オクトが誕生し、今年10周年を迎えた。ウォッチデザインの巨匠ジェラルド・ジェンタの手による八角形フォルムにリスペクトを捧げ、古代ローマのマクセンティウスのバシリカにインスピレーションを得て、110面からなる構築的なケースに仕立てた。それは、ブルガリが10年以上の年月をかけて時計製造における垂直統合を完成させた記念碑でもある。だがそれも序章に過ぎなかったと言えるだろう。
薄型の世界記録を次々と塗り替え、60以上の国際的な賞に輝くオクト。最新作であるオクト フィニッシモ ウルトラで8度目の栄冠を得て、10周年を飾った。このウルトラは、1.5㎜厚の薄さを誇るCal.BVL180を搭載。本ムーブメントは、ゼンマイの巻き上げと時刻合わせ用にふたつのリューズ、というより歯車のようなツマミを水平に備える。時計のケースをムーブメントの地板として使うというアイデアが核となり、これに角型のフォルムや時・分表示をふたつのサブダイヤルに分けるなどのディテールを付加し、オクトのデザイン・コードに集約していったのだ。そうして一般的な時計製造に根付く既成概念を取り払い、ケース厚1.8㎜を実現した。オクト フィニッシモのそれよりさらに半分ほどの薄さである新型ブレスレットなど、極薄の追求に加え、香箱にはNFT対応のQRコードを刻む。
2014年に登場したオクト フィニッシモは極薄という新たな扉を開き、最高峰のウォッチメイキングの技術を結集するとともに、次々と複雑機構を発表。結果8度の世界最薄記録を打ち立てたのである。時計史に刻まれた現代の名作の軌跡を、オクトと深く関わる10人のキーパーソンとともに振り返る。
