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Talking Watches レザ・アリ・ラシディアン氏と腕時計を語る

地球上で最高のダイバーズウォッチコレクションをもつ人物が、その収集品を披露してくれた。

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レザ・アリ・ラシディアン氏は、異論の余地なく世界で最も素晴らしいダイバーズウォッチコレクションを所有する人物だ。その名は、デイトナの世界のプッチ氏や、ゴールドバーガー氏のようにすべての腕時計において知れ渡ってはいないかも知れないが、彼らと同じくレザ氏は本格的なコレクターである。どれくらい本格的かというと、彼はゴールドバーガー氏と一緒に『A Journey Into The Deep』という驚くべき本を製作した。そこには歴代の最も重要なロレックスのダイバーズウォッチが取り上げられている(オンラインのHODINKEEショップで手に入る)。本格的なロレックスやダイバーズウォッチのコレクターにとっては必読の書といえるだろう。しかし多くの人が知らないのは、掲載されているどの腕時計もすべてレザ氏自身が所有しているものということ。132ページの本に掲載されているすべてだ。 

 レザ氏は間違いなく一流コレクターであり、それ以上に素敵な人物だ。また、世にあるほかのロレックスのスポーツウォッチではなく、なぜ彼がディープなダイバーズに魅了されるのかついても、これまでに耳にしたこともない話を語ってくれた。すべてがうっとりするようなコレクションだ。正式にHODINKEEが『レザ・アリ・ラシディアン氏と腕時計を語る』を皆さんにお届けするために今日ここにいることを、私はとても嬉しく思っている。


13歳の時に贈られたロレックス オイスター パーペチュアル デイトジャスト

ゴールドのベゼルとリューズをもつこの小振りなサイズのロレックス デイトジャストが、レザ氏が初めて所有した高級時計だ。

 誰にでも始まりがあるが、レザ氏はとても良いところからスタートを切ったといえるだろう。ゴールドのベゼルと針をもつこの小振りなサイズのロレックス オイスター パーペチュアル デイトジャストが、彼の初めての高級時計であり、今は亡き父君から13歳のときに贈られたものだ。彼はこれを、小振りなサイズが手首に馴染まなくなるまで毎日着けていた。ほかのコレクションを見れば、レザ氏がロレックスから始めたのもうなずける。


ロレックス ディープシー・スペシャル ナンバーワン

 遠回りは止めて欲しいって? それでは本格的なアイテムへと移ろう。レザ氏はロレックス ディープシー・スペシャルを所有している。海底探査ブームの黎明期に、ロレックスが試験的に製作したダイバーズウォッチだ。それも、彼が持つのはナンバーワン。そう、これがまさしくロレックス最初のメガダイバーズなのだ。実のところ、これはロレックス初のオイスター ダイバーズウォッチとも言えるかもしれない。最初に作られたダイバーズウォッチと同じ年に発表された。バチスカーフ(深海潜水艇)のトリエステ号がマリアナ海溝を潜水した際に同行したものではない(それは第3号であり、スミソニアン博物館に収蔵収されている)ものの、ここには愛すべき要素がたくさんある。

 レザ氏は、この時計を14年前の2005年11月に、クリスティーズのオークションで購入した。32万2400スイスフラン(約3800万円)だった。そのときまでにレザ氏は、ヴィンテージものから新型まで、あらゆるロレックスを収集していた。そして彼が言うように、このような時計を所有することでコレクションに完全な“気象系”がもたらされる。そして、このときから彼は世界で最も重要なロレックスのダイバーズウォッチコレクションにまとめ上げることを始めたのだ。余談だが、ロレックスのツールウォッチはスティールとイエローゴールドで作られる意味がないと、ついこの3月に言った人々に対して。もちろん意味はある、そうだろう。

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ロレックス シードゥエラー Ref.1665 赤シード(シングルレッド) 特許出願中、バルブ付き

シングルレッドは、ロレックスのプロ用ダイバーズウォッチ最初期のリファレンスだ。

 GMTやデイトナ、そしてサブマリーナーでさえなく、彼がシードゥエラーにここまで引かれる理由は何かと尋ねて、返ってきた答えはシンプルかつ納得できるものだった。 彼は何に対してであれ、極端なバージョンに魅力を感じると言うが(何年もの間、彼はクラシックカーレーサーでだった)、彼にとっては競技用、すなわち高性能グレードのツールであるシードゥエラーこそが、まさしくそれなのだ。デイトナは、脇で傍観する人々がつけるものだったと言い、GMTは(例外もあるが)ジェット機で飛び回る人々や勤務中のパイロットがつけるものだった。しかしシードゥエラーは、非常に明確な目的を持つ人々だけが身につけた。それはある意味、ロレックスにおける時計づくりの最も純粋な表現だ。妥協がまったくないからである。

 次の4つの時計は、シードゥエラーの試作品とみなされるものだ。これは、ケースに“Patent Pending(特許出願中)”と書いてある非常にレアな“シングルレッド”のシードゥエラーで、ロレックスのヘリウムエスケープバルブの特許がまだ認められていなかったことを示している。上に挙げたものには、ケースにヘリウム排出バルブがついているが、レザ氏はヘリウム排出バルブなしのシングルレッドも所有している。本当にかっこいい。


ロレックス シードゥエラー Ref.1665 ダブルレッド MK 0、特許出願中、バルブ付き

 この時計は、世に知られているのは12本にも満たないという非常にレアなシングルレッドの、最初期に出たものだ。ケーススタイルは同だが、ダイヤルには“シードゥエラー サブマリーナー”と書かれており、見ての通りの“ダブルレッド”である。ダイヤルには、時間経過でピンクに褪色した文字が入っており、ケースにはまだ“Patent Pending(特許出願中)”と書かれている。これらの時計はプロのダイバー向けに配布、テストされたもので、一般には販売されなかった。


ロレックス シードゥエラー Ref.1665 ダブルレッド MK 1、特許出願中、バルブ付き

 いよいよシードゥエラー MK 1の領域に踏み込んでいくが、これもまだ特許出願中のものだ。この個体には、二段に入った赤い文字がピンク色に退色している。ヘリウムエスケープバルブがついてはいるが、同じような時計はめったに見られないが、ケースにヘリウムエスケープバルブがついていないものもある。このモデルには、見事に変色したベゼルもついている。


ロレックス シードゥエラー Ref.1665 ダブルレッド MK 2、特許出願中、バルブ付き

 特許出願中のシードゥエラー MK2は、このシリーズ最後のプロトタイプとなる。これまで見てきたものは特許出願中のシードゥエラーばかりだが、それらはすべて事実上のプロトタイプであり、ロレックスの歴史の中でも非常にクールな存在と言える。


ロレックス シードゥエラー レッド MK 4 ヤヌスⅣ用

 レザ氏はこれより後の生産されたシードゥエラーのすべてのバージョンを所有しているが、この時計は非常に特別な一品だ。イギリス生まれでフランス語を話す元グリーンベレー(米陸軍特殊部隊)の隊員のひとりが、数度のヤヌス試験で装着していたもので、ヤヌス試験とはCOMEXとフランス海軍が共同で行った一連の実験的な外洋での超深海潜水のことである。このように実際に装着された時計は、ダイバーズウォッチコレクタの間では“聖杯”とされ、レザ氏は納得できる状態のものを手に入れるまでに何年も費やした。彼のこの一品は驚くほどオリジナルの状態をキープしており、その温かみと雰囲気は実に格別だ。

 この個体は、当時の世界記録である460mのダイビング成功を祝って当時のオーナーに贈られたものだ。ケースバックに刻まれた文字は非常に薄いが、実に素晴らしいものである。

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ロレックス サブマリーナー 5513 Comex

 多くの人が追い求めるのは、スペシャルリファレンスの5514 COMEXかも知れないが、COMEXのダイヤルをもつベーシックな5513には、特別な何かがあるとレザ氏は考えている。薄めのケース、レトロにあしらわれたダイヤル、そしてこれが極めて標準的な時計の特別納品バージョンであったという非常にシンプルな事実が、これを魅力的なものにしている。


ロレックス ミリタリー サブマリーナー Ref.5513 イラン軍用

 ハメ殺しのバネ棒、1分刻みの目盛りを持つベゼル、ソード針など、ミリタリー サブマリーナーの特徴については皆さんご存じだろう。しかし、レザ氏のミリタリー サブマリーナー 5513は、ほかとは一線を画し、イラン軍のために作られたものだ。

 イラン出身のレザ氏は、現在はヨーロッパに住んでいるが、この特別仕様の時計を彼はほぼ毎日のように腕につけている。よく見なければわからないものに価値を見出す人々にとって、これこれほど興味深いことものはないだろう。多くの人にとって、これはただのサブマリーナーでだ。だが、数少ない人々には、これがミリタリー サブマリーナーだとわかる。そしてここにいる皆さんを除けば、これがイラン軍仕様のミリタリー サブマリーナーであることを知る人は、おそらくいないだろう。本当にすごい1本だ。


ロレックス シードゥエラー Ref.16600 “Sommozzatori(ソモッツァトリ)”

 これもカッコいい時計だが、ロレックスが社外向けに時計のダイヤルにマークを入れたものの中では、つい最近のもののひとつだ。もちろん、ロレックスとイタリアには特別な関係があり、イタリア軍潜水部隊のために作られたこの比較的新しいRef.16600は、非常に素晴らしいものである。それに、“Sea-Dweller Sommozzatori(シードゥエラー ソモッツァトリ)”と口にしてみるのも楽しいことだ。


さらに読む・見る

 ご覧になった方は少ないかも知れないが、レザ氏は実は、2018年12月に開催されたHODINKEE 10周年記念のゲストであり、ダイバーズウォッチについて素晴らしい話を語ってくれた。その様子はこちらでご覧いただける。さらにすでに述べた通り、ロレックス ダイバーズウォッチの歴史について書かれたこの素晴らしい書籍で詳しく扱われているのは、すべてレザ氏のコレクションだ。この書籍はゴールドバーガー氏自身が製作したもので、とてもおすすめの素晴らしい本だ。

 おっと、そしてシードゥエラーについてもっと知りたいだろうか? 我々が2年前に紹介したダイバーズウォッチのキングについてのREFERENCE POINTSをご覧いただきたい。