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Happenings ジャガー・ルクルトによるレベルソ・エキシビションでひとつのアイコンの物語を辿る

歴史、デザイン、メカニック。そのすべてがこれから数週間、ニューヨークで展示される。

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ジャガー・ルクルトのレベルソは時計史上5、6本の指に入るアイコニックなデザインであり、単独の展示会を開催するに値する時計である。そしてJLCは11月3日から22日のニューヨークにかけて、その展示会を開催する。誰でも入場が可能な“レベルソ・ストーリーズ・エキシビション”は、チェルシーのアイアン23で開催。レベルソについて詳しく知ることができ、今年発表された最新モデルの一部も見ることができる。

jaeger lecoultre reverso exhibition

 HODINKEEは先週、ベン・クライマーとレニー・クラヴィッツ(Lenny Kravitz)氏が、クルマやカメラ、そしてレベルソといった多岐にわたるコレクターズアイテムに共通する思いについて語り合った際、展示会のオープニングを手伝った。当日、ベンはトリビュート 1931 USエディションを着用し、クラヴィッツ氏は新しいローズゴールド製レベルソ・トリビュート・クロノグラフをつけて登場した。

jaeger-lecoultre reverso exhibition

 この展示会では、レベルソが誕生した1931年から現在に至るまでのストーリーを描いている。1925年のパリ万国博覧会以降に始まったアール・デコ運動から生まれた、時計の歴史的背景をうまく表現しているのだ。例えばアール・デコ建築の最も象徴的な建造物のひとつであるエンパイア・ステート・ビルは、レベルソが発表されたのと同じ年に完成した。ふたつのデザインを並べて見比べると、似たようなラインやシェイプが形成されているのがおわかりいただけるだろう。

reverso stories exhibit chelsea new york city
jaeger-lecoultre reverso exhibition
jaeger-lecoultre reverso exhibition

 展示には、より相互活性する部分もあった。創業者のアントワーヌ・ルクルトにちなんで名付けられたアトリエ・ド・アントワーヌ(Atelier D'Antoine、時計製造実技等の教育プログラムが行われるアトリエ)では、レベルソのケースを構成する部品の一部を組み合わせることができる。

 それと同じくらい貴重なのは、ジャガー・ルクルトの最近のリリースを実際に取れる機会が設けられたことだ。私のハイライトは今年の傑出したリリースのひとつである、レベルソ・トリビュート・クロノグラフが再び見られたことである。印象的なレベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨンも会場に展示されている。表と裏にトゥールビヨンを搭載しているが、それでも9.15mm厚という薄さを実現しているのは技術の賜物である。

reverso chronograph

JLCが最近発表したレベルソ・トリビュート・クロノグラフのようなモデルを楽しめる。

jaeger-lecoultre reverso tourbillon 2023

そして裏側にもトゥールビヨンがある素晴らしい(かつ超薄型)レベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨンも。

 ジャガー・ルクルトはまた、ケースの裏側に美しいエナメルの細密画を描いた、2本の新しい北斎限定モデルも発表した。JLCによるとこのようなエナメル画を描くことができるエナメル職人は5人しかおらず、そのうちのひとりがほかの4人を育てたマスターエナメル職人だという。ただ裏面に描かれた絵に注目が集まるかもしれないが、ギヨシェ彫りが施されたゴールドの地板の上にエナメルが施された表のダイヤルも特筆すべき点だろう。この繊細で美しいエフェクトは、JLCのカタログ上もっと多くの腕時計に実装されて欲しいものだ(言うは易く行うは難し!)。

hokusai jaeger reverso limited edition

2本の北斎限定版レベルソ。

reverso hokusai limited edition

表は、ゴールドのギヨシェ文字盤にエナメル加工が施されている。

reverso hokusai limited edition

 私が最も興奮したのは、さまざまなヴィンテージレベルソが展示されていたことだ。展示会では1931年のオリジナルレベルソから今日に至るまで、レベルソの時系列がすべて展示されている。

vintage jaeger lecoultre reverso red

レベルソ・ストーリーズ・エキシビションでは、この真っ赤な例を含め、カラフルな文字盤が数多く展示されていた。

vintage reverso brown dial

チョコレートカラーのヴィンテージレベルソ。

vintage reverso luxe red dial

ワインレッドカラーのレベルソ・リュクス。

book various reverso dials

時計だけでなく、文字盤やレベルソのエングレービングの本、レベルソケースの特許原本まで、あらゆる種類のアーカイブ資料が展示されている。

jaeger le-coultre corvo reverso

珍しいコルヴォ・レベルソ。70年代初頭に起きたレベルソの復活は、それだけで物語る価値があるが、これはジョルジオ・コルヴォ(Giorgio Corvo)がJLCのマニュファクチュールを訪れ、ダイヤルのない40年代製スティールレベルソケースを見たのがきっかけ。これらのユニークなケースを見て、コルヴォとJLCはレベルソを復活させることを思いついた。70年代半ばまでに、このコルヴォ・レベルソは約200本製造された。

jaeger lecoultre reverso six limited edition 1990s

 コルヴォ・レベルソはジャガー・ルクルトルネッサンスの始まりに貢献した。売り上げは伸び、90年までにはアイコニックなモデルであるレベルソへの関心が高まっていたのだ。そして1990年代は、クォーツショック後の伝統的な機械式時計製造の真の復活を示した。JLCにとって、これは6つから成る画期的なレベルソシリーズを意味し、ミニッツリピーター、トゥールビヨン、今年のレベルソ・トリビュート・クロノグラフのインスピレーションとなった両面クロノグラフなど、初めてレクタンギュラーウォッチに複雑さをもたらしたのである。

reverso casa fagliano

 歴史的に重要なレベルソのほかに、カーサ・ファリアーノも参加していた。この小さな家族経営の会社は、世界最高のポロ競技用ブーツを生産しており(チャールズ国王に聞いてみて)、JLCとは数多くのレベルソでコラボレートしている。

jaeger-lecoultre reverso gold on wrist

どこを見渡してもレベルソだ。

reverso stories exhibit

 レベルソ・ストーリー・エキシビションはレベルソの歴史、デザイン、メカニズムなど、ストーリー性を見事に伝えているだけでなく、レベルソの汎用性の高さも存分に発揮されている。シンプルな2針モデルから、目を疑うほどのクアドリプティックまで、そのすべてがチェルシーに展示されている。

jaeger-lecoultre vintage duoplan black

私は30年代製のルクルト・デュオプランをつけて出席した。

 レベルソは過去1世紀で最も重要な腕時計の5、6本のうちのひとつだが、ここ数年のあいだに誇大広告や見出しを飾ったほかの“アイコニックな”デザインの陰に隠れて、忘れられていることが多い。ハイプ(誇大広告)バルーンの空気が抜けて、レベルソが正当な評価を受けるときが来たように感じる。そしてこれから数週間は、その歴史のすべてが展示されるのだ。

レベルソ・ストーリーズ・エキシビションは2023年11月3日から22日まで、ニューヨークのチェルシーにあるアイアン23で開催。詳細はエキシビションのホームページをご覧ください。ガイド付きツアーも予約可能です。