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Talking Watches エド・シーランが語る時計コレクション。ホストはジョン・メイヤー

エドとジョン。15本の時計コレクション。久々の1時間超の対話。

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※このエピソードには、少々お下品な言葉遣いが含まれますので、閲覧にはご注意ください。

エド・シーランが大の時計コレクターであり、愛好家であることがソーシャルメディアをとおして知られるようになったのは最近のことだけど、実は彼は10年以上前から熱心なコレクターだ。僕は長年にわたり、作曲と時計収集という共通の愛を通じて彼と知り合うことができ、彼が今回Talking Watchesのエピソードに出演してくれたことをとてもうれしく感じている。

 自分の時計コレクションを世界中に公開することは、自らの弱みを晒す面もある。確かに、時計とは物質的なアイテムだけど、“身の回り品”と呼ばれるには理由がある。僕らの選択、嗜好、人生の節目、そして未来への願望を表しているからだ。もちろん、みんなが見て見ぬふりをしているけれど、これらのアイテムのなかには彼のダイナミックなパフォーマンスを見るためにスタジアムを埋め尽くす何百万人ものファンはおろか、大半の時計愛好家にとっても手の届かないものもあるということだ。

Photo: Timothy Norris/Getty Images

 だからこそ、エドがHODINKEEとG-SHOCKのコラボレーションのリリースまで彼のコレクションのなかから意味のある時計を僕らに教えてくれなかったのも合点がいく。音楽とは、普遍的な経験を解き放つ包括性がその核心にある。時計収集は、小さくても結束の固いクラブに属することで力を得るのと対照的だ。G-SHOCKとのコラボレーションを発表することで、このふたつの世界の架け橋となることができるとわかったというわけさ。

Photo: Zeph Colombatto

 Talking Watchesという番組は、単にビデオカメラに向かって時計を見せびらかして、その時計の好きなところを語るというものではない。自分が世界をどのように見ているのか、そのなかで自分がどのような位置にいるのか、そしてそのあいだにあるすべての点を選択することで表現しているんだ。このTalking Watchesのスペシャルエピソードをとおして、視聴者諸君はエド・シーランという人物について、想像以上に多くのことを知ることになるだろう。

 このTalking Watchesは、唯一無二のエド・シーランを迎え、僕ことジョン・メイヤーをホスト役にお送りする。僕がこの対話の参加を楽しんだように、読者諸君もこの会話を楽しんでいただけることを祈っている。


TOY WATCH
ToyWatch

 エドが時計にハマるきっかけとなったToy Watch。クォーツで安価、交換可能なラバーストラップ付き。彼は音楽活動の初期にこれを購入し、2度目のツアー中もつけていたそうだ。エドの昔の写真を見てみると、何色ものストラップにToy Watchを着け替えている姿が見つかるかもしれないね。

 「この時計のためなら、テーブルの上にある時計全部と交換してもいいよ」とシーランは語っている。「この時計を失くしたら泣くに泣けないよ」


ウブロ スカルバン 限定モデル
Hublot Skull Bang Limited Edition

 「これは21歳の誕生日に買ったんだ」。ウブロ スカルバンは、エドが機械式時計に目覚めたきっかけとなった時計だ。限定100本で、彼と仲間のジャマール・エドワーズは一緒に2本購入したそう。ダイヤルにはスカルが描かれているが、ウブロとしてはかなり控えめなところが彼にとって魅力的だったようだ。

 ウブロにはある種のスノビズムを感じるものだが、エドには理解できないという。結局、彼はこの時計を12年間持っていて、一度もオーバーホールしたことがないそうだ。うん、悪くない。


バンフォードカスタムのパテック フィリップ Ref.5726

 過去10年間、エドは時計カスタムを専門とするジョージ・バンフォードとの関係を築いてきた。長年にわたり、バンフォード氏はシーランのノーチラス アニュアルカレンダー Ref.5726のために、彼の各アルバムに合わせてカスタマイズしたダイヤルを作ってきた。パテック フィリップは2019年にムーンフェイズ付きRef.5726/1aアニュアルカレンダーを発表した。同年、エドがHODINKEEに初めて記事を寄稿した際、彼は“E.S.”という彼のイニシャル入りのRef.5726のカスタムダイヤルを見せてくれた。

 「時計コレクターであることを誇れる時計も所有してきたけれど、ときには愛車にスプレーでペイントしたくなることもある。それも楽しいのさ」とエドは語っている。


パテック フィリップ Ref.5230G ワールドタイム ホームタウンにエドの故郷が表記されたユニークピース

 「これは、僕が持っている時計のなかで一番クールだと思う」とエド。僕らは今回の番組のユニークピースのコーナーに入った。このパテック Ref.5320Gは、ダイヤルに彼の故郷である英国のフラムリンガムが記されたユニークピースだ。

 「ケバブ屋、カフェが1店舗、パブがいくつかある程度の街なんだ。ダイヤルに記されているシンガポールやドーハのような大都市とは違う」とエドは故郷について語る。彼は自分だけの時計が欲しかったので、パテック フィリップ Ref.5230G ワールドタイムに記されたロンドンをフラムリンガムと入れ替えてくれないかと頼んだ。

 パテックはそれを快諾し、その結果、誰も思いつかないようなユニークな時計が誕生したんだ。彼の出身地の名と、このモデル独自の微妙なカスタムカラー以外は、このモデルは既製のRef.5320Gと同じ。完全にエドオリジナルだ。さらに素晴らしいことに、彼がこの時計を最後に着用したのは、フラムリンガム高校にサプライズで登場したときだってこと。


オーデマ ピゲ ホワイトセラミック QP ユニークピース

 別のブランドのユニークピース。遠くから見ると、オーデマ ピゲのホワイトセラミック製永久カレンダー(QP)のように見えるよね。最初にその違いに気づくのは、ホワイトセラミックQPの通常のレイアウトを反転させ、ブラックのインダイヤルをあしらった“パンダダイヤル”だという点だ。でも、よく見ると、さらに多くの違いがあることがわかる。

 エドの世界公演“マスマティックス・ツアー”のために、彼のこれまでのキャリアを総括するユニークピースをAPに依頼した。針の色はそれぞれ異なり、彼の最初の6枚のスタジオアルバムを表している。カスタマイズはこれだけではない。ローターにはエドのアルバムを表す数学的記号もあしらわれた。

 さらに付け加えると、ダイヤルのふたつの赤い数字はシーラン家の娘たちの誕生日を表している。


パテック フィリップ Ref.5970J

 エドの時計コレクションのなかで、最も大きなつながりを持つ時計はパテック フィリップのパーペチュアルカレンダーだ。HODINKEEのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフに関するReference Pointsの記事が、彼がこの世界に入るきっかけになったそうだ。手始めに、彼はRef.5970を入手してから、後述のように、ほどなくしてヴィンテージリファレンスに手を出した。今回紹介するのは、イエローゴールドのRef.5970Jだ。リテーラーの刻印もカスタマイズも何もない。でも、それもこの時計のよさの一部なんだ。

レマニアベースのCal.27-70 Qを搭載するパテック フィリップ Ref.5970

 彼が最初に買ったパテックの箱をどうしたかって? その話については、動画を見てほしい。


パテック フィリップ Ref.2499

 Ref.5970入手後、エドはパテックのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフの歴史に深く切り込んだ。最初の量産パーペチュアルカレンダー・クロノとなったRef.1518のあと、Ref.2499が登場した。1950年から1985年まで、パテックはわずか349本のRef.2499を製造した。エドのモデルはYG製の後期型で、丸いクロノグラフプッシャーと、ダイヤル端にタキメーターの目盛りがないことが特徴だ。BUNDストラップをつけて見せてくれたけど、合うよね?

 Ref.2499は、ヴィンテージウォッチのなかでも最もコレクターが多く、研究されているリファレンスのひとつだ。本格的なコレクターのための本格的な時計だが、エドの時計がさらに優れているのは、レッドカーペットやイベントでこの時計を身につけているところを目撃されていることだ。


パテック フィリップ Ref.5004P

 1994年、パテック フィリップはRef.5004を発表した。同世代のRef.3970と同様、レマニアベースのムーブメントを使用しているが、スプリットセコンド機能(またはラトラパンテ)が追加されている。Ref.5004のパッケージングは素晴らしく、直径わずか36mm、厚み15mmで、ラトラパンテ機能を操作するための巨大なリューズを備えている。

 1994年の発売後、パテックはRef.5004を月に1本程度生産したと言われていて、2012年に生産終了となるまで、約200本(編注:日本のコレクターによれば、【各素材】で200程度が生産されたとされており、市場に売りに出された数を見ると合計で約1000本ほどあるとする説が濃厚なようだ)が生産されたそうだ(このとき、最終的に50本のスティール製Ref.5004が生産され、ケースバックには最終オーナーの名前が刻印された)。通常生産のRef.5004のなかで、エドのようなプラチナ製の5004Pは最も希少なものになる。審美面でも技術的にも素晴らしいこのモデルは、パテック フィリップ史上最もエキサイティングな時計のひとつだ。


パテック フィリップ Ref.5208P

 時は2017年。エドは3枚目のスタジオアルバム『Divide』をリリースし、シングル『Shape of You』は世界中のあらゆるラジオやストリーミングチャートを席巻した。エドはどのように祝ったって? それはもちろん、Ref.5208Pさ!

 パテック フィリップ Ref.5208は、ブランドがこれまでに製造した腕時計のなかで最も複雑な腕時計のひとつだ。ミニッツリピーター、ムーンフェイズ付き永久カレンダー、クロノグラフを備えた正真正銘のグランドコンプリケーションだ。エドは2017年、これまでのキャリアで最も成功した年を記念してプラチナ製のRef.5208Pを購入した。地球上で最大のポップスターになったことを祝うにふさわしい大物ウォッチだ。

 エドはステージでも着用できるよう、パテックに依頼したラバーライニングストラップを装着したRef.5208Pを披露してくれた。


G-SHOCK Ref.6900 “サブトラクト” by エド・シーラン

 複雑なパテックは素晴らしいけれど、正直なところ、ほとんどの人にとって手に入れることは不可能だよな。

 僕らがエドを好きなのは、彼がフラムリンガム出身のフツーの男だということだ。だからこそ、HODINKEEは彼と一緒に時計を作りたかったのだろう。ジョン・メイヤー×HODINKEE G-SHOCK 6900限定モデルのトリオと同じ精神で、G-SHOCK Ref.6900 サブトラクト by エド・シーランが出来上がった。エドの6枚目のスタジオアルバム“サブトラクト”からインスピレーションを得て、派手でカラフルな、エド・シーランらしい時計に仕上がっている。

Photo: NDZ/Star Max/Getty Images

 2022年10月18日にHODINKEE Shopで発売されるけど、それまでエドがG-SHOCKとのコラボについて語るのを楽しもう。


KIKUCHI NAKAGAWA ムラクモ(2本!)

 菊池悠介氏と中川友就氏は、信じられないほどの技術を持つふたりの日本人時計師だ。彼らはカレンダーなしのタイムーオンリーの時計に、細部に至るまで信じられないほどの注意を払っている。すべてを自社で行っているわけではないが、部品の調達先については透明性を保っていて(例えばムーブメントはヴォーシェ・フルリエ製、ダイヤルはコンブレマイン製など)、その代わり、時計のすべての部品を手作業で仕上げることに専念している。

 ムラクモは、パテック カラトラバ Ref.96からインスピレーションを得ていて、幅広なベゼルとダイヤルと針のヴィンテージな雰囲気が特徴だ。時計職人たちは、針、ケース、クローズドケースバックを手作業でブラックポリッシュして、何日もかけて手作業で仕上げているんだ。

 時計づくりの枠を超えて、エドには個人的な思いを込めている。ケースバックには彼のふたりの娘の名前が刻まれており、18歳の誕生日にそれぞれ贈るつもりだという。


ロジャー・W・スミス ユニークピース

 ロジャー・W・スミスは、現存する最も重要な時計師のひとりである。同軸脱進機の発明者であるジョージ・ダニエルズ博士に弟子入りしたスミス氏は、現在もマン島にある自身の工房で製作を続けている。彼は年に数本しか時計を作らず、すべての部品を彼独自の厳格な基準で完全に手作りしている。

 エド・シーランが所有するロジャー・スミスの作品は、彼が結婚式の日に着用したユニークピースだ(彼の妻もお揃いの38mmを所有している)。ダイヤルには複雑な桜のモチーフが施され、サファイアケースバックには桜の象嵌の上にエドのイニシャル “E.S.”がエングレービングされている。


A.ランゲ&ゾーネ オデュッセウス

 A.ランゲ&ゾーネが2019年にオデュッセウスを発表したとき、それはブランドにとって大きな出来事だった。グラスヒュッテを拠点とする同社初のSS製スポーツウォッチというだけでなく、ランゲ初の量産SSウォッチでもあったからだ。クラシックなスタイル、複雑機構、貴金属を重視するランゲにとって、これは大きな出発点だった。

 発売当初は賛否両論あったものの、エドはこのモデルをいち早く入手した。今やどのブランドにもブルーダイヤルのブレスレット一体型スポーツウォッチがラインナップされているが、アウトサイズデイトと曜日表示、複雑なケース構造、新しいブレスレットとムーブメントを備えたオデュッセウスからは、生粋のランゲ魂を感じるね。


チューダー ブラックベイ “ディバイド・ツアー” 限定モデル

 エドの“ディバイド・ツアー”終了後、彼はチューダーと協力して、アルバムのロゴを6時位置に配したブラックベイの限定モデルを製作。彼は約80本をキャストとツアーの友人に贈った。

 ケースバックには、“Thank you for all your hard work on this tour, love Ed. (ツアーへの君たちの献身を讃えて)”と刻まれている。

 「世界でいちばん楽しいことは、仲間に時計を贈り、彼らが時計愛好家に目覚めるのを見ることなんだ」とエドは語る。クルーたちにこの特別なブラックベイを贈ったあと、彼らの多くが時計に夢中になったという。