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Interview フレンチ・コネクション。象徴的なデザイナー、アラン・シルベスタインと革新的な時計職人、フィリップ・レブルが原色のドリームマシンを開発

これはこれは。このフランスらしい時計を見てほしい。

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アラン・シルベスタインは、時計業界で最もよく知られているクリエイティブな才能の一人だ。トレードマークである原色や幾何学的な形、そしてバウハウスデザインの影響を受けた彼の作品は、一目見ただけでわかる。

 2012年に自身の名を冠した会社を解散した後、シルベスタインはMB&F、ロマン・ジェローム、そして最近では(何度も)ルイ・エラールとコラボレーションしてきた。数ヵ月前、彼は自身の故郷であり、フランス時計産業の中心地であるブザンソンで受賞歴のあるクロックメーカー、フィリップ・レブルとの最新のパートナーシップを発表した。

 レブルの会社であるUTINAM(ユティナム)は、彼らの故郷であるフランシュ・コンテ州にちなんでComtoise(コントワーズ)と名付けられた時計の製造において、世界的なリーダーとなった。ユティナムは完全な自社製造で、独自の振り子式ムーブメントの設計により、10日間動き続けることが可能だ。

アラン・シルベスタイン(左)、フィリップ・レブル(右)とKB2フロアクロック。

 2人が新たに発売したクロック「KB2(Kontwaz Bauhaus 2)」は、ブザンソン地方の伝統的な振り子式のフロアクロックだ。高さ1.8mの鍵式時計であるKB2は、一目でシルベスタインの作品であることがわかる。しかし、わかりにくいのは、彼がレブルの自社製ムーブメントをデザインし直したことだ。脱進機と歯車の装飾をカスタマイズしただけでなく、巻上げを改善するために新しい溝付き香箱を採用するなど、巻き上げシステムにも手を加えている。

 レブルとシルベスタインは初めての共同製作である世界に一つだけの振り子時計を作った。今日のフランスのクラフツマンシップと時計技術の粋を集めたものだ。

二人の出会いは?

アラン・シルベスタイン(以下AS):私たちは、同じブザンソンという町に住んでいます。何十年も前から近所付き合いがあったのに、実際に会ったのは最近のことです。ジュネーブで開催されたウォッチショーで出会ったのです。

ブザンソンの風景(Credit: Dmitry Vetrov)

 私が手がけた最初のコントワーズ、つまり最初のスタンディングクロックをもう一度見てみたいと思い、勇気を出して昨年12月にブザンソンのダウンタウンにあるフィリップのギャラリーに行き、「一緒に何かやらないか?」と言ってみました。

 デザインを誰かと共有できるようになるには時間がかかります。私は過去10年間、ほかの時計メーカーやブランドとのコラボレーションを行ってきました。私はいつも慎重に行動しています。誰かと一緒に仕事をしたいとは思っていますが、それには完璧なタイミングを見つけなければなりません。今回のコラボレーションは、友情の物語でもあります。

フィリップ・レブル(以下PL):私たちの時計は、家庭や家族に属するものです。誰かが身につけているだけの時計ではなく、家族に捧げられたものなのです。そこには2つの次元があります。家族とアートです。どちらも非常に重要です。

アラン、あなたのオリジナルクロックについて教えてください。今回のデザインで、キャリアの原点に立ち返った気持ちはどうですか?

AS:私のオリジナルの時計はとてもシンプルなものでした。私の最大の目標は、時間を“与える”キネティック・スカルプチャー(動く3次元作品)を提供することです。私たちは時計よりもアートに関連しています。しかし、家族の時間を守るために使われるものを作ることは、私にとって重要なことです。

1990年代後半に作られたシルベスタインのオリジナルフロアクロック。

 私の国では、スタンディングクロックは家族のトーテムのようなものです。結婚祝いに、新しい家の時間を計る置き時計を贈るという素晴らしい習慣があります。

ムーブメントの一部もカスタマイズされているんですよね? 脱進機や歯車など。

AS:大変光栄なことに、私はフィリップの自社製ムーブメントの全権を委ねてもらいました。時計のデザインをしていると、外見だけをデザインしていると思われることがあります。しかし、それは違います。フィリップの仕事や意図を理解するために、私はまず彼のムーブメントを手がけました。

 彼は完全なマニュファクチュールであり、歯車や脱進機のデザインを変更し、自分のスタイルを作り上げることができるのは夢のようでした。私は、スタイルや素材の面で、ちょっとした付加価値(私が言うところの“ちょっとしたクレイジーなこと”)を与える機会を得ました。例えば、ホイールは特注で、4つの穴があり、ソレイユとアングラージュの装飾が施されています。

 ムーブメントを作った後、彫刻を作るのはとても簡単でした。しかし、スタンディングクロックの芸術は、常にムーブメントにあると言っても過言ではありません。ここで重要なのは、ユティナムはフランスで唯一の真の時計メーカーであるということです。フィリップとは、仕上げや素材の選択について話し合うことができます。また、私が何かクレイジーなアイデアをもっていたとしても、技術的な専門家として「それは簡単にはできない」と教えてくれました。また、時には彼に挑戦することもありました。

 真のコラボレーションとは、2人のクリエイターの対決のようなものです。そして結果は、議論を重ねて解決した私たちの挑戦の総和なのです。

PLレ・ポップアップ(Le Pop Up)というモデルをアランに提供し、完全に自分のものとしてデザインし直してもらいました。

AS:これはキネティック・スカルプチャーなので、すべてが動いています。ムーブメントの中の時計の風景は、瞬間ごとに異なっています。脱進機にしても、ここでは完璧に磨き上げられ、非常に幾何学的な端部をもっています。

 ムーブメントを見るときはいつも、驚きに満ちていなければなりません。このようなムーブメントでは、振り子から脱進機まで錘がどのように動いているのかを理解することができます。機械式ムーブメントを手にすると、時計製造のマジックを理解することができます。

伝統的な“コントワーズ”の時計について教えてください。

AS:コントワーズとはフランシュ・コンテ地方の形容詞で、フランシュ・コンテ地方の人々には「Comtoise」と呼ばれています。コントワーズは、私たちの地域に伝わる錘と振り子を備えた伝統的な機械式時計の名です。

 この新モデルを発表できることを大変うれしく思います。これは私の長年の夢でした。そして、フィリップが素晴らしいムーブメントを作ってきたため、今や正確なデザインと需要の要求に完璧に応えられるようになったと言えるでしょう。例えば、私がマイアミ地域で販売していたコントワーズの時計は、湿気で真鍮の部品がダメになってしまうという問題がありました。フィリップのおかげで、ムーブメントにアルミニウムやスティールが使えるようになり、現代の家庭に時計を再導入するのに最適な素材となりました。

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ここ数十年の間に、フランスの時計製造はどのように進化してきたのでしょうか?

PL:1970年代後半、スイスと同様にフランスの時計産業も崩壊しました。しかし、スイスのハイエックやビバーのような人たちが、スイスの時計製造を産業に変えたのです。最初は職人がいたのですが、“Swiss Made”という強力なラベルを導入したことで、産業として成り立つようになりました。一方、フランスでは同じことができませんでした。そして現在、フランスの時計職人のほとんどはスイスの時計産業で働いています。働く人の50〜80%はフランス人なのです。

AS:私は80年代半ばに時計製造を学びましたが、フランスよりもスイスで歓迎されました。フランスでは時計製造の将来をまったく考えていない企業家たちがいました。彼らは非常に保守的で、10年後にはすべてが消滅していました。

PL:時計製造において、スイス人とフランス人の間にヒエラルキーはありません。私たちは皆同じで、同じ文化を共有しています。まるで一つの国のように、時計製造の国なのです。ポイントは業界ではなく、クリエイションやアートにあります。ファッション、アート、クリエイションの分野でフランスが評価されているからこそ、フランスの時計メーカーは何かを与えられるのです。

 “Swiss Made”は、腕時計に関してはもちろん非常に強いです。それをユティナムはクロックで実現しようとしているのです。“French Made”を成功の柱として確立するために。

このインタビューは編集され、要約されています。

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KB2 Lebru × Silbersteinは88個の限定品で、ウォールクロック(約236万円)とフロアクロック(約296万円)の2種類がある。フランス・ブザンソンのユティナムギャラリーをはじめ、ジュネーブ、ドバイ、香港、台北のM.A.D.ギャラリー、およびオンラインショップで購入することができる。