のこと」、「私の生まれる前のこと」など受け止め方はさまざまだろう。チェックのネルシャツとローラーブレードが流行ったあの10年間が30年前に過ぎ去り、時計は今やヴィンテージの域に達している。そして、その多くはコレクションに最適で、特に注目すべき個体は、その時代を明確に表しているだけでなく、ブランドやデザイン言語が現代に至る進化の起爆剤となった普遍的な質の高さを備えているのだ。

three men sitting around a table, talking with cameraman in the background

 今回のスリー・オン・スリーでは3人の90年代育ちに、90年代を代表するスポーツウォッチを選んでもらうというシンプルな企画を立ち上げた。話の展開にヒネリを加えるために、自分たちの時計を持ち寄って

 そこで、ジェームズ・“ISO認定”・ステイシー、コール・“ゴールデンアイ”・ペニントン、ダニー・“クラウン・オア・ナッシング”・ミルトンの3人が、時代を超えたスポーツウォッチを決める激論を交わした。その結果、価格帯の異なる3本の候補が誕生した。しかし、予想どおり、最終的な結末をそう簡単に迎えることはないだろう。

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 1990年代は80年代の華やかさ、魅力、そしてバロック的な過剰さを、グランジミュージックの生々しいサウンド、沿岸部のラップでのディスり合い、『となりのサインフェルド(原題:Seinfeld)』、『ザ・シンプソンズ(原題: The Simpsons)』、そして“インターネット”のような現在に至る絶対的な文化の台頭が取って代わる、急速な変化の時代だった。ニコロデオン(『ヘイ・アーノルド!〈原題:HEY ARNOLD!〉』などで知られるアメリカの幼児・子供向けケーブルテレビチャンネル)は王者であり、ファービー人形は現在のデイトナよりも入手しにくく、我々のうちの何人かは(名前は伏せるが)タスマニアデビルをテーマにしたスタジャンに身を包んでいたかもしれない。

 マカレナ(The Macarena)、ケーブルニュースで24時間放映される話題作、検索エンジンGoogleの誕生など、波乱に満ちた時代だった。ルールは書き換えられ、帝国は崩壊し、その時代のトーンは特殊でありながら驚くほどカジュアルだった。

 しかし、これらのことは時計にとってどのような意味を持つのだろうか? クォーツ危機で市場が再編後、多くのブランドが新しいデザインや先鋭的なデザインを発表した70年代後半、続く80年代は、ほとんどのブランドが先進的でテクノロジーに敏感なオーディエンスについて行こうとしただけだった。しかし90年代に入ると、機械式時計のデザインへの着実な回帰と、徹底的な革新が見られるようになった。この10年間にパテック フィリップは初のアニュアルカレンダーを発表し、その後フレッシュで若々しいアクアノートを発表したのだった。

 では、どの時計が90年代の精神を最もよく表しているのだろうか? 難しい問題だが、コール、ダニー、ジェームズの3人が今回のスリー・オン・スリーに挑戦してくれた。


ロレックス エクスプローラー Ref.14270
By Danny Milton

 わかったよ、そうだろ? 同僚たちは、何十年も前から持っている時計、つまり大学や高校時代の時計についてノスタルジックな気分に浸ろうとしている。しかし、この演習の目的はそんなことではない。これは古きよき時代の時計学の対決なのだ。文字どおりではないが、私の時計を投げつけたら壊れるかもしれないし、すでにサファイア風防が欠けてしまっている(埃ではないので、拭き取れとは言わないように)。とにかく、先に進めよう。

 この時計はただのロレックス エクスプローラーではなく、れっきとしたリファレンスを持つRef.14270だ。HODINKEEのこの記事でもかなり詳しく取り上げたことがある。この時計は、ロレックス初のモダンな時計であり、ロレックスが初めてモダンなダイヤルデザインを取り入れたモデルであり、ほかの年代にほとんど重なることなく一貫して1990年代を貫いた時計でもある。

 1989年から2001年まで、Ref.14270はロレックスのエクスプローラーとして君臨した。エクスプローラーは、Ref.14270が発売されるまで、独特のセリフ書体やペイントされた数字(とマーカー)によって、ミッドセンチュリー特有の無骨なデザイン言語を持っていた。この議論において、私は自分の時計をほかのエクスプローラーと一緒くたにしているわけではない。Ref.14270に特化している点にご留意いただきたい。確かに、ケースの輪郭やブレスレットは、長年にわたるモデルレンジの基本的なデザイン美学を踏襲している。しかし、時計というものはディテールこそが重要なのであり、この時計のダイヤルの大胆なデザイン変更は、“90年代の36mm ロレックス エクスプローラー”という新しいカテゴリーを生み出した。その意味で、この時計はあの10年間を純粋に表現しているのだ。

ダイヤル

 これが私が今回この時計を選んだ根拠である。ロレックスが得意とするところは、デザインに忠実であること、そしてほとんど変更を加えないことだ。そして、そう、変化が発生したとき、それが些細なことであっても、我々時計愛好家は少しパニックに陥る傾向がある。エクスプローラー Ref.14270が発表された1989年のバーゼルフェアには、HODINKEEは誰も参加していなかったため、その時の反応はわからないし、当時はソーシャルメディア(あるいは充実したインターネット)もなかったため想像するしかないが、熱心なロレックスファン(およびコレクター)は、このモデルに幾ばくか切り捨てられた気分だっただろう。その理由がこのダイヤルにあった。

Rolex Explorer

 冒頭で、この時計が40年近く、シンプルなペイントダイヤルに落ち着いていたことを述べた。そして、その後状況は一変した。Ref.14270では、ブラックのグロス(艶あり)ダイヤルが採用され、最も劇的な変化を遂げている。アプライドインデックス(WG製外枠で囲まれた数字)が採用された。それも単にアプライドというだけでなく、モダンな形状を持ち、プレシャスメタル製であることがこの時計を別のカテゴリーに押し上げたのだ。

 このような時計はダイヤルがすべてを雄弁に語るため、このようなアップデートがどれほどの変化をもたらすか、そして実際にもたらしたかは、いくら強調してもしすぎることはない。この時計に関する論文を書き、ダイヤルバリエーションを文字の太さまで比較した私が言うのだから間違いない。現代のエクスプローラーは、このアプライドマーカーのデザインを維持しているが、それはすべてこの90年代が源流となっているのだ。

ムーブメント

 ロレックスのなかで最もセクシーな定番というわけではないが、エクスプローラー Ref.14270は自社製のCal.3000を搭載している。48時間のパワーリザーブ、27石、2万8800振動/時を備えたムーブメントである。この時計の1990年代的なストリート・クレディビリティ(ストリートカルチャーの最新流行に通じている同世代の若者から称賛される行動やファッション)を追加すると、このムーブメントは、先代のRef.1016に使用されるCal.1570のアップデート版であり、これはこの新しいリファレンスのために作られたもので、10年間製造された。このムーブメントは2001年に生産中止となり、時代の遺物となった。

Rolex Explorer
Rolex Explorer
ケース

 90年代は時計ブームが到来する前の10年間であり、90年代にふさわしいものといえば、この小ぶりながらも完璧な36mmケースのデザインであろう。もちろん、ロレックスのエクスプローラーは、ねじ込み式リューズのクラシックなオイスターケースに収められ、100mの防水性を備えている。この時計がダイバーズウォッチ2本を相手に拮抗していると考えると、かなり善戦していると評価できるのではないだろうか。この時計は、基本的にあらゆる手首周りにフィットする。90年代は、時計そのものよりもファッションを楽しむ時代で、ダイバーズウォッチといえば、目立つ存在だった。エクスプローラーは、モックタートルネックとカヴァリッチ(Cavaricci)のシンプルで軽量なパンツのお供として、目立たずに使いこなすことができたのだ。

最終的な結論

 私の同僚は、この選択肢を嘲笑するはずだ。ミッドセンチュリーのデザインであって、90年代のものではない、と言うだろう。それ以前に登場したエクスプローラーと同じに見えると言うに違いない。それらは、すべて間違いだ。私の主張はディテールにあり、実際この時計はディテールに富んでいる。しかし、私は客観的な事実で締めくくりたい。ライバルたちとは異なり、Ref.14270は10年間、つまり1990年代を通して存続し、基本的にその10年の幕開けと同時に発表されたのだ。ダイヤルデザインの刷新は、ミッドセンチュリーの先達から独立した、新しいエクスプローラーを象徴していると私は考えている。36mmというケースサイズで、モダンラグジュアリーなデザインにアップグレードしたロレックス エクスプローラー Ref.14270は、ジェームズ・“バスター”・ダグラス(アメリカのプロボクサー)のようにどこからともなく現れ、人気者をノックオフする予想外のチャンピオンとなったのだ。


セイコー SKX007
By James Stacey
Seiko SKX007

 もはや説明不要の時計かもしれない。スポーツウォッチのデファクトスタンダードであり、多くの人が最初で最後のダイバーズウォッチとして愛用する。それがセイコーのSKX007だ。1996年に発売されたこのモデルは、90年代を代表する時計であり、現代の時計愛好家に多大な影響を与えたと僕は考えている。

 20年以上にわたり、SKX007は、ISO6425に準拠した200m防水のダイバーズウォッチを200ドル以下で提供し、真のダイバーズウォッチの“バリュー”チャンピオンとして君臨した。僕は2007年に約150ドルで購入したが、この時計は素晴らしいのひと言に尽きる。

 このように、SKX007はクラシカルなセイコーのスタイリング、煩わしさを感じさせない機能性、そしてまさに手頃な価格がミックスされ、時計フォーラムの“オススメの時計”スレッドではこの何でもありのダイバーズを至るところで見かけるようになった。そしてこのシリーズは、MOD(改造;カスタマイズ)というサブワールド全体を通じて第2の人生(外見が似た現行のセイコー5を通じて、おそらく第3の人生)さえ見出したのである。数年前、僕は旅行用にSKXを改造し、Yobokiesの12時間ベゼルに換装した。SKXは、90年代に大ヒットした、ある種の無限の可能性を秘めており、2010年代にオンライン時計熱が開花するなかで成功するための絶好のポジションを占めていた。

 私は2本ほど所有し、他人にすすめた本数はさらに多く、そしてこのモデルは最近製造中止になるまで、格安で入手可能だった。ほかのふたりは素晴らしい時計を選んだが、このSKX007は僕だけのものだ。僕の時計はHODINKEEとこの記事との縁を結んでくれた。

The lume visible on the Seiko SKX007
ダイヤル

 ひと言で言えば、ベーシックである。しかし、ある種の魅力的な意図を感じさせる(ダイバーズウォッチであることを認識するために、ダイヤルに波模様が必要なのだろうか?)。フラットなブラックダイヤルは、ほとんど装飾を施さず、機能だけを追求したデザインだ。ペイントされた大きなマーカーには、まるでマップライトのように光る夜行ポイントが配されている。針も同様で、正確に読み取ることができ、強さと長寿命を両立させた光を放つ。ダイヤルの文字は最小限に抑えられているが、SKX007はデイデイト機能を搭載し、実用的でセイコーらしい機構(この時計はダイビング可能だが、ダイビング専用ではない)は、ダニーやコールの時計には望むことができないものだ。

ムーブメント

 ダイヤルがベーシックなら、SKXの7S26ムーブメントは何と形容すればいいのかわからない。SKX007の理念を理解してもらうために、類語辞典から“初歩的”を選ぶことにしよう。自動巻きだが、ハック(秒針停止)機能も手巻きもないCal.7S26は、精度の面で多少のクリエイティビティの欠如を気にしない限り、信頼性が高く機能的なムーブメントといえるだろう。取り繕っても仕方がないので正直に書くが、Cal.7S26は、10年以上使用できるムーブメントだと思うが、数ヵ月単位での時刻合わせを気にしない条件付きである。

 90年代の、150ドルまでの時計に搭載されるムーブメントとしては問題ない。現代ではどうか? このムーブメントは間違いなく時代遅れであり、有能な時計職人であれば、それを調整するいい仕事をすることができるだろうが、COSC(クロノメーター)に近い精度は期待しないで欲しい(幸運なら、それも可能だが)。日差+25~-15秒の精度ということだが、1日が8万6400秒あることを考えると、これはかなりいい数字だ。私が90年代に受けたどの試験よりも高いスコアであることは間違いない。

Seiko SKX007
Seiko SKX007
ケース

 SKX007は42.5mm×13.3mm×46mmと、現代の感覚でいえば好ましいサイズより若干大きめだが、このサイジングはダイバーズウォッチ愛好家としてキャリアをスタートした僕の土台となったし、僕はケースが美しいスクエアの形状、スポーティなシルエットを持っていると思うし、4時位置のリューズを愛さない人はいないだろう。

 ベゼルはカチッと音がして便利だが、特に高品質でもない(予想どおり)。しかし、ハードレックスクリスタルはよく持ちこたえ、22mmのラグ間隔はさまざまなストラップ(クラシックで“ジャングリー〈耳障りな金属音がする〉”なスティールブレスレットを含む)に対応する幅を備えている。最後に、僕は、当時のセイコーダイバーズで有名なTsunamiロゴが入った SS製のクローズドケースバックが大好きだ。

最終的な結論

 このモデルは、チェックのオーバーシャツのようにカジュアルで着こなしやすく、日常的に使えるダイバーズウォッチとして、あらゆる条件を満たしている。どんなストラップにつけてもいいし、夜中に時刻を確かめることもでき、手首が驚くほど美しく映える。90年代のSS製スポーツウォッチのなかで、特に時計マニアにこれほど影響力のあるモデルはほかにないと思っている。セイコーのSKX007は、ある世代の時計愛好家にとって、初体験であり、入門機であり、別世界への入り口のようなものだったのだ。

 25年以上経った今でも、この時計は高い影響力を持ち続け、辞書に載っているような存在であり、NOS(デッドストック)品はオリジナルの希望小売価格の何倍もの値段で売られている。もしあなたが90年代育ちで、今HODINKEEを読んでいるならば、SKX007(または派生モデル)は少なくともあなたの原点の一部となることに賭けてもいい。


オメガ シーマスター 300M プロフェッショナル Ref.2531.80.00
By Cole Pennington
Omega Seamaster 300M Professional

 90年代、わざとらしい振る舞いはクールとされていた。ピアース・ブロスナンが演じたジェームズ・ボンドはその意味において完璧で、彼の時計もまた完璧だった。オメガのシーマスター 300Mは、この3本の時計のなかで最高の時計ではないかもしれないが、セイコーのSKX007やロレックスのエクスプローラー Ref.14270にはない、90年代を凝縮したような時計だと思う。それは時計に限ったことではなく、もっと大きな文化的な文脈においてである。

 正直なところ、この時計とは個人的なつながりがあるため、私の見方は偏っている。しかし、それを抜きにしても、SKX007やエクスプローラーを広告で見て育った覚えはない。この3本の時計のうち、最も頻繁に“街中で”この時計を目にするのは、おそらく90年代にこの時計が見せたポジショニングに触発された多くの人々によって購入され着用されているからだろう。私も例に漏れずそのひとりだ。

 このデザインが90年代を越えて現在も生産されていることに純粋に驚いたが、それは、このデザインが驚くべき持続力を持つことの証なのである。

Omega Seamaster 300M Professional
ダイヤル

 このダイヤルは波模様にこだわっている。同時代の時計を見ると、これほどまでにダイヤルの質感にこだわった時計はほかに例がない。正直なところ、視認性は決してよくない。剣型針は、視認性で賞を取るようなものではない。なぜ、このようなデザインになったのかもよくわからない。あたかもデザイナーがいかに表面積を小さくして蛍光塗料を塗らないようにするか腐心して、クラシックな剣の針をくりぬいたようなデザインを考えついたかのようだ。しかし、我々はまだそのことを話題にしている。好きな人もいれば、嫌う人もいる。だが、時代性がある。90年代独特の意匠なのだ。

ムーブメント

 オメガ Cal.1120と呼ばれるこの時代のシーマスターのムーブメントは、ETA 2893をベースにしており、コーアクシャルが登場する前のもので、私にとっては歓迎するものだ。誰でも修理でき、頻繁なメンテナンスが必要ないムーブメントを提供してくれればそれでいい。ムーブメントなど見たくもないので、このモデルがシースルーバックでなかったことも歓迎したい。ETA社製のキャリバーについて、知らないことはないだろうから詳細は省こう。このムーブメントはとにかくよく働く。それが、私が時計に求めるものだ。しかも、この時計はCOSC規格の範囲内の精度であることも大きな魅力だ。

Omega Seamaster 300M Professional
Omega Seamaster 300M Professional
ケース

 手首に乗せたときのフォルムは見事だ。この時計はとても薄く、重量感もちょうどいい。装着も簡単で、ブレスレットも最高だ。人々は“毛抜き”と呼ぶだろうが、それもそのはず、軽いだけに毛を挟んでいないときには手首の感覚から簡単に消えてしまうので、時にはまだつけていることを知らせるためにも体毛は必要かもしれない。

最終的な結論

 理解できたなら、理解できたでいい。そうでないなら、そのままでもいい。シーマスター 300M プロがベストであることを私が説得する必要はない。私にとっては、紛れもなくそうなのだから。今日紹介したどの時計でも満足だが、私が今も腕にしているのはシーマスター 300M プロだ。その理由は、シーマスター 300M プロが90年代の時計であり、私が永遠に90年代の申し子であるからにほかならない。

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