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ブロンズは、ここ数十年の間に、限定モデルや通常生産モデルを問わず、時計のケースに使用される機会が増えてきた素材だ。ブロンズという素材には、ある種のパラドックスがある。ブロンズは、銅と錫(スズ)の2つの金属からなる合金であり、その強靭さから人類の文明を飛躍的に発展させた青銅器時代という、それ自体に時代があるのだ。
ブロンズの最大の弱点は長所でもある。ブロンズは表面に腐食を形成する傾向があるのだが、これは下地の金属を保護し、さらなる腐食を防ぐことができる。ブロンズの最も重要な用途のひとつは、塩水による腐食に非常に強いことから、歴史的に、そして今日においても、船舶用の金具の素材として活用されている。
時計のケースでは、まさにこの理由からマリングレードのアルミニウムブロンズが使用されることが多いのだが、一般的に、肌に触れる部分には別の金属(多くの場合、チタン)が使用される。しかし、新しいオメガ シーマスター 300 ブロンズゴールドでは、オメガが開発したブロンズとゴールドの合金が採用されている。この合金は、表面の腐食にも十分な耐性を備え、体に直接触れて着用することができ、また他にも多くの興味深い特性をもっている。
他の合金と同様に、オメガのブロンズゴールドは、異なる金属を組み合わせた配合に基づいており、それぞれの金属が最終的な材料に特定の望ましい特性を加えている。ブロンズゴールドの金属学について、HODINKEEに語ったオメガのプロダクトマネージャーであるグレゴリー・キスリング氏によると、この合金が設計されたときには、いくつかの目標とする仕様があったという。
1つめは、これは所有者にとって最も重要なことの1つだが、合金の物理的な外観に関係していた。オメガのデザインチームは、オメガの他の2つのシグネチャーゴールド合金、セドナゴールドとムーンシャインゴールドから視覚的に区別できる合金を求めていた。この合金に含まれる銅は、セドナゴールドのはっきりとした赤やムーンシャインの淡い黄色ではなく、わずかにローズの色味を帯びている(もちろん、これら3つの合金は、オメガの白いカノープスゴールド合金とはすぐに見分けがつくが、同社は長年にわたって独自の金合金ポートフォリオを開発してきている)。
オメガが新合金に求めた2つめの特性は、全てのブロンズに特徴的な、時間の経過と共に経年変化を形成すること。表面に発生する独特な経年変化の進行は、ブロンズケースの時計の魅力の大きな部分を占めているのは確かだ。しかし、オメガはこの緑青をしっかりと制御された方法で発展させたいと考えていたのだ。特に、ブロンズに発生する緑がかった腐食生成物(自由の女神が最も有名な例の一つだろう)である緑青の形成を避けるためだ。ブロンズのブレスレットで手首が緑色になっているのを見たことがあれば、まさにそれなのだが、オメガはそれを避けたかったのだ。同社はまた、経年変化の色を元の合金の色にかなり近づけたいと考えていた。
オメガは、ケースバックを含むケース全体にこの合金を使用したかった。また、キスリング氏と彼のチームは、保護のために表面に何らかのコーティングを施す必要はないと考えていたのだ。
そのために必要な条件はこうだ。一見して他のオメガの金合金と区別できる特定の色、高度に制御された経年変化、直接肌に触れても緑青などの安定しない腐食生成物が発生しないこと、そして元の合金に近い色の経年変化を形成すること。
それを解決するには、かなり複雑な配合を必要とした。合金はおよそ50%が銅。そこにオメガは、腐食と酸化を防ぐため37.5%の金を加えている。残りの金属には、色に影響を与え、経年変化の特性をもつ銀、そしてガリウムとパラジウムが含まれる。後者の2つの金属は、合金の最終的な色に影響を与えると同時に、経年変化の色を元の合金に近いものにするために使用される。様々な金合金に含まれる金の割合を見たことがある人であれば、金の割合についてお分かりかもしれない。37.5%は、9金としてホールマークを付けるのに必要な量だ。9Kゴールドは、現在では時計のケースにはあまり使われてはいない。他にも例があるかもしれないが、少なくとも私にはすぐには思いつかない。
しかし、かつてはもっと広範囲に使われており、特に懐中時計のケースに使われていたものだ。オメガは過去に、懐中時計と腕時計の両方のケースに9Kゴールドを使っていた。また、オメガによると、裏蓋に追加の保護コーティングを施したり、チタンのような別の金属を使用したりすることはなく、ケース全体がブロンズゴールドであるとのことである。
さて、伝統的に「ブロンズ」は銅と錫の合金を意味するが、現代のブロンズには錫を全く使用しないものもある(アルミニウムや亜鉛が一般的な代用品で、周期表でアルミニウムと同じグループに属するガリウムはブロンズゴールドの成分だ)。冶金学(やきんがく)的に考えれば、ブロンズゴールドは、9Kゴールドであると同時にブロンズでもあると考えるのが妥当だと思われる。
ベゼルはブラウンのセラミック製で、数字とマーカーにはスーパールミノバが使用されている。文字盤はブロンズだが、ケースとは対照的に、より一般的なブロンズ合金であるCuSn8(フォスファーブロンズの一種)を使用。これは船舶用に最も多く使用されているタイプのものだ。Cuは銅、Snは錫で、少量(通常は約0.30%)のリンが添加されている。シーマスター 300 ブロンズゴールドでは、このリン青銅が酸化されて深みのあるブラウンになっている。文字盤は、この時計のスティールバージョンに見られるのと同じサンドイッチタイプの構造で、オメガが「ヴィンテージスタイル」と呼ぶスーパールミノバが、文字盤上部のカットアウトから見えるようになっている(「オメガ シーマスター 300 2021年新作」の記事参照)。この色は、いつものように、行き過ぎたヴィンテージ感、つまだりフォティーナと感じる人もいるかもしれないが、このモデルでは、ケースの合金の色と非常によく調和していると思う。
ところで、文字盤上のオープンスタイルのアラビア数字には見覚えがあるかもしれない。多くの人にとってパネライを連想させるものだが、オメガは少なくとも1962年までさかのぼると、シーマスター 300に同じ書体を使用していたことが分かる。興味深いことに、オメガはブロンズゴールド製シーマスター 300にロリポップスタイルの秒針を採用しなかった(2つのスティールバージョンには採用している)。
ヴィンテージのデザイン要素に敬意を表しているにも関わらず、技術的には最新のモダンなオメガである。キャリバーはシリコン製ヒゲゼンマイと同軸脱進機を備えたコーアクシャルCal.8912(日付なし)で、もちろんMETASのマスター クロノメーター認定を受けている。機械的にも冶金学的にも、このモデルはブロンズケースのダイバーズウォッチの中では最も先進的なものの一つであり、ブロンズの美しさとゴールドの豪華な存在感を求める人にとっては、非常に魅力的な新しい選択肢となるだろう。
基本情報
ブラン: オメガ(Omega)
モデル名: シーマスター 300 ブロンズゴールド(Seamaster 300 Bronze Gold)
直径: 41mm
厚さ: 13.85mm
ケース素材: ブロンズゴールド
文字盤色: サンドイッチ構造、ジャーマンシルバーの上にリン青銅のパターニング
インデックス: 6時と9時位置に "オープン"アラビア数字を配したトライアングルアワーインデックス
夜光: "ヴィンテージ"スタイルのスーパールミノバ(ブルーに発光)
防水性能: 300m/1000 feet
ストラップ: ブラウンレザー、ラグ幅21mmからバックルにむかって16mmにテーパード。
ムーブメント情報
キャリバー: オメガ コーアクシャル マスタークロノメーター キャリバー 8912
機能: 時、分、秒
パワーリザーブ: 60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3.5Hz
石数: 38
クロノメーター認定: あり、METAS
価格 & 発売時期
価格: 136万4000円(税込)
発売時期: 6月予定
限定: なし
詳細は、オメガ公式サイトへ。
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