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March 06, 2021
A Week On The Wrist A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1・タイムゾーン ルミナスを1週間徹底レビュー
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A Week On The Wrist A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1・タイムゾーン ルミナスを1週間徹底レビュー

ランゲの特徴を理解するには、実際に身に着けて学ぶ必要がある。ベンは幸運にもこの仕事をしてくれた。

※本記事は2012年10月に執筆された本国版の翻訳です。


個人的なメモとして

もし誰かが“私”(ジャーナリストであり、時計学に焦点を当てたこのブログの編集者である私ことベン・クライマー)に合う時計をデザインするとしたら、A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1・タイムゾーン ホワイトゴールド ルミナスのような時計になるかもしれない。私は旅をする。それも度々。ときには、うんざりするほどだ。そして驚くべきことに、私はデュアルタイムウォッチも、ワールドタイマーも持っていない。また、ランゲも所有していない。時計好きな人間としては、これは何かの間違いだと思っていた。しかし、A.ランゲ&ゾーネ ノース・アメリカの協力のもと、ヨーロッパを旅している間に、ホワイトゴールドケースの夜光針を備えたランゲのランゲ1・タイムゾーンを試着することができた。2012年1月のSIHH(ジュネーブサロン)で見たときには何とも思わなかったこの時計の詳細なレビューをお届けしよう。 

 まず、本題に入る前に、ランゲとは何者なのか、何をしているのか、という話をしよう。


ランゲであることの重要性

ランゲ1

 A.ランゲ&ゾーネは、世界で最も尊敬されている時計メーカーの一つだ。彼らは1994年から時計を製造しているが、この18年間(2012年当時)で成し遂げたことは衝撃的なものがある。それについては下で少し触れるが、超高級時計製造の聖なる三位一体 ― パテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ ピゲ ― の牙城を、1994年以降にカルテット(四重層)となるまでに地位を高め、人によってはランゲと、聖なる三位一体のうちの1社(どれを選ぶかはその人次第となるが)をデュエットとして並び称するほどだ。

 ランゲは、ブランド復活以来、神々しい機械式ムーブメントを製造してきた。ドイツのグラスヒュッテという静かな町で年間5000本にも満たない数の時計を生産しているのだが、多くの人に言わせると、自社設計・自社製造のトレンドを打ち立てたのは彼らのおかげだとしている。 1994年に彼らが発表したランゲ1は、それまでの世界では見られなかったムーブメントを搭載しており、そのメカニックは非常に輝かしいものだった。

1994年10月24日、A.ランゲ&ゾーネが最初の4モデルを発表した:ランゲ1、サクソニア、トゥールビヨン "プール・ル・メリット"、アーケード

 72時間パワーリザーブとジャーマンシルバー製ムーブメントを搭載したこのモデルは、オフセットされたダイヤルに10時位置のプッシャーで作動するビッグデイト機構を搭載する。ランゲ1は時計界のトップに躍り出て、1999年には時計業界に大きな貢献をした。1999年のバーゼルワールドでは、数十年ぶりに自社開発・製造のクロノグラフCal.951を、煌びやかなダトグラフに搭載し発表したのだ。

A.ランゲ&ゾーネ 1815 クロノグラフに搭載されるCal.951。

初代ダトグラフ。

 このダトグラフは、その短期間に開発された多くのモデルと同様、伝統的な時計業界を震撼させてきた。ダトグラフのムーブメントは全く新しいだけでなく、深みのある立体的な美しさと、フライバック機構や世界初のインスタント・ジャンピング・ミニッツカウンターなどの技術的な革新性を兼ね備えていた。クロノグラフを中心とした自社製ムーブメントのトレンドの先駆けとなったのは、このダトグラフだったとしても過言ではない。数年前に我々が撮影したダトグラフについて、詳細を説明した短編動画を下にご紹介しよう:

 1999年のバーゼルワールドでランゲがダトグラフを発表した際、パテック フィリップのトップであるスターン氏がブース(IWCのブースを間借りしていた)に立ち寄り、ダトグラフに搭載されていたムーブメントの展示を10周した後、眉をひそめてブースに戻ってきたという逸話がある。噂に過ぎないが、スターン家の夕食の席で、兄貴分であるIWCのブースの一角を借りていたドイツのおかしな小ブランドの新作クロノグラフを、初めて目にした夜の会話を想像すると興味深い。

 ランゲは、世界で最も優れた機械式クロノグラフを生み出しただけでなく、他の多くの競合他社とは全く異なるルールに基づいて活動していると捉えることができる。著名な時計ジャーナリストであるジャック・フォースター氏は次のように語っている:

彼らは、他の高級時計会社とは違った土俵で勝負している。派手な限定モデルや人気のアンバサダーを使わずに、静かに、大騒ぎせず、そして年間わずか数千本の時計を製造しているのだ。彼らは、真のラグジュアリーとはサービス業であることを理解しているようだ:つまり、一度でも時計を売った顧客のことは忘れることはないのだ。しかし、彼らのエネルギーのほとんどは時計製造に注がれており、愛好家が求めるものをこれほど多く持っている会社は稀有な存在だろう

– ジャック・フォースター レボリューションマガジンUS版 編集長(2012年当時)

天邪鬼的なランゲ観

 しかし、ランゲがこれほどまでに優れた資質をもっているにも関わらず(多くの資質を備えているのに関わらず)、時折、否定的な意見をもつ人がいる。ランゲが業界最高のムーブメントを製造していることに異論を唱えるコレクターやジャーナリストはほとんどいないが、より洗練された完成度の高い時計を製造していることには異論を唱える人もいる。つまり、時計には単に完璧に設計され、完成されたムーブメントだけでなく、それ以上に求められることがあるということだ。ケースの形状やフィット感、ダイヤルデザインや対称性、ストラップやバックルのサイズや形状、手触りなど、身に着けるものを美しいものに、クールなものを永続的なものに昇華するための要素が100ほど存在するのだ。

トランスパレントケースバックの縁が盛り上がっているため、ダトグラフの手首での重心は高めとなる。

 ランゲに対する不満としてよく聞かれるのが(我々は収集家やランゲに関するWebフォーラムを調査した)、スイスの競合他社に比べて洗練されていないケースが多く、技術優位のアピールが強すぎて感情面に訴えかける要素が置き去りにされているというものだ。例えば、初代モデルの39mmダトグラフを例に挙げよう。このモデルは、歴史的にも重要なモデルだが、多くの収集家や批評家は、ケースの厚みが厚く、“トップヘビー”であることを指摘している。サファイアクリスタルのケースバックの縁取りが盛り上がっているため、39mmのダトグラフは12.8mmの厚さに比べて手首に収まる重心が高くなってしまう。 他にも、クロノグラフではあまり見られないローマ数字のダイヤルレイアウトや、ラグの形状のクセが強すぎるなど、初代ダトグラフには批判的な意見もある。

A.ランゲ&ゾーネのダトグラフUP/DOWN(41mm)の実売価格は8万7600ドルだ(当時)。

 このモデルの魅力の多くは、Cal.L951の深みと立体感にあるが、そのため、レマニア2310を搭載したクロノグラフと比較するとケースの厚みが必要となる。 また、2012年に発表された41mmの新作ダトグラフUP/DOWNでは、ダイヤルからローマ数字が無くなり、ケース径が2mm拡大されたことで、ケースがかなりフラットになったことも指摘しておきたい。また、10年以上前にランゲが行っていたことを、まるで今も行っているかのように批判するのはフェアではないだろう。何しろ会社自体がまだ若いのだから。コレクターの一部の人たちは重箱の隅をつついているのだろうか? 確かにそうだ。しかし、これだけ高い水準の時計を作って(それゆえこれだけ高価格で販売して)いる以上、あらゆる意見を受け入れることが求められているのではないだろうか。


リセールバリューの不都合な真実

 リセールバリューは多くの時計ブランドが目を背ける面であるが、名作「ゲルニカ」を手がけた画家とイニシャルを同じくするジュネーブの某時計メーカーと比較すると、ランゲの二次流通市場での価値の浮き沈みについても言及しないわけにはいかない。では、ランゲの時計は時を経てもその価値を維持できるのだろうか? 率直に言って、ランゲは素晴らしい時計を作り、人々に愛されているが、ランゲが今の世代、そして次の世代のために真の偉大な時計とみなされるためには、リセール市場における地位向上が重要となる。

A. ランゲ&ゾーネ Ref.701.001 トゥールビヨン“プール・ル・メリット”― 現代におけるランゲ初のトゥールビヨンのひとつ。

 ランゲが二次流通市場でどのように活躍しているかを見るには2つの方法があり、全てはケース・バイ・ケースといえる。 初期のランゲがオークションの世界で信じられないほどうまくいった成功例がある― 1996年製のイエローゴールド製“プール・ル・メリット” トゥールビヨンは、2012年6月に18万8500ドルの値が付いたのだ。ランゲの最新モデルであるこのトゥールビヨンの最新の小売価格が、落札価額の半額程度であったことを考えると、この数字は非常に大きなものだ。

 2011年10月に開催されたあるセール(サザビーズ香港)では、ランゲの価格が3つの新記録を打ち立てた。 グランド・ランゲ1“ルナ・ムンディ”の限定モデル2本セットが、2003年の販売価格の2倍以上となる9万3750ユーロで落札された。同日、ハニーゴールドを使用した限定の“1815 ムーンフェイズ オマージュ トゥ FAランゲ”が2万6300ユーロで販売され、わずか1年前の販売から45%もの値上がりを記録した。ホワイトゴールド製のツァイトヴェルクも同日、香港で6万5000ユーロの値が付き、2009年の当初の小売価格を40%も上回った。この数字は、若いブランドにしては驚異的な数字といえる。実際、ランゲはプレスリリースを発表し、現在の大物ブランドのROI(収益率)には敵わないと語る人たちに反駁するかのような、印象的な数字を叩き出したのだった。

 ランゲはリセールバリューの課題を解決しており、上記のようなモデルにおいては、彼らは誇りをもっているといえるだろう。しかしそれは端的に、初期のランゲの時計には非常に大きな価値があるということを意味している。例えば、あなたがコネチカット州グリニッジに居住する一般的な男性で、2012年のダトグラフUP/DOWNを見にベタリッジ・ジュエラーズに足を運んだとしよう。この時計の価格はプラチナで8万7600ドルと説明を受ける。そして、目の前に現れたのは、先ほど見せてもらった新しいダトグラフとほぼ同じように見える時計だが、“中古 ”在庫から出てきたものだ。実際には、それはパワーリザーブがより短い39mmのダトグラフで、それがいくらかを尋ねる。 販売員は4万5000ドルと答える。つまり、初代ダトグラフ(中古)と新型ダトグラフUP/DOWN(新品)の間に4万2700ドルもの差があるということだ。読者諸君に強調しておきたいのは、この違いは、ランゲが優れた時計メーカーで特別な製品を提供しながら、購買層の認知度が高くない存在であることを表しており、今こそがランゲが有名になる前に、このモデルを割安に購入するチャンスなのだ。ランゲの傑作時計の中には、今後市場価値が高くなることもあるだろうが、そのときになって「チクショウ! あのとき買っておけばよかった」と、現在(2012年)の価格で購入できたこと悔やむだろう。ランゲには明るい未来が約束されており、ランゲ自身が二次流通市場に注目しているという事実は、市場が非常に注意深く扱われていることを意味する。

過去にランゲは、平凡な中古リセールバリューを示してきました。多くの製品は元の小売価格の45%を失う、それも買ったとたんに失われたため、他のトップハイエンドブランドと比較しても、最初から中古購入を狙う以外選択肢がなかったほどです。しかし、このチャンスの道は急速に閉ざされつつあります。

– ウィリアム・ロア氏 ボナムスオークション・ニューヨーク コンサルタント

では、先日1週間共に過ごしたランゲ1・タイムゾーン ルミナスはどうだったのか? 本題に入ろう。


A Week On The Wrist、海を越えて

 2005年に発表されたランゲ1・タイムゾーンは、今回のジュネーブサロンで初めてホワイトゴールド(従来はイエロー、ローズ、プラチナ)を使用し、夜光塗料を用いた針とマーカーを採用した。ランゲ1・タイムゾーンは、オリジナルのランゲ1をベースにしている。この偉大なブランドにとってランゲ1がいかに重要なモデルであるかは十分に承知しているが、美学的には私には全く合わなかった。ランゲ1は少しインダストリアルすぎて、非対称すぎて、退屈なのだ。 しかし、数あるランゲ(クロノグラフ以外で)の中で、私が最も惹かれたのはこの新作ランゲ1・タイムゾーン ルミナスであった。その理由は次の3点だ。

A) 本当に良いブランドのデュアルタイムゾーンウォッチであるから。少ない上、ちゃんとしたものは少ない。私は旅行が多いので、これは海外旅行のお供に最適だと思った。

B)ホワイトゴールド製ケース(控えめなので、私は好んで選んでおり(しばしばスティールと混同されているが ― そう、それこそが良いことなのだ)、プラチナよりもはるかに安価だ ― (金の現在の実勢価格はプラチナよりも高いが)と、ハイエンドの時計の頑固なまでの非論理性の中にあって、わずかに実用性を提供する夜光針を備えているため。

C) 私は、自分が完全に宗旨変えできるかどうか確かめるため、長期間に渡ってランゲを実際に体験する必要があった。そして、私はニューヨークの小さなアパートを出発し、ランゲ1・タイムゾーン ルミナスを手首に巻いて、南フランスの広大で日当たりの良い場所へと向かった。その上での感想を披歴したい…

2つのタイムゾーン、9本の針

 ランゲ1・タイムゾーンは、一見複雑な時計のように見えるが、多くのサブダイヤル(タイムゾーン、デイ/ナイト表示、都市リングを合わせれば5つ)と、さらに多くの針とインジケーター用の矢印を(9本も!)備えている。初めて装着したときは、自分は一体何を見ているのか少し戸惑ったが、これらの針とインジケーターのそれぞれの役割を理解するのに時間はかからなかった。伝統的に9時位置に配されたメインダイヤルは、自分のホームタイムまたは基準時間だ。これは、理論的には決して変更されるべきではないタイムゾーンだ。上にはデイ/ナイト表示、下にはスモールセコンドが配される。

 ランゲ1のレイアウトのスモールセコンドを安易に第2タイムゾーンに置き換えることなく、スモールセコンドを残すことにしたのは英断だ。ランニングセコンドの真下には “Made In Germany ”のサインがあることで、この表示の多いダイヤルにあってここが “メイン”ダイヤルであることを示している。

 第2タイムゾーンは、伝統的には4時位置にある小さなサブダイヤルで表示される。この第2タイムゾーンは、ボタンを押すことで変更できるようになっているが、このダイヤルの視認性も非常に優れている(後述)。サブダイヤルの5時位置には、アウターシティリングを指し示すインジケーターがあり、現在どの都市のタイムゾーンにいるのかを知らせてくれる。 これについても後ほど詳しく説明しよう。

 ダイヤル右側には“AB(ダウン)”から“AUF(アップ)”、つまりゼロからフルを示すパワーリザーブ表示がある(これは結局のところ手巻き時計なのだ)。6時から8時位置には、"Doppelfederhaus "の文字があり、"ツインバレル(二重香箱)"を意味する。これは、ランゲ1と同様、この時計にも2つの主ゼンマイ香箱があることを示している。私は一般的に、時計メーカーがダイヤル上で時計の技術的な偉業を宣伝するのは好きではないが、これは何もランゲに限った話ではない。ランゲのクロノグラフのダイヤルにフライバックと書かれているのは不必要だと思うが、この時計に限れば“Doppelfederhaus”の表記がないと間延びした感じになってしまっただろう。

 2時位置にはランゲが特許を取得した特大の日付窓があり、10時位置のプッシュボタンで作動する。このアウトサイズデイトはランゲの真骨頂であり、美しいシルバーの文字盤にシルバーのフレームをあしらった明るい白地が見事に映える。

 ランゲ1・タイムゾーン ルミナスの表示の読み取り方が分からないという読者のために、以下にカンニングシートを作成した。

例示で分かるランゲ1・タイムゾーンの読み方。

 このモデルのダイヤルには無数の針、サブダイヤル、インジケーター、窓があるにも関わらず、視認性は高く、フランスの現地時間を示す小さなダイヤルとニューヨークの時間を示す大きなダイヤルは自然と読み取ることができた。この時計のダイヤルには、2つのデイ/ナイト表示という紛らわしいディテールがある。このAM/PM表示はタイムゾーン表示の重要な機能だが、これを混乱させるのは、ホームタイムとローカルタイムとでは夜間帯が異なる時間によって表現されているように見えることだ。ホームダイヤルの12時位置のインジケーターを見ると、夜は9時から3時の間の時間で構成されているかのように見えるし、24時間ダイヤルに換算して考えると(当然だが)、午後6時から午前6時だ。それはそれで納得感が得られる。しかし、ローカルタイムの小さいインジケーターを見ると、夜は午前11時から午後11時の間にあるように見える。つまり、その読み方は正しくないということだ。いずれも夜間は18時から6時と定義されるのだが、青い半円(夜間を示す)の帯が全く別の部分に浮かんでいるのだ。これはちょっとしたクセで、夜間が同じ時間帯を表示していることが分かれば、大した問題にならない。しかし、なぜランゲは夜間帯を下(ローカルタイム)のデイ/ナイト表示の上半分に配置しなかったのか、不思議に思わざるを得ない。下図によって、私が何を言っているのかもう少し詳しく分かるだろう:

 また、明るい陽光の下でのこのダイヤルは、ただただゴージャスであることにも付け加えたい。シルバーの表面、夜光塗料を塗布したホワイトゴールドの針、そして全てのアップリケ、そしてブルーのナイト表示までもが温かみを感じさせ、私は好感をもった。また、今では伝統的なランゲ1よりも、ランゲ1・タイムゾーンの情報量の多いダイヤルの方が本当に好きになったことも特筆すべき点だ。この時計を1週間着用した後、通常のランゲ1はそれに比べて鈍く見える。さて、見た目は素晴らしいが、使用感はどうだろうか?


タイム(ゾーン)の変更

 解説を続ける前に一つはっきりさせておこう。このランゲはランゲ1シリーズの中でも最も実用的な時計の一つだが、ワールドタイマーではない。多くの消費者は、この時計をひと目見ただけで、ダイヤルを取り囲むクールな都市リングを見て、この時計をそうだと思うかもしれない。これは何を意味するかというと、時計は一度に全てまたは“いくつかの”タイムゾーンを表示するのではなく(24ゾーンが、真の“ワールドタイマー”とみなされるためのしきい値だ)、2つのタイムゾーンのみ表示する。これは決して悪いことではないが、ヴァシュロン・コンスタンタン  パトリモニー・トラディショナル・ワールドタイムやパテック フィリップ Ref.5130のように、一度に37タイムゾーン(前者)と24タイムゾーン(後者)を表示する時計と比較されないように注意が必要な点でもある。しかし、ランゲは日付表示機能を備えており、他の2つの時計よりも読みやすいダイヤルを備えている。まあ、話が脱線したのでここでやめておこう。

4時位置のプッシャーで時間帯を変更するには、ちょっとした押し込みが必要だ。

 4時位置の小さな第二時間帯のダイヤルは、外側の都市リングと8時位置のプッシャーに連動している。ボタンを押すと、小さなダイヤルの時針と同時に、都市リングが回転する。下のビデオを見て、確認して欲しい。

 時間帯を変えるときに、ボタンを押して都市リングを回転させるには驚くほどの力が必要になる。これは良し悪しではなく、私が期待していたものではなかったというだけだ。上の動画では、大きなダブルクリック音が鳴るのを認識できるだろう。世界中の機械式クロノグラフと比較して、ランゲのクロノグラフを操作したことがあれば、驚くほどスムーズでソフトな操作感に驚かされる。これは日付を変更する際にも同じことが言える。タイムゾーン変更の挙動は期待していたほどランゲっぽくはなかったものの、それは決して問題ではなかった。下記の動画は、タイムゾーンの変更と比較して、日付変更がどれだけスムーズに行われるかを示しているので、ご参考までに。

 上述したように、第二時間帯は小さいダイヤルの方の5時位置にある小さな矢印で示されている。下の写真では、第二時間帯がGMT +1(ベルリン)であることが分かるだろう。

この時計はGMT +1、つまりベルリンのタイムゾーンを示している。


世界の反対側と時計

 私はこの時計の外観をとても気に入っていたが、この時計の特別なところは、ダイヤル裏側とその装着方法だ(ムーブメントのセクションの後で説明する)。このCal.L031.1は、無仕上げのジャーマンシルバー製4分の3プレート、ねじ込み式のゴールドシャトン、3日以上のパワーリザーブを誇る二重香箱、精巧なインデックスアジャスター、1ヵ所ではなく2ヵ所の手彫りの調速機構ブリッジ(伝統的なテンプブリッジと中間車ブリッジの2ヵ所)など、典型的なランゲの特徴を備えており、まさに純粋な時計製造の芸術性を備えている。417点の異なるコンポーネントを搭載しており、その全てが壮観である。

417の部品からなるCal.L031.1。

 ランゲのムーブメントは、ランゲの時計を特別なものにしていると言わざるを得ない。このタイムゾーンを身に着けていたときは、ケースバックを眺めるために腕から外していた。実に見ものだ。本当に素晴らしい。上の画像をクリックすると、この時計のムーブメントの特徴をご理解頂けると思う。ランゲ1・タイムゾーンには、手彫りのテンプ受けが2つ搭載されている。

On The Wrist

 私がランゲ1・タイムゾーンで一番驚いたのは、日常使いできる使用感の良さだ。美しい時計であることはともかくも、41.9mm ×11mmのケースは少し大きすぎるのではないかと懸念していた。しかし、実際のところ杞憂に終わった。私の手首にはぴったりとフィットし、ボタンシャツの袖口の下にも収まるほどの薄さだったのだ。また、この時計は、半分を覆った状態でも、日付、パワーリザーブ、第二時間帯は確認できる点は素晴らしいが、ホームタイムは隠れてしまう。

 大きくカーブしたラグが手首にフィットし、ケースも美しく仕上げられている。ベゼルとラグはポリッシュ仕上げだが、ケースの中間部はマット仕上げとなっており、そのコントラストがカジュアルな雰囲気を醸し出している。

 実際、この時計の魅力は、そのカジュアルな素晴らしさにあるといえるだろう。この時計は、華やかな世界を旅する人のためのエレガントな装身具であるかのような、超フォーマルな時計ではない。私の目には、この時計は機械的な卓越性を重んじ、世界が自分をどう見るか気に掛けない人の、技術的に優れた相棒なのだ。私はほとんどの日を短パンで、たまにビーチに出かけたり、何百マイルも離れた小さな田舎町で、どんな時計を身に着けているか気にする人がいないところでこの時計を腕にしていたが、この時計はその役目を完璧に果たしてくれた。誰一人としてスティールと信じて疑わないであろうホワイトゴールド製のケース、夕暮れ時に効果を発揮する夜光ダイヤル、そしてランゲ1・タイムゾーン ルミナスのカジュアルな着け心地の良さは、私を虜にした。実際、市場に出回っているハイグレードな機械式時計の中では、そのカジュアルさにおいて、おそらく最高のものではないだろうか(F.P.ジュルヌ レゾナンスも素晴らしい選択肢の一つだが)。

 5万100ドルの値札を下げるA.ランゲ&ゾーネ ランゲ1・タイムゾーン ルミナスは、財布と相談しなければならない人向けの時計ではないが、私のブランドに対する見方を完全に変えてくれた時計だ。今の私はそれを理解できる。そして実際、私は何年も前から、もし私がランゲの時計を購入する立場になったら、あるいはそうするとしたら、それはクロノグラフになるだろうと触れ回ってきた。もはや、必ずしもそうである必要はない。なぜなら、私の目には、A.ランゲ&ゾーネが今日の高級時計業界において素晴らしい存在であり、特別な存在の象徴として映っている ― 目立たぬ卓越性と静謐さを保っているからだ。

A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1・タイムゾーン ルミナス(ホワイトゴールド)は生産終了しております。ランゲ1・タイムゾーンの最新作は、こちらでご覧ください。

PROS -vs- CONS(長所-vs-短所)

Pros(長所)

- 優れたムーブメントのデザインと仕上げ

- 実用的なコンプリケーションの優れた実装

- 快適さとカジュアルさに加えて、非常にハイグレードな時計作りを兼ね備えていること

- ゴールド製42mm径ケースの最高の着け心地

- ランゲのあるべき姿の全てがあり、そうでないものが見当たらない

Cons(短所)

- 一見するだけでは情報量過多なダイヤル構成

- 紛らわしいデイ/ナイト表示

- 夜光塗料の光量が十分とはいえない点

- 大きめなバックル