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A Week On The Wrist チューダー ヘリテージ クロノ ブルーを1週間レビュー

世界初の技術を謳ったり、デザイン的冒険はないかもしれないが、実に、実によく仕立てられた時計だ。

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※本記事は2013年9月に執筆された本国版の翻訳です。

2013年のバーゼルワールドで発表されたチューダー ヘリテージ クロノ ブルーは、消費者の立場から見て、この年を象徴する時計の全ての要素を備えている。世界初の技術を謳ったり、デザイン的冒険はないかもしれないが、実に、実によく仕立てられた時計だ。この記事で私は一新されたチューダー ヘリテージ クロノ ブルーと過ごした体験を綴りたいと思う。

 2013年は、チューダー ウォッチ カンパニーの歴史の転換点だ。この年、全ての指標において最強の市場一つである-米国への復帰を目論んでいることが、公然の事実となったからだ。私たちは、その迫る復帰について半年前に初めて報じ、時計愛好家として、そして時計の購買層でもある全ての読者にとって、これが意味することの重大さに純粋に興奮したし、その興奮は今なお醒めやらない。

 チューダーがアメリカに戻ってくるということで、2013年のバーゼルワールドで何か記念碑的なものが見られるだろうと思っていた。 私が見た(と思った)のは、2010年のヘリテージ クロノが新色にアップデートされたものだった。私はもっと違うものを望んでいた - 全く新しいコレクションのような(我々は、もちろん、新しい総セラミックのファストライダー ブラックシールドを目の当りにした - しかし、私自身はオールブラックウォッチは好みではない)。それに2012年、我々は素晴らしいヘリテージ ブラックベイと正真正銘のキラーウォッチ、チタン製ペラゴスの発表を経験しているのだ。 私はヘリテージ クロノ ブルーのルックスが好みではあるものの、期待していただけに内心少しがっかりした。

 しかし、夏の間にこの1970年代を彷彿とさせるクロノグラフで質の高いひと時を過ごした後、私の時計への感情は、やや冷めたものから完全な崇拝に傾いていった。それは、単に身に着けるだけで、この時計に何があるか、何がないかを受け入れることで起こった。 まずは、この時計に何があるかについてお話ししよう。


おさらい

 チューダー ヘリテージ クロノ ブルーは、1973/74年に発表されたRef.7169、いわゆる“モンテカルロ”にインスパイアされた、42mmのステンレススティール製クロノグラフだ。チューダー クロノグラフ Ref.7169は、2つのレジスターダイヤルと6時位置の拡大鏡付きデイト窓を特徴としていた。このモデルは手巻きムーブメントのバルジュー Cal.234を採用していたため、この時計が開発された当時発売されたばかりのCal.72や自動巻きのCal.7750ではない、45分積算計しか搭載していなかった。つまり、Ref.7169は45分計のみを搭載していたのだった。そう、それだけだ。 それを補完するため、チューダーはRef.7169に12時間単位の目盛りを備えた回転ベゼルを採用した。 これにより、オーナーはベゼルを回転させることで簡単に経過時間を把握することができるようになった。 原始的な手法だったかもしれないが、効果的な解決策だ。Ref.7169は時計コレクターにとって魅力的な時計だったが、ブラックとスティールのベゼルを備えた先代リファレンスの二番煎じとみなされることもしばしばあった。

 Ref.7169は、バルジュー Cal.7750ベースのムーブメントに移行する前の、手巻きチューダー クロノグラフの最終モデルとなる。コレクション性の観点からみると、手巻きクロノグラフは、自動巻きよりも価値が高い(デイトナにも同じことが言える)。 1970年代初頭には、グレーダイヤルにブラックの回転ベゼルを備えたRef.7033が試作されたが、実際に販売されることはなかった。 

 しかし、新しいヘリテージ クロノ ブルーはRef.7169への文字どおりのオマージュではなく、既存のヘリテージ クロノの色を単に変えただけのものでもない。その違いは微妙だが、確かに存在する。それをつぶさに見つめる者だけに新しい世界を見せてくれるものだと私は思う。


一歩前進

 まず、ダイヤルだ。ETA 234と現行ムーブメントの違いから、スモールセコンドと分積算計の位置が入れ替わっているが、ダイヤルはRef.7169を彷彿とさせる。 淡いトープカラーの背景に鮮やかな色が無数に散りばめられている。クロノグラフのレジスターとミニッツトラックの外側を囲むようにブルーが使われているのは完璧としか言えまい。

 ブルーの上にレッド、オレンジ、ホワイトが実に不思議な働きをしている。また、この時計のアワーマーカーの形状はRef.7169(この観点ではRef.7149も)に非常に似ているが、これらは実際にはブラックとグレーのヘリテージ クロノで見られるものとは大きく異なっていることに気づくだろう。  

 私は実際にブルーに慣れるまで、初代チューダーヘリテージ クロノのダイヤルに批判的ではなかった。スティック状に貼られた夜光入りのアワーマーカーは、ブラック/グレーのクロノに見られる“ホームプレート”よりもはるかに洗練されていると思う。 ブルーの全体的な外観は、コントラストが低く、“夏以外の季節”を感じさせないものの、季節感はより捉えがたいものになっていると感じる。

 このブルーと初期のヘリテージ クロノシリーズとのもう一つの違いは、針だ。  幅広の三角形の針ではなくなり、その代わりにRef.7169と非常によく似ているが、先端が尖ったバトン型の針が採用された。ここでもブルーは、以前のヘリテージ クロノグラフと比較して流線形の美学を実践しているように見受けられる。

 ヘリテージ クロノのダイヤルは非常にフラットでシンプルだ。 また、オメガ スピードマスター プロフェッショナルタグホイヤー カレラ1887のような同価格帯のクロノグラフに見られるようなサブダイヤルの段差や円状の仕上げも施されていない。しかし、アワーマーカーとチューダーの盾ロゴの両方がダイヤルにアプライドされている。

 6時位置には、小さく拡大表示されないデイト表示が配された。デイト表示のフォントは、鉛筆のような細さで、正直なところ、この時計にデイト表示があることを忘れてしまうほど目立たないものだ。 それは決して悪いことではない。クロノグラフのデイト表示は、十分混雑しがちなダイヤルの左右対称性を台無しにすることがままあるが、ヘリテージ ブルーは、機能と形態を見事に均衡させている。デイトは確かにそこにあるが、かろうじて認識できる程度である。


「上質なケース」を目指したケース

ペラゴスのレビューでも指摘したとおり、チューダーは最近、価格の割に実に優れたケースを製造している。マシンによる仕上げながら、作りの質も素晴らしい。チューダーは今ではケースのエッジに面取り加工を施すのがお決まりとなっているが、これは兄貴分のロレックスがとっくの昔に諦めていたもので、クロノブルーを含む全ての時計に本当にハイエンドな外観と雰囲気を与えている。

 また、このチューダーのねじ込み式プッシャーとリューズには高品質なローレット(刻み)加工が施されている。 プッシャーにはチューダーがブラック/グレーのヘリテージ クロノにあるような、カラーキャップがないことに気づくだろう - 繰り返すが、これも私の好みの流線形の外観である。 

 ブルーのアルミ製両方向回転ベゼルは、非常にしっかりとした感触で、硬すぎることもなく、堅牢な印象を受ける。それもプッシャー、およびリューズのように、ローレット加工されている。チューダーのダイバーズウォッチで感じるクリック感とは異なるが、ヘリテージ クロノ ブルーのベゼルは、回すと確かな手応えを感じる。  

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On The Wrist

 簡単に言うと、身に着けるほどにデザインの良さを実感することになる。そのプロポーションは完璧とは言えないが、装着感は非常に良い。

 実際、私はケースが若干分厚過ぎると感じている。直径42mm(それはそれでいいのだが)だが、私の計測では厚みは13mmほどある。とにかく分厚い。それは防水性(150m)や実用面とはほとんど関係なく、チューダーがモジュール型クロノグラフムーブメントを採用しているという事実が関係している - ETA 289Xをベースにデュボワ・デプラのクロノグラフを上に載せているのだ。現代のクロノグラフメーカーで厚めのケースを採用しているのは、間違いなくチューダーだ。私はヴィンテージのチューダークロノグラフ(Ref.7159)を所有しているが、こちらもかなり分厚い。 また、バルジュー7750をベースにした後期のチューダー クロノグラフは、コレクターの間で“ビッグ・ブロック”と呼ばれており、これはご想像のとおり、ケースに厚みがあるからだ。このクロノ ブルーは、手首に巻いて厚みを感じるわけではないが(袖のあるシャツを着て腕に巻くことはほとんどなかったので、その点ではどうかはわからないが)、将来的にはケースを薄くしてほしいと思う。 

 ETA + デュボワ・デプラモジュールのクロノグラフは、きちんとしたアクションをもつ素敵な自動巻きムーブメントを手に入れることと同義だ。 作動時の反応は比較的スムーズで、しっかりしたもので、バルジュー7750よりもETA 2892ベースのムーブメントの感触の方が好みだ。 確かにバルジュー7750はクロノグラフ専用ムーブメントだが、古典的なバルジュームーブメントのぐらつきと、クロノのスタートとストップに大きな力が要する点が気になっていた。このチューダーにも専用クロノグラフムーブメントを搭載して欲しかったか? もちろんだが、これ以上値段が上がるのは御免だし、バルジュー7750の搭載も望まない。

 プッシャーのローレット仕上げはとてもきれいだ。ただ、ちょっと小さすぎる印象をもった。単純なポンププッシャーであれば直径は気にならないが、これはオイスター式のねじ込み式プッシャーで、クロノグラフを使うにはネジを回さなければならない。私は機能的に全ての時計にねじ込み式プッシャーを付けることに反対だが、もしどうしても付けなければならないのであれば、少なくともクロノグラフを操作しやすいよう、簡単に掴めるようにしてほしいと思っている。多くのメーカーがこの過ちを犯しているが、私は手首に装着した状態でプッシャーのネジを緩めたり、ネジを締めたりするのは率直に言って難しいと感じている。私はクロノグラフを操作するのが好きなので、何度もネジを緩めたままにしておいた。私はまた、厚い42mm径のケースには、より大きな直径のプッシャーが望ましいと考えている。現行のロレックス デイトナの直径は40mmだが、42mmのチューダーより大きな直径のプッシャーを備えている事実を考えてみて欲しい。 

 面白いことに、この時計のケースは少し分厚い割に、プッシャーは少し小さすぎると思うものの、それでも私は間違いなくこの時計を愛している。この時計の色と幻想的なファブリックストラップ(しかも驚くほど簡単に調整可能!)は、間違いなく他の追随を許さない印象を与える。私は現在のマーケットでこれほど見栄えの良いカジュアルなクロノグラフはないと思っている。

ストラップはクラスプを動かすだけで簡単に調節可能だ。

 私は主にニューヨークでこの時計を身に着けていたが、週末のハンプトンズ、ジャクソンホールとイエローストーン国立公園への旅行で、道行く人々からの反応に驚いた。シェルター島のサンセットビーチで酒を飲んでいると、2人の違う人が近寄ってきて、何を着けているのかと聞いてきた。ヘリテージ クロノ ブルーの外観はただ素晴らしく、サイズに関するプロの時計ライター特有の揚げ足取りをすぐに克服した。

 この時計についての他の良いところの一つは、全く宣伝されていないが、出来の良いなGMTウォッチとして2度おいしい時計でもあるということだ。12時間マークの回転ベゼルを使用すると、簡単に初期のGMTマスターのように、第二のタイムゾーンを表示することができる。時差が12時位置に表示されるようにベゼルを回すだけで、短針はローカルタイムと国外の両方の時間を指すことになる。

ニューヨークで3:36の時、12時位置に時差をセットすれば、短針が指すベゼル上の時刻はパリの9:36となる。

 また、この時計の特筆すべき発見は、自分の時計コレクションが手の届くところにあっても、この時計をどうしても着用したいと渇望した点だ。多くの場合、私はレビューのために時計を借りると、テストに必要な1週間着用し、その後、私自身が所有する時計にすぐに戻っていくことが多い。 しかし、ヘリテージ クロノ ブルーではそうはならなかった - 私がこの時計をテストしていた1週間を優に超えても、常にベストな選択肢であり続けた。私が普段身に着けているヴィンテージウォッチと比較しても、この時計はぴったりとフィットしているように見えたのだ。私の1963年製GMTマスター(オタクな読者諸君向けに明記しておくと、ギルトダイヤル、ポインテッドガード、アンダーライン付き)の隣に並べても、他の現行時計のような違和感は全く覚えないだろう。


結論
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 チューダー ヘリテージ クロノ ブルーは素晴らしい時計だ。 私が上述したように、技術面で目新しいものはないが、それは何ら問題ではない。私は、人々が内部の機械に夢中になり過ぎて、そのモノの素晴らしさや、どう動くかというより、どう見えるかが深く関係するということを見失ってしまう場面を何度も見てきた。認めよう、この時計は当初、私をモヤモヤさせた。しかし、チューダー ヘリテージ クロノ ブルーは、精度面でも申し分なく、信じられないほど素晴らしい外観をもっている。この時計を身に着けることは、私のようなヴィンテージウォッチオタクには至福の時である。私は今なお目の前に素敵でカジュアルなクロノグラフが存在することが信じられないでいる。私はまた、44万6000円(税抜)で、一流のケースをもつ最高に作りの良い時計を手に入れることができるとは信じがたい思いだ。 確かに、ムーブメントに関しては、このクラス(例えば、オメガ スピードマスター プロ/タグ・ホイヤー カレラ1887など)の競合他社製品に並ぶほど興味深いものではないかもしれないが、私はこのクロノが備える審美性がそれを補って余りあると信じている - それに、ETA + DDクロノグラフは、素晴らしい精度と信頼性で動作することが担保される組み合わせだ。チューダーは、米国で再始動しようとしており(すでにいくつかの販売店で入手可能。全てのチューダーのディーラーリストも見ることができる)、このクロノは、間違いなく今一番の“ホットな”時計の一つであり、この国で最初の一本を入手しようと消費者が躍起になるクロノグラフである。

 この時計が特別なのは、その外観ゆえだが、特にファブリックストラップを装着すると夏らしさを感じ、私は多くの人が温暖な季節、または休暇用の時計として、この時計を愉しむことを期待している。ブレスレットをつけていると、その魅力が少し失われてしまう? 多少はそうかもしれないが、心配無用だ。なぜって、これは素晴らしい時計だからだ。

長所と短所

長所

- 幻想的なヴィンテージ感

- 実績のあるムーブメント

- 完成度の高いケース

- 数えきれないほどの“クール”な要素

- 市場への新規参入

- 超高品質 vs 価格

欠点

- モジュラー型ムーブメント

- 分厚いケース

- 手首に乗せた時に回しにくい小径プッシャー

チューダー ヘリテージ クロノ ブルーの詳細はこちらから