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左手首に時計をつけるのが適切になった経緯

そして、それが長く続かない理由。

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1916年7月9日、ニューヨーク・タイムズ紙に“腕時計の社会的地位が変わった”というタイトルの記事が掲載された。特派員はその一部をこう書いている。

 「ヨーロッパの新聞では、軍用装備としてストラップウォッチの話題が多く取り上げられている。現代の戦争では、将校や兵士が時間を知る必要があることが証明されているために注目されているのだ」と。これに続いて、腕時計の急速な進化についての詳細な説明があり、最後に「最近まで、アメリカ人にとってブレスレットウォッチは多少なりともジョークのように見られていた。ヴォードヴィルの芸術家や映画俳優たちは“ばかげた”流行として、この腕時計をユーモアに富んだものとして利用した。

ラジウムダイヤルをもつ軍用“トレンチウォッチ”の広告(1918年)。

 しかし、今では“備えあれば憂いなし”が合言葉となり、時計が兵士の装備の一部となったことで腕時計の地位は変わりつつある。反対派は、一般的な野外生活におけるブレスレットウォッチの価値を認めようとしているが、それを嘲笑い、あらゆる場面で一貫してそれを採用するという段階にはまだ達していない」と書いている。

 そして、次に何が起こったか? ご存じの通りだ。懐中時計は一部の人たちの魅力的な対象であることを除いて、忘却の彼方へと消えていき、腕時計はどこにでもある普遍的な携帯用計時ツールとなった。そして、ほとんどの場合、それは左手首に装着された。

 左手首につけることが一般化した理由の一つは、とてもシンプルで、利き手や筆跡に関係している。

 人口の約10%が左利きであり、かつては学校に入ると右手で書くことを強制されることも珍しくなかった(ソ連の学校制度では一律にこれを強制していた)。これには左利きに対する文化的な偏見や、多くの電化製品や道具が右手を前提に設計されていることなど、さまざまな理由がある。機械式の缶切りなどはその一例だ。

 右利きを強制する現実的な理由として、文字を書くことが関係している。

 20世紀の大半にわたって文書におけるスタンダードであったつけペンや万年筆は、乾きの遅い水性液体インクを使用しており、ペンを左手に持ち、左から右に向かって書いていると、手が文字を書くのと同じ速さで文字を汚してしまう。これが問題にならなくなってきたのはラズロ・ビロがボールペンを発明し、レイノルズペンの成功によって普及してからだ。

 レイノルズペンは、1945年の冬にニューヨークのギンベルズで販売を開始した(映画『ゴッドファーザー』では、マイケル・コルレオーネの恋人ケイ・アダムスが、その年にトム・ヘイゲンへのクリスマスプレゼントとして購入しているシーンが描かれている)。ボールペンは油性の乾いたインクを使用しているため汚れがつきにくく、それ以来ずっと使用されてきた。

変遷:中央と右上がモンブランの万年筆、左下がモンブランのボールペン。ハンブルグのモンブラン博物館にて。

 しかし、右利きの人にとって、これは最初から問題にはならない。そして右手で文字を書く場合、左手首は時計が邪魔にならない自然な場所なのだ。

 一般の人々の90%が文字を書く以外の多くのことにも右手を使っていることを考えると、万年筆がボールペンに変わったとしても、右利きの人は左手首に時計をつける方が理にかなっていると言える(もちろん右手首に時計をつける人もいる。アポロ11号の司令船パイロット、マイケル・コリンズ宇宙飛行士は左利きで、常に右手首に時計をつけていた)。

セイコーのソーラーダイバーを右手首につけたジェイソン・ヒートン。

 しかし、今日において、左手首に時計をつけることは一般的ではないようだ。HODINKEEの同僚たちに簡単な調査をしたところ、興味深い答えが得られた。

「妻は右につけていますが、これはいつものことで左利きではありません。私の父は右につけていますが、左利きです

「私が右手首につけている理由は二つあります。まず、私は左利きなので、書き物をするときに机の上で時計を引きずったり、ぶつけたりしないようにするため。つめは、手を洗うときに水がかからないようにリューズを上にしているためです」

「私は左利きですが、時計を左手首につけているのは、社会的な規範に合わせすぎてしまったからです」

「私は左利きですが、左手首につけています。父が左につけているのを見てそれを真似たんです。右手首につけるのは間違っている気がします(笑)」

「私は左利きですが、ほとんど手で字を書かないので左につけています!」

チーム内の時計職人が重箱の隅をつつく。「付け加えると、時計学校の同級生も不釣り合いなまでに左利きが多く、みんな時計を右手首につけていました」

2016年に掲載したチューダー ペラゴス レフトハンドドライブ(LHD)のHans-On記事より。

 手書きの文字は、主にタイピング(親指で入力することが多い)に取って代わられた。このことから、時計を右手首につけることが多くなる傾向にあるのではないかと考えている。それは人が見た目や感触を好むからだ。手書きでなければ、少なくとも、実際には何も生み出さないシフトレスな知識労働者にとって、左手首に時計をつける動機の多くが失われてしまう(私の息子たちは、私が“タイピングを生業にしている”と言うのが好きだ)。

 究極の行動の変化は、リューズが左にある時計、右手首に装着するためにデザインされたものを左に装着することだと推測する。意図的な変態性の行使は、ますます超現実的な時代に完璧にマッチしているようだ。