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Beginner's Guide ヴィンテージウォッチを買う前に確認すべき7つのこと

クレジットカードを出す前に、HODINKEEメンバーによるチェックリストを参考にして欲しい。

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時計の収集を始めることは、地雷原に踏み出すことかもしれない。気をつけないと、肉でできた水着を着てサメの水槽に飛び込むようなことになりかねない。時計の購入には、探すことから始まって請求書の支払い、保険の手続きまで、様々なストレスがつきものだ。そして何よりもまず、あなたが時計自体を好きであることの上に成り立っている。時計が古くなればなるほど、購入プロセスは複雑になる。多くの意味で、新しい時計を購入することは自分が何を知っているかにかかっており、ヴィンテージウォッチを購入することは、知らないものを購入するリスクを軽減することにかかっている。

 賢く買い物をするためには、質問をする必要がある。その質問とは。

 時計と販売者が本物であれば、以下の7つの質問に対する回答によって快く適正な価格を支払うようになるだろう。逆に、時計や販売者がこれらの質問のほとんど、または全てに満足な回答ができない場合は、値下げを交渉するか、単に他を当たって別の機会に学んだことを活かすのがいいだろう。私たちから購入する場合でも、他の人から購入したり、オンラインや実店舗で購入する場合でも、これらの質問を心に留めておいて欲しい。


その時計は正確に時を刻んでいるか?

 止まっているヴィンテージウォッチでも1日に2回は正しい時刻を指すが、あなたの時計が毎日24時間週7日きちんと時を刻んでくれればいいと思わないだろうか? ヴィンテージウォッチを購入する際に、時計職人にプロ用の歩度測定器で検査してもらうことはできないかもしれないため、スマートフォンを取り出してタイムグラファーアプリをダウンロードしよう。

 この驚くべきアプリは、機械式時計が動いているときに鳴るカチカチ音を聞き取る。人間の心臓の鼓動のように、カチカチ音からは、どのくらい正確に時を刻んでいるかなど時計の全体的なコンディションについて多くのことを知ることができる。もしあなたの時計がずれていたら、アプリがそれを知らせてくれる。

- ニコラス・マヌーソス、HODINKEEテクニカルエディター


その時計の来歴は?

 基本的に、時計がどこから来たのか知りたいだろう。来歴は、聞くべきことを教えてくれる。 

 まず最初に: 販売者は誰か? それは評判のいいディーラーやショップだろうか? それともオークションハウスだろうか? または友人だろうか? その答えが、あなたを健全な決断へと導くはずだ。誠実な売り手との関係を育めば、誠実な時計を手にすることができる。

 第二に:何人の人が所有したのか? 所有者が少ないほど、一般的にはより望ましい時計になる。所有者が一人しかいないとすると - それは彼または彼女が新品を買ったことを意味する。何年もの間に時計に何かしらの変更が加えられている場合、それはその人も分かっているだろう。所有者が複数の場合は、時計がどのように経てきたのかやや不明瞭になる。買わない理由にはならないとしても、知っておいた方がいい。

 最後に: 前に所有していたのは誰か? 以前の所有者は有名だったか? これは特定の俳優、例えばポール・ニューマンが所有したものを購入するような場合、時計の価値に大きく影響する。しかし、それがアイオワ州の無名の人であれば(アイオワ州を悪く言っているわけではないよ!)、それはそれほど関係ないかもしれない。これも買わない理由にはならないかもしれないが、コレクターの中には、ヴィンテージのサブマリーナーにクールなストーリーがあることを好む人もいる。

- カーラ・バレット, HODINKEEソーシャルメディアマネージャー兼特別企画編集者


ケースは研磨されていたか?

 苦労して稼いだお金をヴィンテージウォッチに支払う前に、時計のケースが研磨されたかどうか、されているとしたらどの程度かをチェックしてみよう。あなたが目をつけた、明るくて光沢のある時計は、実際はかつて研磨された後の姿かもしれない。川底にある特徴のないすべすべに丸くなった石のように、何度も研磨を重ねるうちに摩耗し過ぎているのかもしれない。

 鮮明なラインや角度をもつか、ケースの傷が最小限に抑えられているかどうかを確認してみよう。時計がよくチェックされていれば、たとえ研磨されていたとしても全く問題ない可能性もある。ただ、1つの時計が耐えられる研磨の回数には限度があるということを覚えておいて欲しいし、極限まで研磨された時計を私は買いたくはない。

- ジョン・ビューズ 、HODINKEEシニアエディター 


メンテナンスを受けるべきか?

 これに答えるのは非常に難しいことで、おそらくヴィンテージウォッチを集める上での最大の難関といえるだろう。時計は何の問題もなく動いているように見えるかもしれないが、それは単に運がよかっただけの場合もあり、実際に時計が目立ったトラブルの兆候を示し始める頃には、何かしらの不具合を抱えている可能性がある。この問題は、多くの時計で交換部品が不足しているか、入手できなくなっているという場合はさらに悪化してくる。つまり、ヴィンテージウォッチを使用可能な状態に戻すことは不可能であるか、または熟練した時計職人にお金を払って交換部品をイチから製作してもらわなければならないということだ。

 時計は精密機械であり、他の機械と同じように、メンテナンスなしで無期限に動くように設計されているわけではない。原則として、もしあなたが日常的にヴィンテージウォッチを身に着けようと計画しているのであれば、時計のメンテナンスのためのコストを考慮する必要がある。めったに時計をしないのであれば、この点は考慮しなくていい。大量生産されたムーブメントやコンポーネントを搭載したヴィンテージウォッチは、スペアパーツや交換部品の在庫を多く見つけることができるため、より安全なチョイスかもしれない。

 時々、ヴィンテージウォッチのコレクターが時計の修理をしていないと自慢しているのを聞くが、それは私にとって、正気の沙汰ではないように思えてならない。ヴィンテージカーの所有者が「ハハハ、オイルを入れろっての? ちゃんと走っているのに!」と言っているのを聞いたことはない。機械、特に時計のような精密機器を故障するまで使用することは、ひどい考えであるだけでなく、時計師の芸術に対する根本的な誤解であり、敬意を裏切るものだ(とにかく私にとっては)。

- ジャック・フォースター 、HODINKEE(本国版)編集長 

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全てのパーツはオリジナルか?

 「生きている!生きている!」フランケンシュタイン博士は、1931年のホラー映画の中で、彼の不気味な創造物に命が吹き込まれたときにそう叫んだ。今日でも恐ろしげな造語“フランケンウォッチ”は、バラバラの部品から作られた時計を意味し、真っ赤な偽物ではないにしても、しばしばダイヤルは再生産されているものだ。フランケンウォッチは避けたいことこの上ない。

 もしあなたのゴールが、全て(またはそれに近い)オリジナルパーツを使用したヴィンテージウォッチを購入することであれば、精査する準備をしておこう。例えば、パティーナが本当のパティーナであるかどうかを見る - またはマーカーと針が、均一な外観にするために、互いにマッチするよう塗装されたのかを見る。研磨と同様に、時折見られるオリジナルではない部分が必ずしも致命的なものにはならない。時計を整備することが、“新品同様”の状態に戻すための部品交換を意味した時代もある。これによって、針、ダイヤル、ベゼル、新しいブレスレット、蛍光の塗り替え等、色々なものの交換が起こった。しかし、その事実は絶対に把握しておきたい。

- ダニー・ミルトン、HODINKEEエディター


ブレスレットが伸びているか?

 多少の伸びは避けられない。ブレスレットはピンが摩耗すると伸びてしまうし、そういうものなのだ。リンクに穴を開けたことで、ピンが動いたりブレスレットに“遊び”が生じたりすることがある。ブレスレットが少し伸びたものが好きな人もいれば、タイトで遊びが少ない方が好きな人もいる。それは個人的な好みの問題だ。

 しかし、エンドリンクが曲がっていないか、欠陥がないかどうかは確認する必要がある。これは、特に最悪のタイミングで時計が落ちる危険性があるためだ。幸いなことに、これは徹底した点検によって完璧に防ぐことができる。中空のリンクは、長時間の着用で特に劣化しやすいので、各ピンがしっかりと穴に入っていることを確認し、ブレスレットがねじれないことを確かめよう。ねじれる場合は、交換を検討するように。

 ソリッドエンドリンクやソリッドブレスレットのリンクは伸びにくくなっているが点検はすべきだし、ブレスレットを引っ張ったり、手首に装着したりして、ストレステストを行う必要もある。ケースバックが肌に完全に接触するように、時計は手首の中央にくるべきだ。エンドリンクが曲がっている場合は、時計の位置がずれる可能性がある。

 私はというと、ヴィンテージウォッチのブレスレットの微妙な伸びが好きだ。それも魅力のひとつなのだ。

- コール・ペニントン、HODINKEEエディター


売り手を信頼できるか?

 僕はディーラーからは程遠いし、ヴィンテージウォッチに関して真のプロとも言えないが、数百本の時計を売買した経験がある。そして、陳腐な格言のように聞こえるかもしれないが「時計ではなく、販売者を買え」というのは真実であり、有用で覚えておく価値があると思う。あなたが取引の専門家でない限り、納得のいく価格で高品質の製品を提供してもらう(あなたが支払う価格と、時計の本当の価値との間が最小ギャップであること)には、売り手を信頼する必要がある。

 売却でどんでん返しが起きるようなリスクは上記の要因のいずれか(またはいくつか)に起因するが、最終的には売り手が誠実であるかどうかにかかっている。疑問に思うことを全て聞き、答えを確認し、可能な限り資料(できれば公開されているもの)をもらうようにしよう。

 そう、プロセスには時間がかかる。あなたも、これから良い取引の1つや2つを逃すかもしれないが、欲しい時計の詳細を自分自身で本当に習得するできる。すぐにこのチェックリストは習慣となり、あなたが損をするリスクは劇的に下がるだろう。

 最後に一つ。全てのコレクターには異なった優先事項がある。これら7つの質問全てに明確な答えを要求する人もいるかもしれない。価値が評価されるまでの間、金庫に保管するような博物館級の物を求める人達だ。他の人達は、来歴や磨かれたかどうか、または費用さえ気にしないかもしれない - 将来の売却や後の所有者のことは考えず、ただ身に着けるものが欲しい人達だ。大手オークションハウスで購入するのではない限り、自分にとって重要な基準で選んでも問題ないと思うのだ。

- ジェームズ・ステイシー、HODINKEEシニアライター