Beginner's Guide ヴィンテージウォッチと中古時計の違い

　我々にはその回答の用意がある。ごく簡単なものだ。

　2021年の時点では、1990年以前に製造された時計をヴィンテージと見なす傾向がある。中古とは、その後に作られた時計で、少なくとも1人の人が所有していたものを指すだろう。新品とは、新品のことだ。

　クルマと同様に、ディーラーやバイヤーはヴィンテージを重視する傾向がある。しかし、2015年のポルシェを突っぱねないのと同様に、中古カテゴリでは主要ブランドから2000年代の素晴らしい時計を見つけることが可能だ。以下、もう少し深く掘り下げてみたい。

 "ヴィンテージ"という言葉はフランス語から来たもので、vingt（「20」の意味）とage（「年齢」の意味）に分解でき、20年以上前のものだけがヴィンテージとして認められるという都市伝説を聞いたことがある。これは間違っているものの、この言葉は確かに古いフランス語から来ている。Vendageは「ブドウの収穫」を意味し、「ヴィンテージ」は何世紀にもわたってブドウ栽培やワインの専門用語の一部として使われてきた。この言葉が一般的な表現になったのは1880年代に入ってからで、自動車に初めて使われたのは1928年のこと。最初に時計を説明するために使用された時期は、まだ推測の域を出ない。ご存知の方はコメントで教えて欲しい。

　中古という言葉を聞いたときは、誰かがしばらくの間身に着けていた（あるいは少なくとも所有していた）現代的な時計のことを指していると思うと良い。英語では「used」と「pre-owned」などの言い方が一般的だが、「used」というと、残念ながら前の所有者がジャックハンマーを操作しながら時計を身に着けていたかのように、ハードな使用を暗示する。腕時計における中古とはそういう事実とはかけ離れており、丁寧に扱われた印象のある「pre-owned」と言ったほうがしっくりくる（実際HODINKEEではそう表現している）。

　ヴィンテージウォッチの大部分は、もちろん、既に誰かが所有していたものだ。それが当たり前になっているのは事実であり、それを突き止めることができる場合は、特定のヴィンテージウォッチの価値の大きな役割を果たすことさえある。

　何をもってある時計をヴィンテージとし、別の時計を中古とするのは判然としない。新しいものが作られ、昨日のものが古くなるにつれて、ヴィンテージとみなされるものは、ある時代から次の時代へと変化していくものだからだ。しかし、見ただけで違いが分かることもある。

　一般的に、ヴィンテージウォッチは時間の経過と共に変化する。パティーナである。色あせ、変色していく。言い換えれば、それは彼らの年齢を示しているわけだ。多くの場合、ワンダフルなものだ。

　サファイアクリスタルやスーパールミノバなど、現代的な素材が採用されるようになったのは、最近になってからのこと。これらの高耐久性素材を使用していることにより、現代の時計は新品のように見える期間が長い傾向があります。それは、中古時計においてもそうだ。 

　中古腕時計は、新品を見つけるのが難しい最近の腕時計において素晴らしい入手機会を提供している。手つかずのサブマリーナーが欲しいけど、新品が出てくるのは待てない？　中古で購入してみるのはどうだろう？　信頼できるディーラー（エヘン、HODINKEEやクラウン＆キャリバーのような）で買い物をする場合、長く使えるだけの耐久性が残されていて、優れた、信頼性の高い時計を手にできる可能性が高い。

　中古時計は、時計収集の経済循環に欠かせないものだ。コレクターにとっても、何年も身に着けておらず引き出しで時計に埃をかぶらせている人にとっても、中古時計は全く新しい世界を切り開いてくれる。身に着けなくなった時計を下取りに出すことで、買い手も売り手も、次の夢の時計に近づくことができる！