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クイック解説
1965年に国産初の本格ダイバーズウォッチを生み出したセイコー。以来、独自のテクノロジーを採用した高性能な商品を次々と世に送り出してきたが、セイコーは日本の学術発展および国際協力事業の一環で、南極地域の観測を行うために派遣する「南極地域観測隊」の装備品として1966年から1969年にかけてダイバーズウォッチを寄贈。信頼性、安全性を第一に追求したその確かな性能が評価・実証された。また地球のさまざまな過酷な環境にも同行し、多くの冒険家、探検家たちの高い信頼を獲得してきた。
そんなセイコーのダイバーズウォッチにおいて、1968年に発売されたメカニカルダイバーズは歴史を語る上で欠かすことができない存在だ。この時計は当時としては世界最高水準の3万6000振動/時(毎秒10振動)のハイビートムーブメントを裏蓋のないワンピース構造の300m防水ケースに搭載した画期的なモデルだった。このマイルストーンに現代的なデザインアレンジを施し、外装素材やムーブメントに最新技術を用いてオリジナルの革新性を継承しながら、さらなる進化を遂げたモデルが製作された。それがセイコー プロスペックスの1968 メカニカルダイバーズ 現代デザインである。
今回取り上げた本作は、その1968 メカニカルダイバーズ 現代デザインをベースにさらなるアレンジを加えた限定モデルで、海洋保護活動を支援するSave the Oceanシリーズに新たに加わる。セイコー プロスペックスでは、これまでにもセイコーのダイバーズウォッチを愛用するダイバーや海へ感謝の気持ちを込めてSave the Oceanシリーズの売上の一部を寄付し、海洋保護に貢献してきた。今回は、その活動の一環として、さらに南極地域観測隊を派遣する国立極地研究所への支援を実施。そして同時に第63次南極地域観測隊への本作の寄贈が行われることとなった。過去、セイコーでは1966年以降4度にわたりダイバーズウォッチをはじめとした数々の製品を南極地域観測隊に提供してきたが、今回の寄贈はおよそ半世紀ぶりとなる。
2022年1月14日(金)からの発売を予定しており、価格は50万6000円(税込)。世界限定1300本の限定モデルだが、そのうち国内で販売されるのは300本であることがアナウンスされている。
ファースト・インプレッション
印象的な本作のダイヤルは、南極の氷床を表現するべくデザインされたもので、南極の大地を覆う氷床の壮大な景観をブルーグラデーションの型打ちダイヤルで再現した。非常にユニークなものだが、内面無反射コーティングを施したデュアルカーブサファイアガラス風防に加え、インデックスと時・分秒針にはルミブライトが塗布されており、デザイン性だけでなく視認性の高さもしっかりと担保されている。
そして本作最大の見どころはケースだ。1968 メカニカルダイバーズの特徴である上下のかん足を鏡面で繋いだ流線型のフォルムが魅力的であることは間違いないが、注目すべきは使用されている素材である。ケースとベゼルはもちろんリューズに至るまで、優れた耐食性を備え、白く美しい輝きを放つスーパーステンレススティール素材「エバーブリリアントスチール」を採用している。
この素材は、海洋構造物や化学プラントなどで使われる、過酷な環境下での使用を目的とした特殊なSS素材。本来は高級時計に使用されるようなものではないが、セイコーの開発陣によるサプライヤーへの働きかけによって、高級時計の外装への使用にも耐え得るクオリティを確保することに成功した。とはいえ、特殊な素材であることに変わりはなく、これまでは2020年に発表されたセイコー ダイバーズ55周年記念数量限定コレクションの3モデルと、1965 メカニカルダイバーズ2モデルの計5モデルでの採用に留まっていたが、本作のコンセプトにうってつけの素材であることからエバーブリリアントスチールの採用が決定した。
こうした長期使用に耐え得る外装素材を使用すると同時に、ネジ込みリューズの内部構造には「着脱巻真パイプ構造」というものが採用されている。これはリューズを直接ケースではなく、ネジ溝が切られた専用パーツを介して固定するというもので、これまではセイコー プロスペックスのなかでもハイエンドコレクションにあたるLXラインで採用されていたものだ。この構造の採用により、ケース寿命は従来よりも飛躍的に向上した。なお、ムーブメントには雫石高級時計工房で製造されるダイバーズウォッチ専用の機械式ムーブメント Cal.8L35を採用している。
ストラップも見逃せない。ストラップには1968年当時のオリジナルモデルにも見られる特徴的な凹凸テクスチャを再現した通称、チョコレートデザインが採用されている。しかし材質は最先端のものを使用しており、紫外線や汗、皮脂による劣化の少ない強化シリコンに改めることで高い強度を実現した。また本作には、「製紐(せいちゅう)」と呼ばれる日本の伝統技法で編み込まれたブルーの付け換え用ファブリックストラップも付属する(このストラップの詳細はこちらの記事で詳しく紹介されているのでご覧いただきたい)。これは過酷な使用環境での長時間使用にも耐え得る耐久性を有した素材であることはもちろんだが、袋状に編み上げる構造と糸を斜めに織り上げることによって肌当たりの良い快適な装着性、そして審美性にも優れたものとなっている。
通常のSS素材を使用した1968 メカニカルダイバーズ 現代デザインが10万円台の価格で購入できることを考えると、50万6000円(税込)という価格は高額な印象であることは否めない。だが、限定らしい特別なデザインのダイヤルに加えて、極めて限られたモデルにしかまだ採用例のない「エバーブリリアントスチール」が使用されたモデルであること、そしてハイエンドなLXラインで採用されていた優れたケース構造を持つことを考慮すれば、決して高くはない。いずれにせよ、ハイエンドな素材と技術が投入されたメカニカルダイバーズはなかなか入手困難なであった。これまでに購入しそこなった人にとっては見逃せないモデルとなるだろう。
基本情報
ブランド: セイコー プロスペックス(SEIKO PROSPEX)
モデル名: 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン Save the Ocean限定モデル(1968 Mechanical Divers Modern Re-interpretation Save the Ocean Limited Edition)
型番: SBDX049
直径: 42.6mm
厚さ: 13.1mm
ケース素材: エバーブリリアントスチール
文字盤: 南極の氷床を表現したブルーグラデーションの型打ちダイヤル
インデックス: ドット&バーのアプライド
夜光: あり。インデックスと時・分秒針に塗布されたルミブライト
防水性能: 200m空気潜水用防水
ストラップ/ブレスレット: 強化シリコンストラップ(つけ換え用ポリエステルストラップつき)
ムーブメント情報
キャリバー: 8L35
機能: 時・分表示、センターセコンド、4時半位置に日付表示
パワーリザーブ: 約50 時間
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻つき)
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
追加情報: 平均日差+15秒~-10秒(気温5℃~35℃において腕につけた場合)
価格 & 発売時期
価格: 50万6000円(税込)
発売時期: 2022年1月14日(金)
限定: あり。世界限定1300本(うち国内は300本)
詳細は、セイコー プロスペックス 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザインSave the Ocean限定モデル特設ページへ。
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