Interview ウォッチ界で最もホットな新インスタグラム・アカウントの女性にインタビュー

　多くの時計サイトが、希少性や複雑性、ニッチな部分に注目しているのに対し、@dimepiece.coは、新しい愛好家ならではの目まぐるしく変わる視点を通して時計を見ている。彼女は、G-SHOCKを身に着けたアリーヤのヴィンテージ写真や、クリスティ・ターリントンが上腕に時計をつけて海から上がってきたElleの写真、あるいはヘイリー・ビーバーが髪にタオルを巻き、腕にロレックスを着けてフレンチフライを食べているTyrell Hampton撮影の写真などを見つけると、大喜びする。彼女の新しいウェブサイトでは、First Dimersと呼ばれるシリーズを展開しているが、ここでは女性やゲイの人など様々な人たちに初めての時計購入についてインタビューしている。「なぜなら、初めてのことは決して忘れないからです」

　先日、ウォルナー氏と会い、彼女が時計と出会ったきっかけや趣味についての考え、Dimepieceの今後について話しを聞くことができた。

　ウォルナー： サザビーズの編集部でセールスとコンテンツの橋渡しの仕事をしていたとき、時計部門が私をリソースとして頼りにしてくれました。「GOAT：Greatest Of All Time」というシリーズで、GMTマスター、ロイヤル オーク、ノーチラスなど、代表的な時計を紹介していたのです。私は全ての記事を編集しなければなりませんでしたが、ある日、「ああ、これら全ての事実確認をしなければならないんだわ」と気づきました。そして、時計のことを知るため、本を読んだり、調べたり、インターネットの隅々までグーグルで調べたりするようになりました。

　時計について書かれたものに女性がほとんど登場しないことに気づいたのです。例えば、ポール・ニューマンのデイトナをジョナ・ヒルが身に着けていたりするわけです。このようなストーリーや、時計に関する濃密で豊かな歴史の中で、女性が登場するのはエレン・デジェネレスやヴィクトリア・ベッカムが時計を着けたときくらいです。概して、女性はこの歴史に含まれていませんでした。とても変ですよね。女性も時計を着けるのは知っています。興味ももっています。しかし、インスピレーションはどこから得るのでしょう？　リソースはどこにあるのでしょうか？

　そこで、時計についてのツイートを始め、ポップカルチャーの中で時計を見かける度に投稿しました。それからあっという間に夢中になり、「Dimepiece」というものを作ろうと決めたのです。インターネットやセレブ、インフルエンサーカルチャーの中で最もカッコいいと思うものにスポットライトを当てて、その時計を特定するインスタグラムのフィードを作り始めました。それが始まりです。

　Dimeは「ホットな女の子」を表すスラングですが、timepieceとも韻を踏んでいます。ダイムは10、つまり10セントのようなものです。つまり、女性がパーフェクト・10であることを示しているのですが、これは現在では非常に古い概念で、決して女性を数字でランク付けしているわけではありませんが、ただ文化としては浸透しています。彼女はダイムだ、とか、ダイムピースだ、というように。

　私の友人がパテック フィリップのノーチラス Ref. 3900を持っていて、ある日ひと目惚れして以来、ずっと夢に見ています。私はツートンカラーが大好きで、32mmのサイズがその男性的な外観を完璧にバランスさせていると思います。大胆で美しく、今は誰もが5711に憧れていると思いますが、私にとっては3900が一番です。

　女性向けの時計のマーケティングは、的を得ているとは言えません。特に私たちの年代、あるいはもっと若い世代の女性向けはそうですね。女性は宝飾品が好きだし、たまには派手に装いたいとも思いますが、実際には「男性用」を買うでしょう。よりクールだし、外見も好ましいので。

　また、同じような考え方をもつ女性のための中心的なリソースもありません。何がクールで何がクールでないかというミレニアル世代の考え方についての話です。基本的なことであっても、すぐに答えを得られる場所がないのです。 例えば、どんな種類のブレスレットが欲しいかをどうやって知るの？　とか、革のストラップがいいのか？　あるいは、金属の価値って？　金がいい？　ステンレススティールがいいの？　など。女性のためにこのような疑問を解決してくれる存在はないのです。男性の場合は、Redditのスレッドでマニアックな知識を得て、そこから理解することができると思います。しかし、そのようなサイトに参加している女性はそれほど多くはありません。

　現在、インスタグラムの延長線上にdimepiece.coを立ち上げたところです。時計を持っている女性にスポットを当てたインフルエンサー・インタビューの側面があり、初めて時計に触れる人をターゲットにしています。その一方で、教育的なプラットフォームという面ももっています。

　エントリーレベルのコレクターがもっと注目されるようになれば、時計を買いたいと思っている女性たちを勇気づけられるのではないでしょうか。彼女たちは購入や業界のことを考えると、怖くて足踏みしてしまうのだと思います。

　Sporty and Richの エミリー･オーバーグさんは、素晴らしい時計のコレクションを持っています。彼女はキャンペーンの写真撮影には全て時計を使っていて、とてもクールだと思います。Rowing Blazersもフォローしているアカウントです。

　最初に永久カレンダーの話を聞いたときは、それがどんなものかも知りませんでした。それで、グーグルで調べてみたら、ああ、これは賢い！　と思ったんです。そしてこの記事を読んで、2100年になると当然またセットしなければならない、と書いてある。私はただ、おおっと思いました。時計は私たちよりも長生きします。時計は時計の人生を生き、本質的には鼓動をもっているのです。時計は単なるアクセサリーではなく、もっと大きな存在であるということを実感しました。

メアリー＝ケイト・オルセンが巨大なデイトナを着けて、手にはホイップクリームを持っている写真です。私は一体これは何、と思いました。でも、それが私をあの時代のニューヨークに連れ戻してくれたのです。彼女はパーティーに出ているところだったのでしょうが、ホイップクリームの存在が非常に気になりました。この写真と、スパイス・ガールズのエマ・バントンの写真ですね。

　インターネット上には、1990年代のノスタルジーを伝えるアカウントがたくさんあります。携帯電話がなかった時代なので、人々は今より多く時計を身につけていたのだと思います。それらを見ていると、グウィネス・パルトロウがカルティエのタンクを着けて映画祭に参加しているのを見つけたりして、そこからどんどん広がっていくんです。すると突然、携帯で100枚もの写真を撮っていることに気づいて、その時計の識別をしなければならないのですが、これが一番大変なんです。

　ドリュー・バリモアです。彼女は時計のコレクターでもあります。「ドリュー・バリモア・ショー」が始まって以来、私は彼女がいつも時計を身につけていることに気づきました。とても好きです。

Dimepieceの詳細はこちらから。

このインタビューは、簡潔で分かりやすいように編集されています。

リード画像：Cobey Arner