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先日、HODINKEE Shopで中古時計をご紹介した。その中で私が気になったのは、初代チューダーのブラックベイ レッド「スマイリー」のコンプリートセットで、素晴らしい状態の物だった。私はショップチームで働いているため入荷したものはほとんど見ているが、この時計はとても物欲を刺激された。ショップジャーナルにも書いたほどだ。自分のために手に入れることを正当化しようと、拳を握った。しかし、私は既にブラックベイ フィフティ-エイトを所有しており、気まぐれに他のものを買える立場ではないのだ(どうせ誰かが買ってしまうのだから)。
そんな中、同じ時期にHODINKEE Shopに似たようなものが入荷してきたのは、まさに奇遇だ。同様のデザインでより手頃な価格のタイメックスの時計だった。
今回の記事のきっかけとなった初代チューダー ブラックベイ。
そこで、第2回目の「Steal Vs. Splurge」(お手頃品 vs. 贅沢品)コラムでは、チューダーとタイメックスの2つのダイバーズウォッチを比較購入した、私の体験談を詳しくご紹介しようと思う。
(カーラの初回の記事「イエローゴールドブレスレットウォッチたち」もお見逃しなく!)。
お手頃品を手に入れる
時計: タイメックス ネイビー XL Automatic Ref. tw2u09900zv(259ドル=約2万8000円)
この時計がクールな理由:ネイビー XL Automatic シリーズは隠れた名品だ。ここ数年で急増したタイメックスのニュールックな機械式時計のカタログの中で、その地位を確立している。マーリンやM79 オートマティックなどがSNSで話題になっているが、Navi XLには、前世紀にタイメックスが製造したミリタリーウォッチへのオマージュを込めた、小さなかわいい時計がいくつもある(余談だが、タイメックスのミリタリーウォッチの歴史は非常に過小評価されている。数年前、アメリカの懐中時計や計時機器を専門に扱うオークションハウスを訪れた際、タイメックスの前身であるU.S.Time Corp.と書かれたヒューズタイマーが大量に出品されていたのには驚いた)。
タイメックス ネイビー XL オートマティック Ref. TW2U09900ZV。
タイメックス ネイビー XLは、ブラックベイへのオマージュでも、コピーでも、パクリでも、何の模造品でもない。共通するのは、赤の逆回転防止ベゼル、そして黒の文字盤、約41mm×13mmのケース(そして両社の社名の頭文字である「T」)だけだ。ブラックベイが、わずかなグレイン加工が施された文字盤で日付表示なし、マットアルミニウムベゼルなど、すっきりとしたヴィンテージ感のあるデザインなのに対し、ネイビーXLは、より多くの情報を自信をもって提供することを目指している。文字盤上には24時間スケール(ミリタリータイム)、3時位置には日付表示があり、風防上の拡大レンズで目立たせている。そして、光沢のあるポリッシュ仕上げの赤いベゼルインサートが外観を完成させている。
「オープン 」な時針が注目されるが、剣のような分針やロリポップのような秒針も見逃せない。
ネイビー XL Automaticが優れているのはデザインだ。ブラックベイが伝統的なダイバーズウォッチの美学を受け継いでいるのに対し、タイメックスは非凡な要素を取り入れて独自性を高めている。中でも時針のデザインは、先端付近にオープンサークルを設けることで、内部の24時間スケールを妨げずに読み取れるようになっている。これにより、ダイバーズウォッチとしての美しさ(60分逆回転防止ベゼルを採用)とミッドセンチュリーのフィールドウォッチとしての美しさを融合させている。ネイビー XLは、この2つの典型的なデザイン要素を、窮屈さや複雑さを感じさせない親しみやすい方法で実現。また、この価格では考えられないような数々の素晴らしいディテール(角型のリューズガードが僕好みだ)も備えているのだ。
シンプルなサイドフォルムに、スクエアなリューズガード。
ミヨタのエンジンが駆動する。
なぜ手ごろな価格なのか:タイメックスはグローバル企業であり、その時計は世界各地の工場で製造されているが、この時計はたまたま中国製造だ。内部には日本のシチズングループのミヨタ製自動巻き(ハックなし)ムーブメントを搭載。また、逆回転防止ベゼルが付いていても「真の」ダイバーズウォッチではない。ネイビー XLは100mの防水性しかテストされておらず、リューズの開閉は安全に配慮したねじ込み式ではなく、引っ張っるのと押し込みだけで行われる。また、タイメックスは風防を傷の付きにくいサファイアではなくミネラルクリスタルを採用しており、装飾のない内部のキャリバーには不要と思われるトランスパレントケースバックを採用している。
贅沢なものを手に入れる
時計: チューダー ブラックベイ Ref. M79230R-0011 (税込 37万6200円)
現行シリーズのチューダー ブラックベイ Ref. M79230R-0011。
この時計がクールな理由: チューダーの現代的なダイバーズウォッチは、まさにクラシックと言える。初期のブラックベイETAシリーズや、COSC認定の自社製ムーブメントを搭載した後続モデルは、何十回も試着してきた。しかし、先日入荷した中古品を見て、カーブした文字盤に昔ながらのチューダーローズのロゴが入った初代モデルが、いかに魅力的かを思い出した。
ブラックベイを選べば、200m防水の高品質なスイス製ダイバーズウォッチを手に入れることになり、内部には自社製(新品を購入する場合)またはETA(中古市場でオリジナルのものを購入する場合)の、検証済み自動巻きムーブメントが搭載されている。また、過去10年間で最も成功した新製品の1つにまつわる宣伝文句が何であるかを自分の目で確かめることができる。また、言うまでもなく、この先何年にもわたって活躍するであろう最高の時計のオーナーになることができるのだ(チューダーのオーナーが時計を大切にするのには理由がある)。
高価な理由: 心のままに従おう。ブラックベイは、間違いなく、ネイビー XL(およびタイメックスの現行製品)よりも高級な時計だ。そしてそれは、身に着けているとき、手にしているとき、そして本当はこの時計のことを考えているときにも、他とは違う経験をさせてくれる。
チューダー ブラックベイの新品は、約36万円〜39万円。この写真のように、ETAエンジンを搭載した中古品でも35万円前後からだ。
ブラックベイのベゼルは1回転で60クリックになるように設定されているが、ネイビー XLはその倍のクリック数で、箱から出したばかりの新品は明らかに硬い。チューダーのねじ込み式リューズは操作するのも楽しいが(ジャックがA Week On The Wristで語っていたように)、タイメックスのリューズは特筆すべきものではない。
HODINKEEは時計専門サイトだから、そういったディテールが重要でないと言えば嘘になるだろう。もちろん、重要である。ブラックベイを高級品に、タイメックスを別物にしているのはそのためなのだ。
決断の仕方
広大な時計の世界には、たくさんの赤いベゼルや黒い文字盤の時計があるだろう。しかし、コレクションの楽しみは選ぶことにある。そして、その選択は常に個人的なものなのだ。私の場合、それは単純な判断だ。欲しいけど必要のない2つめのブラックベイのために大金を払うべきか? それとも、代わりのタイメックスが同等のスリルをくれるのか?
スリルをもたらしてくれるだろうか。
読者の皆さん、この先の展開を想像せずにここまで来てしまった方には、今から私がお答えしよう。赤いブラックベイへの欲求を満たすために、私はタイメックス ネイビー XL Automaticを購入した。そう、HODINKEE Shopで自分のお金で買ったのだ(その後、ダークステイン加工されたブラウンレザーのシングル・ストラップを合わせた)。この時計を購入する前にこの記事を書こうとは思っていなかった。しかし、これまでのところタイメックスとの時間を本当に楽しんできたのだ。何年も前から憧れていたのに、なかなか手を出さなかった美的感覚への理解を深めることができた。
価格や名声に関係なく、様々な種類の時計を楽しめないのであれば、時計収集に何の意味があるというのだろう?
購入について
今回紹介したタイメックス ネイビー XL Automaticの価格は1万7600円だ(日本未発売)。HODINKEEShopでご購入いただける。現行のチューダー ブラックベイのRef. M79230R-0011の価格は37万6200円 で、ストラップはエイジング加工されたブラウンレザーだ。初代チューダー ブラックベイのRef. 79220Rは中古市場で販売されており、こちらで中古品を購入できる。
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