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Hands-On セリカ 8315 GMTクロノメーターを実機レビュー

オールドスクールな魅力を持つ新しいトラベルウォッチは、セリカのユニークなポートフォリオを確立し続けている。


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フィールドウォッチシリーズ、そしてダイバーズウォッチ 5303を発表して好評を博したセリカは、昨年末に最新モデル8315を発表した。ブランド初のGMTトラベルウォッチで、ムーブメントにはクロノメーターを採用。これまでのダイバーズウォッチとほぼ同様のスタイルに、4本目の針やGMTベゼルなど、ネオ・ヴィンテージのテイストを取り入れたモデルである。

serica 8315

 チューダー ブラック ベイGMTが発売され、伝統的に高価だったFlyer GMTの機能(ローカルジャンピングアワー方式)を低価格で実現したのに続き、旅行専用時計の人気が上昇し、市場が変化しているのは賢明な動きといえるだろう。近年、セイコー、ETA/Swatch、ソプロード、ミヨタなどの新型ムーブメントの登場により、GMTウォッチの2大フォーマット(ローカルジャンピングアワー方式とジャンピング24時間方式)の差は徐々に縮まってきている。

 セリカ 8315は、24時間針を独立して動かすタイプのGMT、通称Caller GMTである。GMTの機能形式は片方が優れているという主張やローカルジャンピングアワーのGMTは「ピュアGMT」や「トゥルーGMT」(実にくだらない用語だ)であると主張する人もいるが、実際のところ、どちらの選択肢にも用途に応じた強みがある。タイムゾーンを変えて積極的に各地を旅行する場合、新しい(フルアワーの)タイムゾーンに迅速に、時計の計時を妨げることなく更新することができるため、ローカルジャンピングアワーを備えたFlyer GMTの機能性に勝るのは非常に困難だ。

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 逆に、世界の異なる地域に住む家族や同僚との時間調整のためなど、異なるタイムゾーンを把握するためのシンプルでわかりやすい方法をお探しなら、24時間針を単独で動かすことのできるCaller GMTの方がシンプルで、概してコストも低く抑えられる。そして、そのネーミングが示すように、24時間針を独立して任意のタイムゾーンに合わせることも、UTCタイムのままにしておいてベゼルで表示を調整することもでき、つまりはリューズに触れることなく操作することも可能なのだ。

 私はGMT時計が好きで、CallerとFlyerの両方を所有している。どちらもほぼすべてのタイムゾーンに対応しているが、自分の腕に最適なのはどちらかといえばその使い方によるのだと思う。セリカは、5303ダイバーと同様のダイヤルレイアウトに、24時間ベゼルとふたつの12時間スケール、昼夜を示す黒と白のエレメントで24時間を示すブラウンのロリポップチップを備えた4本目の針を追加したモデルだ。

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 最初は少し戸惑うかもしれないが、このベゼルデザインは、ミリタリータイム(1日を24時間表示する方式)を考慮せず、多くの人が日常的に考えているように、1日をふたつの12時間セグメントに分けて表示しているため、実際の使用ではうまく機能する。さらに、セラミック製ベゼルの白い部分で区切られた昼の領域は、夜よりもやや長い時間が与えられている。これは、8315に非対称性を与え、昼が夜よりも長いことを意図的に示すスタイリッシュなやり方だと言えるだろう。

 私は24時間表示の時計に何の問題もないし、デジタル表示の時計でも24時間表示を好んで使っているが、このAM/PMの2つのタイムゾーンは十分に直感的で、昼夜を示すベゼルのシンプルな使い方が可能だ。24時間表示のGMT脳に慣れるのに1日ほどかかったが、8315は旅行中(新しいタイムゾーンに長期滞在する場合、すべての針を再設定する時間的な余裕ができるまで、ベゼルに現地時刻を表示することになるだろう)でも、Caller GMTとして非常によく機能することがわかった。

serica 8315
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 ファンキーなGMTベゼルと必要な4本目の針を備えた8315 GMT クロノメーターは、直径39mm、厚さ12.3mm、ラグからラグまで46.5mmだ。これはダイバーズウォッチ 5303と同じサイズだが、GMTの厚みが1/10mmほど厚くなっている。複雑機構をひとつ追加したことと、8315が200m防水を実現していることを考えれば、決して悪くはないだろう。

 風防は内面無反射コーティングが施されたダブルドーム型サファイアで、ケースと同じくスティール製のクローズドケースバックを採用。8mmの特大サイズのリューズはねじ込み式になっている。リューズとベゼルはともに十分なグリップ感があり、ベゼルはスムーズで静かな両回転式。使用感も良好だ。

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 ダイバーズウォッチである5303を経験したことのある方なら、8315は文字盤デザイン、外観、そして装着感において、直接的に進化したように感じられることだろう。8315 GMTは、ディープダイビングモデルと同様、文字盤の文字は最小限に抑えられ、セリカのブランドロゴはなく、視認性の高いレイアウトで、十分な夜光を備え、日付表示もない。

 そう、セリカは左リューズと右リューズが選べるにもかかわらず、ノンデイトにこだわり、GMTモデルからも外してしまったのだ。ノンデイトのGMTウォッチは、いったいどれくらいあるのだろうか? しかし、この大胆な発想に、僕はそれほど違和感を覚えなかった。8315のスタイリングが成功していることを考えると、この機能よりフォルムを優先する判断に軍配が上がると思う。とはいえ、トラベルウォッチに日付表示が必要な人には、セリカは向いていないだろう。

serica 8315
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 5303 ダイバーを着用したことがある方なら(あるいはそのモデル群のハンズオンを読んだ方なら)、8315はその流れを汲んでいることが伝わっていると思う。サイズもちょうどよく、付属の薄型20mm幅のブラックレザーストラップは、低い重心でヴィンテージウォッチのように着用することができる。5303と同じように、8315もセリカのメッシュブレスレットに合わせたら、きっと素晴らしいものになるだろうと簡単に想像できる。

 実際のヴィンテージスポーツウォッチのように、8315はダイバーズウォッチのタッチが与えられている。奇妙なダイヤルレイアウトとベゼルデザインやGMT針などのユニークな要素にマッチしてよく機能していると思う。結果、かっちりした雰囲気で身につけることができるのだ。

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 GMT針には、COSC認定ソプロード社製C125自動巻きムーブメントを搭載。4Hz、40時間のパワーリザーブを備えている。セリカ 8315 GMTクロノメーターは、スイス製のため、付加価値税(VAT)適用前の定価は1575ユーロ(約22万円)となっている。

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 この記事が掲載された時点の為替レートでは、約22万1292円だ。この数字は、25万円以下のさまざまなGMTウォッチの選択肢を検討する人にとって、セリカ 8315が何か奇妙な位置にあることを意味している。最近では、セイコーのCaller GMTが約5万円だし、ブローバのFlyer GMTが12万円程度で手に入る。HodinkeeとミドーのコラボレーションモデルのようなスイスのETAを搭載したFlyer GMTは1400ドル以下で手に入れられるのだ。

serica 8315

 つまり、GMTとしての価値を求めるのであれば、8315はそのような人のために作られたとは思えないのだ。むしろ、セリカの美学と、時計デザインに対する彼らのこだわりが、このモデルの大きな特徴になっています。8315は、ミッドセンチュリー期の成功を象徴するブランドの有名なデザインを単にそのまま反映するという落とし穴を避けつつ、60年代の時計デザインの魅力と感触を捉えるセリカの能力を遺憾なく発揮しているものだと思う。

 セリカの時計には、私が本当に好きな個性がある。センスがよく、楽しくて、見た目も腕元もユニークだ。私自身は、ツインスケールベゼルでセカンドタイムゾーンを簡単に設定できる5303を選ぶだろうが、8315は同じ時計を直接進化させたもので、この新しいセリカGMTにはマニアックな魅力、タイムゾーンに適した機能性、そしてミッドセンチュリーの古き良きカリスマをほとんど載せていると感じられる。

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