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Auctions アンティコルムのジュネーブ ウォッチオークションで、3つの真のツールウォッチが登場

これらの時計は“ユーズド”という言葉に新しい意味を与える。

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11月8日、アンティコルムはジュネーブで、“インポータント モダン&ヴィンテージウォッチ”オークションを開催する。世界的な情勢を考慮し、ボー・リヴァージュ・ジュネーブホテルとオンラインの両方で開催される予定だ。このオークションでは、モダン、ヴィンテージ、そして“ネオヴィンテージ”のタイムピースが幅広く出品される(ロレックスの壷真空チャンバーもある)。

 このオークションに特定のテーマはないが、私は3本の真のツールウォッチ(こう呼ぶのが最もふさわしい)に注目したいと思っている。これらは全てダイバーズウォッチであり、共通しているのは、かつて1度も一般用に売りに出されたことがないということだ。これらは支給されたか、プロトタイプかのいずれかなのだ。もちろん、いずれも現物を見てみないと、オークションカタログや独自の調査による情報を別にして、コンディションについて数値だけでは表しきれず、定性的な判断を下すのは難しい。ともかく、今月アンティコルムが出品する、試練に耐え使い込まれたこれらの時計を見てみよう。


オメガ Ref.166.077 シーマスター プロプロフ プロトタイプ

 コール・ペニントンが先週、このオメガの伝説的ダイバーズウォッチについての仮想的な論説を書いた。まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみて欲しい。このオークションにプロプロフが出品されると知って、私はそれを加えなければならないと思った。この特殊なプロプロフ、Ref. 166.077 シーマスター プロプロフ プロトタイプは、ジャック・クストーチームのメンバーであり、コンシェルフII(人間が水中で生活できるかどうかをテストするミッションチーム)の6人の潜水技術者の1人である、クリスチャン・ボニチ(Christian Bonnici)が所有していた時計だ。アンティコルムによると、この時計は1971年7月に納品され、1972年2月10日に最後のダイビングを行った。

 ボニチは、1968年から1972年まで、CEMA(Centre d'Etudes Marines Avanceds)でクストーと共に働き、COMEXのエンジニアとしても活躍した。現在、彼の家族によって提供されたこの時計はプロトタイプであり、当時の既存のプロプロフと比較することは困難だ。プロトタイプゆえに、何でもあり。私がこう言うのは、これが他の同モデルの時計と決定的に違う特徴があるからであり、それはリューズの位置なのだ。プロプロフは、技術的には右利き用時計だが、時計の左側にリューズがあることで知られている(この機能はベゼルの片手操作をしやすくするため)。この時計は、リューズの位置が他とは逆になっているため、ひと目見ただけでは偽物と判断されてしまうかもしれない。逆に言うと、本物のプロのダイバーが所有する一点物のプロトタイプと見ることもできる。前述したように、プロトタイプの場合は、なんでもありと言ったところなのだ。 

 この時計の興味深い特徴は、ケースバックに刻まれた "Prototype "の文字と、このプロトタイプがオメガのバッチナンバー4の一部であることを示す "4 100 "の刻印だ。ボニチは、この時計が意図された通りの性能を発揮するかを試すため、実際に使用したようだ。1時位置のアワーマーカーのすぐ上にキズが見受けられる。

オメガ Ref.166.077 シーマスター プロプロフ プロトタイプに付属するダイビングログブックもオークションに出品される。

 オークションハウスによると、このプロトタイプのプロプロフにはダイビングログブックが付属しており、この時計が使われた全ての潜水実験の詳細が記載されている。もう2度と潜ることはないにしても、これは未来の所有者が、それらの冒険を再現し、どのようなものであったかを想像させるクールな付属品だ。


ロレックス Ref.5514 サブマリーナー COMEX ステンレススティール

 Compagnie Maritime d'Expertiseの略であるCOMEXは、深海潜水のオペレーションとエンジニアリングを専門とするフランスの潜水専門会社だ。COMEX サブマリーナーでお馴染みの方も多いかもしれない。例えば、今年の6月にアンティコルムがRef.1680のバージョン(ダイヤルにCOMEXのロゴが入ったデイト付きマットダイヤルのサブマリーナー)を52万4000スイスフラン(約6000万円)で売却した。Ref.1680モデルは、ほぼCOMEXのメンバーや従業員しか手に入れられなかったため、オフィス環境で着用されることが多く、水中では着用されないことが多かった。COMEXサブマリーナー Ref.5514、今回出品されるものもそうだが、ロレックスがダイビング会社用に製造した中でも、水中だけでなく、特に過酷なダイビングにも使われた希少な時計の1つである。

 COMEX Ref.5514の目立った特徴の1つとして、裏蓋のCOMEXの刻印やナンバーと共に、ケースサイドのヘリウムエスケープバルブがある。さらに、Ref.5514は工場出荷時、ダイヤルにCOMEXのロゴが入っていなかったと言われている(そのような時計の例を見たい方は、ジョン・メイヤーが2度目の出演をしたTalking Watchesを見て欲しい)。COMEXのダイバーたちが作業した過酷な条件のため、時計はしばしばロレックスに修理のために送り返され、その結果、いくつかのダイヤルやその他の部品が交換された。このケースでは、アフターサービスの結果、ダイヤルにCOMEXのロゴが入った。時計を修理した事実は、夜光の色に違いが生じたことでも説明できるかもしれない(アンティコルムは、針は実際に、修理用の針であることを記している)。言うまでもなく、COMEX Ref.5514は、非常に稀少であり、価値のあるモデルだ。通常は、サービスダイヤルは時計の価値を低下させるが、常に例外がある。これもその1つだろう。


ロレックス Ref.5513/5517 軍用サブマリーナー
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 “ミルサブ”として知られる軍用サブマリーナーは、コレクターの間で非常に人気が高い。読者の中にはレザ・アリ・ラシディアンが出演したTalking Watchesのエピソードを思い出す人もいるかもしれない。彼はイタリア軍用に作られたミルサブを所有しているが、それが最も出番の多い時計だと言っていた。先月、ドバイのクリスティーズでRef.5513のミルサブが40万ドル(約4138万円)で落札されたが、その値段はこのモデルの記録だった。オークションに出品されたこの時計は、濃いカスタード色のパティーナが特徴で、オリジナルのソード針が付いている。針については、ミルサブによく見られる問題として夜光が剥げ落ちてしまうことがあるが、この時計の針はダイヤルに合わせて処理されている可能性がある。また、ミルサブの特徴の1つとして、ミニッツマーカーがベゼル全体にわたって刻まれている。

磨き上げられた裏蓋には、かつてこの時計に関連する軍事情報が記載されていた。

裏蓋の内側には、ミルサブの特徴であるシリアルナンバーが刻印されている。

 では、なぜこの時計のエスティメートがこんなにも低い(50万ドル近くも安いということ)のだろうか? 私の知る限り、その理由はおそらく裏蓋に関係していると思われる。ミリタリーウォッチの魅力の1つは、裏蓋にある固有の刻印にある。この刻印が残っているということは、その時計が摩耗していないか、少なくとも磨かれすぎていなかったことを示す。この時計の場合、軍用を示す刻印が磨き取られ、裏蓋に何もないように見える。しかし、ミルサブによく見られるシリアルナンバーが裏蓋の下側に記載されていることにも注目して欲しい。摩耗した裏蓋が、この時計が40万ドルという価格帯にはなりそうもないことを説明している。もちろん、想定外のことは起こるし、少なくとも、この時計がどのように取引されるかを見るのは面白いと思う。 

インポータント モダン&ヴィンテージウォッチのジュネーブオークションは、プレビューが11月5日~7日に、オークションは11月8日に開催される。フルカタログはこちらから。