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Editors' Picks 注目すべき、2024年に周年を迎えるブランドと時計

時計界につきものである"アニバーサリー"は、2024年も多くのものがある。なかでもHODINKEEとして注目したいのはこの6つのブランド/時計である。

時計愛好家の皆さん、2024年もついに幕を開けました! この業界は毎年何がしかのアニバーサリーに沸くことが慣例で、それを中心に新作ウォッチもリリースされていきます。本記事では、今年、節目を迎える時計やブランドたちから6つをピックアップし、オリジナルはどんな時計だったのか、当時はブランドにとってどんな年だったのかをご紹介。おまけに、こんなリリースがあったらいいな、という想像を主なヘリテージモデルを回顧する形で加えています。皆さん個人も期待する周年モデルをぜひお聞かせください!

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A.ランゲ&ゾーネ/30周年(アーケード復活?)

Images: Courtesy of Antiquorum

「アーケード」としたのは完全に僕の好みであるが、今年はA.ランゲ&ゾーネが再興から30年を迎える。もちろんランゲは、ランゲ1、サクソニア、トゥールビヨン"プール・ル・メリット"の新作を用意していると予想するが、もしアーケードまで復刻するとしたらとんでもなく熱い展開だ。しかし、まったく可能性がない話でもない。ランゲは、1997年に発表し現在ではレギュラー展開されていないカバレットという角型の時計を、2021年に一度復活させている。

 当時のアーケードはジャガー・ルクルト製のCal.822をベースとし、4分の3プレートやグラスヒュッテストライプやテンプ受けへのエングレービングなど、審美性も含めてランゲ仕様へと改良されたムーブメントを搭載していた。このようなムーブメントを現代で見ることは非常に稀なことだし、記念モデルのためだけに復活、というのはランゲの生産キャパと現在の人気を思えば夢物語に近いのかもしれない。さりとて30周年。当時からのファンを唸らせる時計が飛び出してもおかしくはないのだ。

A.ランゲ&ゾーネ公式サイト


IWC ポルトギーゼ/85周年

 ポルトギーゼは間違いなく時計史に残る名作であり、多くのバリエーションが存在することから数多くのオーナーもいる時計のひとつだ。1998年以降は、長らく汎用ムーブメントをベースとした縦レイアウトのクロノグラフがアイコンモデルであった。だがこの時計の出自を知れば、懐中時計のムーブメントを用いた大型の時計、であり1939年に登場したそのオリジンはスモールセコンドを備えたシンプルな3針時計だった。

 IWCはこのオリジンに倣ったモデルをポルトギーゼ125周年(1993年)の際に製造している。そのRef.5441はロゴやサイズ感に至るまでオリジナルを思わせるものであり、今の時代でこそウケそうなモデルでもある。昨年の新作として登場したインヂュニアも確かに大きな話題を呼んだ。限られた販路でのみの販売という点を除けば、概ね好感されたと思うし、ジェラルド・ジェンタによるデザインを現代的にアップデートさせた意欲作だと思う。このようなリ・エディションがポルトギーゼから登場したらと考えると、その興奮度合いはインヂュニアを凌駕するのではないだろうか? ただし、近年のポルトギーゼはトレンドを考慮してサイズ感も小さくなっているため、そこはオリジナルに立ち返ったほうがより存在価値が高まると考えている。

IWC公式サイト


カシオ 時計事業開始/50周年

 2023年はG-SHOCKの40周年に沸いた。5年刻みで登場するお決まりの周年角型5000系モデルをはじめ、現在のカシオが持つ素材加工・製造技術の粋を集めたG-SHOCKが数多く登場した。40周年も最終の段階で登場した、フォージドカーボン製G-SHOCKは、機械式時計ファンも魅了されたことだろう。さて、そんな熱気も冷めやらぬままであるが、今年はカシオが時計事業を始めてから50周年にあたる一年となる。世界で初めて、オートカレンダーを搭載したクォーツデジタル時計「カシオトロン」を皮切りに、電子計算機製造の技術を生かした時計の開発に踏み出してから、もう50年経つのだ。

 カシオにはいくつかの素晴らしい時計ブランドがあるが、やはりそれでも節目を祝うのはG-SHOCKだと思う。先日のフィリップス ニューヨークオークションに出品され、40万5000ドル(約5800万円)で落札された世界で1本のG-SHOCK G-D001が高らかに示すように、クォーツウォッチであっても世界の舞台で希少性が認められることを証明したわけで、ぜひあの流れの延長線上にあるものを2024年は見てみたい。僕が最も推すのは、かつて25本だけ販売されたフル金無垢の5600だ。これがMRG基準で登場したらどんな姿になってしまうのか、、、。文字通り手が届かない時計になりそうだが、貴金属すら独自のG-SHOCK流に操る時計メーカーに、カシオにはなって欲しい。

カシオ公式サイト


カルティエ サントス/120周年

 初めての男性用腕時計であるサントスが誕生から120年を迎える。1904年という年は近年のカルティエのPRなどによって広く知られるようになったし、2023年は何かの周年には当たらなかったもののサントス デュモンの名を冠した時計から数々の秀作が登場したのもその一環と言えるだろう(例えば、マイクロローターが特徴のコレや、ストーンインデックスのこのモデルなど)。2024年も引き続き、クラシックスタイルが人気のサントス デュモンには、何かサプライズが用意されることだろう。

 さて、サントスに関してはもうひとつ重要な年を案内したい。それは1978年であり、現在では「サントス ガルベ」と総称されるいわゆるブレスレットタイプのサントスが登場した年である。今のサントス ドゥ カルティエの直接的な祖先に当たるこのモデルは、当時重要なサプライヤーの1社からの提案を具現化する形で製作され、防水性を備えた初のサントスとなった。実は初期のブレスレット型サントスは「サントス カレ」と呼ばれるモデルで、いわゆる「ガルベ」とケースシェイプが異なっている。ケース、ベゼルともにフラットなサントス カレには若干の野暮ったさを感じる人もいるかもしれないし、装着感という意味でも少し湾曲したケースを持つガルベに軍配が上がるだろう。しかし、現代のカルティエがサントス カレのデザインをアップデートさせるならどういう形になるのだろう、とこの記念すべき年に想像せざるを得ないのだ。

カルティエ公式サイト


ピアジェ ピアジェ ポロ/45周年

 生粋のウォッチ・マニュファクチュールであるピアジェは、スイス・ジュラ山脈の奥地で長年にわたってハイエンドな機械式ムーブメントを提供していた。この地域では、高度が上がれば上がるほど奥地に行けば行くほど、時計づくりのストイックさが増すと言われ、1874年に工房が設立されたピアジェのようなメーカーであればそれは尚更で、その工房で作業すること自体が神聖なもののように捉えられていたそうだ。一方でジュネーブ近郊では主に貴金属や宝石、天然石の加工をメインとしており、この工房を1960年代に統合したことでジュエラーとしての顔も色も強めることとなった。

 その流れのひとつの象徴とも言えるのが1979年に登場したピアジェ ポロであり、当時の時流であったクォーツムーブメントを自社開発し、得意の貴金属ケースと合わせた豪奢な超薄型ウォッチとしてリリースされた。上の写真のラウンドモデル以外にも、文字通りブレスレットとケースが一体化した角型モデルもラインナップされており、現在のピアジェ ポロが持つラグジュアリースポーツウォッチのイメージよりも、ジュエリーウォッチとしての個性がより強かった。これはウォッチメーカーとジュエラーとしての両方の顔を持つピアジェにしかできないことであり、ピアジェ ポロのジュエリーウォッチ(しかもメンズも使えるデザイン!)復活を期待せずにはいられない。近年は、薄型機械式時計としての個性を強めるピアジェ ポロだが、例えば天然石ダイヤルモデルなどもラインナップしてみてはどうだろうか?

ピアジェ公式サイト


ブレゲ タイプ 20/70周年

Images: Courtesy of Phillips

 ブレゲは2023年にタイプ XXの新世代モデルを華々しくローンチし、軍用と民生用それぞれの特徴を持たせた2モデルを発表した。この時計は、1950年代初頭にフランス国防省からの軍用クロノグラフ発注を受けて誕生したものであり、いくつかの規定が定められていたために同様の発注を受けた他メーカーでも近しい意匠の時計が製造されていた。1954〜1970年まで民間用に販売されたフライバッククロノグラフは、軍用との区別のためタイプ XXと呼称され、前述の軍用モデルとともにこの時計のオリジナル的デザインとなっている。

 僕は昨年、パリで行われた新生タイプ 20/XXのローンチに立ち会い、その後ロリアンにあるマニュファクチュールも訪問した。そのときに感じたのは、ブレゲは現代的な時計製造を実践するプラットフォームとしてタイプ XXをアップデートしたのではないかということと、業界有数の文字盤とクロノグラフ製造技術を持つブレゲであればこそこの時計をさらに豊かなコレクションに変貌させられるだろうということ。機構の進化、というよりも過去の意匠を現代的に具現化するためにその技術を用いてみて欲しいという願望でもある。現地では多くのヘリテージモデルも見る機会を得たが、初期の金無垢タイプ 20やダイヤルがブラウンチェンジしたもの、近年ではプラチナケースでサーモンダイヤルを持ち、90本だけ生産されたRef.3827PTなどなど魅力的な意匠が多くある。確かな歴史に根ざすヘリテージを、今のブレゲが製造して欲しいと思うのは僕だけではないはずだ。

ブレゲ公式サイト