Hands-On オメガ　新しいシーマスター 300を実機レビュー

　2010年代半ばにヴィンテージテイストブームが到来した際、オメガはフェイクパティーナを採用し、レトロとモダンを融合させたシーマスター 300を発表した。今年の初めには、このコレクションのアップデートに関する噂が飛び交った。そして3月、オメガはシーマスター 300シリーズを一新したのだ。発売日にその時計についての記事を載せたところ、読者からは好評のようだった。しかし、それらの写真はプレス用のもので、我々はまだ実際にその時計を見てはいなかった。そして今回、ようやく実際に目にすることができた。

　私は先日、シーマスター300の新モデル3種全てを4日間手元に置くことができた。ブラックダイヤルのスティールモデル（ストラップ）、ブルーダイヤルのSSモデル（ブレスレット）、そして全く新しいシーマスター 300 ブロンズゴールドだ。ブロンズゴールドの素材の違いを除けば、3種のデザインと機能はほぼ同じだ。ヴィンテージモデルを追い求めずに昔の雰囲気を味わいたい方にはぴったりのモデルとなった。

　ダイヤルレイアウトは、かつてのシーマスター300を彷彿とさせる。シーマスターのモデル名は、ダイヤルの上部から下部に移動し、Seamaster 300と表示されている。これにより、オメガはダイヤルをすっきりとさせることに成功した。旧バージョンでは、クロノメーター規格とコーアクシャルムーブメントを示す文字があったが、これらは全てケースバックに移された。

　ダイヤルはパネライスタイルのダブルレイヤーサンドイッチ仕様になっている。ブラックの上層部にはインデックスと数字のカットアウトがあり、下層部にはフル夜光のフェイクパティーナが配置されている。この効果は、思ったよりも控えめなものだ。私のように目が悪い人は、この立体感をしっかりと把握するために時計を顔に近づける必要がある。住宅ローンの契約書の細かい文字を読む時のように。

　このモデルでは、幅広いアロー時・分針が復活したが、SSバージョンの秒針はアローからロリポップに変わった。ロリポップ秒針には歴史的な前例があり（オメガは映画『007 スペクター』のシーマスター 300にも採用していた）、ファンの間ではこれが栄光への回帰であるかどうかが議論されている。私の目には、ロリポップの端が少し重く、秒針を重くしているように見えるが、時計を顔に近づけて見ているせいかもしれない。あなたの結果とは異なる可能性がある。

　一方で、新しいベゼルは文句なしに優れている。SSモデルのベゼルは、チューダー ブラックベイ 58のゴールドのスタイリングを彷彿とさせる。ベゼルはセラミックではなく、シュウ酸アルマイト処理されたアルミニウム製で、これが昔に戻ったような雰囲気を醸し出している。シーマスター 300の以前のバージョンは単色ベゼルだったが、このベゼルにはダイヤルに見られるようなエイジング加工のパティーナが施され、また、ベゼル全体が発光するようになっている。数字はダイヤルに合わせてブルーに光り、ベゼルの目盛りは分針に合わせてグリーンに光る。気になるベゼルの動きはもちろん、快適だ。

　プレス写真で見るより、メタルの方がエイジング加工がはっきりしていて、先日ディスコンになったモデルよりも明らかにダークな色合いだ。昼間の光の下では桃色（クレヨンにあるようなピーチ色）に近い暖かい色で、暗い場所では濡れた砂のようなムードのある色になる。

　時計の裏からは、METAS認定のオメガ マスター コーアクシャルキャリバー8912を見ることができる。シーマスターのエンブレムが刻印されたクローズドケースバックのオプションがあってもいいとは思うが（主に厚さを削るため）、このムーブメントは見る価値があると思う。

　手首上では、新しいシーマスター 300は先代モデルと同じ41mmであるにもかかわらず、42mm（あるいは43mm）あるように感じられる。サファイアクリスタルのシースルーバックを採用したことで、ケース下面に相応の厚みが生じ、ラグの先ではケースと手首の間にかなりの隙間ができているが、これは本当に気にしなければ気づかないような些細なディテールで、この時計はストラップでもブレスレットでも快適に着用できる。

　そういえば、今回のモデルチェンジでは、SS製のブレスレットが新しくなったのだ。従来のモデルでは、内側のリンクはポリッシュ仕上げ、外側のリンクはサテン仕上げだった。今回はそれを逆にして、よりカジュアルで汎用性の高い雰囲気にしている。ポリッシュ仕上げのセンターリンクは、この種の時計にはしっくりこないと思っていたので、歓迎すべき変化だ。クラスプには、多くのオメガのダイバーズでお馴染みのツイントリガーのデプロワイヤントを採用している。クラシックだ。オメガがスピードマスター 3861に採用した新しいクラスプは、このモデルにもよく似合いそうだ。

　他にも、ブロンズゴールドモデルにもブレスレットがあったら素晴らしかったと思う（まだ検討の余地はあるはずだ！）。レザーストラップが流行しているのは知っているが、ダイバーズウォッチにレザーストラップを付けるのは何か違うと思うのだ。前にも言ったが、水の中に突き飛ばされたり、投げ出されたり、落ちたりすることがないとは言えない。レザーストラップではそれに対応できないのだ。ブロンズゴールドモデルは、それ以外の点は、とても素晴らしい。

　どのような形であれ、ゴールドには存在感があるが、ダイバーズウォッチでは特にそうだ。このモデルは、50％の銅と37.5％の金で構成されており、残りの素材は色付けとパティーナのために使用されている。これは、時間の経過と共にゆっくりとした均一のパティーナが形成されることを意味し、腕に緑青がつかないようになっている。興味深いことに、この37.5％の金は、この時計を9Kゴールドと認定するためにちょうど必要な量だ。学校で友達に雑学として自慢できるかもしれない。

　ブロンズゴールドには、他にもSSモデルとは異なる点がいくつかある。秒針はロリポップ型ではなくクラシックなアロー型で（この点が私は好きだ）、ベゼルにはブラウンのセラミックを採用している。ダイヤルにも違いがある。肉眼では見分けがつかないが、これもブロンズを使用していると言う。オメガの言葉を信じよう。

　典型的なオメガのスタイルで、これらの時計は幅広いダイバーズウォッチ市場において強い価値を示している。この市場では、特定のブランドの特定のモデルは手に入れることさえできない（興味深いことに、今回のモデルも記事執筆時点でウェイティングリストができている）。このモデルチェンジで、オメガはシーマスター 300をここ数年で最も欲し欲しくなるモデルに変えたのだ。

オメガ シーマスター 300は、直径41mm、厚さ13.85mmのSS製またはブロンズゴールド製のダイバーズウォッチ。300m防水、シースルーバック、マットブラックまたはブルーのサンドイッチダイヤル、同色のアルミニウム製ベゼル。シーマスター 300は、60時間のパワーリザーブを備えたMETAS認定の自動巻きムーブメント、オメガ マスター コーアクシャル キャリバー8912を搭載。価格は72万6000円（SS製ストラップモデル）、77万円（SS製ブレスレットモデル）、136万4000円（ブロンズゴールドモデル）。※全て税込価格。詳しくはオメガのサイトを。

Photos by Kasia Milton