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Editors' Picks HODINKEE編集部が選ぶ2024年の注目すべきコンプリケーションウォッチ

ちょっと特別な気分のときにぴったりだ。


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年末が近づき、ホリデーシーズンももうすぐ。時計愛好家にとっては、1年を振り返って2024年のお気に入りの時計を思い返す時期だ。

 ここ数日、2024年の最高のバジェットウォッチドレスウォッチを紹介してきたが、今日は少し特別な時計たちを取り上げる。記録を塗り替えた懐中時計や個性的なトゥールビヨン、圧巻の夜光を備えたモデル、さらには真のデジタルコンプリケーションを搭載した時計まで、実に多彩で複雑な顔ぶれがそろった。記事を読み終えたら、ぜひコメント欄で2024年にあなたの心を奪ったコンプリケーションウォッチ(複雑時計)を教えてほしい。


ヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエ・ザ・バークレイ・グランドコンプリケーション
By Mark Kauzlarich

 2024年の時計を選ぶカテゴリーで懐中時計を選ぶ機会はそう多くない。しかしあるブランドが(しかも自らの記録を塗り替えて)世界で最も複雑な時計を作り上げたなら、それは選ぶに十分な理由だろう。

 この時計を手に取る幸運に恵まれた時間については、すでに何度も(1度だけでなく2度も)語ってきた。最後には、アメリカのコレクター、ウィリアム・バークレー(William Berkley)氏の金庫に収められることとなったが、ヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエ・ザ・バークレイ・グランドコンプリケーションは真のウォッチメイキングの傑作だ。63の複雑機構、245個の石、2877個の部品を備え、重さは1kg近くに達する。そもそも時計自体が必需品とは言えない現代において、このような時計は存在する必要がないのかもしれない。それでもなお、ヴァシュロン・コンスタンタンは純粋な探求心と挑戦のために、限界を押し広げる意欲を持ち続けている。

 11年にわたる開発の集大成として、ヴァシュロン・コンスタンタンは世界初の中国暦パーペチュアルカレンダーを搭載することに成功した。これは太陰太陽暦に基づくもので、前作の世界最高複雑時計に採用されたユダヤ暦と同様、非常に高度で緻密な機構だ。この偉業はまさに時計製造の頂点をきわめた瞬間と言えるだろう。ここまで聞くと、少し技術的で冷静すぎる印象を受けるかもしれない。それも無理はない。なにせこの時計は触れることも手に取ることも、ましてや日常で使うことなど想像もできない、いわば時計界のコンセプトカーのような存在なのだから。だからといって、その圧倒的な存在感や、実物を目にした時の衝撃が薄れるわけではない。あの瞬間の驚きと感動は、これから先も決して忘れることはないだろう。

– マーク・カウズラリッチ、エディター兼フォトグラファー


A.ランゲ&ゾーネ ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン・ハニーゴールド “ルーメン”
By TanTan Wang

 これはもう迷う余地すらなかった。確かにA.ランゲ&ゾーネ ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン・ハニーゴールド “ルーメン”は、ほかの同僚たちが選んだ時計に比べると控えめとは言いがたい。しかし、それでもバークレイ・グランドコンプリケーションほど圧倒的というわけではない。2024年の新作時計は全体的にやや大人しい年だったという声をよく耳にしたが、それでも心を揺さぶる名作がなかったわけではない。その代表格がこの時計だ。

 長年、A.ランゲ&ゾーネはルーメンシリーズと複雑機構をあえて別々に展開してきた。しかし、突如としてそのふたつの路線は交わり、まるでトロッコ問題を解決しようとする虚無主義者のように、この驚異的な時計が2024年のWatches and Wondersで姿を現した。さらに、めったに使われないハニーゴールド合金がケースに採用され、50本限定という希少性も加わることで、この時計は、ランゲのコレクターが限定モデルに期待するあらゆる要素を、ほぼすべて備えた理想的な1本となった。

 2024年、A.ランゲ&ゾーネがこの時計を発表したのには明確な理由がある。2024年はダトグラフ誕生25周年という、ブランドにとって大きな節目の年だからだ。幸運にもこの時計を何度か手に取る機会があったが、そのたびに新鮮な感動を覚えた。ランゲの時計は一見すると控えめでストイックなダイヤルデザインだが、その裏には驚くべき技術が詰め込まれている。アウトサイズデイト、クロノグラフ、ムーンフェイズ、パーペチュアルカレンダー、さらに裏側にはトゥールビヨンという、考えうる限りの複雑機構が融合している。驚くべきことに、2024年のランゲのなかで最も気に入った時計はこれではない。それでも複雑機構という観点では、この時計の存在が頭から離れることはないのだ。

– タンタン・ワン、エディター


シャネル プルミエール サウンド
By Malaika Crawford

 確かに、この時計は従来のコンプリケーションという定義には完全には当てはまらないかもしれない。しかし、厳密に言えば“時間を表示する以上の機能を備えている”という条件は満たしている。だから技術的には、これも複雑機構の時計として扱っても…まあ、いいだろう。

 シャネルの時計は決してノスタルジーに縛られることはない。事実、シャネル ウォッチメイキング クリエイション スタジオ ディレクターであるアルノー・シャスタン(Arnaud Chastaingt)氏は、ウォッチデザインを未来へと押し進める確かな手腕を持っている。ネックレス型の時計にヘッドフォンが取り付けられているというと、少々奇抜に聞こえるかもしれないが、そこにはシャネルらしい遊び心と革新性が詰まっており、シャネルの顧客層にはしっくりとなじむ。この時計兼ネックレス兼テックオブジェは、伝統的なプルミエールのデザインをしっかりと保ちつつ、マスター&ダイナミック製のヘッドフォンによるオーディオ機能を追加している。スマートフォン(iPhoneやAndroid)やそのほかのオーディオ機器に接続可能で、日常使いにも実用性を備えている。さらに、イヤフォンのコードはネックレス部分に巧みに組み込まれており、取り外すことでシンプルなサントール(ロングネックレス)としても楽しむことができる。このデザインは単なるガジェットではなく、シャネルが手がけるラグジュアリーアイテムとして、しっかりと完成されたものになっているのだ。

 2024年は“ありきたり”なデザインが主役の年だった。ファッション業界ではベージュのカシミアセーターやロゴなしのハンドバッグが主流となり、時計の世界でも控えめで洗練されたスタイルが目立った(たとえばチューダー ブラックベイ モノクロームやホワイトダイヤルのスピードマスターなど)。そんな静寂に包まれた1年のなかで、シャネルのプルミエール サウンドは、ひときわ異彩を放つ、楽しくエキセントリックな存在だった。真面目なトーンが支配するなか、この時計はまるで息抜きのような、遊び心に満ちたアクセントとなった。

– マライカ・クロフォード、スタイルエディター


ショパール L.U.C 1860 フライング トゥールビヨン
By Rich Fordon

 ほとんどの場合、トゥールビヨンは実用性という点では必要不可欠なものではない。しかし、よくできたトゥールビヨンを見ると、どうしても心を奪われてしまう。たとえばタグ・ホイヤーのカレラ トゥールビヨンは、初めて手に取った瞬間から憧れ続けている1本だが、市場ではあまり動きが速いとは言えない。一方でショパール L.U.C 1860 フライング トゥールビヨンは、ドレスウォッチとしての複雑さとエレガンスを見事に融合させ、まったく異なる魅力を放っている。両者のあいだには10万ドル(日本円で約160万円)以上の価格差があるが、それだけの価値がある仕上げが施されている。この時計はショパールのL.U.Cコレクション究極の表現であり、伝説的なCal.1.96の最高峰とも言える完成度を誇る。控えめで洗練されたコレクターにとって、L.U.C 1860 フライング トゥールビヨンは、2024年“最高のコンプリケーションウォッチ”と呼ぶにふさわしい1本だ。

 これは世界で最も小さいフライングトゥールビヨンキャリバーを搭載している。直径27.4mm、厚さ3.3mmというサイズに収めることで、クラシックな1860のケースサイズ、直径36.5mm、厚さ8.2mm(さらにハンターケースバック付き!)を維持することに成功した。サイズは必ずしも力強さを意味しないが、この時計はそのコンパクトさのなかに驚くべき技術を詰め込んでいる。スペック好きなら、ストップセコンド機能、ブレゲ巻き上げヒゲゼンマイ、スワンネック緩急針、ジュネーブストライプ、そして手作業による面取りなどの特徴に心が躍るはずだ。さらに文字盤は、フィリップ・デュフォー(Philippe Dufour)氏のシンプリシティも手がけたことで有名なメタレム(Metalem)社によって製作されている。確かに、ショパールはこのL.U.C 1860 フライング トゥールビヨンをわずか10本限定で製作し、その価格は12万7500スイスフラン(日本円で約2230万円)という高額だ。ただそれが今年最高の複雑時計になり得ないというわけではない。なにしろマークの選んだ1本は、真に唯一無二の存在なのだから。

– リッチ・フォードン、エディター


カルティエ 「トーチュ」モノプッシャー クロノグラフとダニエル・ロート トゥールビヨン ローズゴールド

 はっきり言おう。このカテゴリーにふさわしい時計はひとつしかない。それはマークがすでに選んだヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエ・ザ・バークレイ・グランドコンプリケーション、つまり史上最も複雑な時計だ。次に頭に浮かんだのはタンタンの選んだ時計だった。しかしそれもすでに選ばれていたため、私は少し方向性を変え、よりエレガントで単一の複雑機構にフォーカスした時計を選ぶことにした。

カルティエ 「トーチュ」モノプッシャー クロノグラフ

 カルティエの「トーチュ」モノプッシャーは、プリヴェコレクションに追加された素晴らしいモデルであり、私自身も真剣に検討した時計のひとつだ。キャリバー自体の形状は美しいものの、少々物足りなさを感じる部分もある。しかし全体としては洗練されており、控えめでありながらエレガントだ。このバランスこそが、私が自分で購入したいと思うコンプリケーションウォッチに求める要素だ。これとまったく同じことが、復活を遂げたダニエル・ロート トゥールビヨン ローズゴールドにも言える。昨年のスースクリプションモデルよりも控えめな印象を受けるが、そのぶん仕上げに対する細かなこだわりが一層際立っている。ディテールへの徹底した配慮は、今日の独立系ブランドのなかでもトップクラスに匹敵する完成度だ。

– ベン・クライマー、創設者兼プレジデント


ゼニス クロノマスター オリジナル トリプルカレンダー HODINKEE エディション

 これまで紹介されてきた複雑機構の数々を考えると、当初は素晴らしいグルーベル・フォルセイ ナノ・フドロワイアントEWTを選ぶつもりだった。しかし、少し地に足のついた選択をしたほうがいいかもしれないと思い直した。だが完全に地上に降り立ったわけではない。HODINKEEが手がけた数多くのリミテッドモデルのなかでも、最近のお気に入りのひとつがゼニス クロノマスター オリジナル トリプルカレンダー HODINKEE エディションだ。この時計はスポーティでありながらエレガント、そして複雑機構をしっかりと備えた1本である。シンプルすぎず、かといって過剰でもない。まさにバランスの取れた、実用性と美しさを兼ね備えたモデルだ。

 クロノグラフとトリプルカレンダーを組み合わせたこのハンサムなクロノマスターは、曜日と月の小さな表示窓によってさらに興味深いものとなっている。さらに、サブダイヤルにメテオライトが使用されていることで、デザイン全体に特別な要素が加わり見事な調和が生まれている。この時計には、クロノマスターの特別さを象徴するすべての要素が詰め込まれており、複雑機構と美しいデザインの両面でその魅力が際立っている。

 これは伝統的な複雑機構を備えながら、モダンな外観と雰囲気が見事に調和した、とても美しい時計だ。メテオライトはあくまで遊び心の要素だが、それがたまらなく魅力的に映る。

– ジェームズ・ステイシー、編集長

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