Watch Spotting カスタマイズされたロレックス　キング・マイダスを身につける妊娠中のリアーナがネットで話題に！

　私はその画像を拡大して、JJがその時計を正しく認識しているかどうかを考えた。もしかしたら、リリ（リアーナの愛称）がスーパーに行くときに愛用しているヴィンテージのカルティエ サントスと間違えているのではないかしら？　でも、もちろん、今月初めにHypebaeが確認したとおり、その識別は正しかった。その時計は、ジュエラーのパトゥチャラヴィパ・ボディラトゥナングクラ（Patcharavipa Bodiratnangkura）がカスタマイズした18Kゴールドのロレックス　キング・マイダスだったのだ。

　クリスティーズが2013年に開催したImportant Watchオークションのカタログ文中で指摘しているとおり、ロレックスのキング・マイダスは、’60年代初頭にアイコン的存在であったジェラルド・ジェンタ氏がデザインしたとされている。ジェンタ自身も2009年に開催されたVery Important Watchesのインタビューで、“私がデザインしたロレックスは1モデルだけで、それは現在も存在し、チェリーニ・コレクションの一部にラインアップされています”と語っている（キング・マイダスはのちに、より幅広いロレックス　チェリーニラインに包含されることになる）。

　この時計は、触れたものすべてを黄金に変えてしまうギリシャ神話の王にちなんで名付けられたもので、リアーナが音楽やランジェリー、美容製品など、あらゆるプロジェクトに自分の名を冠するのに似通っている。オーデマ ピゲのロイヤル オークやパテック フィリップのノーチラスなど、ジェンタの有名デザインと同様、手巻き式のキング・マイダスのインスピレーションもアテネのパルテノン神殿という実在の場所が源となった。実際、時計を3時下に置くと、パルテノン神殿の傾斜した屋根を模したシンメトリーなケース形状が、太い一体型ブレスレットによって支えられているかのように見える。

　リアーナがこの型破りなゴールドピースに引かれるのは、かつてファッションの祭典メットガラで5万時間かけて作られた“壮麗な黄金色”のドレスを着た彼女だからこそと言えそうだ。また、ダイヤルにはギリシャ文字で“MIDAS”と書かれていることからも（後に“Cellini”に変更された）、エルビス・プレスリーやジョン・ウェインが注目した旧き良き時代が出自のモデルであることがわかる。セレブが時計を誇示することは、昔からのことなのね。

　このように高い評価を得ているシリーズなだけに、リアーナのキング・マイダスが改造されていることに、時計愛好家たちは酷くウンザリしているに違いない。しかし、最近私が執筆したハーパーズ バザーの記事で、時計のカスタマイズに向けられる非難について指摘したように、コレクターには購入した時計に好きなことをする権利がある。GIA（米国宝石学会）認定デザイナーであるボディラトゥナングクラは、このパンチの効いたデザインを装飾するために特別な注意を払いながらも、彼女の“大胆な美意識と素材感や質感の繊細な表現”を忠実に貫いた。私も大胆かつ見事なデザインだと感じる。

　タイ出身のボディラトゥナングクラは、彼女の家に伝わる家宝から多大なインスピレーションを得ていることから、彼女の作品すべてが家宝として受け継がれることを願っているそうだ。リアーナとエイサップ・ロッキーの赤ちゃんが世界で最もクールな人間に仲間入りし、いつかこの特別な時計を身につけている姿を想像せずにはいられない。

ブリン・ウォールナー（Brynn Wallner）は、ニューヨーク在住のクリエイティブ・コンサルタント兼ライターだ。また、女性と時計に関するあらゆる情報を提供するDimepiece.coの創設者でもある。彼女のHODINKEE A Week On The Wristの動画はこちら：オーデマ ピゲ　ロイヤル オーク 常識を覆した34mmブラックセラミックモデルを1週間レビュー

Lead photo taken by Miles Diggs