trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Retailer Spotlight オペラ金美堂 震災も超え福島の地に密着した一世紀を超える名店

人生を、ひとつの大きな物語にたとえ、ひと幕ごとに主人公を輝かせる時計とジュエリーを提案してくれる福島の正規店「OPERA」。創業100年を超える金美堂から派生した21世紀型のフラッグシップショップである。

ヨーロッパの歴史的建造物を彷彿とさせる白亜のオペラ郡山本店は、2010年郡山市景観まちづくり賞受賞作品でもある。創業一世紀を超えた老舗・金美堂が、“次の100年”に向けて、ワンランク上に進化した正規時計宝飾店の象徴と言ってもいい。

 現社長・渡邉大勝氏の祖父にあたる渡邉 勝氏が時計職人として働いていた金美堂が、東京・日暮里で創業したのは1905年のこと。腕を見込まれた勝氏が経営を引き継いだものの、太平洋戦争が長びくにつれ、人々の生活はだんだんと苦しくなって時計が売れなくなり、評判のよかった修理を請け負ってしのいだ。しかし、空襲が激しくなった1944年、勝氏は郷里の福島県須川市に疎開し、戦後すぐに7坪の店舗から再スタートを切ることになる。

東京大空襲の前年に生まれた息子の久勝氏が成長し、三代目社長に就任した1989年前後には、福島県下の郡山、白河、会津若松に次々と出店。「感謝・感激・感動」を社是に、100名を超えるスタッフとともに常に新しいことに挑戦し、進化を続ける金美堂を築き上げた。

ADVERTISEMENT

 のちに四代目社長となる、久勝氏の長男・大勝氏が金美堂に入社したのは2003年。最初にかかわったビッグプロジェクトが「OPERA」だった。

「創業100周年を祝うにあたって、東京や仙台に行かなくてもいいような本格的な専門店を福島に作ろうと考えました。地域のみなさまに恩返しできるよう、東北一のおもてなしと品揃えを提供するお店です。しかし、2009年のオープンは、リーマンショック直後という最悪のタイミング。経済環境の悪化と、オペラという新店の知名度の低さもあって、最初は集客に苦労しました。それでもご来店されたお客様おひとりおひとりに、心を込めた接客を続けていくことで、少しずつ認知されるようになったのです」

 だが、新店オペラの試練は続く。2011年3月11日、東日本大震災である。来客どころか、明日生きられるのか、社員をどうやって守れるのか。解決策が見つからないまま、まったく売上げのない日々だったという。

東日本大震災の際には、いち早くボランティアでビッグパレットの被災者に出来合い老眼鏡を提供した。

店頭で被災者に老眼鏡を見立てる当時の様子。

「毎日余震が100回以上ありましたが、やはり“動く”のが一番と思い立ちました。原発エリアから郡山市のビッグパレットに避難してこられた方も大勢いらしたので、ボランティアでメガネや時計を洗浄したり、壊れたレンズを無料で交換したり、既製品の老眼鏡プレゼントも行いました」

 積極的に震災復興活動に取り組んでいたある日、「指輪を買いたい」という1本の電話が鳴る。震災で絆の尊さを再認識したカップルたちが「大切な人と結婚したい」「だから指輪が欲しい」、あるいは「一生ものの時計が買いたい」と、しだいに来店者が増えていった。「オペラ最大のピンチを救ってくださったのは、やっぱり地元のお客様でした」。

時の記念日(6月10日)には、毎年JR須賀川駅に時計を寄贈している。

 このとき地元のありがたさを再認識した渡邉大勝氏が、先代、先々代から受け継ぎ、現在も続けていることがある。それは毎年の時の記念日に、新しい壁掛け時計をJR須賀川駅に寄贈すること。第2の創業の地ともいえる須賀川市への恩返しの想いを込め、そしてスタッフともども地域への感謝を忘れないために。

 オープン時にタグ・ホイヤー、ブライトリング、シャネルの正規取扱いを始めたオペラ郡山本店は、最近ではクストスの取扱いもスタートさせるなど、人気どころの本格時計ブランドを取りそろえる。オペラいわき鹿島SC店、ジュエリー専門のオペラ福島店など福島県内に展開を広げ、四代目・渡邉大勝氏が十数年前に思い描いた通り、東北最大級の正規店「OPERA」を築き上げた。

 それでも「日々、勉強です。お客様に感謝、感激、感動していただけるよう、社員一同、おもてなしに取り組んでいます」と、謙虚な姿勢は変わらない。そして、現在のオペラが一番の誇りとしていることは?という最後の質問に、迷いなくこう答えた。「116年に及ぶ会社の歴史と、それを支えてきた社員たち、そして何より、地域のすべてのお客様です」

【オペラ郡山本店】
■住所:福島県郡山市南1丁目35番地
■TEL:024-922-4500
■営業:10:00~18:00 ※水曜休

その他、詳細はオペラ金美堂公式サイトへ。

Words by Takahiro Ono